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掲載日:2022年12月27日
Q 守屋裕子 議員(共産党)
物価高騰等、国民生活の悪化が深刻になっています。ところが岸田政権は、物価高騰と異常円安をもたらしているアベノミクス、異次元の金融緩和に固執し、対応不能に陥っています。構造的賃上げと言いながら、中身はなく、物価高騰のさなかに医療や介護の負担増を次々と押し付けるという、血も涙もない政治を行っています。現状を打開するためには、賃上げを軸に実体経済を立て直すこと、とりわけ内需を活発にすることに本腰を入れることが必要です。
まず、知事に伺いますが、コロナ禍・物価高騰で困窮する県民の現状を踏まえ、政府に対して本腰を入れた賃上げ対策を求めるべきです。答弁を求めます。
日本共産党埼玉県委員会は、この間、各地で住民アンケートを実施しています。私の地元川越でのアンケートに対しても、「年金生活ですが、額が減って暮らしが先細りになってきました」「医療費負担が二倍になって、薬を飲むのも減らそうかなと思っている」など、悲痛な声が早くも届いています。
所沢では、全戸にアンケートを配布して、約3,000人から返送がありました。結果、「暮らしが苦しくなった」が64.6%。苦しくなった原因の1位が「物価の上昇」、2位が「税、社会保険料の負担増」、3位「年金の減少」でした。
日本民主青年同盟埼玉県委員会は、困窮する学生たちを対象に、県内大学の最寄り駅でフードパントリーを継続的に開いてきました。この10月、11月には、15か所で米900キロ、レトルト食品、野菜など配布しました。どこも1時間程度で食料品はなくなり、新座駅では女子学生が列をなしたそうです。
今、生活に苦しむ県民に直接届く支援が必要です。年末に向けて、県は、生活困りごと相談会として法律相談や食料品無料配布を全15回、10会場で始めました。既に熊谷、越谷会場で始まっていますが、あまり出足はよくないようです。
提案ですが、相談会と名付けてしまうと、相談事がなければ顔を出してはいけないような印象が生まれると思います。無料配布を中心に広報すべきと考えますが、どうか。また、民主青年同盟は、フードパントリーに先立ち、駅周辺のアパートにチラシを配布します。チラシを関係施設に置くだけではなく、積極的に配布すべきです。福祉部長、この提案についての見解、また、生活困りごと相談会を年末年始にかけ、大成功させていく決意をお答えください。
子育て世帯への支援も待ったなしです。12月には、学校給食の無償化を求める県連絡会が立ち上がります。学校給食の無償化について9月議会でも提案させていただきましたが、今議会でも改めて取り上げます。
この間、県が県立学校の給食に対して物価高騰分を補填していることは承知していますが、子供3人で1万5,000円以上にもなるこの負担を軽減してほしいという保護者たちの切実な願いに応えるべきです。9月定例会において、法的に保護者負担が決まっているとの知事答弁でしたが、憲法は義務教育を無償としており、学校給食法は、給食が教育活動の一環であることを明記しています。
一方、学校給食法は、給食の保護者負担を規定していますが、この間国会の議論でも、文科省は、設置者が保護者に補助することを禁止したものではないと答えています。同時に、知事は設置者が考えることと、市町村が考えることと答弁しておりますが、知事は県立特別支援学校の設置者であります。
(1)、まず、県立特別支援学校の小学部、中学部給食を無償として、市町村の模範を示すこと。(2)全市町村が給食無償化に踏み出せるように、県として支援制度をつくること。改めて知事の答弁を求めます。
川越で行っている暮らしアンケートには、「子供の医療費を高校生まで無料にしてほしい」という声がありました。県として窓口無料化が10月から始まったことは高く評価しますが、対象年齢はいまだに就学前です。以前の一般質問答弁は、小学生まで無料にするには、更に約20億円かかるので無理とのこと。しかし、この制度は、市町村が独自の努力をして、2022年10月現在、既に28市町村が18歳まで、35市町が15歳まで無料としています。今、県が1歳でも対象年齢を引き上げるなら、これは市町村への財政支援となり、18歳まで無料へと背中を押すことになります。保健医療部長、1歳対象年齢引上げに必要なのは幾らなのか。対象年齢を引き上げるべきと考えるがどうか。また、国に対して、国の制度とするよう強く求めていただきたいが、以上の3点を質問します。
次に、福祉施設、医療施設の物価高騰対策についてです。
さきの9月補正で福祉施設の光熱費対策が決まり、12月補正で医療施設の光熱費対策が提出されております。評価したいと思いますが、残念ながら喜びの声ばかりではありません。
定員90人のある保育所では、半年間の水光熱費の上昇は68万円、定員45人の高齢者デイサービスセンターの場合、水光熱費上昇は73万円と聞いています。一方、県からの半年分の助成金は、それぞれ15万円に過ぎません。ある400床の医療施設では、半年間のガスと電気代で3,500万円の増加とのことで、今回の補正では1,800万円の補填にしかなりません。更に今後高騰が続くなら、更なる補填を検討していただきたいのですが、知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
政府に賃上げ対策を求めることについてでございます。
県の四半期経営動向調査では、原材料等の価格高騰で業績にマイナスの影響が出ている企業の割合が70%にのぼっております。
また、厚生労働省の調査によると、物価に見合う賃金を示す「実質賃金指数」は、本県において令和4年1月から最新値である9月にかけ、9か月続けて前年同月を下回っている状況です。
賃金の上昇を伴わない物価の上昇は、個人消費の落ち込みによる経済の縮小につながる懸念があるため、賃上げは経済を活性化させるための重要な課題と考えております。
先日可決された国の第2次補正予算においては、物価高騰・賃上げへの取組として、一定の賃金引上げを実施した企業への各種助成制度の拡充や、構造的な賃上げを行うために、労働移動の円滑化やリスキリング支援などに取り組むことが示されております。
県といたしましては、産官学金労で構成する「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」において、ウイズコロナ、アフターコロナの取組について議論をしていただいております。
その議論をもとに企業の事業再構築支援や就業希望者へのキャリアチェンジ促進などを事業化するとともに、産官金労の12者による「価格転嫁の円滑化に関する協定」を全国で初めて締結をさせていただきました。
企業が価格転嫁を適正に行い、それを賃上げにまでつなげていく正のスパイラルを生み出すことが必要との考えの下、「価格転嫁の気運醸成キャンペーン」を実施しています。
このキャンペーンは、実効性のある取組として、日本商工会議所を通じて全国に発信をされております。
今後とも景気動向を見極めながら、賃金上昇が可能となる企業環境が整うようしっかりと経済対策を実施する一方で、必要な措置については国に要望をしてまいりたいと考えます。
次に、県立特別支援学校の小学部・中学部給食を無償化し、市町村の模範を示すことについてでございます。
義務教育諸学校の給食費につきましては、学校給食法第11条第2項で給食を受ける児童生徒の保護者の負担とすることが明記されており、この対象には特別支援学校の小学部及び中学部も含まれております。
学校給食法の趣旨を踏まえ、県においては学校給食の実施に要する人件費、光熱水費、施設設備に係る経費等を負担し、保護者には食材費、すなわち学校給食費を負担していただくことで、学校給食を円滑に実施しており、現状においては、法に基づく対応が適切と考えます。
他方で、御質問の設置者の判断につきましては、9月議会における前原議員の質問に対し、急激な物価高騰の影響に対しては国における制度の活用をそれぞれの設置者において判断するべきものと考えると申し上げております。
最近の物価高騰の影響を受けた食材の値上がりを踏まえ、このような御答弁も踏まえて、国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用し、学校給食費のうち物価高騰に伴う保護者負担の増額を回避するよう対応、補助しているところでございます。
学校給食法では、学校給食は児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものと規定され、教育活動の一環として位置付けられていることから、その負担の在り方については都道府県間で格差が生じるべきものではありません。
そのため、国全体として保護者負担に対する考え方を抜本的に整理した上で、現在の物価高騰が仮に長期にわたる場合には対策を講じる必要があると考えており、国の責任で財源を含め具体的な施策を示すよう、私自らが文部科学省に対し直接要望をさせていただいたところでございます。
次に、市町村が給食無償化に踏み出せるよう県として支援制度を作ることについてでございます。
市町村立小中学校における学校給食費については、設置者である市町村が、学校給食法の趣旨を踏まえ、自主的に判断をするものであります。
その上で、先ほども申し上げましたとおり、市町村立学校における学校給食費の在り方につきましても、国全体として保護者負担に対する考え方を抜本的に整理していくべきものと考えております。
次に、福祉施設・医療施設の物価高騰対策についてであります。
福祉施設や医療施設については、物価高騰に伴って運営に影響が出ておりますが、運営に必要な経費は、介護報酬や公定価格に基づく運営費、医療機関等におきましては診療報酬等によって賄われているため、本来は、国が物価高騰をこれら運営費等に反映して対応するべきものであります。
また、今般のような急激な物価高騰に対しては、事業者の安定的な運営が確保できるよう年度途中であっても運営費補填のための措置を講ずることや、通常の改定時期を待つことなく物価高騰を反映した報酬等に改定することも必要と考えております。
このため、11月には内閣府少子化対策担当大臣と厚生労働副大臣に私自ら要請を行ったほか、全国知事会等を通じた働きかけも行っております。
県としては、福祉施設等における光熱費等の急激な上昇を緩和するための激変緩和措置として支援を実施したところ、今後も、水光熱費の高騰が継続する場合には、国において一義的に対応するべきと考えます。
引き続き、物価高騰の影響等を注視しつつ、国に働き掛けるなど、しっかりと取り組んでまいります。
A 金子直史 福祉部長
「生活困りごと相談会は、食料品の無料配布を中心に広報すべきであり、チラシを積極的に配布すべき」についてお答えを申し上げます。
本年11月から実施している生活困りごと相談会は、生活に困窮する方に食料品等を無料で配布するとともに、身近な場所で気軽に相談できる場を提供し、福祉サービスの利用や債務整理など必要な支援につなげることを目的としています。
相談会の開催に当たりましては、テレビ、ラジオ、タウン誌、駅やスーパーでのポスター掲示などのほか、子ども食堂やフードパントリー、ネットカフェ、ドラッグストアなどの御協力もいただき、広く周知を図っているところです。
回を重ねるごとに来場者も増えてきており、先日いらした方からは、「病気の家族を抱え、先行きが不安だったが、明るい気持ちになった」「離婚後、子育てしながらの生活に不安を抱えていたが、就労のアドバイスが大変役立った」などの声もいただいております。
議員お話の食料品等の無料配布もあわせて広報することについては、先日の相談会において、会場周辺で食料品の無料配布についてもアナウンスして、多くの方に来場いただいているところでございます。
今後も、広報するエリアや対象となる方、媒体の情報量などを踏まえて周知方法や内容を工夫してまいります。
次に、「相談会を年末年始にかけて大成功させていく決意は」についてでございます。
これまで開催した相談会では、家族の介護や持病を抱えての働き方、住宅ローンがある方の家計の改善方法、離婚後の生活設計など、様々な相談が寄せられました。
また、障害があり、高額な医療費の支払にお困りの方を市の福祉担当課につないだケースや親の年金で暮らす無職の方の自立を支援するため、市の社会福祉協議会につないだケースなどもありました。
年末年始に向けて、大宮と川越の2会場での同時開催など相談体制を強化するとともに、大宮駅前の大型ビジョンでの動画配信や特例貸付の償還対象11万世帯にチラシを送付するなど周知にも力を入れてまいります。
今後も、この相談会を通じて、生活にお困りの方を一人でも多く支援できるよう積極的に取り組んでまいります。
A 山崎達也 保健医療部長
子ども医療費の対象年齢引き上げについてお答えを申し上げます。
まず、「補助対象年齢の1歳引き上げに必要な費用」についてでございます。
乳幼児医療費助成制度の補助対象年齢を1歳拡大して小学校1年生まで対象とした場合を試算すると、4億円程度の予算が必要となります。
次に、「対象年齢を引き上げるべきと考えるがどうか」についてでございます。
令和4年10月から医療機関の窓口での自己負担がなくなる現物給付化を実施しており、審査支払機関への手数料などの経費が、現在の助成対象年齢のままでも、今後、年間2.5億円程度発生する見込みです。
限られた予算の中、医療費の負担が大きい小学校就学前の子育て家庭を支援する現在の助成制度を維持してまいりたいと考えております。
次に、「国に対する要望」についてでございます。
子どもに対する医療費助成制度は地方単独事業となっており、国の補助金などが無いため、全額を県の一般財源として、毎年、確保する必要があります。
子どもへの医療費助成は、子育て支援のナショナルミニマムとして、国により統一的に実施されるべきものであると考えております。
全国一律の子どもの医療費助成制度の創設を国に強く要望してまいりたいと考えております。
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