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掲載日:2024年10月17日

令和3年9月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(諸井真英議員)

太陽光パネルの廃棄問題について

Q   諸井真英 議員(自民)

東日本大震災を経て、民主党政権によってFIT制度が始まったのが2012年であります。高額な固定買取価格のおかげで太陽光パネルが山の斜面、河川敷や田んぼなど至るところに建てられました。埼玉県も利根川の土手にメガソーラー施設を建てようとした苦い過去があり、当初から否定的だった私などの声には聞く耳を持たずに補助金を出して普及をサポートしてきました。
太陽光パネルの寿命はおおむね20年から30年といわれており、急速に普及した大量のパネルが今後同じタイミングで寿命を迎えます。2040年には2015年の約300倍となる約80万トンが廃棄されるという試算もあり、それらは最終処分場に埋められることになりますが、埋立能力の限界を超えることが既に指摘をされております。
また、太陽光パネルは、大きなガラスに電極やシリコンを何層にも強固に接着しております。私は今年5月、加須市の環境科学国際センターを同僚の武内議員とともに訪問し、パネルのリサイクルの取組について詳細な御説明をいただきました。しかし、残念ながら太陽光パネルは、現状において多大な手間やコストがかかることから分離してリサイクルすることは難しく、ほとんどが埋立地に送られているというふうに伺いました。
私は今の状況のままでは、今後、パネルが無秩序に捨てられるおそれがあると危惧しております。国は処分の指針を設けていますが、パネルには製造、発電、処分、廃棄と少なくとも4業態の業者が関わり、さらに海外メーカーのパネルも広く流通していることから、有害物質に関する情報共有が滞る可能性もあり、メーカーに情報提供を義務付ける仕組みを強化すべきだと感じております。
また、廃棄コストも問題です。国は、太陽光発電の事業者にパネル建設費の5%相当額を廃棄に備えて確保するよう求めていますが、チェックする仕組みはなく、コスト負担を嫌って不法投機する業者も出てきており、事業者の責任を明確にする法整備、規制が必要であると強く感じております。
いずれにしても、太陽光パネルが大量に廃棄物になって問題化するのは遠い先の話ではなく、対策は待ったなし、早急に対策を確立すべきと考えております。
そこで、環境部長にお伺いいたします。
1番目、太陽光パネルを最終処分する埋立地はいつ限界を迎え、それまでに技術革新によりリサイクルが実用化されるめどは現時点で立っているのでしょうか。
2番目、パネルの不法投棄を防ぐために県はどのような取組を行っていくのか、お伺いいたします。
3番目、再生エネルギー促進賦課金といって、普及させるときは太陽光パネルをつけない家庭からも負担金を取っている現状なのですから、パネルメーカーや電力会社に廃棄コスト、リサイクルコストの負担を義務化して、それを担保させる仕組みが必要と感じますが、見解をお伺いいたします。
4番目、対応策が確立するまでは新規の太陽光パネルの設置は、県として一時停止させるべきだと思いますけれども、御所見をお伺いいたします。

A 小池要子 環境部長

埋立地はいつ限界を迎え、それまでにリサイクルが実用化される目処は立っているのかについてでございます。
太陽光パネルは、アルミ枠、ガラス、バックシートなどから成り、素材ごとにリサイクルされますが、リサイクルできないものは廃棄、その多くは産業廃棄物として処理されます。
令和3年度環境白書では、産業廃棄物の最終処分場の残余年数は平成30年度で17.4年とされておりますが、その年数は年々伸びている傾向にあり、埋立地がいつ限界を迎えるかお示しすることは困難です。
残余年数が伸びている理由は、最終処分の埋立量が、平成30年までの10年間で約800万トン減少していることなどが考えられ、太陽光パネルに関しましても、そのリサイクル等を促進し、今後も最終処分量を縮減していくことは大変重要と考えます。
リサイクルの実用化につきましては、県環境科学国際センターで実施した処理技術の実証実験などにより、現在の技術でも一定の処理は可能であることなどが分かりました。
また、破砕や選別等の各段階におけるリサイクル技術の高度化も進みつつあり、実際に、県内において、太陽光パネルのリサイクル事業を開始した事業者も出てきているところです。
次に、太陽光パネルの不法投棄を防ぐために、県はどのような取組を行っていくのかについてでございます。
太陽光パネルの不法投棄を防ぐためには、そのリユースやリサイクル等の処理体制の確立が極めて重要です。
県では、令和2年度に、パネルメーカー、解体業者、処分業者など様々な事業者に参画いただき、「太陽電池モジュールリサイクル協議会」を設置して、処理体制の構築に向けた協議を行ってまいりました。
こうした協議を踏まえ、令和2年8月には「太陽光発電設備の処理に関する手引」を作成・公表し、太陽光パネルの適正処理を促しているところです。
また、住宅用太陽光パネルについては、県内全域から小口で排出されることも想定されるため、効率よく回収できるルートの確立も課題です。
そこで今年度から、県内事業者や県解体業協会などの御協力をいただきながら、効率的な回収ルートの構築に向け、国と共同して実証実験を行っております。
今後もこうした取組を進め、太陽光パネルの効率的な処理体制の確立に努めてまいります。
次に、廃棄コスト、リサイクルコストの負担を担保させる仕組みが早急に必要ではないかについてでございます。
廃棄等にかかる費用については、従来、建設費の5%程度を事業者自身が積立てを行うこととされていましたが、確実に積立てを担保するため、令和2年6月に関係法令が改正され、原則として、外部に積立てをする仕組みに変わりました。
具体的には、事業者が受け取る電気供給の対価から源泉徴収的に控除され、それを第三者機関が積立金として管理することになります。
令和4年4月から運用が開始される予定であり、廃棄等の費用の積立てを担保される仕組みが整うものと理解しております。
次に、対応策が確立するまでは新規の太陽光パネルの設置は県として停止させるべきについてでございます。
令和3年5月に地球温暖化対策推進法が改正され、再生可能エネルギーの導入拡大が求められていることや、太陽光パネルの廃棄については全国共通の課題であることから、県が新規の太陽光パネルの設置を停止させるのは適当でないと考えます。
一方、廃棄に関する課題について早期に解決すべきという御指摘は正にその通りです。
その解決は、基本的に国において、責任をもって行われるべきものです。
様々な法令改正やガイドラインの策定など一定の改善が図られておりますが、まだ解決すべき課題もございます。
県といたしましても、企業や団体等と連携し、リサイクル体制の確立に努めるとともに、引き続き、国に対し課題の解決を早期に図るよう強く働き掛けるなど、太陽光パネルの適正処理に向けてしっかり取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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