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掲載日:2019年6月26日
Q 村岡正嗣議員(共産党)
建設産業の不振打開のために2014年6月、改正担い手3法が施行されました。担い手3法の目的達成の必要条件は、建設労働者の賃金水準の向上にあります。若者が建設産業への入職を敬遠する一番の理由は、全産業の平均を21パーセントも下回る給与水準の低さにあるのです。この間、国は設計労務単価を2013年度以降、3年連続で引き上げました。しかし、現場で働く労働者にはその効果は実感されていません。埼玉土建の行った昨年の賃金アンケートでは、前年と比べ賃金が上がったとの回答は15.6パーセントに過ぎません。業種別の設計労務単価費や型枠工74.0パーセント、鉄筋工は54.8パーセントと賃金が設計労務単価にはるかに及びません。むしろ、乖離が広がるなど深刻な実態があります。
私は、設計労務単価の引上げを実効性あるものへ、そのための実態把握が必要と繰り返し求めてきましたが、県は国交省の調査結果の利用にとどまっています。その点、新座市や上尾市、朝霞市などが直接市として労働環境の実態調査に乗り出したことは教訓的です。
そこで質問です。まず、県として直接賃金実態の調査に踏み出すこと、設計労務単価の引上げを末端の建設労働者にまで反映させることについてお答えください。
低賃金と同時に、建設産業で働く若者の大きな悩みは休日の取れないことです。そこで、国交省では昨年より完全週休2日制工事の試行を始めました。完全週休2日制を選択する入札参加者を評価し、工期設定では4週8休の完全週休2日制の導入、試行結果は公表するなどにより政策誘導しようと試みています。ある中堅建設会社の社長は、土日もないという業界の文化はもう通用しませんと語っていますが、当然です。担い手確保の必要条件と言える完全週休2日制を埼玉県としても試行していただきたいがどうか。以上、県土整備部長より答弁を求めます。
次に、改正品確法に関わってです。NPO建設政策研究所による東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏調査によれば、この1年間で原価割れ工事を経験した事業主の割合は27.4パーセント、埼玉では26.0パーセントと深刻な結果です。改正品確法が画期的と言われる一つは、受注者の適正利潤の確保を発注者の責務としたことにあります。県として、この改正品確法の受注者の適正利潤の確保及び発注者の責務をどう実現するつもりか、岩崎副知事よりお答えください。
A 浅井義明 県土整備部長
県として直接賃金実態調査に踏み出すこと、設計労務単価の引上げを末端の建設労働者にまで反映させること、及び完全週休2日制工事の試行についてお答えを申し上げます。
まず、賃金実態の調査に踏み出すこと、設計労務単価の引上げを末端の建設労働者にまで反映させることについてでございます。
公共工事の設計労務単価は、実態の賃金を反映できるよう国が全国的な調査を行っており、県もこの調査の一部を担っております。
この設計労務単価は、公共工事の工事費の積算に用いるものであり、労働者へ支払われる実賃金を拘束するものではありません。
労働者の賃金水準は、労使間の契約であるため、基本的には企業の方々に対応していただく必要がございます。
現場の労働者の賃金が十分な水準に達していない理由の一つとして、下請けが何層にも重なることにより、各段階で経費が発生し、最前線で働く労働者に適切な賃金が支払われないという問題がございます。
県といたしましては、こうした重層下請構造の改善に向けて、取り組んでまいります。
次に、完全週休2日制工事の試行についてでございます。
若者が休日をとりにくいということについて、県では平成28年度より総合評価方式で、4週8休を確保する工程管理を加点評価する取組を試行してまいります。
今後とも、若者が希望の持てる建設業となるよう努めてまいります。
A 岩崎康夫 副知事
「受注者の適正利潤の確保」及び「発注者の責務」について、お答えを申し上げます。
平成26年6月に改正された、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる改正品確法では、公共工事の品質確保の担い手が中長期的に育成、確保されることを目的に、受注者が適正利潤を確保できるよう、発注者の責務が明確にされました。
具体には、予定価格の適正な設定、適切な設計変更、及びダンピング受注の防止などが位置付けられました。
まず、予定価格の適正な設定についてですが、予定価格の基となる設計金額の積算に当たっては、実勢価格を適切に反映させております。
設計労務単価につきましては、国が約1万3,000件の工事、約16万人の賃金データを基に、都道府県ごとに定めた単価を採用し、国が改定した場合には速やかに県の単価に設定しております。
平成25年4月以降これまで4度にわたり引き上げ、その上昇率は全職種平均で30パーセントを上回っております。
また、資材単価につきましても、年2回の全面改定のほか、コンクリートや鉄筋など22種類の主要資材について、毎月、価格を調査し、一定の変動があった場合にはその都度反映させております。
次に、適切な設計変更につきましては、受注者・発注者双方にとって共通の手引書となる「設計変更ガイドライン」を平成26年度に作成し適切に実施しているところでございます。
さらに、工事の契約締結後、例えば資材価格や労務単価が急激に高騰した場合には、変更契約で増額できる、いわゆるスライド制度も導入しております。
次に、ダンピング受注の防止につきましては、全ての建設工事の入札に最低制限価格制度又は低入札価格調査制度を適用しております。
この制度における、最低制限価格などにつきましては、平成20年度以降6回の見直しを行い、最近では本年5月に引上げを行っております。
これらの取組により、国の調査によれば、企業の利益率や労働賃金の水準は改善傾向がみられる状況でございます。
今後とも、建設関係団体等との意見交換を通じて業界の実態を把握し、中長期的な担い手確保、育成が図られるようしっかりと取り組んでまいります。
再Q 村岡正嗣議員(共産党)
どうも現状認識が違っているなというところがあります。改正品確法について、その中身とそれぞれの施策についてこうやっているというお話があって、適切に実施をしていると、改善傾向にあるという御答弁だったんですが、やはり実態は全く改善しているという声は私ども聞いておりません。
例えば、全国建設業協会の実施した去年9月の改正品確法の効果について、どうだったかというアンケートをやっているわけです。そうしますと、前年と比較して利益が良くなったと答えたのは14.5です。悪いというのが49.6、変わらないが35.9、だから全くこの効果が感じられていないです。これが実態なんですよ。こういう状態では、労働者の賃金改善は難しいのは当たり前なんです。
一部良くなっているという話があったんだけれども、これは超大手ゼネコンの業績回復が後ろを押しているということも一部あるわけですよ。そういう意味では岩崎副知事、現状認識、全国建設業協会のアンケートを私が紹介するまでもなく、なかなか改正品確法の効果は出ていないんだと、上がっていないんだという、こういう認識をお持ちなのかと、その上に立って、効果があるためにどうしたらいいかということをもっと具体的にやる必要があると思うので、先ほどの答弁では不十分じゃないかと私は思っておりますが、もう一度お答えいただきたいと思います。
再A 岩崎康夫 副知事
これまでも、建設関係団体とは、定期的に意見交換を行ってまいりました。
今後とも、建設関係団体等との意見交換を通じまして、業界の実態を把握し、中長期的な担い手の確保、育成が図られるよう、しっかりと発注者の責務として取り組んでまいりたいと思います。
注意:氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。
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