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掲載日:2023年1月12日
 
 
環境科学国際センター研究課題(化学物質担当/H28~R1)
 緊急時大気中化学物質の迅速調査法の開発とリスク評価
 (化学物質担当:茂木、大塚、蓑毛、堀井、竹峰;大気環境担当:野尻/H28~R1)
 工場・事業場で取り扱われる有害化学物質が、事故や災害によって環境へ大量に放出された場合、人に対する健康被害や生態系への影響が懸念されます。ここ十年余り、化学物質排出把握管理促進法(PRTR制度)や埼玉県生活環境保全条例により、一定規模以上の工場等における化学物質の排出・移動量や取扱量を把握できるようになりました。これにより、事故等によって工場等から排出される化学物質の種類や量をある程度予想できると考えられますが、これら化学物質の中には公的な分析方法が確立されておらず、リスク評価が困難なものもあります。本研究では、毒性情報と取扱量からリスクの高い化学物質を抽出し、その大気環境レベルを迅速に把握するための化学物質調査法を開発します。さらに、その方法を用いて取扱工場周辺の平常時の当該化学物質濃度を調べるとともに、リスク評価手法マニュアルを作成します。
 
平成28年度第1回研究審査会コメント
研究課題
緊急時大気中化学物質の迅速調査法の開発とリスク評価
研究審査会コメント
	- 本研究で目的にされている、事故による有害物質の大気への放出は、単に日本に限ったことでなく、特に、開発途上国で多発している問題である。その意味では、本成果の利用範囲は極めて広く、かつ、多様である。今後、わが国だけでなく、途上国支援等への利用も視野に入れて、単に本研究で測定法が開発される物質にとどまらず、これまで計測法が確立されているものや一般的に取り扱われている危険物質も含めたマニュアルがつくられるとよい。 
- リスク評価を要する物質が対象であるので、くれぐれも安全には気をつけて研究していただいたい。 
- 近年、大災害により様々なタイプの損害が起こり、新たな対応が必要とされる中で、大気中化学物質に着目している本課題は、もっとも取り組むべき課題である。 
- 非常に有用な研究内容と判断されるが、予算額に対して期待される成果が過大ではないかと危惧される。すでに明らかとなっている事項と今回取り組む研究内容、残される課題を明確に区別し、確実に達成される成果を示しておくことが肝要かと考えらる。
- 化学物質は多岐にわたるため、事故や災害などに対応するためには、総合的に迅速に対応できるシステム化が課題であり、緊急時の人的、設備的、資源の確保なども今後検討する必要性があると思われる。また、研究機関のネットワークを介した対応なども必要であるため、そのような体制作りを地道に行うことが重要と思われる。