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掲載日:2024年9月20日
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【理事長の町田和彦さん】
当会は、平成6年7月に任意団体として発足しました。秩父農工高等学校(現 秩父農工科学高等学校)が文部省(現 文部科学省)の「職業高校における環境教育」の指定校になった時に、取り組みの成果発表として公開講座を実施しました。この講座に参加した先生や生徒、卒業生らが中心となり当会が結成されました。研究指定校としての役割が終わった後も、地域のために調査・研究を継続していきたいという思いがありました。
その後、平成10年にNPO法が施行されました。認証というかたちで活動を公に認めてもらえたり、助成金が受けやすくなったりするなどのメリットがあったため、平成14年12月に法人化しました。
平成6年7月に任意団体「秩父の環境を考える会」として発足した時から参加していました。当時、私は県立高校の教員をしており、知り合いだった秩父農工高等学校(現 秩父農工科学高等学校)の校長から「一緒に活動しよう」と声をかけてもらったのがきっかけです。私は学生の頃に生物学を専攻しており、自然環境にはもともと関心がありました。自分と同じように環境に興味がある方々と、地域のために活動できることがとても楽しみでした。
「取り巻く自然環境の全てに興味を持ち、人と自然との調和を公平な視点から学び行動する」ことを基本理念に、研究やプロジェクトを実施しています。現時点では、プロジェクトチームとして、山里自然館・里山再生・荒川再生・森林再生・ヤマユリ保護増殖・秩父遺産調査研究・学習支援・三峰ビジターセンター展示解説の8つのグループを設けています。
私がリーダーを務めているヤマユリ保護増殖プロジェクトでは、ヤマユリの種子採取から温度処理による発芽、プランターによる育苗管理、自生地の保護管理を年間を通して行っています。昔のように秩父の地で咲き誇るヤマユリを増やしていきたいです。
こうした活動の結果は、年3回発行する会報や研究発表会で報告しています。
【会報 Natural 秩父】
秩父の環境を考える会の発足以来30年、地道に活動を行ってきました。私たち会員の活動が地域の知を増やしていることや子どもたちの健全育成の役に立っていると実感を得た時はとても嬉しいです。小学生を対象に実施している自然観察教室では、子どもたちから「新しい発見があり勉強になった!」「川は”遊ぶところ”から”すごさを知るところ”に変わった!」など嬉しい感想をいただくことができました。
理事長としては、会員の疑問や「秩父をもっと知ろう」という意欲を活動につなげられるように努めたいと思っています。
また、法人としては、これまで様々な補助金を受けることができたり、活動の成果を本にして出版したりすることができました。私たちの活動がこうして認められているということがモチベーションのひとつにもなっているので、できるだけ会の中だけで終わらない活動をしたいと考えています。
【今までに作成した刊行物等】
まずは自分の興味のある行事や活動に参加してみてはいかがでしょうか。地元にいるとなかなか気が付けない「秩父の良さ」を発見することができると思います。当会の活動でも大歓迎ですし、公民館のイベントなど一度参加してみるだけでも地域のつながりを感じることができると思います。
[取材日:2024年2月25日]
令和5年度活動報告会、三峰ビジターセンター展示解説活動、里山再生プロジェクトの3つの活動に参加しました。
令和6年2月25日13時30分から秩父市歴史文化伝承館にて活動報告会が行われました。令和5年度に実施されたのは主に8つの事業で、プロジェクトリーダーが資料を用いて発表をしました。
事業 |
主な活動内容 |
---|---|
里山再生活動 | 昆虫の森の除草、施肥、遊歩道の整備、枝の剪定、フジバカマの植栽、昆虫解説パネル・インセクトホテルの設置 |
森林再生活動 | 武甲山鉱区緑化調査、どんぐり育苗畑管理、古堂の森・カタクリ自生林の整備、横瀬町メープルシロップの原料採取協力 |
荒川再生活動 | 影森グランド下荒川河川敷のゴミ調査・収集 |
山里自然館における環境啓発活動 | 施設管理、展示資料収集・作成・解説、イベント企画・実施 |
学習支援活動 | 自然観察教室のガイド |
ヤマユリ保護増殖活動 | ヤマユリ自生地の現地調査、ヤマユリ周囲の除草、種子採取、種子温度処理、発芽種子植え付け、プランターでの育苗管理 |
三峰ビジターセンター展示解説活動 | 展示物の作成・解説、各種質問に応答 |
秩父遺産調査研究活動 |
資料館の見学、プロジェクト会議 |
※森林再生活動と三峰ビジターセンター展示解説活動は令和6年3月31日で終了しました。
【令和5年度活動報告会の様子】
報告会の途中、哺乳類を専門に研究されている町田理事長が、秩父ミューズパーク内に設置したカメラ映像を見せてくださいました。日没後、シカ、タヌキ、テン、ウサギなどの動物が次々と出てくる様子が映っていました。映像を見て、動物たちが身近にいることを改めて実感し、人間だけでなく動物にとっても住みよい環境をつくらなくてはいけないと思いました。
【カメラに映ったシカ】
令和6年3月3日に三峰ビジターセンターを訪問しました。三峰ビジターセンターは、秩父多摩甲斐国立公園等を紹介する埼玉県の施設です。施設内には、哺乳類や鳥類の剥製、秩父山塊ジオラマ、野鳥の鳴声コーナー、秩父鉱山の鉱物や化石・昆虫標本があります。
来館者への展示解説活動は埼玉県秩父環境管理事務所の委託を受けて平成28年度の6月から行っているとのことです。
1日の来館者数は約70~300人。来館者からの質問は「ムササビとモモンガの滑空」や「エゾシカとホンシュウジカの違い」、「テン>キツネ>タヌキの毛皮の質の良さ」など、哺乳類に関することが多いようです。
【展示解説の様子】
解説業務の合間には、展示に付ける解説板の作成をしているそうです。
解説を読みながら剥製を見ると、より理解が深まりました。例えば、リスの剥製の解説板には「リスとノネズミのクルミの割り方の違い」が書かれています。リスはクルミ種子の縫合線の部分を歯で削って2つに割りますが、ノネズミはクルミ種子に歯で孔をあけて中身を取り出すようです。食べ跡の違いから動物を判別することができると知って、これからは注意深く観察してみよう!と思うようになりました。解説を読むとたくさんの気付きを得られ、興味の幅が広がりました。
【リスとノネズミのクルミの食べ跡】
展示の仕方についても工夫が見られました。ムササビとモモンガの剥製は天井から吊るして展示されており、実際の滑空を想像することができました。また、リスやハクビシンなどの剥製は木登りをしているような様子で、今にも動き出しそうです。まさに、来館者の興味をひく展示だと感じました。
【木登りをするハクビシンの剥製】
令和6年3月13日8時30分、プロジェクトメンバー8名が集まり昆虫の森作り活動が始まりました。昆虫の森は、平成22年度に秩父の環境を考える会が秩父ミューズパーク内にあったゴルフ場跡地を利用して昆虫が好む樹木を植栽したのが始まりです。今では、多くの昆虫や野鳥が暮らす森になりました。
今回の活動では、まず新しい看板の設置作業を行いました。声を掛け合いながら、協力して作業を行いました。
作業(1)看板に支えとなる木を取り付ける
作業(2)看板の設置場所を決め、地面に穴を掘る
作業(3)看板を立てる
作業(4)掘った穴の隙間を石や砂で埋める
(5)設置完了
自然と調和した木製の看板は、昆虫の森にぴったりです。力を合わせて立てたこの看板が多くの人の目に留まると嬉しいです。
【昆虫の森の入口に設置された看板】
昆虫の森の新たな顔となる看板の設置が終わった後は、樹木等への追肥作業を行いました。ゴルフ場跡地の砂地では樹木が育ちにくいため、肥料が必要です。主にユキヤナギやヒガンバナに肥料を撒きながら昆虫の森を2時間ほどかけてまわりました。
【ユキヤナギに肥料を撒いている様子】
会員のかたにユキヤナギの開花時期を尋ねたところ、春だと教えていただきました。近いうちに満開のユキヤナギを見ることができそうで楽しみです。
里山再生プロジェクトにおいては、年度内最後の活動でした。「予定していた作業は全て行うことができた」とのことで、良い締めくくりになったのではないかと思います。
会員の皆さんの和気あいあいとした雰囲気が印象的で、日頃から楽しく、主体的に活動されていることがわかりました。
そして、会員の皆さんの知識の深さと、「自分たちの手で秩父の自然環境を守っていこう」という強い思いに感銘を受けました。会員の皆さんのように、私も熱中できるものを見つけたい!と感じました。また、自分が行なった活動が秩父の環境の役に立っていることがとても嬉しく、また活動に参加したいと思いました。
今回の活動体験が環境について考える良いきっかけとなりました。生物の多様性を守る取り組みの重要さがわかり、自然環境への関心がより一層高まりました。
地域住民の皆さんも、秩父で地域活動をする「楽しさ」を感じてみませんか。
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