第21回(令和4年度)渋沢栄一賞の受賞者について
渋沢栄一賞は、多くの企業の設立や育成に携わる一方で、福祉や教育などの社会事業にも尽力した渋沢栄一の生き方や功績を顕彰するとともに、今日の企業家のあるべき姿を示すため、渋沢栄一の精神を今に受け継ぐ全国の企業経営者を表彰するものです。
今回は16名の推薦・情報提供があり、選考委員会の審査を経て3名の受賞者を決定しました。(受賞者は五十音順です。)
受賞者及び受賞理由
小林 幸雄(こばやし ゆきお)氏
大鵬薬品工業株式会社(東京都千代田区)特別相談役
会社概要
医薬品等製造業 1963年創業 従業員数2,187人
優れた経営
- 1969年、ラトビアより新規抗がん剤の導入を決定、当時まだ世界的にも汎用されていない経口抗がん剤として開発に成功、1974年発売
- 経口抗がん剤により自宅で日常生活を送りながらの外来治療を可能にし、入院で外科的治療が主流だったがん治療に新たな道を切り拓く
- 外科手術後に経口抗がん剤の服用によりがんの再発予防を目指す「術後補助化学療法」を確立し、抗がん剤治療の発展につなげる
社会への貢献
- 2006年に小林がん学術振興会を設立、がん薬物療法に関する革新的治療法や先駆的治療法に関する研究などへ助成等を実施
丹羽 公男(にわ きみお)氏
タイム技研株式会社(愛知県丹羽郡大口町)名誉会長
会社概要
ガス・水・電子の機能部品の開発・製造業(電気機械器具製造業) 1978年創業 従業員数264人
優れた経営
- 220社以上と取引しており、ガス部門の売上の75%は海外市場
- 海外ガス機器の厳しい環境基準をクリアする高性能ガスバルブを開発し、国内外から高い評価
- 2015年、(公社)中小企業研究センター主催のグッドカンパニー大賞にて優秀企業賞の受賞
社会への貢献
- 1996年タイム技研社会貢献委員会を設立、同社の税引前利益の1%と丹羽氏の私財を活動基金とし社会貢献や慈善的寄付の実施(2010年6月法人格を取得)
- 2003年岐阜県関市の山林を購入し、山林整備ボランティア活動を実施、山林の間伐材を大口町の保育園建設資材に提供、毎年1回保育園児等の遠足の受入を実施
福田 秋秀(ふくだ あきひで)氏
株式会社エフテック(埼玉県久喜市)最高顧問
会社概要
自動車部品・附属品製造業、アルミ・同合金プレス製品製造業 1947年創業 従業員数775人
優れた経営
- 革新的な経営手腕により、機能部品の開発生産効率・品質・採算等の向上を図るべく、研究開発・設計・プレス・溶接・塗装・組立の全てを自社で行う一貫加工体制を構築
- 北米・アジアを中心に開発・生産拠点を海外に設立し、グローバル化の礎を構築
社会への貢献
- 同社は2016年にエフテック奨学財団を設立、2021年までに約180名の学生に奨学金を給付(2017年に福田氏が同社株式を寄付)
- 早稲田大学へ継続的かつ多大な貢献を実施、同大学は福田氏に名誉称号「維持員」を贈呈し、大学11号館に「福田秋秀記念教室」を設置