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掲載日:2025年3月26日
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モデレーター 晝田浩一郎
企業版ふるさと納税活用事例セミナーを今年度も開催してまいります。よろしくお願いいたします。私はモデレーターなんですけれども、株式会社官民連携事業研究所で自治体と企業をつないで官民連携の促進をしております。全国の自治体と共に、官民連携、企業の皆さん自治体の皆さんと共に官民連携、共に創る共創を進めていければなと考えておりますし、また、元々僕も愛知県の岡崎市役所の公務員だったりとか、内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザーといったこともやっておりました。
今回、予算獲得の1つの手法として、企業版ふるさと納税を活用していくという手があるんじゃないかなと思っております。このセミナーは、埼玉県が推進する埼玉版スーパー・シティプロジェクトの取組の一環として開催していますので、是非この埼玉版スーパー・シティプロジェクトを皆さん、注目いただければと思います。これは何かっていうと、Teamsのチャットにも参考リンクを貼らせていただきますが、埼玉版スーパー・シティプロジェクトは、超少子高齢社会を見据えて市町村のコンパクト、スマート、レジリエントの3つの要素を兼ね備えた持続可能なまちづくりを、埼玉県が支援するプロジェクトです。
これによって、コンパクトなまちづくりを進めつつ、スマート技術の活用によって利便性を高めていく、災害に強く、エネルギーも絶えない持続可能なまちの構築を目指しています。今回、このセミナーはプロジェクトの推進に必要不可欠な財源、お金ですね、予算を単に税収入とか補助金を活用してとか、国から交付金を取ってくる、それ以外にも確保する取組である、仕組みである企業版ふるさと納税を活用していくっていうことについて、先行自治体や内閣府の方、企業版ふるさと納税マッチングアドバイザーの方々から、活用のポイントをお話しいただきます。
「企業版ふるさと納税って初めて聞くんだよね」とか、「ちょっとよく分かってないんだよね」っていう方も、割と使っていたり、「ちょっと詳しいつもり」っていう方も、実は次年度以降、制度が延長されることになっていますので、「初めて聞くよ」っていう方も、「慣れているよ」っていう方も興味・関心を持って聞いていただいて、次年度以降の活用、今年度もまだ間に合いますけども、今年度、次年度の活用を検討いただければ幸いです。「新たな取組を進めたいけれど、なかなか予算化ができないんだよね」とか、そんな声もたくさんある中で、この制度、企業版ふるさと納税を活用いただいて、官民連携による社会課題解決の推進につなげていただければと思って企画しております。
是非、共創、共に創る共創の一助になっていければなと思っておりますので、今日は、内閣府地方創生推進事務局の山中さん、行田市の髙橋さん、株式会社ジチタイアドの松本さん、内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザーの吉弘さんといった方々をお招きして、事例について語っていただきますので、皆さんもチャットもQAもどんどん使っていただきながら、質問だとか、感想も、どんどん書いていっていただければなと思っております。
今日の流れは、まずは内閣府山中さんから、「そもそも企業版ふるさと納税ってどういうことなんだっけ」とか、「制度の延長ってどういうところなんだっけ」っていうことを簡単に説明していただきます。その後に、行田市の髙橋さんから先行事例的に先進的な取組として、企業版ふるさと納税を上手に活用しているプロジェクトを説明していただいて、マッチング支援をされているジチタイアドの松本さんから「そもそも企業ってなんでそんな制度を活用するんだっけ」とか、「どういうところに共感して制度を活用しようと思うんだっけ」みたいなことのポイントを解説していただいた後に、登壇者の皆さんとともにクロストーク、パネルディスカッション形式で課題や内容をより深掘りしていきたいと考えております。
それでは、是非皆さんもチャットで気軽に感想、御意見、御質問を書いていただければと思いますが、みんなで一緒になって作っていきましょう。
早速ですけども、内閣府地方創生推進事務局の山中さんに画面をオンにしていただいて、「企業版ふるさと納税ってどういうことなんだっけ」みたいなことを説明いただければ幸いです。山中さんよろしくお願いします。
内閣府地方創生推進事務局 山中凌
皆様、本日はよろしくお願いします。内閣府で企業版ふるさと納税の制度と広報を担当しています、山中と申します。私の方から10分程度お時間をいただきまして、企業ふるさと納税についてということでその制度の概要だとか、活用に当たってのメリットを御説明させていただければと思いますのでよろしくお願いします。
それでは、こちらの資料を使って説明させていただきます。まず(資料の)1ページ目ですけれども、こちらが企業版ふるさと納税を活用する意義でございまして、(資料の)一番上のところなんですけれども、昨今、人口減少だとか少子高齢化が進んで、なかなか地域の公共的なサービスの担い手が不足しているという状況がございます。
そうした中でデジタル対応ですとか、子ども・子育て支援ですとか、災害対応ですとか、自治体が解決しないといけない社会課題がどんどん複雑化してきている中で、なかなかその自治体だけで解決するのは難しいと、そうした時代になってきているところでございまして、(資料の)真ん中のところにあるんですけれども、そうした地域の社会課題の解決にも積極的に取り組んでくださる企業の方ですとか、人材が増えてきておりまして、そうした皆様の気持ちだったり、志を行使するために、2016年に生まれたのがこの企業版ふるさと納税制度になってございます。
(資料の)一番下のところにもあるんですけれども、企業版ふるさと納税というのはお金を1回もらって終わりではなくて、それをきっかけとして、これにより、官民連携で地方創生を進めていく最初の一歩となるような効果的なツールではないかと考えているところでございます。
続きまして(資料の)2ページ目のところで制度の簡単な概要を御説明させていただきます。一番上に記載のとおり、自治体が行う地方創生の取組に対して、企業さんから寄附をいただいた場合に、その寄附について法人関係税を税額控除するという仕組みでございまして、(資料の)2行目に記載のとおり、一旦、現行の制度の適用期限が今年度末までとなっておりまして、年末に閣議決定する税制改正大綱に、制度改善策を講じることを前提に適用期限3年間、令和9年度末まで延長するということが盛り込まれまして、制度改善策については既にお示しさせていただいているとおりではあるんですけれど、寄附活用事業の実施に当たって自治体さんにおけるチェック機能の強化ですとか、あるいは実施状況の透明化などを講じていただくというところで、お示しさせていただいているんですけれども、詳細は今まだ詰めている段階で、改めて年度内にお示しできればなというふうに考えてございまして、自治体さんだとメールだったりで通知するという方法も考えられますし、あとは我々の方で運営している企業版ふるさと納税ポータルサイトに掲載する予定、内容がまだ決まってないですし、どういうふうに周知するのかっていうところもまだ決まってない部分はあるんですけども、そうした方法で周知を図っていくというところで予定しているところでございます。
(資料の)3ページ目です。人材派遣型というものもございまして、制度の枠組み自体は、先ほど申し上げました企業版ふるさと納税の基本と全く同じなんですけれども、事業費に対して、御寄附をいただくお金のところに、人件費を含めて事業費というところで寄附をしていただくということで、その人件費に合わせた人材を派遣するといった制度となってございます。(資料の)右下のところに最新の(活用実績が記載されており)、令和6年4月1日時点でこれまでの延べ人数になるんですけれども、派遣された方が157名、活用団体も119団体というところで、かなり制度が広がってきたというところでございます。
(資料の)4から6ページには人材派遣型の活用事例を掲載してございますので後ほど御覧になっていただければと思います。
続きまして(資料の)7ページなんですけれども、令和5年度の寄附実績ということで、簡単にこれまでの状況を見ていきますと、毎年8月の終わり頃に前年度の寄附の状況を公表しておりまして、令和5年度の実績についてなんですけれども、寄附額は前年度比1.4倍の470億円、件数としても前年度比約1.7倍の1万4,022件というところまで伸ばしてございまして、(資料の)次ページになるんですけども、寄附をいただいた企業さんの数も昨年度は7,680社、また寄附を受け取った側の自治体さんの数も令和5年度単体だと右から2番目の下の棒グラフになるんですけれども、1,462団体で制度開始以降、一度でも寄附を受け取ったことのある自治体さんという意味では、(資料の)一番右にありますとおり、下の右の棒グラフになるんですけども1,536団体ということで、かなり多くの自治体が受け取ったことがあるという形で、寄附をしていただく側の企業さんも、寄附を受け取る側の団体の数も、こちらもかなり裾野が広がってきたのではないかというふうなところでございます。
(資料の)9ページから11ページには、令和6年度の大臣表彰の事例を掲載しているんですけれども、本表彰制度についても平成30年度から始まって、自治体部門、企業部門それぞれ毎年大体3件から5件程度表彰するもので、昨年度は自治体部門4団体、企業部門3団体の表彰を行ってございまして、(資料の)9ページの一番上の、北海道札幌市の事例は、障害のある方がDX人材として活躍できるように市内の一般企業に在籍する従業員を対象にリスキリング講座を実施するもので、事業構想段階から寄附企業との意見交換を重ねて、寄附企業のノウハウだったりを生かしながら、地域の障害者でDX人材の育成体制を構築したという取組となってございます。
(資料の)その下が青森県弘前市の事例なんですけれども、農業分野の課題である農繁期の労働力不足っていうところの解決に向けて、援農ボランティアツアーを実施して、リンゴ農家の下で1日従事したりだとか、あるいはその宿泊に対する助成を行って農業振興だとか、さらには、その観光振興、関係人口の創出に寄与している事例となってございます。
(資料の)11ページに飛ぶんですけれども、こちらは企業部門になりまして、真ん中のトリドールホールディングスの取組は、人口減少だとか、高齢化の著しい離島の振興に事業を活用したという取組となってございまして、島の切符売り場兼待合室を、地域活性化施設としてリニューアルして、実際にその社員の方が移住したことをきっかけにプロジェクトを企画・推進して、新たな人の流れが生まれているといった取組となってございます。
(資料の)12ページなんですけども、企業様のメリットとしてよくお伺いするのは、(資料の)一番左のところにあるんですけれども、「企業のPRになりました」ですとか、あるいは(資料の)真ん中のところにあるんですけども、「SDGsやESGに寄与しているということをアピールできた」ということもございますし、あとは「被災地の復興に役立たせていただいた」と、そうした声をいただくところでございます。
(資料の)13ページには大まかに企業に寄附をいただくときの場合の流れを掲載しているんですけれども、説明については割愛させていただきます。
(資料の)14ページなんですけれども、寄附に当たっての寄附の意思決定というところに関して、企業版ふるさと納税を活用するポイントを簡単に書いているんですけれども、制度開始以降は地縁だとかっていうところや血縁だとかっていうところですね、オーナーの出身地だから寄附をするだとか、工場や営業所が立地している自治体に寄附をするというものが多かったんですけれども、これがだんだんとそのプロジェクトのテーマに合わせて、例えば、「グリーン対応を頑張りたいから脱炭素をやっている事業に寄附をする」だとか、あとは子育て支援に対する寄附だとか、プロジェクトに対する共感に移っていって、最近では(資料の)右側にあるんですけども、企業の課題解決ですとか、長期的に見れば自分たちの事業につながるような、そうしたものに寄附いただいているというところも増えてきているところでございまして、やはり良い事例というのは企業が持っている課題だとか、あるいは自治体が持っている課題がうまく翻訳して結びついて、それによる官民連携で地方創生を進めていくためのヒントがあると思ってございまして、そうした観点からも是非、こちらの制度を見ていただければと考えてございます。
(資料の)16ページなんですけれども、制度活用に当たってのポイントということで、主なものとしては、(資料の)一番上の自治体さん側なんですけれども、企業版ふるさと納税もシティプロモーションの機会だと捉えていただきたいことですとか、あとは(資料の)下のところに、やはり寄附をもらって、先ほどもお話したんですけど、事業の進捗だったり、制度の成果の報告なんかを含めて、企業に対するきめ細やかなフォローを行っていただきたいということと、あと(資料の)下の企業側のメリットなんですけども、最大約9割の税の軽減効果もあって、実質約1割の負担で企業のイメージアップだとか、CSR 、SDGsに寄与することができるだとか、中には自社の継続的な発展に寄与するような事業に対して寄附を行うといった事例も出てきているところでございます。
続きまして(資料の)17ページなんですけれども、企業と地方公共団体とのマッチング会ということで、当事務局では毎年、年6回程度、より一層の地方創生につなげることを目的に、官民連携の場とし、官民連携SDGsプラットフォームというところの枠組みの中で、企業版ふるさと納税分科会を設けてマッチング会を開催しているんですけれども、次回はちょうど明日、2月20日に、教育、子育て支援だとか、関係人口の創出をテーマに実施予定となってございますので、是非、御参加いただけますと幸いでございます。
それから(資料の)18ページは、我々の方で委嘱している企業版ふるさと納税マッチングアドバイザーになります。内閣府主催のマッチングイベントに登壇ですとか、参加者に対するアドバイスなんかを送っていただいておりまして、この後御登壇いただく吉弘アドバイザーにも委嘱させていただいているところなんですけれども、(資料の)19ページ、続いてその流れで説明させていただくんですけども、マッチングアドバイザー派遣事業ということで、本制度の更なる活用促進を目的として、マッチング会だとか研修会を開催する自治体に対して、アドバイザー派遣を行う事業となってございまして、昨年度も3件の研修会のマッチングに対して派遣を行っておりまして、申請方法については(資料19ページの)3番のところに記載のとおりになってございますので、活用を希望される際には、是非事務局宛てにお問合せいただければと思います。
以上、駆け足になりましたが、当事務局からの説明を終わらせていただきます。御清聴いただきまして、ありがとうございました。
モデレーター 晝田浩一郎
内閣府としていろんな制度活用がありますので、マッチングアドバイザーの活用もそうですけれども、是非皆さんどんどんいろいろな取組がありますので是非、活用してみてください。そもそも「企業版ふるさと納税ってこんなことだったんだ」っていうところの説明をしていただいたんですけれども、ここから具体的に「自治体としてはこういう取組をしているんだよね」とか、「こういうところをポイントとして意識しながらしているんだよね」っていうことを埼玉県行田市の髙橋諒平さんから説明いただければなと思いますので、髙橋さん、準備はよろしいでしょうか。
埼玉県行田市企画政策課 髙橋諒平
埼玉県行田市企画政策課の髙橋と申します。本日は非常に貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。画面の方を共有させていただければと思います。
私ども行田市の方では、令和5年度と6年度に企業版ふるさと納税を活用したプロジェクトを実施しておりまして、今回このような機会をいただきまして、本市で実施したプロジェクトに関して、どのように寄附を募ったか、どのように寄附を活用したかっていう点をお話させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、簡単に行田市の御紹介をさせていただければと思うんですが、行田市は埼玉県の北部に位置しておりまして、多くの河川が流れる平坦な場所になります。非常に災害も少なくて暮らしやすいまちです。市内には、埼玉古墳群であったりとか、忍城址であったりとか、非常に多くの文化財がある、歴史のあるまちになっております。
市の課題と将来像という部分なんですけれども、本市は2000年頃、人口のピーク9万人を迎えまして、そこから2025年の2月現在で7万7,700人程度の人口になっております。これが2040年には6万人を割り込むと予測されておりまして、65歳以上の老年人口も年々上昇を続けておりまして、2040年度には45パーセントを超えてくると推計されております。
このような人口減少であるとか、少子高齢化、労働力人口の減少であるとか、社会保障制度の不安定化ですとか、税の財源の減少、公共サービスの縮小、いろんな部分に大きな影響を及ぼすものだというふうに考えております。
その中で本市では、「行田市まち・ひと・しごと創生推進計画」という形で地域再生計画を作成しておりまして、(資料を)御覧のとおり産業の振興、魅力的な雇用をつくる事業、地域の魅力を高める賑わいをつくる事業、出産・子育て・結婚の環境をつくる事業、時代に合った安心な地域をつくる事業というようなところを基本目標として進めております。
その中で、企業版ふるさと納税の受入の実績というところで、まずお話させていただきます。本市は令和4年度までは、寄附の受入実績はございませんでした。令和5年度に初めて企業版ふるさと納税による寄附がございまして、8つの企業さんから600万円の寄附で、令和6年度は現時点で26の企業様から1,000万円を超える寄附をいただいているという状況になっております。
その中でどのようなプロジェクトを実施したかというところですが、令和5年度に関しては、『蒸気機関車「貴婦人」お色直しプロジェクト』というプロジェクトを実施しました。これは何かっていうところなんですけれども、本市の中心部に水城公園という公園があるんですが、その隣に蒸気機関車が展示されています。
昭和47年から展示されているんですけれども、そこから50年以上、市内外の皆様に親しまれてきたところであるんですが、最後にこれが塗装されてからもう30年以上が経過しておりまして、近年非常に経年劣化が激しく、塗装も剥がれて痛ましいような状態になっておりました。この蒸気機関車がC57型という機関車なんですけれども、非常に美しい姿をしておりまして、貴婦人というふうに呼ばれていたんですね。
本市の方では、「貴婦人のかつての美しい姿を取り戻して、新しいまちのシンボルとして蘇らせていこう」と、そういった思いから塗装修復に係る費用の部分を、企業版ふるさと納税を活用して集めることとしました。この企業版ふるさと納税の活用なんですけれども、企業の皆様から御寄附をいただくとともに、クラウドファンディング型のふるさと納税も活用しまして、個人の方からの寄附も募るという形で合わせてプロジェクトとして実施をしました。
目標金額は770万円と設定し、最終的な結果としましては(資料を)御覧のとおりなんですけれども、企業版ふるさと納税に関しては8企業から計500万円の寄附、その他、クラウドファンディング型ふるさと納税、あとはプロジェクトに御賛同いただいた市内の企業とか団体、企業版ふるさと納税に当てはまらないような団体からも別途寄附をいただくということができまして、合計金額としては1,140万円ということで、目標額を達成することができました。
この寄附を募っていく中でどういった取組をさせていただいていたかというところなんですけれども、令和4年度まで企業版ふるさと納税の寄附実績はございませんでしたので、企業へのアプローチの手法だったりとかっていうところは非常に手探りの部分もあったんですけれども、いろんなセミナーに参加させていただいたり、勉強会に参加させていただいたりとか、他の自治体様の事例とか見させていただいて、御覧のような形、市のホームページへの周知とか、市報への掲載っていう部分もそうなんですけれども、関連する企業とか、地元に縁のある企業に市長が訪問させてもらって、そこでPRをしたりとか、今回のプロジェクトが蒸気機関車に関わるものでしたので、鉄道OB会っていうところだったりとか、鉄道友の会っていうような蒸気機関車、機関車に関連するような団体だったりとかにもお声掛け、御案内をさせていただいております。
あとはマッチング会への参加であるとか、個人版のふるさと納税の仕組みであるクラウドファンディング型のふるさと納税も活用しましたので、そこに関連する返礼品を提供してくださっている事業者だったりとか、いろんなところに声掛けをさせていただいたというところになります。
現在、令和6年度の取組というところなんですが、「行田タワー全国発射プロジェクト」という形でプロジェクトを実施しております。これは何かと言いますと、市内に古代蓮の里っていう公園がございます。その中にタワーがあるんですね。今、「行田タワー」っていうふうに記載させてもらっているんですけれども、これ、実は埼玉県内で唯一の展望室というか、展望タワーっていうものになっておりまして、御存知の方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、「翔んで埼玉」っていう映画に、令和5年度に公開されたものに、実はこれが登場しておりまして、そういう流れもございまして、「全日本タワー協議会」に加盟をしたんですね。
知名度がどんどん上がってくるという中で、実は今、これ、「行田タワー」っていう記載をさせていただいているんですけど、それまでって正式名称がなくて、「古代蓮の里にある展望タワー」とか、「古代蓮タワー」みたいに通称で呼ばれていたものを、今回、正式に映画にも出てきているんですが「行田タワー」っていう名前にしまして、それを新たに行田市のシンボルというか、魅力を発信する場所としてお披露目をしたいと。
今画面の方で、工事後の完成イメージっていうので、行田タワーっていうのがタワーの側面に書いてある形になっていると思うんですが、これ、今はなくて、今ちょうど工事とかを進めているところなんですが、側面にこの名称を、看板というか、サインをつけて、それをお披露目して盛り上げていきましょうというようなプロジェクトになります。
こちらも、御覧いただいたとおり企業版ふるさと納税と合わせてクラウドファンディング型のふるさと納税も活用しまして、目標金額を2,400万円と設定して、企業版ふるさと納税とその他の寄附も合わせて2月現在のところで目標金額を達成していっているという状況になります。
取組の部分っていうところなんですが、令和5年度の貴婦人のプロジェクトに引き続き、市のホームページポータルサイトでの周知、企業へのアプローチを実施しております。その中で、今回、映画を御覧になった方は分かるかもしれないですが、行田タワーと大阪の通天閣が戦うっていうシーンが出てくるんです。そういった関連する企業とかにも御案内をさせていただいて、その中で通天閣が非常に御興味を持っていただいたようで寄附につながったと。それがいろんなメディア、新聞だったりとか、テレビとかでも取り上げていただきまして派生する形で、行田の名前を知ってもらうきっかけになったんじゃないかなというふうに考えております。
今、申し上げた令和5年度、そして令和6年度に実施をしたプロジェクトに共通して寄附につながったポイントは何かっていうのを振り返って考えてみたのですが、一つはプロジェクトを実施する背景であるとか、実施後のビジョンを明確にしてアプローチをしていった。それで共感をいただいた部分というのは大きかったのじゃないかなと思います。
大阪の通天閣とかも、このプロジェクトを実施する前から交流だったりとかはあった部分があるんですけれども、今回のこの寄附を契機として、今後いろんなコラボレーションだったりとか、オリジナルグッズだったりとか、いろんな展開が考えられるかなと思いますので、そういったプロジェクトが終わった後のつながりっていう部分も考えながらお話を進めていったという部分が一つです。
それからもう一つは、本市の取組の部分で特徴的な部分でもあるのかなと思うんですが、企業版ふるさと納税だけではなくてクラウドファンディング型ふるさと納税という形で、個人の方からの寄附も募らせていただいたという部分があるかなと思います。市内外のいろんな皆様、企業だけではなくて個人の方にも一緒になってプロジェクトに参加をしていただくということで地域の魅力のアピールにつながっているところっていうのはあるのかなというふうに思っております。
その中で、貴婦人のお色直しプロジェクトの際は、御覧のように、お披露目式を実施しまして、目に見える形で寄附、もちろん寄附いただいた企業を御招待して、目に見える形でこういうふうになりましたと、今後これをこういうふうに活用していきたいですっていうのをお見せすることができたのかなというふうに考えております。それからクラウドファンディングの方に関しては、いろんな方に御興味を持っていただくという部分で御覧のようなオリジナルのグッズだったりとかを作成して、返礼品として活用したりだとかというところで、いろんな部分で展開をしていったっていうのが、プロジェクトの目標の金額を達成できたっていうところにつながったのかなというふうには考えております。
令和6年度のプロジェクトに関しましては現在進行中でして、寄附金額の目標金額は達成できたという部分で本当に、今まさに行田タワーの工事を進めているという部分でございます。こういった、令和5年度、6年度、先ほど地域のシティプロモーションにつながるというお話もあったかなとは思うんですが、そういった部分で、令和5年度、6年度にやったプロジェクト、取組を今後生かして、さらに行田市の魅力であるとかをPRをしていくことにつなげていければなというふうに考えております。
来年度以降に関しましても、企業版ふるさと納税の制度をうまく活用して地方創生につなげていきたいなというふうに考えております。
本市からの発表は以上になります。御清聴いただきましてありがとうございます。
モデレーター晝田浩一郎
はい、髙橋さんありがとうございます。この後、パネルディスカッションでより深掘りをしていければと思いますので。背景も含めたストーリーをしっかりと企業に訴求していくという点が、ポイントとしてあったなと思っております。
では続いて、自治体側の思いであったり、ポイントは髙橋さんが言ってくれたとおりなんですけども、この後、企業側、寄附をする企業側はどういったことを考えているのか、そんな企業側の観点から、「寄附しよう」「応援しよう」って意思決定をするのがどういったことなのか、これを企業版ふるさと納税のマッチング支援をしている株式会社ジチタイアドの松本銀士朗さんにシェアしていただければと考えております。
株式会社ジチタイアド 松本銀士朗
はい、ありがとうございます。改めまして皆さん、ジチタイアドの松本と申します。本題に入る前に軽く自己紹介をさせていただくと、(画面の)背景にも出ているんですが、株式会社ホープという会社に私も属していて、今、出向という形でジチタイアドに属しているんですが、我々ホープとしては今、創業21期目になった会社でございまして、自治体の方には近しいものでいうと「ジチタイワークス」という公務員向けのメディアを持っている会社になっております。基本的には自治体に特化したサービス会社として、基本的にその自治体と企業をつなぐっていう仕事をメインでやっている会社になっております。
今回はその中で企業版ふるさと納税のマッチング支援というのを2021年からやっておりますので、そこについて実際に企業がどういった意思決定で寄附をするのか、寄附をするとなったときに、1700弱ある自治体の中でどういうふうに選んでいくのかっていうところを含めてお話できればと思っておりますので、10分弱ぐらいお付き合いいただければと思います。
早速、こちらの方で画面共有をさせていただきますのでお待ちください。では、こちらで企業版ふるさと納税のまず簡単な概要なんですが、先ほど山中さんが説明いただいたのでこちらの方は割愛をさせていただきます。
要は企業版と個人版の違い、まずこれ、結構、企業がミスマッチを起こして認識をしていることがあるので、改めて皆さんも一度マインドセットというか、理解を正しくしていただければと思いますが、正式名称が、そもそも「企業版ふるさと納税」ではなくて、「地方創生応援税制」という名前になるので、まずそこでふるさと納税という名前が先行して皆さん返礼品がもらえたりとかって勘違いしたりとか、あとは9割控除なので、どうしても1割は自己負担になりますので、そこをちゃんと理解せずに節税ができるっていうふうに誤認をしている企業が多いので、そこについては改めて企業版と個人版の違いっていうのは、この場で皆さん、理解をしていただければなと思っております。
(資料の)この辺りはもう、飛ばさせていただいて、ここから実際に企業がこの制度を知ったときに、よく出てくる質問を5つほど持ってきております。まず1つが、「どの企業、団体でも税額控除が受けられるのか」ということが結構聞かれることが多いです。要は、株式会社だけではなくて、もちろん有限会社もそうですし、NPO法人であるとか社会福祉法人であるとか、いろんな法人格を持つ団体でもこの制度が使えるのかっていう相談がすごく多いです。そこにつきましては内閣府の方でもあるとおり、青色申告書を提出している法人であれば控除が受けられるので、そのように皆さんの方でも認識いただければと思います。あとは「寄附する時期は企業が決めて良いのか」とか、「決算期の控除の対象にするにはどうしたら良いのか」とか、そういった質問が出てきたりとか、あとは「実際に寄附するとなったときに上限があるのか」っていうことも結構聞かれることがありますので、普通にそこについては、下限は10万ですが上限はありませんという認識になりますと。
その後「実際にどのくらい控除が受けられるか」っていった、これは多分自治体の皆さんとか、企業から結構聞かれることが多いかなと思うんですけれども、まず大前提、税引き前利益の大体1パーセントぐらいが9割控除を受けられる目安というふうに言われています。ただ、こちらは税理士法とかが絡んでくるので、我々のように顧問税理士とかをやっていない団体が確約する形で「大丈夫ですよ、いくら控除できますよ」っていうことはできないので、あくまで目安という伝え方になりますが、そういうふうな考え方でおおよそ外さないかなと思います。
(資料に示された表は)細かいですが、こういうふうに課税所得と寄附額の軸がありまして、例えば一番左上だと税引き前課税所得の方が1,000万円出ている会社であれば、10万円寄附すると大体9万4000円の控除が受けられますよと。そういう早見表とかもございますので、こういったものを活用しながら企業の方には何もストレスがなく、結構不安に思っている方も多いので「大丈夫ですよ」といった理由で提示していただくのはありかなと思います。
ここからは、実際にどういう会社が寄附をしているかっていったところ、寄附をする動機っていうのを御紹介させていただければと思っております。ここから私の方で、また画面の切り替えをさせていただくんですけれども、少々お待ちください。
はい、お待たせいたしました。こちらが、弊社ジチタイアドが運営しているポータルサイトの総合窓口というサイトになっておりまして、ここの皆さん、もしお時間があれば詳しく見ていただきたいんですが、実施企業一覧というところに公開についてOKをもらった会社から、「なぜ寄附をしたのか」っていうところがいろいろまとまっております。例えば、こちらのケンブリッジフィルターコーポレーションが六ヶ所村というところに寄附をいただいた案件なんですけれども、なぜ寄附をしたいと思ったのかについては、よくあるパターンなんですが、工場がありますと。
皆さん多分、自分たちでセールスをするときに工場があるとかっていうのは、おそらくトップセールスを含めて最初のリストアップをするときに候補として挙がってくるかと思うんですけれども、なぜ工場があったら寄附をするのかっていったところを、そこまで考えていただけると営業がしやすいのかなと思います。大体いくつか話はあるんですが、皆さん口を揃えて言うのが、「工場があるということは、自社の従業員もそこで一定数働いている」と。つまりはその従業員、もしくはその結婚、さらに子供がいればその御家族が、そこの土地に住んでいると。企業は我々もそうなんですが、毎年利益を出したらその分かなりの額の法人税を国と地方に納めているんですが、結局その法人税が何に使われているのかっていうのが、今、もう、国としてはブラックボックスになっているので、要は何に使われているかが分からないっていうふうな状態かと思います。
やはり経営者とかが特にそうなんですけれども、「どうせ納税するのであれば、ちゃんと意味あるものに使いたい」っていう思いをすごく強く持っています。なので、今回の企業版(ふるさと納税)を使うことで、例えば納税する場所だけではなくて、実際にその場所でどういう事業にこの税金を使ってほしいっていう税金の意思決定権が企業側で得られるっていったところが、非常に企業としては動機にかなり大きく響いてくる要素になりますので、(画面上に共有している)こちらの六ヶ所村のケースで言うと、そういった自分たちが稼いで利益を出して納める税金を、従業員が住んでいる土地に寄附をすることで、そこの住民サービス、市民サービスが向上して、より仕事だけじゃなくて私生活も従業員のハッピーにつながれば、会社としてそれは絶対にやった方が良いよねと、そういうふうな意思決定をしていただくことが非常に多いので、皆さん「とりあえず工場があるからやってくれるだろう」っていうのも合ってはいるんですが、さらに深く、じゃあなぜ工場を置いていたら寄附をしてくれるのかといったときに、実は経営者の胸の中ではそういった思惑というか思いがあるんですよっていうところを、是非、御認識いただければと思います。
他にも工場以外に、例えば自分たちが今、進めている新規事業にまつわるプロジェクトをやっている自治体、要は事業シナジーがありそうな自治体に寄附をして、その寄附をして終わりではなくて、そこからやはり先ほどの話でもありましたが自治体とのリレーションを作ることで、地域資源を生かした新規事業につなげていきたいと、そういったところの動機もございますし、その他、代表の出身地、とかそういうのはよくありますが、最近のトレンドだとやはり、事業マターで寄附をされることが非常に多いのかなと思います。
その他、ここ最近私たちも関わることが増えてきたんですけれども、「逆プロポ」という形の寄附です。最近あったのはパチンコチェーンのダイナムとか、あとはアサヒビールとか、そういった大手と言われる企業が、要は自分たちからまずテーマを設定して、予算を設定して、これぐらい寄附をしようと思っていると。そこのテーマに合う事業をやっている自治体に「立候補してください」といった形で募って、その後審査会を経て、それなりに数億円の寄附をやるっていった案件とか、今も動かしているところもあるんですけれども、そういったニーズもございますので、やはり今のトレンドとしては、もちろん地域貢献とか、利益度外視で純粋に「思いの寄附」といったものもあるんですけれども、やはり企業は利益を出し続けないといけない、存続して社員を食わせていかないといけないっていうのがありますので、寄附をすることで中長期的に自分たちの会社がどういう良いインパクトを与えてもらえるのか、そういったところを含めて自治体も、事業を作ってしっかり企業に寄附をいただくことで「こういったことができます」っていうのを見せることが結構大事になってくるのかなというふうに、今年度は特に感じているところでございます。
なので、この時間だと(過去の実績を)全部見ることはできないんですが、後ほどこちらのサイト(ジチタイアドのホームページ)の実施企業一覧の方から見ていただければと思います。
最後に、実際にどういう自治体が集まるかとか、実際に他の自治体がどういうプロジェクトをやっているか一元管理化して見たいというパターンも結構あるかなと思いますので、こちらの(ジチタイアドのホームページの)自治体一覧を押していただくと、こういうページが出てまいりますので、適当にクリックしていただくと、今大体700プロジェクトほどこちらに掲載されているので、是非参考にしていただければと思います。埼玉県ではないんですけれども、(ホームページに掲載している)こういう特徴的なプロジェクトも結構集まります。これは映画の制作プロジェクトといった形で、北海道えりも町のプロジェクトです。これ、集まる理由としてはベネフィットを見ていただきたいんですけれども、例えば500万円以上になるとエンドロールに企業名が出てきたりとか、あとは映画のDVDをもらえたりとか、あとは公式の映画の宣伝ポスターに企業名を載せたりとか、結構広報チックなものがありますので、自治体との関係性とかではなくて寄附をするプラス自分たちのステークホルダーに対してPRをしたい、広告みたいなものを自治体と一緒にできるとすごく興味があるというかやってみたいっていう企業もおりますので、えりも町としてはこういったものを御準備しているといったものになっております。
こちらの方に、今、自治体一覧の方から、今700弱ほどプロジェクトも載っていて、このサイトを通じて、もしくは我々直接の案件で今、3,150件ほどの寄附を御紹介しているっていうところもございますので、是非こちらのサイトを活用しながら、他市の事例も見ながら、いろいろと企業にいかに響くものを出せるか、企業シナジーをいかに生むことができるかっていうのを検討して、来年度はもうすぐ始まりますが、そこの検討材料にしていただければなと思っております。
この後のディスカッションでいろいろ、また詳しくお話することはできると思いますが、まとめますと企業としてはもちろん出身地とか、工場でっていうのもずっと昔から寄附の理由としてはあるんですけれども、やはり最近だと延長もあったということで、中長期的に寄附をすることで、会社としてどういうシナジーが生まれてその自治体とどういうふうに関わっていけるのかっていう、寄附して終わりではなくて、ちゃんとそこから自分たちのビジネス・事業にもつなげて社会貢献をしたいというニーズが非常に高まっているので、そこについて皆さんには改めて認識に入れていただいて、今後の事業策定に生かしていただければなと思っております。一旦私の方からの御説明、プレゼンテーションは以上となりますので、後ほどディスカッションの方でもいろいろとお話ができればと思っております。御清聴ありがとうございました。
モデレーター晝田浩一郎
ありがとうございます。企業も、単にCSR的なお金の使い方というよりは、寄附的な使い方ってよりも賢いお金の使い方っていうのが重要になってくるなってとこがポイントだったと思います。
モデレーター 晝田浩一郎
ここから、クロストーク形式で、先ほど御紹介いただいた2つの事例というか、行田市さんの事例と、松本さんが紹介してくれた様々なことを踏まえて、活用のポイントのより深掘りを、内閣府地方創生推進事務局山中さん、行田市髙橋さん、ジチタイアドの松本さん、そして内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザーの吉弘さんとともに、深掘りを進めていければと考えております。皆さんよろしくお願いいたします。画面をオンにしていただければ幸いでございます。
ここから深掘りで40分ぐらい、「あの事例ってどうなんだっけ」とか、「あれってどうなんだっけ」ということを深掘りをしていきたいなと思いますので、是非、今日御参加いただいている皆さんもチャットで、「ここ、どういうことかよく分からなかった」とか、感想も含めてどんどん書いていただければと思いますが、皆さんは適宜、随時書いていただければと思うんですけど、最初に吉弘さん、自己紹介を兼ねて、行田市の事例を聞いていただいて、「ここがポイントだったな」とか「ここが大事だよな」とかっていうことがいくつもあったと思うので、その辺りも半分解説をしていただきながらシェアいただけると幸いです。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
皆さんこんにちは、内閣府の企業版ふるさと納税マッチングアドバイザーをしています、吉弘拓生と申します。どうぞよろしくお願いいたします。若干賑やかな場所で今、オンラインに入っていますので、もしかしたら聞き苦しい点があるかもしれませんけど、どうぞ御容赦ください。
さて、行田市の話、改めて聞かせていただきましたけれども、とても興味深いなというふうに思いました。実は、「翔んで埼玉」のプロジェクト、若干私の知り合いが監督をしているというところもありまして、懐かしいなというふうに感じております。とても分かりやすいなというふうな例だと思って、そして見せ方もそうですし、それから合わせ技と言うんですかね、財源の確保。企業版ふるさと納税と、それからふるさと納税のガバメントクラウドファンディング型、そして一般寄附ということで、誰もが応援したくなるっていうことに対して、それを受け入れる体制がしっかりできているところが、いずれの事業に関しても共通しているなというふうに思いました。
それから、実際にどのように使われているのかっていうのが見えやすい事業になっているということで、目標金額も超えてきているんだろうなっていうのを、先ほどの資料から感じました。私自身もマッチングアドバイザーとして、最近は全国の企業とか、銀行、あるいは税理士会の皆さんの勉強会にお招きをいただくことがありますので、かなり機運としては高まっているなんてことがありますので、この後の時間で皆さんと一緒に深掘りできればというふうに思います。よろしくお願いいたします。
モデレーター 晝田浩一郎
ありがとうございます。山中さんが(画面から)いなくなっていますが、気にせず進めていきます。山中さんが戻ってこられれば、戻ってきてもらえればと思いますし、内閣府の立場は吉弘さんが代打でしゃべってもらうっていう場面も出てくるかと思いますが、よろしくお願いします。
改めてなんですけど行田市髙橋さん、資料の中でも企業側へのアプローチ、寄附につながったポイントとして、ビジョンを明確化してアプローチできたとか、先ほど吉弘さんも言ってくれたクラウドファンディング型のふるさと納税との掛け合わせみたいなこともあったかなと思うんですけど、改めて「やっぱりこれ大事だよな」とか、「ここは企業に刺さったな」みたいなポイントを髙橋さん、シェアいただければ嬉しいです。
埼玉県行田市企画政策課 髙橋諒平
ありがとうございます。1つはそのプロジェクト自体を、知っていただくっていう部分が非常に大きいのかなっていうところで。まず1つはチラシを作ったんです。自分の方で貴婦人のお色直しプロジェクトにしましても、令和6年度に、今やっている行田タワープロジェクトに関しても、まず「こういったプロジェクトをします」と。その中で「事業が完成したら、こういう姿になりますよ」みたいなのを、チラシを作って、PRするときはそれを必ず使って、企業側にも説明をするというのを心がけました。
いろんな企業に我々担当の方から話をするっていう部分もありますし、あとはトップセールスっていう形で市長自ら、同じチラシとかを用いて「こうなるんだ」っていう、「こういうふうにしていきたいんだ」っていう未来の姿みたいなのを企業側に見せる。それを「一緒に作っていきましょう」っていうところで丁寧に話をしていったっていうところは、寄附につながった1つのポイントかなっていうふうには考えております。
あとは、先ほどのクラウドファンディングと合わせてっていうところに関しても、もちろん企業さんに寄附をいただくっていう部分もそうなんですが、やはり行田市全体として盛り上げていくというところが我々の考えとしてもありましたので、個人の方にも興味を持っていただくっていうところは重要視していました。
結果的に、例えばなんですけど、企業版ふるさと納税で御寄附をいただいた企業の社長が、個人の方でもやるよっていうふうに言ってくださって、そういうふうな寄附につながったこともありましたので、いろんな寄附のチャンネルっていうのを持っていたっていう部分に関しても、結果としては良かったんじゃないかなっていうふうには考えています。
モデレーター 晝田浩一郎
やはり共感を生むみたいなところとか、単に「お金をください」だけじゃないっていうところはすごくポイントだなと思うんです。これって、松本さん、マッチングサポートをしている会社として、いろんな企業を見られてきたと思います。その中で松本さんから見て、先ほど髙橋さんが言ってくれたようなポイントって、「まさにそんな感じなんです」なのか、「いや、なんか実は違うんだよね」とか、何かその辺りについてシェアいただければと思います。先ほど髙橋さんがしゃべっていたポイントって、企業側からすると「そういうことやってくれると嬉しいんだよね」って感じですか。
株式会社ジチタイアド 松本銀士朗
そうですね、喜ぶ企業の方が多いと思います。おそらく髙橋さんがおっしゃった行田市さんのような取組っていうのは、今のところ全自治体1,700弱の中でもかなり先進的なレベル感というか、すごくやっている方だと思うんですよ。
やはり個人版の方が今、盛り上がっているので、正直なところなかなか手が打てていないっていうのが、ほとんどの自治体になりますので、1つでも多く、そういった行田市さんみたいに企業のことを思っていろいろ考えてくれる自治体が増えれば増えるほど、制度自体もどんどん認知されていってマーケットも大きくなるかなというのは、我々としても結構期待しているところではあります。
モデレーター 晝田浩一郎
逆にこのお色直しプロジェクトとかSLって、割とニッチな世界かなっていうのもあるかと僕は印象としては思ったんですけど、そのニッチだからこそみたいなところもあったのかもしれないし、でもニッチだからこそ難しさっていう両方あったと思うんですよ。髙橋さんこの辺り、SLっていう、その関係者で鉄道好きな方もたくさんいらっしゃいますし、関係機関を当たっていったっていうのもシェアの中でありましたけど、この「ニッチさ」みたいなところは髙橋さん、いかがでしょう。
埼玉県行田市企画政策課 髙橋諒平
そうですね、非常にプロジェクトのテーマの部分っていうのは、おっしゃっていただいたニッチな部分っていうのがあるのかなっていうのは思うんですが、アプローチしていく対象としては、私たちもいろいろ考えていく中で、鉄道関連の団体だったりとか、JRとか私鉄とかにもいろいろアドバイスをもらいに話をしに行ったりとかっていうのをしていったんですけど、最終的にその事業が完了してSLが修復されて、お披露目会とかをやっていった中で、そのお披露目会にもいろんな地域の方だったりとか、今まで市内の方でもSLがあるのは何となく分かっていたけど、全然注目をしていなかったっていうような方が来てくださったりとか、親子連れの方が遊びに来てくださったりとか、そういう部分で最初の取っ掛かりというか入口の部分は非常にニッチな部分からスタートしていったっていうのはあるんですが、賑わいの場所になったというか、そういった部分につながっていったっていうところは結果としてはありましたので、何が寄附の対象の事業としてきっかけになるか、テーマを設定できるかっていうのは、何がそういうテーマの設定の取っ掛かりになるかっていうのは本当に分からないなっていうのは感じました。
なので、今後もいろんなそういう事業のテーマを設定していくときも、自分の自治体にある色だったりとか、どういう武器っていうとあれかもしれないですけど、他の自治体に誇れるものとか、こういう部分をもっと改善したら他の自治体とかにも見てもらえたりとか、注目してもらえたりとかっていう、いろんなきっかけが現状の中に転がっているっていうのはあると思うので、ニッチな部分でもまずはそこを見つけて、これって何とかできないかなみたいなのを考えていくのが大事なんじゃないかなっていうふうには、事業をやってみて思いました。
モデレーター 晝田浩一郎
なるほど。吉弘さん、この辺り、全国各地でうまくいっている自治体でそういったニッチな取組であったとしても、その切り口が面白かったり、先ほどの巻き込み方がうまくいっているところが企業版ふるさと納税であったりとか、話題を集めているのかなと思うんですけど、テーマ設定はもちろん大事だと思うんですけど、その切り口であったりとか切り取り方みたいなことっていうのは、すごく大事になってくるんですよね。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
そうですね。まず、その地域だからこそできることっていうのが一つあるのかなというふうにも思いましたし、そこに対するまっすぐな思いっていうのがどのぐらいあるのかっていうのは、これからの税制改正の中でも議論されているのかなって。来月に発表されるところもあるんですが、例えば「今回の行田市の行田タワープロジェクトっていうのは、そもそも誰が企画立案したんですか」っていうのを、自治体側からちゃんと透明性を高めて説明、誰が企画をしたのかっていうところも、実は公表していかなければならないっていう義務付けが今回改正の中で出てきています。
いわゆる企業提案型ももちろん良いのですけれども、「そもそもそれって、その自治体の役に立っているんだっけ」っていうところがポイントになってくるので、そういう点では髙橋さんの話は、とても僕は関心が深くて。これは髙橋さんたちとかいろんなチームの皆さんで作られているものなんでしょうか。
埼玉県行田市企画政策課 髙橋諒平
その対象になる事業とか、もちろんいろんな福祉の分野とか企業誘致の部分だとかいろんな課題がある中で、寄附の対象事業はいろいろ用意させてもらっているんですけど、1つの大きなプロジェクトとして行田タワーっていうのを特出しみたいな形で今年もやらせていただいていますので、そういう注目いただけそうなテーマとかって何かないかなっていうのは、担当者とか若手の職員のレベルからいろいろ話合いをスタートしていって、全庁的にというか、いろんな方を巻き込んでテーマ設定はしていっているっていうような感じです。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
全庁的っていうのが1つポイントなのかなっていうか僕も思うので、このあたりがどういう組織体制っていうか、庁内体制をしっかりできているのかっていうのももちろん大事だと思いますし、企業さんに使っていくときにも、そこがバラバラだとなかなか難しいなっていうのが、今1,600ほどの自治体で話をする中においては感じるので、まずはそこなのかなっていうふうに思いました。
モデレーター 晝田浩一郎
庁内で、「それは企画課の話でしょ」とかって言っても、「知らない」とか、「そんなSLやったところに意味あるのか」みたいなことが何か別の部署からそういう話が出ちゃうと、「いやいやそういうことじゃないでしょ」っていう話になるってことなんですよね。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
そうなんですよ。だからそういう意味でも企業版だけじゃなくて、個人版のガバメントクラウドファンディングもそうですし、いろんなアプローチから、市民の方からも寄附をいただけるっていうところも受けているっていうのは、すごく良いんじゃないかと思います。
モデレーター 晝田浩一郎
松本さんに聞ければと思うんですけど、こういう自治体は獲得しやすいとかっていうのが、今、その全庁的にサポートしているみたいな話かなと思ったんですけど、一丸になっているなと思って。逆になかなかテーマ(設定)であったりとかで、こういう自治体さんは苦戦しているよね、みたいなタイプとか傾向とかがあれば、マッチングの支援をしている会社として、自治体が何か苦労しているなっていう傾向とかタイプとかっていうがあればシェアしていただければと思います。
株式会社ジチタイアド 松本銀士朗
分かりました。すみません、ここの参加自治体の中に該当自治体がいたらすごく申し訳ないんですけど申し上げさせていただくと、さっきの話とつながるんですが、寄附をするときに、より具体的な事業かどうかっていうのは、企業側からすると大きいポイントなんですよね。要は自治体がその随意契約とかで契約するときと似たような形で、なぜそこに寄附をするのかっていう説明責任が、特に上場していると株主への説明責任という、グッとハードルが上がってくるので、具体的じゃないとそこが果たせないので、まずはちゃんと事業があるところに集まるので。
逆に事業がない、例えば「地域再生計画の認定だけは受けたけどそこから何か具体的な、さっきのSLのようなプロジェクトがないんだよね」、「一旦間口だけ作っているんだよね」みたいな自治体だと、なかなか集まらないっていうのが現状としてはありますね。そういったところに集まっているのは、もう単純に社長がそこ出身だからとか、もう特に事業とか関係なく、とりあえずその自治体に寄附したいっていうので多少集まったとしても、今集まっている北海道の大樹町のように、もう何十億って集まっているところは、ロケットっていうすごく分かりやすいプロジェクトがあるんですけど、それぐらい尖ったもの、分かりやすいものを作るっていうことが集まるためには大事なので、まずはプロジェクトを作ること、具体的にすることっていうのが、集まるためには結構大事かなと思います。
モデレーター 晝田浩一郎
なるほど。例えば大樹町は内閣府のふるさと納税の大臣賞取っているぐらい、本当に良いプロジェクトだと思っているんですけど、ただ例えば「うちロケットとかってないんだよね」っていうことであったとしても、行田市を低く言うつもりは全くないですけど、ああいったSLであったりとか、タワーみたいな、おらが町にある自慢の何かであったり、「うちはああいうものじゃなかったとしても、例えば子育てにすごく力を入れたいから子育てのどうのこうの」とか、「高齢者のためのこういった施設が」とか、「仕組みをもっと何とかしていきたいんだ」とかっていうより具体になっていくと、企業としても検討もしやすいし分かりやすい。それは何か、このロケットみたいなキラキラしてなくても良いってことなんですか。
株式会社ジチタイアド 松本銀士朗
そうですね、おっしゃるとおりです。なので、晝田さんが言うとおり、本当にどこでもできるような、例えば「保育料を無償化にしたいからそのための寄附を集めます」っていう子育て関係の寄附でも良いですし、要はその寄附をすることで元々その自治体にどういう課題があって、その寄附金が何に使われたらどういう負が解消されるのか、誰がハッピーになるのかっていうのが分かりやすく設定されていると、企業はすごく検討しやすいのかなっていうふうには感じています。
モデレーター 晝田浩一郎
ありがとうございます。吉弘さんにも改めて聞ければと思うんですけど、先ほど松本さんの説明の中でもあったと思うんですが、この企業版ふるさと納税っていう中で、税制とか、企業会計とか、社会的インパクトで企業の名前が挙げられるとかいろんな企業側のメリットは確かにあると思うんですけど、改めて最近、企業が「寄附したいんだよね」とか寄附を決定するって言ったときの企業側のメリットっていうのは、マッチングアドバイザーとして「よくこれ、言われるんだよね」とか、「なかなか言いづらいけど、実はあるんだよね」みたいなことってあったりしますか。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
そうですね、実は税制控除のことを考えている企業ってあんまりないので。お話する企業さんはもちろん超大企業もあれば、例えばスタートアップの企業さん、いわゆる自治体の予算科目でいうところの企画費だったりとか、広告宣伝費という、あるいは新規事業開発費のようなものを使われて寄附をされているというケースが結構、増えてきていますので、そこをどういうふうにリンクできるかっていうのは結構大きいのかなっていうふうに思っています。
モデレーター 晝田浩一郎
なるほど。髙橋さんにもお伺いできればと思うんですけど、「寄附をいただきました」「支援をいただきました」「ありがとうございます」って言って終わりじゃないと思うんですよ。その後の、例えば寄附をもらった後の企業とのコミュニケーションであったりとか、付き合い方みたいなことって、行田市として「こうやっているんですよね」とかっていうことがあれば教えていただきたいんですけど。
埼玉県行田市企画政策課 髙橋諒平
令和5年度のプロジェクトにしても、1つは先ほど申し上げたように、お披露目会だったりとかっていう形で分かりやすくその事業成果っていうのを見ていただく。その中で新しく生まれ変わったSLの周りに子どもたちが遊びに来たりとか、そういった賑わいができたなっていうのを、目に見える形でお見せするっていうのが1つかなというふうには思います。
一度、令和5年度に寄附をいただいた企業さんにも、もちろん令和6年度、今年やっている事業のお話もさせていただいて、「昨年度の寄附を本当にありがとうございました」と。その中で「新たにこういうようなプロジェクトっていうのも今考えていっています」っていうところで、「さらに新たなプロジェクトの中で一緒に盛り上げていくっていう取組をやっていきませんか」っていうふうな形でお話をしていって、それで2年連続で継続的に寄附をいただいたっていう企業もございますので、一度の寄附で終わりっていうことではなくて、その成果をお見せするっていう部分、さらに「次は」っていうところでもお見せしていく、その中でさらに関係性というか、そこを強めていくっていうことで継続的な寄附っていう部分にもつながるのかなっていうふうには思います。
モデレーター 晝田浩一郎
1回(寄附としてお金を)出してもらって、「ありがとうございます」だけじゃなくて、「実は次、こういうのもあるんですよね」とか、「こういう成果があったので、次、こういうのをどうですか」とか、だんだんつながっていったりしていくって、すごく素敵ですよね。民間的に言えば営業も一緒だと思っているんですけど、「営業で取れたら、あとはもう知らない」みたいな形じゃなくて、その後のフォローアップって実はすごく大事だったりするっていうのは、これは自治体側も民間側も両方とも同じだと思っているんですけど。
自治体とか企業とか、寄附をした後に、「このコミュニケーションの取り方、すごく素敵だな」とか、「皆さん、参考にするといいな」みたいなことがあれば、松本さん、吉弘さん、企業側の視点でこれを企業側からすると、「お金を出した後にこういうコミュニケーションの取り方をしてくれたら、すごく次も出したくなるな」とか、「結構喜ばれるんだよね」みたいなことがあれば、企業側の視点で聞ければと思うんですけど、松本さん、吉弘さん、いかがですか。
株式会社ジチタイアド 松本銀士朗
はい、先に私から回答しますね。そうですね、本当に粒感が小さいところで言うと、寄附のお願いのときだけ、年1回、郵送だけ送るとかだと、絶対継続してくれないんですよね。個人版のふるさと納税をやられている方とかだと、自宅に届くと思うんですけど、毎年。その同じ感覚で自治体もそういうふうにやっちゃうんですけど、絶対、企業はそれだと継続しないので、最低限いただいた事業のお礼の後に定期的に「それがどういうふうに今使われていて、そのプロジェクトの進捗はこんな感じです」っていうコミュニケーションは最低限必要かなと思います。
あとは、本当に鹿児島県の自治体とかで、ベネフィットで芋掘り体験とかを招待する自治体とかもあって、要は自分たちのまちに来てもらって、その従業員の家族とかも呼んでいいですよって言って、直接来ると好きになる人が多いんですよね、地方とかになればなるほど。その社長からしても、その社員の家族とか子供とかがすごく楽しそうに体験してくれているっていうところで、「やってよかったな」って思いますし、そこでリアルなコミュニケーションが生まれて、「じゃあ、すごく楽しかったから来年度もいろいろやってみようかな」っていうので継続してくれるみたいなところもあるので、一定数その時間とコストをかけてでも、自治体はコミュニケーションを取った方が良いかなというのは思っています。
モデレーター 晝田浩一郎
なるほど。何かお金を出した後にそういったことをやると、いわゆる関係人口の創出になったりだとか、その後に企業誘致につながったり、移転なのか引っ越しなのか分からないですけど、移住も含めて、何かそうしたことでつながってくるんだなっていうのはありそうですね。吉弘さん、いかがですか。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
はい、全く同じでして。つい先日も、こういう話を企業としたところなんですが、まず関係性があるかどうか。ダイレクトメールはやめた方が絶対良いです。もしも皆様が企業の立場だったら、『全く知らないところから急に「お金をください」っていう売り込みが来たと思ったら、どう思いますか』っていうのを、その企業さんもおっしゃられていました。公表されている資料だと思いますけど、『「そこの企業は毎年(企業版ふるさと納税を)しているから、とりあえず(メールを)送ってみよう」っていうのは、よくないんだよ』っていう話は、結構、経営者の皆さんとお話するところです。それから、お礼の手紙とか感謝状の授与式とかあると思うんですけど、お礼の手紙で喜ばれるのは、先ほどの行田市さんのお話でいくとお子さんですよね。お子さんたちが遊んでいらっしゃるので、実際使っていらっしゃるお子さんであったりとか、市民の皆さんからのお手紙の方が嬉しいっていうふうに。だったら今年も、あるいは来年も(寄附を)しようかなという話を聞きますし、感謝状の授与式でいうと、どうしても企業の社長さんたちが行かれるんですけど、最近のトレンドは地元の出身、寄附した自治体の出身の若手社員が行かれていて、活躍の場所として使っていますよっていうところを見せている。その「見せ方の工夫」っていうのもあるみたいですね。
モデレーター 晝田浩一郎
確かに「見せ方の工夫って、すごくあるな」って、話を聞いて思って。故郷に錦を飾るって社長だったら割とやれるし、やっている方も多いのかなと思うんですけど、新入社員の方とか中途の頑張られているいわゆる社員の方がいろんなところから働きに来られていて、でも「自分のふるさとにちょっとでも貢献したい」とか、できたんだよっていうので、そういうのがあるっていう見せ方はすごく大事だなとか、僕も元行政マンなんであれなんですけど、何かお礼の手紙とか市長名で出さなきゃいけないとか、部長名でとかってなるんですけど、実はそういう役職者云々よりも、市民の方の「SLですごく嬉しかったです」とか、子どもたちの声とかの方が、実は会社の方々は喜ばれるってことなんですよね。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
なんか「夢が語れる」っていう話を、経営者の方はされますね。
モデレーター 晝田浩一郎
夢か、大事ですね。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
社員の福利厚生にもなって、公務員もそうですけど、離職防止にもつながっているっていう話を聞きますね。
モデレーター 晝田浩一郎
単に寄附するっていうだけじゃなくて、このお金の使い方でいろんな副産物というか副次効果っていうことも生まれてくるし、そこをどう自治体側としてもデザインしていくかっていうことが必要ですし、企業側もそこまでイメージした上でお金を出すってことができると、単に「お金を出したんだよね」「100万円寄附したんだよね」ではない、賢いお金の使い方っていうところにつながってくるんだろうなっていうのを、聞いていて改めて感じました。
松本さんにお伺いできればと思うんですけど、企業版ふるさと納税にしても、個人の方でもそうですが、なかなか自治体側だと販路拡大には限られた人員しかさけない現状もあるかと思っています。トップセールスをやる、市長が自らセールスするにしてもなかなか限界があるように思うんですけど、ジチタイアドのように、いわゆるマッチングサポートをしている企業さん、いくつかあるかと思いますが、そうした企業を上手に使うコツみたいなことがあれば教えていただきたいんですけど。
例えば、ポータルサイトに載せておくので、お色直しプロジェクトをよろしく、松本さん、って言ってもうまくいかないじゃないですか。マッチングサポートをしている企業さんって何社かある中でも、そこのコツがあると何倍も変わってくるのかなと思うんですけど、そのあたりいかがですか。
株式会社ジチタイアド 松本銀士朗
はい、分かりました。そうですね、晝田さんがおっしゃるとおり、丸投げだとうまくいかないですね。どっちかっていうと、委託っていうよりは本当に連携というか、パートナーみたいな形で認識して進めてもらえる自治体が、うまくいくパターンが多いので、もし今後(このウェブセミナーに)参加してもらっている自治体が、来年度以降、そういったマッチング業者を増やしたりとか契約したりする際は、契約してだけだと寄附は増えないので、その後いかにその企業とコミュニケーションを取って、「自分たちはこういう思いを持ってこのプロジェクトをやっているので、特にこういう企業さんとかから寄附が来ると思うんですよね」とか、逆に「こういう企業さんから寄附が欲しいんですよ」とか、本当に何度もコミュニケーションを図って、まずはパートナーとしてしっかり関係性を委託業者と構築していくっていったところが、まず初めにうまくいくコツかなと思います。若干、私の願望も入っていますけれど。なので、そういったところがうまくいくかなと思います。
現に今、契約というか利用している自治体さんが400から500ぐらいあるんですけど、やっぱり数億円とか集めるところは、もう担当者さんとかの熱量が全然違うので、現場次第かなと。首長っていうよりは、現場次第かなっていうのはすごく感じています。
モデレーター 晝田浩一郎
行田市で言えば髙橋さんのような熱を持っている方がどれだけいるかとか、髙橋さんがどれだけ熱量があっても、なかなか職場の自由度っていうのは組織によって異なっているので、どれだけ自由に動けるかっていうことも重要になってくるってことですね。
行田市の市役所職員として髙橋さんにお伺いできればと思うんですけど、とはいえ「お前さ」みたいなことも上司とか周りの目から言われることを、いろんな活動を熱を持ってやろうとすればするほど、「お前さ」みたいな意見も出てくるっていう声は、僕の実体験も含め、「いろんなことをやりたいんだけど、なかなかそういう上司のブロックが(ある)」とかっていう話をよく聞いたりするんですけど、髙橋さんが庁内で動きやすくできていたりとか、そこを熱を持ってこういうことをどんどんやっていこうとか、髙橋さんのようなモチベーションを持てるみたいなところのポイント、上司も巻き込めているところとか、何かポイントとか意識されているところってどういうところですか。
埼玉県行田市企画政策課 髙橋諒平
そうですね、割と自由にやらせていただいているかなと思ってはいるんですけど。全庁的にという話を先ほどさせていただいたと思うんですが、いろんな人に意見を聞いて、その中で自分としてこういうふうにやりたいんだっていうところを、上司だったりとか、他の職員、今はうちだと企画政策課っていうところが企業版ふるさと納税の寄附を集める1つの窓口にはなっているんですけど、じゃあ、全然関係ない部署の方とかにも「こういうプロジェクトをやるから、こういう部分で教えてください」とか、「協力してください」とかっていうような形でいろんな人を巻き込んでいくっていうのが大事なのかなっていうのは思っています。
そういう巻き込みができてくると、全庁的に同じ方向を向いてプロジェクトを進めていくっていうのができてくるのかなと思うので、先ほど松本さんの方からパートナーとしての意識を自治体としても持った方が良いというお話がありましたけれども、同じ方向を向いて事業を進めていくっていうのが成功には重要なのかなっていうのは思います。
モデレーター 晝田浩一郎
なるほど。「そこの課長さんに言っちゃうと、またやいの、やいの言われるから声掛けるのをやめておこう」じゃなくて、一言掛けておくとか、あえて一緒に巻き込んじゃうことで、一体感というか、一緒になってやっていくとか、「髙橋さんそういうことやりたいのね、実は」みたいなことにつながっていくってことなんですよね。
埼玉県行田市企画政策課 髙橋諒平
そうですね。「それはさ」っていうふうに言われることもありますけど、それはそれでね、そういう御意見っていうのもあるかなとは思うので、言ってもらうことで逆に自分が考えていることが、もしかしたら今後課題になってくるとかっていう気付きが出てくるかもしれないので。いずれにしろ、いろんな人に話をして意見を聞いてっていうのは、合意形成していく上では重要かなと思います。
モデレーター 晝田浩一郎
企業版ふるさと納税をどう活用していくかっていうと熱量、結構アナログ的な根性論みたいな話になるかもしれないですけど、「巻き込んでいく」であったりとか、「熱量」とか、「共感」みたいなことがキーワードになってくるかなと思っているんですけど、だからこそ、自治体側も企業側もより活用していくべきだと僕は聞いていて思いました。
一方で、本当は山中さんに聞ければと思ったんですけど、内閣府の立場として吉弘さんに聞ければと思うんですけど、企業版ふるさと納税の活用として望ましいことは大臣表彰だとか、ああいったものをウェブサイトで公開されていたり、こういうところが素敵だよねっていうことはあると思うんですけど、逆に国の立場として、「こういう活用方法はNGじゃないんだけど避けてほしいんだよね」とか、「良いんだけどさ」みたいな、「実は趣旨が違うんじゃないの」みたいなこととか、今回延長されるっていうこともあったりするので、そこら辺も踏まえて、もし言える範囲で全然結構なんですけど。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
そうですね、完全なるその自社の利益のためにやっているっていうところは、もうやめてほしいなというふうにも思いますし、例えば、寄附なので基本的には現金じゃないかなと私は思うんですけれども、個人的な意見も含め。(ところが、)物納っていうのが最近多いなって。それが悪いというわけではないんですけど、本来であれば自治体と一緒にやることによって、それが社会課題の解決につながっていくんだっていうところでの本来のあり方、税制だというふうに思いますので、それを逸脱している行為が正直見受けられるものが複数、自治体もそうですし企業もあるので、そこはびっくりするぐらい自分はチェックをしています。
是非、そのあたりは気をつけていただきながら適切に進めていただくっていうのが、この3年間の延長ができたことがある意味奇跡的な話でもありますので、もう皆さんも御存知のようにマネーロンダリングの事件もあったりして、かなり厳しい状況の中で、今回の制度改正に当たっては担当の職員の方も含めて、いろいろと汗と涙を流してきているというところがありますので、是非その点を御理解いただいた上で適切な運用、活用というのを対話によって決めていただきたいなというふうに思います。
ですので、詳しくは来月、自治体向けにも通知が出ると思いますけれども、Q&Aをお出ししますので、そこの中で先ほど申し上げた、その企画ってどういうふうに決まったんですかとか、それに至った経緯、それから仮にこれが駄目ではないんですが、実際に寄附をしたけれども事業者さんが受託をしているっていう例はどういうふうなケースで、どういうふうにやっているのか、透明性を高めていくってことがこれから導入されていくところです。チェック体制というのは、今よりも良い意味で厳しくしていったが良いかなというふうに思っています。
モデレーター 晝田浩一郎
なるほど。物納型が駄目っていうわけじゃ全くないですよね。物納型ですごく良い事例であったりとか、良い取組につながっているケースもたくさんある。けれども、「それって、あなたのところの売り込みじゃないの」みたいな感じのことも見受けられてしまっているってことがあったってことなんですね。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
そうですね。何年後かに回収するための先行投資みたいな例も、私や(他の)アドバイザー宛てに相談っていうのも結構、特に今年度めちゃくちゃ多いので、全部お断りしているんですよね。そういったところもあります。
モデレーター 晝田浩一郎
なるほど。この3者、皆さんが、内閣府の山中さんも含めてですけど、より公共のためとか、そのまちのためとか、社会のためっていうことにつながっていく寄附の仕方であったりとか、プロジェクトの支援であったりだとか、プロジェクトの進め方っていうことがすごくより重要になってくるってことですよね。
あっという間に時間が来てしまってですね。今日、「実はもう、結構使っているんだよね」っていう方も参加されているでしょうし、「これからそういうことを検討しているんだよね」っていう自治体の方、企業の方、アーカイブで御覧いただいている方もいらっしゃるかと思うので、いろんな幅広い方が御覧いただいているかと思うんですけど、改めて最後に自治体・企業の方に向けて、こういうことを大事にしながら進めて行ってくださいみたいなエールというか、メッセージというか、お1人ずついただきたいなと思うんですが、髙橋さん、松本さん、吉弘さんの順番でいければと思います。では、髙橋さん、お願いします。
埼玉県行田市企画政策課 髙橋諒平
本日は非常に貴重な機会をありがとうございました。自分自身も大変勉強になりました。私ども行田市の方では、令和5年度から初めて企業版ふるさと納税の寄附募集っていうものを本格的に始めて、そこから実績を少しずつ作ってきたっていう部分がありますので、最初手探りな部分っていうのも出てきてしまったんですけど、挑戦してみるっていうところがすごく大事だなっていうのは、自分自身も担当者としてやってみてすごく大事だなっていうのを感じました。なので、いろんな部分で寄附を募っていく中で、企業との関係性だったりとか、庁内の、我々自治体側としての考え方なんですけど、庁内での意見の齟齬だったりとか、そういった部分の調整だったりとか、いろいろ出てくるかとは思うんですけど、そこを乗り越えていったところに本当に地方創生の部分というか、企業版ふるさと納税を活用しての地方創生っていうところにつながってくる部分っていうのは当然あるのかなとは思いますので、是非まだ受入実績がないですっていうような自治体は挑戦してみていただきたいなと。一緒に切磋琢磨して進めていければなっていうふうには考えておりますので、今後ともよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
モデレーター 晝田浩一郎
ありがとうございます。松本さん、お願いします。
株式会社ジチタイアド 松本銀士朗
皆さん今日はありがとうございました。(このウェブセミナーの参加者は)自治体が多いと思うので、我々としてはこの制度、吉弘さんもおっしゃっていましたけど延長したのも結構すごいなっていうところもあった中で、延長したのであれば絶対やった方が良いですし、さっきいろいろ内閣府だけではなくて自治体の髙橋さんからの先行事例とかの共有もあったかと思いますので、まずは今日から、明日から、できることから動いていくっていうのがすごく大事かなと思いますので、これから3年間まず延長しますので、その事業づくり、見せ方、あとはどういうふうなアプローチをしていくかっていうところを1から見直した方がより財源確保といったところでは良いかなと思いますので、是非そういった形で制度について、どんどん認知を上げていければなと思います。では最後に、今日既に利用いただいている自治体も多かったんですけど、どういうふうにやったら寄附が集まるかとか、どういった企業が今多く寄附してくれるのかっていったところのノウハウはある程度持っているっていう自負はしているので、別にお金とかはもらってないので、気軽に相談ベースで御連絡いただければと思いますので、皆さん、引き続きよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
モデレーター 晝田浩一郎
はい、吉弘さんお願いします。
内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 吉弘拓生
はい、とても楽しいウェルビーイングが上がる時間をありがとうございました。まず、自治体の皆さんに向けてまいりますと、身近な悩みだったり仕事のところから生み出されるものっていうのが、この企業版ふるさと納税と結構相性が良いのかなって思っています。無理矢理つくるとか、何か持ってくるっていうだけじゃなくて、皆さんの身近な「困っていることっていうのは、何だっけ」っていうのを、職場の関係者と話合うっていうのも良いかもしれませんと思ったのと、それから「住民ニーズもしっかり」というところです。もう1個が、「コスト意識をしっかり持ちましょう」ということです。企業さんもいろいろ多分、営業に行かれるということだと思うんですけど、そのお金がかかるというところもありますので、相談は無料かもしれませんが、あんまり相手の時間を拘束するとコストがかかってくるのでないかなというふうに、私は結構思うところです。「是非、自治体がコスト意識を持って」というところは、最近よく言っているところです。
それから企業さんにおかれましては、「三方良し」かどうかっていうところですね。皆さんだけが良かったとしても、なかなか自治体とマッチングできない可能性が非常に高いです。先日も案件がありましたけれども、そういったことも含めて三方良しなのかどうかっていうのが1つ重要なポイントです。経営者の皆さんには、一番御理解のある部分というふうに思いますけど、改めてこのポイントというところでございました。どうも今日はありがとうございました。
モデレーター 晝田浩一郎
今回御参加いただいている、アーカイブで御覧いただいている方、もちろん僕に「相談があるんだよね」って聞いていただいてももちろんOKですし、「行政的なことで知りたいんだよね」ってことあれば、髙橋さんとか松本さんとか吉弘さん、逆に企業側のことで聞きたいんであれば、松本さんとか吉弘さんとか「頼りたいよ」って言われれば頼っちゃっても良いんですよね。
株式会社ジチタイアド 松本銀士朗
はい、いつでも御連絡いただければと思います。
モデレーター 晝田浩一郎
大丈夫ですね。他にもね、内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザーっていう方も、吉弘さんの他にも4名、僕も最初やっていたので僕もやれるんですけど。そうした方を頼っていただくというのも、ありかなと思っております。本当に皆さん、今日はありがとうございました。内閣府の山中さん、そして行田市の髙橋さん、ジチタイアドの松本さん、内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー吉弘さん、御参加いただきました皆さんもありがとうございました。お忙しい中恐れ入ります、本当にありがとうございます。たくさんの共創がここから生まれてくることを強く願っております。皆さん本当にありがとうございました。(終)
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