トップページ > くらし・環境 > 人権 > 同和問題 > 同和問題(部落差別)について > 県民の方々から寄せられた質問から

ページ番号:25984

掲載日:2022年9月21日

ここから本文です。

県民の方々から寄せられた質問から

問1:部落差別は、いまでもあるのでしょうか。

答1:「もはや部落差別など存在しない」などといった意見もありますが、いまでも同和問題に関して、インターネットの匿名性を悪用した差別的書き込み、就職や結婚などに際した身元調査に係る戸籍謄本・住民票の不正取得、不動産業者が取引の際に行った土地調査等の差別事象が発生しています。
 令和2(2020)年10月から11月に県が行った人権に関する意識調査では「あなたに未婚のお子さんがいるとして、そのお子さんの結婚相手が「同和地区」出身であるとわかった場合、あなたはどうすると思いますか。」という問いに、「認めない」という回答が2.4%、「こだわるが、子どもの意思を尊重する」、「反対だが、子どもの意思を尊重する」を含めると、同和地区出身であるという理由で避けようとする意識を有する人が全体で25.1%あるという結果でした。
 このように、同和地区の人たちに対する差別意識がいまも存在することを理解し、同和問題を他人ごとではなく、自分自身のこととして真剣に考え、差別の解消に向けて努力していくことが大切です。

 

問2:差別をどう考えたらよいのですか。 

答2:「差別」とは、基本的人権を不当に侵害したり、本来平等であるべきものを不平等に取り扱うことです。 人間は誰しもがかけがえのない生命を持っており、幸せに生きたいという願いを持っています。これを正当な理由もなく踏みにじり陥れることが「差別」です。「差別」は、さまざまな形で私たちのまわりに現れます。しかし、いずれの場合にも、人権が守られていないという点では一つです。

 「差別」は次のようなとらえ方ではっきりさせることができます。

  • その取り扱いは、誰がみても納得のいく正当な理由があるだろうか。
  • 自己中心的なものの見方・考え方から、ことさらに道理がゆがめられてはいないだろうか。
  • 不平等であり、不当な不利益が強いられていないだろうか。
  • 等しく幸せに生きたいという願いが傷つけられていないだろうか。 

 このような点から、私たちの身近なくらしを見直して見ると、いろいろな形の差別が見られます。

  • 学歴や出身校による差別
  • 職業や肩書きによる差別
  • 女性に対する差別
  • 障がい者に対する差別
  • 貧富による差別
  • 外国人に対する差別

などなどいろいろな差別がありますが、このような差別の中でも、部落差別は我が国固有の人権問題であり、重大な社会問題なのです。
 部落差別は、我が国の前近代の身分制度に基づくものであり、基本的人権が保障される現代においては、存在させてはならないものです。
 また、これらいろいろな差別の中で、特に部落差別とその他の差別を区別して考えることは間違いで、基本的人権の侵害という点では共通の問題であり、日常的な身のまわりに存在している諸々の差別をなくしていく不断の努力を続けることによって、人権問題としての同和問題の解決を図ることが大切です。

 

問3:同和問題は、そっとしておけば自然になくなるのではないでしょうか。

答3:いわゆる「寝た子を起こすな」といわれる意見ですが、この考え方は次のようなものです。

①知らない人に同和問題を教えることはかえって差別を教えることになる。だからこのままそっとしておけばよい。

②同和問題は社会が進歩するとともに自然に解消するものだ。

 戦後、基本的人権の尊重が叫ばれ、そのことがいかに大切なことかを知らされてきたにもかかわらず、現実に結婚差別や交際上の差別などが発生しているのです。「そっとしておけば年月がたつにつれて自然になくなるだろう。だから、やかましく騒ぎ立てない方がよい。」ということですが、果たしてそうでしょうか。明治4年の「解放令」によってなくなっているはずの部落差別がなぜ今も残っているのでしょうか。
 「そっとしておけば…」という考え方では、この問題の解決に少しも役立たないだけでなく、逆に人権意識を眠らせ、偏見が偏見を生んで結果的に差別を助長することになってしまいます。
 今は偏見を持っていないと思っていても、正しい理解をしていないと、何かの機会に心の中に潜んでいる偏見が顔を出してきます。ですから自分自身の問題として目を覚まし、正しく理解する必要があるのです。

 

問4:同和対策特別措置法により、同和地区やその関係者が優遇されている(いた)のではないか。

答4:いわゆる「同和問題に関する逆差別やねたみ意識」といわれる意見ですが、この考え方は次のようなものです。
 「逆差別」「ねたみ意識」とは、同和行政への無理解から、かつての特別措置法による同和対策事業の実施により、同和地区やその関係者が優遇されているのではないか、逆にそれ以外の地域や人たちが行政的に放置されている(いた)のでは、ないかという主張です。
 同和対策事業は、かつての同和地区に限定した緊急的な特別対策であったことから、同和対策事業の趣旨と必要性についての地区内外の住民に対する啓発活動が不十分であり、その結果、同和対策事業の趣旨と必要性が周辺住民に十分に理解されず、一部分的、一時的にみるとその周辺地域との格差が生じていたかもしれません。
 そのため、県や市町村では「逆差別」意識を生じさせないために、周辺地域との関連性、一体性を考慮し事業を進め、それに伴う啓発活動も行ってきました。
 現在はいわゆる同和対策事業に係る特別措置法は平成14(2002)年3月末をもって廃止されています。
 私たちは、時として直接見たり聞いたりしたことがないにもかかわらず、噂話などで、ある地域や人や集団に対し悪いイメージを持ったり、十分な根拠もなく、予断や偏見を持ってしまうことがあります。
 同和問題についても、噂や憶測で思い込んでいることはないでしょうか。
 県では「すべての県民がお互いの人権を尊重しながら共に生きる社会」の実現に向けて、企業や民間団体・市町村を含めた県民総ぐるみの「人権尊重社会をめざす県民運動」を展開しています。

 

問5:自分は差別しないから、同和問題は自分には関係ありません。

答5: 同和問題は自分には直接関係がないと思っている人もいます。しかし、「自分は差別しないし、差別なんて関係ない」と思っている人でも、ふとした時に人を傷つけたり、傷つけられたりしている場合があります。また、「差別はいけないことに決まっている」と口では言いながら、自分に直接かかわることとなると、迷信や因習にこだわったり、予断や偏見でものを見たり判断してしまうことがあります。
 同和問題を解決するためには、私たち一人ひとりが同和問題を正しく理解し、迷信や因習にこだわったり、予断や偏見でものを見たりせず、自分自身の問題として考え、相手に対して思いやりの気持ちを持ち、差別を許さないという強い意志を持って行動することが大切です。

 このような行動は、他のあらゆる差別を許さないということにつながっていきます。 

 

問6:差別的な発言を聞いたらどうしたらいいですか。

答6:同和問題を解決するためには、私たち一人ひとりが同和問題を正しく理解し、差別に気づき、その差別がどんなに不合理であるかを考え、自らの意識を見つめなおすことが必要です。同和問題は「差別をされる側」の問題ではなく、「差別をする側」の問題です。私たち一人ひとりがその認識をもち、自分自身の問題として考え、同和問題を解決していくために、行動できるようにしていかなくてはなりません。

 

問7:本籍の記入、戸籍謄本の提出がなぜ就職に際し問題となるのですか。

答7:日本の社会では、人事関係の取り扱いにおいて「本籍が」つきまとっている傾向があります。
 同和地区の人たちに対する差別の歴史の中で「本籍」というものが、どのような役割を果たしてきているかについて正しく認識しなければなりません。
 就職に際し「戸籍謄本をとる必要はない」「本籍は明らかにする必要はない」ということは、本人の能力や適性、意欲に関係ないもので人を評価してはいけないということです。過去においては、全国の多くの同和地区出身者を大きな不安に陥れ、同和問題の解決を遅らせてきた事実がありました。
 明治5(1872)年に作られた壬じん申しん戸籍の中に華族・士族・平民などの新身分が記入された際、同和地区住民についても当然「平民」と記入されなければならないはずなのに、差別的な身分呼称で記入されたものがあったのです。
 したがって、この戸籍を見れば、容易に同和地区住民であることが分かり、さらに、その後に整備された戸籍でも刑事罰や本人の身元に関する事項が記入されることになっていました。そこで、企業では、企業側にとって好ましくない者は雇わないために、採用に際して戸籍謄本を提出させ身元を調べるという日本独特の人事慣習が作られたものと思われます。
 この壬申戸籍は、その後問題となり、昭和43(1968)年に完全に閉鎖されました。壬申戸籍以後に整備された戸籍にも、いろいろ問題を含んだ記載があって、個人の尊厳を著しくそこなう結果となっていましたので、市町村では、昭和47(1972)年から、これらの不都合な記載を抹消してきました。
 しかし、現在でも特に問題となるのは、本人の意思で本籍を他の地へ変えても、新しい戸籍から古い戸籍へとさかのぼって調べれば過去の本籍がわかるところから、結婚や就職に際して戸籍が差別に利用されることがありうるからです。
 最近でも、行政書士や司法書士等が調査会社などからの依頼を受け、戸籍謄本や住民票を不正に取得する事件が多く発覚しています(背景には戸籍等の差別的な利用があると考えられます)。
 そのため、平成20(2008)年5月から、戸籍謄本等を請求できる者の制限と不正請求者への罰則が強化された戸籍法と住民基本台帳法が改正・施行されています。
 また、国では、採用に当たって本人の能力や適性、意欲以外で採用が決まることのないよう「統一応募用紙」の普及を進めています。

 

問8:「えせ同和行為」とはどのようなものですか。

答8:「同和問題はこわい問題であり、できれば避けたい」との誤った意識を悪用して、企業・行政機関等に高額な書籍を売りつけるなど、不当な要求をする行為が「えせ同和行為」です。えせ同和行為の具体例としては、図書等の購入・寄付の強要、代理人と称した介入などがあげられます。
 この行為は、あたかも差別解消運動であるかのように見せかけて行われることが多いため、同和問題に対する誤った意識を植え付ける原因にもなり、これまでの多くの人々が積み重ねてきた啓発の効果を一挙に覆すもので、断固排除しなくてはなりません。
 その場しのぎでえせ同和行為に応じることは、えせ同和行為を更に横行させるだけでなく、結果的に同和問題の解決を妨げることになる、との認識をもって対応することが必要です。
 えせ同和行為は、その行為自体が問題となるものであり、行為を行う者がどのような団体に属するかは問題ではありません。また、団体が実在するか否かということは関係ありません。そのため、県では「えせ同和団体」という言い方はしていません。
 国、県及び関係機関で構成する「埼玉県えせ同和行為対策関係機関連絡会」では、企業等からの相談に対応しています。
 
埼玉県「えせ同和行為」対策関係機関連絡会の相談窓口
 ●さいたま地方法務局人権擁護課
 電話:048(859)3507(直通)
 ●埼玉県県民生活部人権・男女共同参画課
 電話:048(830)2258(直通)
 ●埼玉県警察本部刑事部組織犯罪対策局捜査四課
 電話:048(832)0110(代表)
 ●(公財)埼玉県暴力追放・薬物乱用防止センター
 電話:048(834)2140(直通)
 埼玉弁護士会民事介入暴力対策委員会
 電話:048(863)5255(代表)

 

お問い合わせ

県民生活部 人権・男女共同参画課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 本庁舎3階

ファックス:048-830-4755

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?