平成30年 > 知事記者会見テキスト版 平成30年5月15日
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掲載日:2021年5月10日
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マグネシウム蓄電池の試作品が完成したことについて(PDF:838KB)
知事
今日は、かねてから本県の産業技術総合センターが開発しましたマグネシウム蓄電池が、前回こういうかたちで作られたものを、実用化するために研究を進めてきたところですが、このように即製品の中にはめることができるコイン型の蓄電池、あるいはラミネート型の蓄電池、いろんなかたちで変化することができるというかたちでできましたので、これを発表したいと思います。例えば、今挙げましたこのラミネート型の部分ですけれども、もちろんこれは大きさを変えることができるわけですが、例えばウェアラブル機器などでメガネの端末に使うとか、あるいは腕時計のところに使うというかたちで、いろんな使い道があると。あるいはまた、俗に言うスマートフォンなどの基盤の中に入れることができると。コイン型の場合は補聴器だとかIoTの機器などに使うのが比較的良いのではなかろうかと。もちろん携帯の機能を持つ諸々にも使えないわけではないのですが、かつてはウォークマンとかにも使っていたわけですが、こういうものに使えると。マグネシウム蓄電池が、今主流のリチウムイオン蓄電池に比べて、発火の危険性が極めて低いということがその特色であります。また、リチウムそのものがいわゆるレアメタルであって、国内にはあまり無くて特定の国に集中していると。例えば中国であるとか。しかも値段が高いということもありますので、マグネシウムであれば、ほとんど無尽蔵に取り込むことができると。値段的にもだいたい、リチウムの価格が時々動きますけど、平均すれば30分の1くらいではないかと言われています。容量が同じ大きさであれば。例えば、この中にリチウムイオン電池と同じ大きさのものを仮に基盤の中に挿入したとすれば、まるまる1日経てば充電しなくてはいけないものが2日使えるとか。あるいは、まるまる8時間使用可能なものが16時間使えるとか。そういうかたちでの大容量であるという、これが特色であります。現時点において、まさに技術開発のステージでありました。(後に削除)このように大きな形ででき上がったものを、こうして小型化することができました。したがいまして、今度さらに製品開発のステージに持っていくために、(後に「持っていきます。」に訂正)これまでの流れをずっと追いかけていけば、20年度に研究開発をいたしまして、26年度に先端産業創造プロジェクトの中にこの蓄電池の開発を分野として入れました。そして27年度に実験室レベルでは十分な性能を確認いたしました。もっとこれよりも大きいもので実験を成功させました。その後、前回発表したようにマグネシウム蓄電池の特色の部分をはっきり確認をさせていただいて、製品開発のステージに入ってまいりました。28年度から蓄電池実用化に向けて研究を開始いたしまして、29年度末までにサイテックのシーズ活用で藤倉ゴム工業と共同で蓄電池の試作品を完成させたところでございます。今申し上げましたように、2つのタイプ、ラミネート型、コイン型で開発を成功させました。
今後は、さらにより実効性を高めるために実用化のための研究会を立ち上げましょうと。そして、藤倉ゴム工業の製造技術などもプラスして、この試作した電池を使って、例えばいわゆるウォークマン型の中に使ってどのような性能が発揮できるか、あるいはプラスマイナスいろんな部分が出てまいりますので、それをチェックしていく。また、ウェアラブルやIoTの中に入れて今まで使っている電池と比べての性能が安定しているかどうかとか、そういうものをチェックしていく期間を設けていきたいと思っております。それで、32年度までに具体的な製品の中に、これはまさにスマートフォンなんかの基盤ですけど、入れて、安全性や性能の安定性を確認して、34年度からは商品化に向けての開発の、こういったスケジュールでいよいよここに向かって進めていくという態勢がなってまいりました。こちらの方(以前開発した蓄電池と今回開発した蓄電池)を重さとか軽さについて回していただければと思っています。このように、先端産業創造プロジェクトの一部を埼玉県の産業技術総合センター、サイテックで具体的な形で答えを出しつつあります。それ以外に64件(後に「66件」に訂正)の部分が実際に実用化に向けて認められ、うち45件が製品化されたところでございます。部分部分でまだ小さな案件等もございますが、大化けする可能性が高いのもたくさんあります。とりわけ、この蓄電池に関して言えば、まさしくこれが実用化されれば、時と場合によっては、全てとは申し上げません、リチウムイオン電池の優れた所もありますので、それはそれで活用されますが、今我々が使っているようなものに関しては、場合によってはマグネシウム蓄電池にほとんど代わる可能性があります。そういう意味でも画期的な発明と実用化に向かって今進んでいるというところでございますので、今日発表させていただきました。なお、この中身の詳しいことに関しては、センター長の中村から後程細かく説明をさせていただきます。
毎日
先程試作品を回していただきまして、ずいぶん小さく軽くなったと思ったんですけど、この2年間でだいぶここまで小型化するのにいろいろ課題等があったと思うんですけど、どういったところでここまで小型化するのにクリアしてきたものがあるのか…
知事
技術的な点は、今申し上げましたように後程センター長の中村から説明させていただきますが、結論から申し上げれば、これが本当に実用化されるのは今使われているレベルまでの小さい形、あるいは軽さなどが要求されていたわけでありますので、2年前にお示しできたその重いやつですね、それは原理としてできましたということですので、あれを使えば最初によく携帯電話で使われた箱弁当みたいな形で、あるいは手に持ってですがすごく重い、ポケットの中に入れられるような範囲ではなかったわけですね。それがまさにスマートフォン的なもの、あるいはウォークマンならウォークマンで耳に少しくらいぶら下げていても、頭にぶら下げていても何ら違和感がない。あるいは、メガネのウェアラブルで着けていても違和感がない、問題がない状態まで、つまりいつでも実用化できるというような形までできたということです。ただし、これも何回も何回も製品化するプロセスの中で本当に安定しているのか安定していないのか、本当に安全なのかどうか、また製品製品によって汎用性があるのかどうか。こういうのを全部チェックしなくてはいけませんので、その時間がまた必要だということになります。携帯ではオーケーだけれどもウェアラブルではダメだとか、そういうこともあるかもしれませんので、ウェアラブルでもメガネの時では良いのだけれども、服の中に入れた時はいろいろと体温とかの関係でうまく蓄電池の容量が小さくなっていくとか、いろんな課題が出てくるかもしれませんので、そういう課題をそれぞれ製品開発のステージまでにいろいろなパターンで、実際合うか合わないかをいろいろなパターンで実用のための実験を何度も何度も繰り返していかなくてはいけないということだと思っています。それでかなりの安定性、そういうものができればオーケーということで、当然大量生産で大量にいろんな製品の中で使われ始めるというかたちになるかと思います。技術は後で聞いてください。
毎日
開発スケジュールの中で、おそらく安全性の確認とかでここからの4年ほどかかるということで、34年度から商品化に向けて開発が始められればとなっていますが、最終的な製品として私たちの目の前に出てくるメドというのはだいたいどれくらいを…
知事
商品によって、場合によっては早いものがあるかもしれません。早い段階で安定性や安全性が確認できた分野がもしあれば、そこから先行ということもあるかもしれません。
毎日
平成34年度以降で比較的早いうちに、ひょっとしたら35年度とかにも商品になるものが出てくるかもしれない。そこはまだちょっと分からない。
知事
はい。
毎日
ひょっとしたら35年度とかにも商品になるものが出てくるかもしれない。
知事
そうですね、はい。
毎日
そこはまだちょっと分からないと…
知事
はい。
毎日
先程、先端産業創造プロジェクト64件というお話をされていましたけれども、このうち45件が製品化されたと。具体的にどういったものが今まで…
知事
今手元に持ってきていませんが、極端なことを言うと、電気マットというのはスイッチを入れてから温かくなるまで時間がかかりますね。ところが、ナノカーボンを使ったものでは即スイッチと同時に温かくなると。冬の寒い時に部屋が冷えている、しかし温まるまでに時間がかかるとか。ガスストーブなんかは、あっという間に温かくなるのかもしれませんが、そういうのが嫌いだという方、電気マットが好きだという、しかし温まるのに時間がかかるねと、そういうのだと発熱シートですぐに温まると。そういう製品なんかもあります。印象的だったのは私それぐらいで、こんなことあるのかなというくらいに。他にもいっぱいあります。
日経
実用化に向けてなんですけれども、実用化する場合の主体というのは、いわゆる企業さんが研究会の会員の企業がこの技術を使って商品を売り出すとか、そういうイメージですか
知事
何らかのかたちで組み合わせを、藤倉ゴム工業がメインのパートナーになります。当然、開発商品に応じて組む企業というか、対象とする企業が出てくると思います。その場合、どの程度の取り決めにしていくのかちょっと技術的なことですので、後程お答えしたいと思います。
NHK
利用例のところで、重複しますがお聞きしたいんですけど、これが本当に実用化して製品化された場合、例えば今行政として取り組む課題の医療分野とか介護分野とか、こういうところでより行政課題の解決の促進につながるというイメージとかあればお伺いできればと思います。
知事
汎用性は高いですね。今リチウムイオン電池なんかの事故というのは航空機のいわゆる荷物の所で、例えば水漏れなんかがあって、それがリチウムイオン電池にかかる機器に当たって発火した事例なんかもございます。それで飛行機が元に戻った事例などもあります。離陸と同時に元の飛行場に戻った事例なんかもあります。まさに不都合なことが両方で起きるわけですね。リチウムイオン電池が水に弱いということですから湿気に弱い、そういったところに置いていないわけですけれども、たまたま水なら水が漏れてその荷物の中に水漏れが当たってしまったら、それが浸透してリチウムイオン電池が発火するという。これはなかなか難しいですよね。飛行機の中で運ぶ時に、これはイオンで水に絶対につけてはいけないという仕分けが狭い格納庫というのでしょうか、飛行機の中の荷物置き場の中でそこまで厳密にできないとか。それから、単純に持っているスマートフォンなどに水がかかって、しばらくそれを放置していたために発火してしまうとか、こういった事故というのは起こりうる可能性が高いわけですが、マグネシウム電池であればそれは絶対あり得ないと。そんなこと考えていけば当然より安全なところ、医療機器もそうだと思います。発火するとかそんなことはとんでもない話になってしまいますし、これからウェアラブルの機器、機能というのはたくさん今もあるわけですけど、どんどん増えてくると思うんですね、身に着けていますので。それはリチウムイオン電池がすぐ装置化されていれば水に弱いことは何となく知っていても、もう忘れていますので、利用している人は。それによって何らかのかたちで少しひびが入っているとか、製品に。そういった時に水が当たった時に少し発火して瞬間的に火傷をする可能性もゼロではない。そういったことが防げる。そういう意味では人体に近いものなどはリチウムイオン電池ではなくマグネシウム電池の方が可能性は高いのではないか。元々、それは言われていたことですけれども、この製品化について、リチウムイオン電池があっという間に広がったために、こちらの方の課題はあっても、これを取り組む企業などがまだ少なかったということで埼玉県が先行できたと思っていますけれども、今後より安全性の高い分野などでは先行的にこれが使われていく可能性が高いのではないかと思います。あとはやはり料金(後に「価格」に訂正)がこれから安くなっていきますので、たぶんこちらも強くなっていくのではないかと思います。
埼玉
実用化されればマグネシウム蓄電池に今度はほとんど替わっていく可能性があるというお話でしたけれども、市場規模的には、金額的にはどれくらいのインパクトがあるものなのでしょうか。
知事
今、リチウムイオン電池の販売額が4,122億、二次化されたものが7,498億ということですので、こういう部分が入れ替わるということになると、金額的に少なくとも安くできるので、販売額そのものは少し減るかもしれませんが、しかし汎用が増えるので、これを上回ってくる可能性があります。例えばTシャツであるとか、運動用のシャツ、ジャンパーなどを着用して、まさに携帯の人体の、例えば脈拍であるとか健康に関わる様々な計測などを付けることで、自分の体にそういうものを付けていて汗も出てきますし、水気も出てくるので、リチウムイオン電池であればちょっと怖いなというのが、マグネシウム電池であればまったく問題ないということですので、健康用の様々な器具に使われやすくなってくるかなと。そういう意味ではもっともっと広がる可能性もあるのではないでしょうか。
朝日
県には、たぶん特許だと思いますが、どんな形で権利を、この藤倉さんと県と持ち合っているのかよく分からないのですが…
知事
持ち合っているというのは、どういう意味の持ち合いでしょうか。共同研究の部分での…
朝日
共同研究の形になっているのでしょうか。
知事
そうです。
朝日
その持ち分というか…
知事
藤倉ゴム工業の役割は、まさにサイテックが蓄電池の部分を開発したわけですけれども、藤倉ゴム工業は色々な製品を作っている企業でもありますので、そういう企業の部品を作っていますので、結局、藤倉ゴムの持っているネットワークを使って実用化のための様々な連携ができるということになるかと思っています。一義的には。
朝日
蓄電池の権利はサイテックが全部持っている?サイテックの特許ということ?
知事
分かりませんので、後でお答えします。
テレ玉
今回の蓄電池、ここまでたどり着くのに大体どれくらい開発の費用がかかっているのでしょうか?
知事
開発の費用ですか?
テレ玉
はい。
知事
20年度からの研究開始以来、人件費を除くと費用総額は約1億円。人件費を除いて。あと中身のこと、性能であるとか製品に係る中身については、中村が後ほど発表いたしますので、そちらで確認していただければと思います。
テレ玉
それだけ多くの資金をかけて、県が民間企業に任せるのではなくて、県が自らこういったものを開発する、そういったことを手掛けていく意義というのはどういったところにありますか?
知事
サイテックの技術者がこの課題に取り組んで、結果としてマグネシウム蓄電池の可能性を見出して、この間に本田技術研究所の協力も得て前回までの段階まできた。今回、藤倉ゴム工業とも組んでラミネート型とコイン型の蓄電池、いわゆる即製品化の可能性を持つ部分まででき上がってきた。今後は藤倉ゴム工業のネットワークなども活かして、色々な製品の部分を藤倉ゴム工業が作っておりますので、色々なそうした汎用できる可能性のある商品の中にこのマグネシウム蓄電池を入れて、本当に発火しないかどうか、安定的に電池を確保できるかどうか、例えば電池についても、御案内のとおり電池の力も弱くなってくると性能がおかしくなりますよね。色々なものの性能が。だから安定的に蓄電池が容量を維持しているのかどうか。むらっ気があっては困るわけですね。温度とかでむらっ気があるとか、あるいはまた環境において湿度とかでむらっ気があっても困る。色々なパターンで考えていかないと、日本の中では良いけれども、暑くなったらアフリカに持っていったら使えないとか、ロシアに持っていったら使えないとか、そういうことになったらいけないわけですから、色々な温度に耐えられる、どんな温度でも一定程度の性能が発揮できるとか、そういうのを全部やらなければならないもので、それ相応の手間暇がかかるということになるかと思っています。
テレ玉
県が関わることによるメリットというのは、企業と技術を結び付けたりすることができる、そういう部分が大きいですか?
知事
サイテックが持っている機能というのは、独自に色々な技術者もたくさんいますけれども、何よりも色々な装置を持っていますので、そういう装置を活かすことができる。そしてその装置を使いたい企業なども入っているし、そうしたところでのネットワークというのが、先端産業創造プロジェクトの中の研究会の企業メンバーなどもいますので、そうしたものが埼玉県というネットワークの中で使えるもので、当然、藤倉ゴム工業にとっても、色々な商品開発の分野でネットワークが広がる可能性もありますので、埼玉県にとっても藤倉ゴム工業にとっても、これからいいのではないでしょうか。実際の製造技術に関しては、今後民間のこのような藤倉ゴム工業などが量産体制をつくっていくであるとか、そういった形になっていくかと思います。サイテックには工場はありませんので。
毎日
昨年4月に県立高校に通う女子生徒が自殺する事案があり、「県いじめ問題調査審議会」はSNSの書き込みを巡って女子生徒へのいじめがあったと認定する報告書をまとめて昨日、教育長に提出しました。まず報告書の受け止めをお聞かせください。
あともう1点、報告書ではネット利用のあり方や情報モラル教育などについても提言がありました。ネットを巡るいじめというのは、最近全国でも散見されるようになっていて、対策が急がれるところがあると思うんですけれども、どのような対策が必要になってくるだろうかという考えも併せてお聞かせください。
知事
ネットを通じていじめられたゆえの自殺だというような基本的な認定をしたということですので、今、若い人たちに活用されているネット、SNSなど書き込みを通じて特定の人に相当な心理的な圧力、あるいはまた精神的な打撃を与えて、結果的に死に至らせる。加害者的にはそこまで深い意味がなかったのかもしれませんが、結果的には、そう受け止められていたということが認定された。本当に、仮にいたずら心であったとしても、死に至るということが現実に起こっていることに大変残念な思いがあります。人をいたずら的にからかうことに関して、時と場合によっては、殺人に至るような、準ずるようなことも起こり得るんだということを、いたずら的に言葉で、あるいは書き込みで行っている若い人たちによく考えていただきたいなと思っております。また、報告書の中でネット利用のあり方や情報モラル教育などについての必要性などが報告されていると聞いております。私も報告を聞いただけで報告書を読んだわけではありません。こういう課題が今日的な教育環境の中で大きな課題になっているということも、現場の先生たちの違うところで、見えないところで起こっているので、なかなか困難な状況があると感じております。ただ1点気になるところは、この原因解明の時間、確かにネット利用のあり方とか情報モラルなども含めると時間がかかるのかもしれませんが、原因解明というのは早く報告しないと記憶も薄れがちになって、あるいは記憶違いなどもあったりして、逆に時間がかかればかかるほど事件の解決がやや不確かなものになっていくということがありますので。滋賀県でもそうでありましたし、東松山でもそうでありましたし、時間がかかりすぎていると猛省を促したいですね、関係者に。こういうものは早くやらないといけないと思います。1か月に1回しか第三者委員会が開かないというのもおかしいと思います。やるのであれば1週間おきくらいにやるくらいの気持ちでやらないと。それに出席できない人は第三者委員になってもらわなければいいんです。時間が経てば経つほど、正確な記憶がなくなってしまいます。原因解明が遅れれば遅れるほど第2第3の被害者が出てくる可能性もあります。やはりこの手の問題に関しては二度と起こしてほしくないということですから、早ければ早く問題解決の課題をはっきりさせて、そして取り組むべきだと思いますので、1年もかけてやるべきだとは思いません。もちろんネット利用や、あるいはまたそのモラルなどについての勉強会などはまさに時間をかけて丁寧にやっていけばいいことで、事件の解明とは別個に丁寧にやるべきですけど、一緒くたにして、だらだら1年もかけてやるようなものではないと思っています。ただ関係者が怠けていたとかそういう話ではありませんが、そういう慣例になっていること自体に課題があると思います。
埼玉
草加市立病院の腹腔鏡手術問題でお伺いしたいのですが、先日、病院が問題を調査するために第三者委員会を立ち上げましたけれども、県も3月に立ち入り検査をされていますけれども、今後の県としての対応はどうされる予定でしょうか?
知事
やはり今の報告ではありませんが、どうかすると第三者委員会の開催予定が間延びしているようなきらいの報告を私、受けましたので、それではダメだよと申し上げました。第三者委員会は草加市が考えることでありますが、県は立入調査などの権限を持っておりますので、アドバイスなどはできる立場にあります。あくまで草加市が解決する問題ではありますけれども、アドバイスができる立場の上で、早く解明するために、もし第三者委員会を開くのであれば、まさしく頻繁に開いて早めに報告が出るようにした方が望ましいのではないかということは申し上げました。課題はもうはっきりしておりますので、これも時間をかけてやる問題ではなくて、やはりきちっとした加害者がいるわけですから、加害者がどのようなかたちで事件に関わって、どういった被害をもたらしたかということをきちっと精査して、答えを出して、二度とこういうことが起こらないような体制作りを草加市の病院事業として行っていくべきだと考えています。
埼玉
はしかの感染が沖縄県を中心に全国的な広がりを見せています。埼玉県内でもこれまで感染者が確認されていますが、はしかに関する県としての対策、注意喚起などがありましたら教えてください。
知事
若干誤解がある部分がありますので、正確に申し上げたいと思っています。このはしかに関して言えば、1歳児と小学校入学の1年前の6歳児ですね、この2回予防接種を受ければ基本的にははしかにならないと言われています。集団的な感染症の蔓延に関して言えば95パーセント以上にこの接種率が高いところではまず起こりえないとも言われています。集団的な感染になりにくい。個人的にそういう事があっても、95パーセント以上の接種率があれば。この95パーセント以上の接種率になっているのが、例えば、少なくとも埼玉県では平成22年以上(後に「平成18年度以降」に訂正)の人たちはもう既に2回受けていると。しかも、それが平成19年から22年まで、この時点の人たちは97パーセント以上の97.3とか2とかこういうレベルで接種しておられます。従って、現在の6歳、7歳、8歳、9歳児の方々はまずは感染しない。まだ1回しか受けていない人が1歳児から5歳児までいるわけですが、これはほぼ100パーセントに近い状態です。接種されてるのが。したがって、また6歳になって接種されていけばほぼ100パーセントに近いかたちになっていきます。全国的にこのはしか、麻しんの発生状況を見ていくと25年レベルでは埼玉県も26件とか、26年27件ありましたが、27年以降は2件、8件、5件、6件というかたちで1桁になっております。ちょうどいわゆる平成19年(後に「平成18年度」に訂正)以降の人たちがどんどん増えれば増えるほど1桁になってきているというかたちになってきて、全国的には25年以降でも200件とか100何十件というかたちで起こってますので、所によっては95パーセントとかになってないところがあるということだというふうな認識です。それで、埼玉県での部分は沖縄由来の感染者は無い状態であります。したがって、沖縄県から何か感染したとか、愛知県から感染したというかたちにはなっていないということになります。愛知県は沖縄県から感染したという事例で済んでいるという状態です。したがって、問題はこれまでのかたちでは、非常にいい状態ですけれども、20代後半以上の人達。埼玉県の県民の中でも20代の後半から40代の世代については2回の予防接種を行っていなかったことがございますので、そういう意味では海外に行く人などは、そういう意味での注意をしていかなければいけないということになります。それから、既にもう医療機関などの対応については既に院内感染対策としてきちっと連絡・指導済みであります。今後も保育園の従事者とか医療関係従事者、海外渡航者などは念のために予防接種していただくことが望ましいということになりますので、保育園などの先生方は、保育士の方々は比較的若い方々が多いですので、もう既に2回接種された方々は多いと思いますが、若干そうでない人たちなどは念のために接種をしていくとかして、御自身が感染者にならないような努力をしておくと、子供たちは感染する可能性はないということになります。保育園などではですね。したがって、先生が感染される可能性が0ではありませんので、そういう方々がやはり感染の可能性がありますので是非やっていただくと。こういう事をやっていけば、今後も埼玉県的には流行というようなかたちにはなりにくいと思っていますので、なんとかいわゆる急速に何らかのかたちで感染が広がる(パンデミック)というかたちにはならないように関係機関の方々に関してはしっかりお願いしたいと思っています。
日経
ちょっと先の話で恐縮なんですけれども、6月に外環道が千葉県の方、繋がりますけれども、それによって今まで圏央道中心に企業立地等ですね、またアクセスが良くなるということで埼玉県として期待されるところというのはどんなところでしょうか。
知事
もちろん外環道は埼玉県のエリアのみでしか機能していなかったものが、千葉県側と繋がってまいりますので、また成田までのアクセスなどが格段に良くなります。それから、交通渋滞に関しても相当、湾岸に抜けるときの渋滞などが解消される可能性も出てきます。それから企業立地の部分についても、またさらに三郷などのインターチェンジ周辺とか、あるいは草加レベルなどでも千葉との距離感とかも考えていくと、相当有力になってきますので、色んな意味で経済的なメリットが高くなってくると思っています。
日経
埼玉県のポテンシャルもまた格段と上がるということですか。
知事
そうですね。千葉県も当然広がる、拡大されるというかたちになると思います。
日経
すみません、ちょっと話題が全然変わって恐縮なんですけれども、知事、今日70歳で古希を迎えられるということですけれども、県でもシニア活躍の推進だとか、70歳現役ということも発信されてますけども、それも踏まえて70歳になられた感想とですね、これからのお仕事の抱負というか意気込みみたいなものをお聞かせいただければ。
知事
1日ではよくわかりませんが、その違いは分かりませんけども、できるだけシニアの活躍とか人生二毛作の可能性とかを訴えている以上、いつまでも階段の2段飛びができるように努力したいなと思います。
NHK
新潟市で小学生の女の子がですね、殺害された上でJRの線路に遺棄されてたという事件が起きましたけれども、率直にこの事件の受け止めとですね、あとこの通学路の安全と言うのは防犯で再三言われてた中、こういう事件がどうしても起こってしまうという状況があるわけですけれど、今回の事件を受けて例えば改めて知事として見守りの推進強化とか、何か呼びかけるとかそういう事があれば教えていただけますでしょうか。
知事
とりわけ小学校レベルで脚力だとか腕力がないですので、いざ大人に連れ去られるというようなことは起こり得ると思いますので、通学路において人気の無いようなところだとか、危険だと思われるようなところは各小学校ごとに再度点検をしていただいて、見守り体制の有無、つまりあるかないかとか、どのレベルかどうかなども1度学校ごとに、学校長、責任者を中心にして点検をしていただくことが重要ではないかと思います。もとより小中学校は市町村の教育委員会ですので、私の方から「ああせい、こうせい」と言う話ではありませんが、県民の全ての人の生命や財産を心配する知事という立場からすると、是非、市町村教育委員会において学校長などに1度指示を出していただければありがたいなと思います。県の教育委員会を通じてどのようなかたちで関与というか、お願いをできるのか確認をした上で、1度総点検する必要があるのかなと思います。その上で例えば管轄の警察署ともまた相談をしたり、各管轄の警察署は民間の防犯パトロールの部隊の見回りのコースとかを大分掌握されてますので、場合によってはそういった非常に人気のないところなどで、そこが防犯の通路というか見回りのコースになってなかったりする可能性もありますので、そうした場合などはそれを加えていただくとか、時と場合によっては、特に帰宅時、学校からの下校時の時間などにやっていただいてるところもありますが、そうでないところもありますので、夜間中心のところもありますので、時と場合によっては下校時の見回りなどについて、どういう穴埋めができるかなども検討していただければありがたいなと思います。
NHK
一言だけで結構ですが、今回のこの痛ましい事件を受けた、聞いた率直な受け止めも一言お伺いできますか。この事件、新潟の事件を受けた受け止めと言う言い方があれかもしれませんけども、どのようにこう、女の子が犠牲になったということに関して…
知事
まだ詳しい事情はね、分からないので。何かよく心理的な話を聞くと、例えば小さい子供が若干親しくしかかってる大人との関係の中で、何かの危険を察知した時に慌てて逃げようとする時に、それでパニックになって襲うという話を読んだことがあります。心理的にですね。でも、子供が危険を察知して逃げるというのは当たり前の行為ですので、なかなか大人がどんな状態になるかなどを計算して動けなんてとても言えませんので、なかなかこれは難しい話ですので、やはりこういう事が今の時代は起こり得るということを前提に、やはりすべてのところに監視カメラというわけにもなかなかいきませんので、できるだけまとまって帰宅するとか、あるいは通学路、帰宅路などに何らかのかたちで見廻りの仕掛けができてるとかそういう事があるしかないなというように思います。村落共同体的なところでは、自然体で何となく共同体の中で見守りができてますけども、都市部では比較的そういうのが無いもので、人為的につくるしかないのかなと思っています。
産経
いじめの問題で、ちょっと戻ってしまうんですけども、亡くなった女子生徒のご両親が県に対して損害賠償請求を求めてると思うんですけど、これに関しての受け止めと今後の対応をちょっとどう考えているのか教えていただけると…
知事
まだ細かい内容そのものを、訴訟が起きているということは聞いておりますけども、お気持ちもよく分かります。先生たちがもっときちっと見守ることができてたら何とかなったんじゃないかとか、色んな思いが遺族にはあると思いますし、そういう思いを違いますよとは、なかなか軽々にこの場では言えません。もちろん学校側としては、最小限度できるようなことはしていたはずだと思います。こういう時代ですから教員の思いというか負担も重くて、困難な状況の中で色んなことをやってると思います。ただ、遺族がそう思われるのも分からないのではありませんので、それは厳粛に受け止めて、あとは裁判の結果を受け止めて判断するということになります。
埼玉
先週、札幌で行われました日中知事省長フォーラムの方に全国知事会長として参加されたと思うんですけども、どのような意見が出たでしょうか。
知事
基本的には中国側の来日される省長、もしくは代理省長のパートナー県、つまり姉妹省の知事さんたちが結集して、同等の数で意見交換をするという、こういう事が基本になっていました。人民対外友好協会の李小林会長が議長役、向こうが。日本側の議長役が知事会会長である私というかたちで、議事の進行をそれぞれ進めるというかたちをとっておりまして、基本的なテーマは防災、観光。向こうも四川地震だとか大きい地震とかもありましたし、日本も東日本大震災だとか熊本震災(地震)だとかでお互いに協力などをしておりますので、こういった部分についてのネットワークだとか協力関係の仕組みづくりをやりましょうとか、観光についてもお互いに丁寧な交流をしましょうと。そういったところを主な議論になりました。ただ、正直言って李克強国務院総理とそれに対して出迎えもなされた安倍総理などにも来賓として挨拶をお願いしたりした経過もありましたので、とりわけ李克強国務院総理は力が入ってまして、5分の挨拶が15分を超えるような挨拶になりまして、基本的に時間不足だったかなというようなのが少し今回のフォーラムの課題でありました。7人の皆さんが事例を発表しながら、それから意見交換というかたちですので数も多いので、今後、事前にどれだけ資料提供などを行って最小限度の部分で集約していくかというようなことなどを工夫が必要だなというようなことを感じました。知事省長フォーラムよりも李克強首相の北海道視察がメインになったような感じかなというふうな、何か我々の方をだしに使われたかなという感じが無きにしも非ずという感じでした。
(終)
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