平成29年 > 知事記者会見テキスト版 平成29年12月26日
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掲載日:2021年4月1日
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知事
今日は埼玉県が選んだ県内の10大ニュースを発表させていただき、本年の記者会見の締めくくりにさせていただきたいと思います。なんかクイズみたいで恐縮ですが、順次開いていきたいと思います。10番目、浦和レッズがまさに最後の段階で10年ぶりにアジアチャンピオンズリーグを制覇しました。ギリギリ間に合ったということで、ギリギリの10番目とさせていただきました。9番目、なんといっても、県は、この新5カ年計画「希望・活躍・うるおいの埼玉」を3月に策定しまして、これから5年間、全てこれが規定してる訳ではありませんが、この県議会にも御理解、御了承をいただいた計画に沿って、丁寧に実現していくプロセスがありますので、これを挙げさせていただきました。8番目、熊谷で全国ご当地うどんサミットが開催されました。これは、開催地は3年連続やるということですので、本年、そして来年、再来年と、3年間熊谷で全国ご当地うどんサミットをやることで、改めて埼玉県が全国屈指、香川県に次いで2番目のうどんの生産量、また消費地であることもアピールしたいと考えております。7番目、桐生選手が陸上男子100メートルで日本人初の9秒台を実現しました。川越の東洋大学のグラウンドでいつも練習をされておられます。本県とゆかりの深い選手であります。まさに「ジェット桐生」というあだ名のとおり、大変な偉業を成し遂げていただきまして、非常に素晴らしい出来事だったと思っております。6番目、県内で地域間相互交流が進み始めました。和光市と小川町・東秩父村・寄居町、東上線沿線の沿線関連の市と町がまさに都市と比較的地方、こういう関係の中で、連携事業が進み始めました。杉戸町と神川町、朝霞市と越生町というかたちで、このように地域間の動きが活発に出てまいりました。これに続いて他のエリアでも検討が進められてると聞いております。県内でこうした都市と農村、あるいは、都市と地方という関係の中で、色々な枠組みができるのもいい動きだと思っております。5番目、圏央道の茨城県区間が全線開通いたしました。片側一車線という限界がありますが、まずは成田までつないだ、ということで、画期的なものであります。埼玉県から成田空港へ、いわゆる湾岸ラインから、また圏央道ラインと2つの道ができました。この片側一車線で、両面二車線ということですので、色々な限界があることも承知ですが、改めてつなぐことの意義を重点化させたということで、片側一車線の事故の場合の渋滞とか、そういったものを解消するために、政府も財投資金を使って、この圏央道の複線化については、早急に取り組むことが事実上決定しておりますので、今後、片側二車線で両面四車線の区間が整備されていくことを望んでいるところです。4番目、何と言っても2019年のラグビーワールドカップ2019の試合日程が決定され、熊谷で3試合行われることが決まりました。徐々にこのラグビーワールドカップ、アジアで初めて、日本で初めてという、このすばらしい大会をしっかりと受け止めて、現在熊谷では、新ラグビー場が建設中であります。こうした動きを2020年の東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、しっかりと前哨戦として位置付けて、おもてなしをはじめ、様々な準備を進めていきたいと考えております。3番目、東京2020オリンピック・パラリンピック、2020年に向けて、事前トレーニングキャンプ地が続々と決定しております。新座市のブラジル、所沢市のイタリア、鶴ヶ島市のミャンマー、そして既に決定しました、ブータンの寄居町、オランダのさいたま市と。タイで最多の(後に削除)トレーニングキャンプ地が埼玉で続々と決まってまいりました。こうしたそれぞれの地域で、海外の皆様との交流を通じ、東京2020の準備とレガシーづくりに、いそしんでいただきたいと思っております。2番目です。最後はドラマ「陸王」で特大ヒットになりましたが、行田市の足袋が大ブレイクいたしました。日本遺産認定に続いて、秋口から年末にかけてドラマ「陸王」が大ヒットいたしました。これを入れるべきだろうということで、第2位に入れさせていただきました。行田市も様々な観光資源があるところですが、さらにこの足袋蔵をはじめ、ドラマの舞台になった忍城、あるいは埼玉古墳群また古代蓮会館など、その資源を生かして、いわゆる埼玉のビックコースであります川越・長瀞・秩父に勝るとも劣らない観光地を今後展開していただきたいと期待しているところであります。1番目、やはり夏の甲子園で深紅の大優勝旗を持ち帰りました花咲徳栄高校の初優勝。春の選抜では2度優勝したり、あるいはまた決勝戦まで、いいところまで埼玉県勢いっていたんですが、最後で敗れておりましたが、この花咲徳栄高校が文句なしの勝ちっぷりで初優勝できたということは、非常に埼玉県民としても夏の暑い時期に、ある意味では夏疲れを吹っ飛ばすような気持ちのいいニュースになりました。今後、花咲徳栄高校に勝るとも劣らない強豪チームが埼玉県内にいるわけですから、まさに常勝チームとして、埼玉県勢が甲子園を沸かしていただきたいと心から願っているところです。以上、平成29年の埼玉県が選んだ埼玉県10大ニュースということで発表させていただきました。
知事
今年の漢字をどう表すかということで、私は「動」にしました。理由は直近のアメリカ・トランプ大統領のイスラエル大使館移転の動き、まさにアラブの世界と、またイスラエルの対立などを、イスラム対キリスト教という対立を煽ることになる可能性もありますし、迷路にはまってきているのかなと。米朝関係、北朝鮮の動き、またロシア、中国が、あえて覇権主義を隠さないという動きでも世界各地でのトラブル、また比較的安定したEUの世界でもドイツのメルケル首班がなかなか定まらない状況なども含め、色々な意味で世界の政治が動乱気味であると、乱調気味であるという、こういう意味もあります。一方で、埼玉県にはいい動きが出てきております。10大ニュースにも出ました行田の足袋蔵の日本遺産からスタートして「陸王」というテレビドラマの大ヒットで行田市の大ブレイク、あるいは圏央道がより完成度の高いかたちになることによって、埼玉県の立地がさらに高まっていること、また県内での地域間交流で、まさに地域の活性化の動きが進んでいることなど、埼玉県にはいい動きが出ていること。スポーツの運動の「動」に関しても、先程申し上げました花咲徳栄高校の優勝、オリンピック・パラリンピックに向けての準備、キャンプ地などの決定、ラグビーワールドカップのこれからの盛り上がり、また浦和レッズが10年ぶりのアジアチャンピンズリーグでの優勝と。こうしたスポーツ・運動の部分でいい動きが出てると。世界的には動乱の時代でもあります。しかし、一方では埼玉県ではいい動きが出てるということで、この「動」という字に今年を象徴させていただきました。以上でございます。
産経
県内の10大ニュース、様々な出来事があったと思うのですけれども、今年の1位に花咲徳栄高校を選ばれた理由を改めて教えてください。
知事
やはり長い時間をかけ、埼玉大会で優勝し、花の甲子園で激闘を重ねて、しかもその激闘の部分は全国民がテレビや新聞を通じて、観戦するという、そういう意味での影響力の大きさというのが、この甲子園はビッグイベントなのかなと思っております。とりわけ埼玉県にとってみると、春の選抜では優勝の経験がありますが、なぜか夏の甲子園では決勝戦で敗れるという大変残念な結果で終わっておりましたので、これをやっと突破できたという意味で、やはり花咲徳栄の功績は大きいと。また県民に対するインパクトが大きかったと。このように思って、トップに挙げさせていただきました。
産経
先日、厚生労働省の発表で10万人当たりの医師数が前回に続いて全国で最下位という結果だったのですが、知事の御所見を教えていただけますか。
知事
基本的には構造上の課題がございます。厚労省が認めて、ベッドを置く病床規制というものがあって、ベッドの数が対人口比の中で低く抑えられていると。例えば、一番いい徳島県と比べると2分の1の比率になっているという。こういう枠組みで非常に埼玉県は損をしてると。例えば、人口の数に合わせて、ベッドの数を増やすということが可能になれば、非常に医療ニーズの高いところですから、病院等で病床を増やすという動き、つまり病床を増やせばそれに合わせて、医師をあちこちから集めるということになってきますので、そういう意味での対人口比における医師の数が、増やすことも可能なのかもしませんが、一朝一夕にはそれはできないという構造上の問題が一つあります。もう一つは、単に人口比だけで医師の不足感というものを出していいのかどうかという、数字上のトリックもあります。例えば、埼玉県の医師の数は全国で9番目に多いと。交通事故死など、常にワースト5くらいに入る埼玉県ですが、対人口比でいくと毎年4位ぐらいで少ないという。この交通事故はグロスで発表されて、対人口比では全然発表されないと。一方、医師の数だけはグロスで全く発表されないと。埼玉県が、医師の数が全国で9番目だということを、あまり知っている人は少ないと。対人口比で一番少ないということだけがアピールされていると。こういう数字のトリックがございます。もう一つ、これ地理上の関係もあるんですが、100万人の方々が通勤して、現状では軽い風邪や軽い病気などは勤務先周辺で治療もされているということもあり、また、都県境の方々が都内の病院に通ったり、あるいは治療されたりという、こういう課題もあって、医療圏という枠組みの中で見ていくと、必ずしも埼玉だけで見る必要はないという、こういう要件があります。では、現状はどうなってきているのかというと、埼玉県は日本で最もこういう対人口比で少ないという現状も含め、むしろ一番問題なのは、医療のネットワークが完全にできているかどうか。つまり、どういうことかというと、医師の偏在がないかどうか。あるいは、地域的偏在がないかどうか。こういうのが、むしろきちっと解消すべき課題であって、対人口比の医師の数だけが課題になってはいけないと思っています。医師の数だけは無茶苦茶多いけれども、地域偏在が高いとか、あるいはまた診療科の偏在が甚だしいと。こういうことになってはいけないわけでありまして、現在日本中で小児科が不足しているとか、周産期が脆弱であるとか、救命救急が大変だとか。この3つが非常に大変で、それと医療過疎地もあるという。この課題を埼玉県が確実にこなしているかどうかが、やはり問われるべきだと思っております。実はこの部分で、徐々に埼玉県はその部分を減らしてきていると思っております。例えば、救急科の増では36人増で全国1位と。小児科の方も27人増で全国3位と。これは愛知、大阪に次いでいると。あるいは、外科医も減少している中で全国4位で増えている。あるいは呼吸器内科、これも困難な手術(につながること)などが多いわけですが、これも全国で3位と。いわゆる困難なところで、確実に埼玉県は全国最上位で増やしてきていると。それから、いわゆる初期研修医の数の部分も、この5年間の中でも、最も倍率、それから数ともに全国1位で増やしていると。したがいまして、こうした研修医の方々が当然、奨学金をもらって9年間拘束されるわけでありますが、いわゆる過疎、医療過疎と言われるところを重点的に行っていただき、カバーをしていただくということで、いわゆる医療過疎地域についても、今後埼玉県は、それがカバーできるような態勢に、よりなりつつあるということで、俗に言う診療地域の偏在、それから診療科の偏在などについて埼玉県は徐々にカバーしつつあるという、まさにいい動きをつくっているわけでありますので、こちらの方で課題があれば、もう我々は本当に腹切りものの世界だと思いますが、いい傾向が今出てきているということで、県民の皆様方に今しばらく救命救急についても、厳しい部門もあったり、あるいは医療過疎の部分でやや厳しいところも無きにしも非ずですが、傾向としてはそれをカバーしつつあるということについて御理解いただければ、私はこの全国の対人口比を意識してもしょうがないと。極端なことを言えば、600万人ぐらいの中での何位だという世界で計算していけば、最下位というかたちには、もとよりならないわけであるんですけど、たまたま数字のトリックで730万、特に住民基本台帳でいくと毎年毎年調査時点よりも人口が増えていくわけですから。逆に減っていく県の方が圧倒的に多いわけですから。そういう点でも、この乖離というのは出てくる。これは、ちょっと数字上はつらい部分があると。むしろ、この数字上のトリックの部分はやはり追っかけないで、実質的に困難なところをどうカバーするかということに重点化しているつもりでもありますし、また重点化したものが徐々に結んできている、実現しているという事に、私たちは一種の誇りというか充足感を持っていきたいと思っています。もとより、これで満足しているわけでは全くありませんので、この辺は誤解のないようにと思っております。
産経
数字のトリックでは最下位ということなんですけど、その実感として医師というのは知事としても、やっぱりちょっと不足しているかなとか、その辺は…
知事
地域によって。人口の多いところは病院の数も多く、それこそ県庁に行っている裏通り見れば診療所というのはもう本当に角々にあるぐらいあるわけですね。これが、人口の少ないところに行くと、極めて少なくなってくると。どうしても医療ニーズと人口というのは絡んできますので、どうしても過疎地ができやすい。それから、困難な治療の方は、医療に係る訴訟などもございますので、そういったところを避ける傾向があるので、小児、周産期あるいは救命救急といったようなところは、あるいは外科とか、特に外科の中でも腹部だとか胸部だとか命にかかわるようなところなどの部分がどうしても薄くなってくると。幸い埼玉県はそういったところが全国でベスト3ぐらいに、1位、2位、3位というかたちで増えているので、重点化したかたちでの要請が功を奏してきていると、こんなふうに思っているところです。
朝日
今の話の関連で、救急で救急車から病院に電話を掛ける回数で、4回以上つながるまでにかかった割合が、県の5か年計画でも指標にされていますけれども、全国的に見ると非常に低いところにあるわけですね。それはやはり、いわゆるたらい回しということにもつながるわけで、県民から見ると不安な要素ではないかなと思うのですが…
知事
厳密な意味で、たらい回すというのはできないことになっているんですが、4回までに必ず受けられるようなルールを作ってはいます。それから絶対断らない病院も決めております、地域地域で。しかし、それでも瞬間的に受けられない状況ができたりする時があります。そうすると、今度は5回目があったということで、4回ではないではないかとか、絶対受け入れると言っていたではないかと言っても、たまたま受け入れる体制の中で最後に受け入れた部分で埋まってしまったと。こういう事態はゼロではありません。あります。しかし、これもその回数がどれだけ減ってきているかというところで評価していただかないと、それを目指している訳ですけれども、ゼロにはなっていません、残念ながら。ただ、限りなくゼロに近づいているということも事実だと思っています。それぞれ指定病院、それから4回までに何とか受け入れる体制をつくる郡市医師会などのルール作りの中で徐々に解消されて、かつては30回とか、10数回とかという世界はもう解消されていると。これから、ルールが間違いなく実現できるだけの幅ができることが一番だと思っています。もう一つは、搬送の段階、あるいはその搬送すべき判断、こういったところのルールがまだまだ全部、趣旨の徹底ができないようなところもあるやに聞いております。本来ならば、救急病院ではない世界にもかかわらず救急病院の方に運ばれてしまうとか、そうするとそこで埋まることによって、本当に必要な人がそこに行けなくなるとか。これもまた、搬送するときの方々の技術力だとか、タブレットが全部の救急車の中に入って、最寄りの病院等の空き状況だとか分かるようになってはいるのですが、反面、本当に緊急なのかどうかということもいろんな判断があると思いますので、これもまた病院側と救急対応の消防局などと丁寧な積み重ねが必要だと思っています。一朝一夕にはできないと思いますが、これも蓄積だと思います。
NHK
冒頭の埼玉県10大ニュースも踏まえてということで、来年の展望というか抱負というか伺いたいんですけど、いいニュースがたくさんあった今年1年の県内だと思うんですが、それを踏まえて一方で見えてきた、この1年見てて、知事が御覧になって、こういう点をもっと県としては取り組んでいかなくてはいけないとか、力入れていかなくてはいけないと。来年は特にこういう点をより強化していって、こういう年にしたいと。ちょっと来年の展望をお伺いできればと思います。
知事
この「動」の部分のマイナスの部分と重なる部分があるのですが、政治的な動乱が国際政治の場面ではあります。そして、グローバルな経済社会になればなるほど富める国と富めない国、これもかつては先進国が余裕があって、南北問題というかたちで北が南を支援するという仕掛けが極めて正道、正しい道として評価をされていた時代があるのですが、国内の南北問題を抱えて、最近は世界の南北問題を取り扱うことができるような余裕のある先進国が少なくなってきている、こういう問題があります。日本国内においても、そういう意味での南北問題が大きく生じてきている。基本的には、渋沢栄一翁が看破されていたように、資本主義というのは利益を出すために頑張らなくてはいけないと。一方では、この利益を出して一人占めしてはいけないと。これを正しく再分配することで、また新しい富が生じるんだと。まさに論語とそろばんは、そういう意味で言っておられたわけですね。そろばん勘定が必要で、富まなくてはいけないと。しかし、富む人たちは常に再分配をしながら、新しく富む人たちを増やしていくんだと。それがまた貧富の差を広げるので、この富めない人たちに対する再分配をして、更に新しいこの動きをつくるんだと。こういう渋沢栄一翁が言われて、日本の場合、比較的強欲資本主義ということが育たなかったのも、渋沢栄一翁の哲学というのが日本の経済社会の中にある程度ビルトインされていたものだと私は理解しています。ただ、残念ながらというか最近のグローバル経済というのは、こうしたその論語とそろばんの部分を飲み込むような、大きな動きがつくられてきて、富める人は益々富むと。世界的にそうだと。日本でもそういう傾向が強くなってきて、まさに、埼玉県が展開しました生活保護の子供たちが、また生活保護になるという。その原因はどこにあるんだということで、教育にありということで、教育の学習支援をやることで、かなりの成果を上げたりして、これが法律になったりしたわけですけども、国も取り上げていただいて、しかし、現実は、それを超えるような動きの中で、現実には貧富の差が広がって、1980年(代の中頃)ぐらいには、金融資産ゼロという方々は二人以上の世帯の中では3パーセント。今33パーセント(後に「約31パーセント」に訂正)がこの二人以上の世帯の中で金融資産ゼロと。そういう世界になっているということも、もうその証左であると私思っておりますが、こうしたことが私はやっぱり正道でないと思っていますので、埼玉県は、微力ですけれども、正道に戻していくという。正しい道を行うということを、色々な局面でやっていきたい。またやらなければならないと。どこかがやるのであれば、埼玉県が率先してやりましょうと。先程の医師のこともそうであります。病床規制という枠があってその限界はあるんですが、むちゃくちゃ奨学金を用意することで、この奨学金で医師として自立した人たちを、家は貧しくて中々医学部なんかとても行けないけど、埼玉県が用意した奨学金の枠であれば何とかなるということで手を挙げていただいて、そのかわり9年間地域医療に行かなくてはいけないということで、場合によって秩父にと。場合によっては加須に、とか。そういうかたちの中で、カバーをしていただくと。まさに私は正道だと思ってます。貧しくて医学部に行けない人たちにチャンスを与える。チャンスを与えられた人は鶴の恩返しではないけれども、やはりそれを返すためにこの医療過疎の所に行って働いていただく。こういうことを、繰り返していただきながら、正道に戻すと言うんですか。そういうことが大事だと思っていますし、先般17人の医学生1年生、奨学金で入学された1年生の皆さんが表敬訪問されて、嬉しい事に、皆さんの希望が全部救命救急と、小児と周産期。弱いところを助けたいと言っておられました。将来にわたって、その気持ちが続くことを期待してるんですけど。途中で心変わりがないようにしてもらいたいところですけれども、でもそういう志というのは大変ありがたいなと思っています。奨学金の枠というのはそういう意味では、なかなかいい制度だなと思ってます。そういう何か世の中に欠けているものをきちっと正す。そういうことをやはり政治や行政がやることで、ひとつひとつ信頼が取り戻されるのではないかなと思っておりますので、強いて言えば、困難な課題多いですけども、埼玉県は率先して、テクニカルに走ることなく、10年単位とかで、形が見えるような、そういうものを作っていきたいという思いを持ってますね。世の中乱れれば乱れるほど、ついテクニカルに動きたくなりますが、ちょっと我慢して、真っ直ぐ行くと。こういうふうに思います。
埼玉
民進党の党の改革についてお伺いしたいんですけども、新党移行か、党名変更か、現状維持という3案の改革案が出されてますけども、一方で案の絞り込みを見送るという報道もありましたけれども、知事はこの一連の流れをどう見てらっしゃるんでしょうか。
知事
ずっと丁寧に追いかけてないんで、的確なコメントになれるかどうか自信がないとこですが、要は何でもそうですが、何のために政党があるのかと。政党のために政党があるわけではないので。目的を持ってるわけですよね。より良い政治を実現するとか、より民意を代表するとか、よりレベルの高い政策を提示して国民に選択してもらうとか。そういう幾つかの条件を、整理していけば、ある程度答えが出てきて、それを堂々と主張してる所が最後は強くなると。自分の党のことだけを考えていれば、徐々に弱くなると。身を捨ててる人たちが強くなると。最後は、そういうことではないかなと思っています。最後はやはり正論というか、正道が勝つんじゃないですか。正しい道をやる人が。何のことが今必要なんだと。とりわけ今政権政党として自公連立政権がある意味ではしっかりやっておられる。しかし、やはり欠けてるところもあるわけで、何が欠けているのかと。例えば、無償化の動きの中でなぜ無償化なのかという議論がなされてるかと。幼児教育無償化、私、大いに疑問を持っています。無償で嫌がる人はいないでしょう。バンザイと言うでしょう。でもよく考えてごらんなさいと。幼児教育の基本は何ですかと。例えば、小学校に入るまでに何を学んでおくべきなのかと。ここの議論が必要ですよね。とりわけ欧米なんかの研究で非認知スキルと言われてますよね。要は、考える力だとか耐える力だとか、協調する力だとか、やり抜く力だとか。単に知識が多いということじゃなくて、生きる力というのが必要なんだということをいろんな統計上出てきてるわけですよね。それが本当に共通のものになっているかどうか。保育所でも認定こども園でも幼稚園でも。事実上無償化ということは事実上義務教育ですから。事実上の義務教育というのは一定水準はレベルを合わせないといけないわけでしょう。一方はバラックみたいな保育所。一方はきれいにした保育所。一方はわけのわからない状態の設備だとか、一方はきちっとした設備だと。それはおかしいですねという話になってくると思いますよね。では、どういう基準できちっとしないと本当に無償化にはなりませんよと水準を示しながら、全部を高めるとか、そういう議論何も無いじゃないですか。保育士の数も足りないと。では、保育士が増えればいいのかというのではなくて、レベルの高い保育士や幼稚園教諭みたいな人たちを育てるためにはどうしたらいいのかとか。そのためには、無償化が少しくらい遅れても構わないわけでしょう。一定程度の時間を経て完全無償化すると。整ったところから無償化すると言えば、皆さん必死になって整えますよね。そういうことの議論がされてない。万能じゃないわけですよ。自公政権だってね。そのために野党があるわけですから。競争できるような政策の提示ができるのかどうか。そういうものが、党の再建だとか言ってばかりで、肝心要のことは言えてないんじゃないかなと。私はそういう意味での不満はありますね。だから何のためにあるの、というところに戻れば、結構答えが出てくる。まあ中にいると分からないんだよね。外にいるもんで、見えたりするんだけども。だから我々も注意しなくちゃいけないんですけど。県庁の中にいたり、県政の中でやってると見えない部分があるんで、注意をしなくてはいけないと思ってます。
埼玉
全国知事会長を務める京都府の山田知事が4期目の任期満了に伴う来年春の知事選には出馬しないと表明されました。全国知事会の副会長を務めていらっしゃる知事の受け止めと、知事会長の後任にはどのような方がふさわしいと思われるかというところをお聞かせ願えますでしょうか。
知事
とにかく知事会は、東京対その他、東京・愛知・大阪対その他、10大都市圏の都道府県対その他、そして47それぞれが利害を持っているという、大変難しい、基本的な対立の構造があります。だから、まとめることが重要です。みんなの話を聞いてまとめなくちゃいけない。しかし、みんなの話を聞いて、全てをまとめようとすると、尖ったものは何も出ないと。したがって、なかなか対政府交渉などで弱くなると。その頃合いの測り方が難しいですよね。それと地方六団体、市長会あるいは町村会、また都道府県議長会、市議長会、町村議長会のトップリーダー格。トップリーダーとは言いませんが、格であることは間違いないと思っておりますので、そういう意味でも六団体全体も目配りもしないといけないということで、大変忙しい。また、目を配らなくてはいけないということで、重要な役割を果たすと思っています。山田会長は、その時折の問題について、必要な関係の知事さん達とWeb会議が多いわけですけれども、常に事前に議論をして、全体会議をやる前に、大方の意向というのを確認して、いわば落下点がどの辺にあるのかなと。ボールを見ながら走っていったらひっくり返りますよね。だから落下点がどの辺かということを見ながらさっと走って前向きにボールを捕えないとだめですよね。そういう動きがよくされた方で、大変すばらしいリーダーシップを発揮されたと思っております。それと同じようなことを、Web会議で皆さん見ていますので、そういうWeb会議に御参加された方々は自ずから、リーダー像というのがどんなものかというのも学んでおられるので、これからの知事会の在り方に関しては、非常にいいのではないかなと思っています。
時事
先週政府の来年度予算案がまとまりました。中身についての評価をお聞かせください。
知事
多くの部分で、地方重視だとか、人に対する予算付けとか、そういうものに対する考え方は、高く評価したいと思っています。ただ先程も若干触れましたように、何のためかというところが十分議論されてないままに幼児教育の無償化あるいは高校の無償化等、十分この与野党でもそうだし、与党間でも、そうでありますし、若干現実に予算措置を取る時に、時期的なズレとかもあるやにも聞いてますので、その間に議論をするのかもしれませんが、やはり大事なことは、政策目標を達成するためにきちっとした理念とプロセスが重要だと思っています。一見大きな金が出て無償だなんて言うと、瞬間的に私たちは喜びます。でも、瞬間的に喜んだだけでは、ダメだと思っています。中身はどうなるの、というところを見ないと。スーパーで安ければ、皆買ってるかというとそうでもないと思います。値段と中身をチェックしてると思います。安いだけでは皆買うと思いません。念のために、品物を触るなり見るなりして、買い求められると思います。そういうことが大事ではないかなと思います。
(終)
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