平成29年 > 知事記者会見テキスト版 平成29年5月10日
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掲載日:2024年3月28日
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カスリーン台風から70年 次の大洪水に備える!について(PDF:944KB)
知事
カスリーン台風から70年で、たまたま第66回の利根川水系連合の総合水防演習がありますので、あえてカスリーン台風から70年ということで、改めて県民の皆様に水防の重要性について御理解を賜りたいということで。水防の重要性についての御報告を申し上げたいと思います。
まず、昭和22年にカスリーン台風による利根川、今の加須市、旧大利根町で決壊をしました。約350mの部分が決壊しまして、さいたま市の2倍分くらいの面積の部分が水に浸りまして、5日目ぐらいに東京都に達するような被害で死者1000人という大変大きな被害をもたらしています。もし、現在同じようなかたちで起こったら、被害総額は34兆円にのぼると推定されております。そして、当時のカスリーン台風の後に、地元の村長や荒川上流事務所(後に「利根川上流河川事務所」に訂正)の所長さんたちが石碑を立てております。戦争の喧騒の中で、治水を怠ったためにこんなことになったと。したがって、後世の人たちに関してはしっかりと治水を怠らないように、整備していただきたいという趣旨の石碑が立っております。この後ろのほうに、そういう文言が出ておるところです。そこで、毎年このことを意識して、水防技術の向上や、水防体制の充実また地域住民の防災意識の向上のために、利根川沿川の各市町村を中心に水防訓練をやっているところですが、今年もちょうど加須市カスリーン公園、つまり決壊した跡地の周辺で、国土交通省、埼玉県、加須市が主催。そして、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県、東京都、神奈川県関係都県が共催というかたちで合同の演習を行います。水防訓練、基本的に堤防が決壊しそうなときにそれをブロックするための水防団がどんなかたちで動くのかというような実技、あるいはボランティアで地元の人たちがどんなかたちで支援をするのかとか、地元の中学生などの皆さんたちも見学をしたりして、水防の訓練状況などを見ていただく。また、地元住民の避難訓練などもやっていただく。具体的に、ヘリを使ったりしながら救出であるとか、あるいは救護活動などを行ったりいたします。
利根川のことについて、改めて県民の皆様に知っていただきたいことがございます。利根川は典型的な天井川で、この堤防の高さが約20mで、川の水面の一番底が10mぐらいで、実はこの川の一番低いところよりも主だった市や町が低いという実態があります。つまり、利根川よりも下を東北本線や東武日光線や東北新幹線や国道4号が通っておりまして、そして一番高い栗橋とか幸手市あたりが7mぐらいで春日部あたりにくると4mで、越谷あたりが3m、草加2m、八潮2m1mというかたちで江戸川区が0mというかたちになっておりますので、この利根川の堤防が仮に決壊すると、ほとんどの東部地区のエリアの人たちが、水浸しになるということが考えられるということであります。この利根川沿川の地域の断面図がこのようになっていることも県民の皆様に御理解いただきたいと思っているところです。
また一方で、この利根川のみならず頻発するゲリラ豪雨と言われる豪雨に対して、埼玉県下の川の中でもいろいろな被害が出ております。一昨年の越谷市の新方川、昨年の不老川といったところで河川が氾濫しています。基本的にはこうした新方川に代表されるかたちの堤防をかさ上げして、一昨年並みの豪雨はカバーできるような仕掛けを早速昨年度29年度(後に「28年度」に訂正)の予算でかさ上げをしたところであります。それから、新芝川などカーブしているところなど、道路がえぐられて弱いところがあるので、こういうところにはコンクリートの側面を打ち込んで、えぐられないようにしていくとか。そういう河川の性質に応じて強化工事をやっております。あるいは、不老川に代表されるかたちで、床上浸水の被害などがあった場合などを考えながら、本来の調節池の役割以上に、豪雨などがあったときには、(市街地に降った雨水を)河川に流さずに調節池に一旦入れて、できるだけ河川に入れないで、カバーするという仕掛けをさせていただいているところでもあります。このようなかたちで、利根川の危険リスクについてもやっておりますが、集中豪雨、ゲリラ豪雨と言われるような部分における埼玉県下の河川の中で弱いようなところについても、様々なかたちでの緊急治水対策をやっているところでございます。
また、ハード以外のソフトの部分でも、例えば河川監視カメラなどホームページでも公開をするようにしているところでございます。現在20か所に設置しているところですが、さらに29年度は10か所増やして、ホームページ等で自分の近くの川がどういう状況か見ることができると。どういう役割を果たすかと申し上げれば場合によっては避難警報(後に「避難情報」に訂正)が出ます。しかし、避難警報(後に「避難情報」に訂正)が出て準備をするよりは、場合によってはどうも危ないなと思ったときに、避難警報(後に「避難情報」に訂正)が出る前に心の準備と最小限度の衣類だとか、水だとか、あるいは家屋が浸水するかもしれないことを前提に、大事なものを2階に上げておくとか。そういう準備もできると。各家庭で。具体的に避難勧告があった場合には、速やかに避難の指示に従って出ることができると。同じように、川の防災情報メールも作っておりますので、知りたい場所があれば、新方川なんだけど、どうなっているかと言ったら、そのメールで知ることができると。また、さらに最近、集中豪雨、ゲリラ豪雨がありますので、仮に飯能河原でバーベキューや水遊びやっていても、こちらの方は晴れている、日が少し陰ってきたと。だけど、実はもう山の奥の方では大雨が降っているというがありますので、いわゆる大雨注意報などをスピーカーや電光掲示板でお知らせをすることをやっているところでありますが、(今年の)6月に4か所運用開始をいたしまして、さらに14か所29年度中に整備をして、河川で遊んでいる、楽しんでいる人に対して、念のために、避難勧告をはじめ、大雨注意報、あるいは、その他のことについての注意報をスピーカーで流すということもやっているところであります。いずれにしてもハード、ソフト両方から河川災害から県民の生命、財産を守るということをやっているところです。以上、カスリーン台風70周年を期して、本県が中心になって水防訓練の場所がちょうど70年前の昭和22年に決壊した場所を中心に水防訓練演習ございますので、この機会に改めて埼玉県の利根川並びに河川、また関連するソフト事業について、御報告いたしました。
テレ玉
川の防災情報メールですが、現在はどのくらいの方が利用・登録されているのでしょうか。
知事
登録は2,530人でございます。
テレ玉
こちらの2,530人を知事は多いと捉えていらっしゃるのか、少ないと捉えていらっしゃるのか。
知事
少ないと思っています。
テレ玉
では、今後利用者を増やすためにどういったことをされていかれるのか。
知事
当然今こうして記者発表させていただいて、ソフトの部分でやっていることを県民の皆様にお知らせをし、今後も一過性に終わらずに、何か事件があるたびに、こういうソフトもありますよということを報告しながら、登録される方々、あるいは今後、登録していないけれども、アクセスされる方々を増やしたいと思っています。
テレ玉
今月3日、安倍総理大臣が、憲法改正について2020年の施行を目指す方針を示しました。9条に自衛隊の存在を明記する文言の追加や、高等教育までの教育無償化などを提案しましたが、憲法改正について、上田知事の考えをお聞かせください。
知事
かねてからの私の持論ですが、憲法を素直に読めば、特に9条などでは、陸海空の戦力はこれを持たないと、保持しないと。そいうことを、素直に中学3年生が読めば、自衛隊の存在はなくなってしまいますので。これは明らかに憲法の条文と実態があまりにも乖離していると。したがいまして、しっかりと自衛力は自然権として個人としても、国家としてもありますので、そうした自衛権を持つことについて、憲法に明記したほうがいい。その自衛権の中でも自衛隊の存在についても明記したほうがいいと思っております。ただ、御案内のとおり、すべての国々がこうした自衛権を持っているわけですけれども、疑心暗鬼のなかで偶発的な戦争などが起こっていることも、やはり歴史の事実でもありますので、例えば日本国憲法においては、絶対に侵略戦争は放棄するとか、そういった文を明記するとか、外に向かっては、しっかり自らの手で外に向かって攻めるとか、そういうことではなく、自衛のために、しっかり国力を、あるいは自衛力を持つということを明記するようなことをやっていただければ、ありがたいと思っています。これも、3分の2の勢力があるからとか、ないからとかではなく、やはり各政党の代表者さんたちの英知を尽くして国民の総意というものがどこにあるのか、このへんも踏まえて熟議、熟論の中で比較的大多数の方々が賛同できる、3分の2とかではなく、極端なことを言えば7~8割ぐらいの人たちがそういう条文だったらいいねと。あるいは、そういう内容であればいいね、ということが重要ではないかと思っています。
テレ玉
教育の無償化の点では、どのようなお考えでしょうか。
知事
義務教育は、これは無償でするということが明記されて小・中学校においては無償でありますが、実際高校においても実態的には、ほぼ無償化に近づいています。所得の高い層を除けば、大方9割ぐらいの方々が実質的に無償に近づいていると。こういう実態がありますので、こうした部分を踏まえて実質的に教育委の無償化について、まさに政党間できちっと議論していただければ、ありがたいというふうに思います。とりわけ、若者の貧困化というような、この貧困の連鎖が教育によるものだということが一定の割合である以上、こうした部分についても理解を進めていただきたいと思います。
テレ玉
熟議、熟論をというお話がありましたが、2020年の施行を目指すと、期限を区切ったことに関して、どのように評価していますか。
知事
議論を進めるうえで、まったくおしりがないと進まない部分がありますので、そういう意味での期限を区切られたということは、別に問題ないと思います。じゃあ、それまでに絶対やらなきゃならないのかということとは、また別問題だと思います。
テレ玉
先月、50歳まで一度も結婚をしたことのない人の割合を示す「生涯未婚率」は、一昨年、男性が23.37%、女性は14.06%でこれまでで最も高くなったことが国の調査で分かりました。
このうち、埼玉県は男性が全国8位の高さとなっています。
県は結婚支援の施策などを行っていますが、この結果をどのように受け止めていますか。また、今後どのような対策を行っていくか、ご所見をお聞かせください。
知事
基本的には、全国的な生涯未婚率が高まっていることを残念に思っております。少子化対策ということで言えば、多くの方々が結婚する、しないは個人の自由でありますが、国力とか地域社会の健全な形成ということで言えば、しっかりしたコミュニティを作っていくに当たっては、しっかりした家族が形成されていくということは望ましいというふうに思っておりますので、そういう意味では残念だと思っています。その原因がどこにあるかということについて、学者的には色々なことを言えるかもしれませんが、行政的にこれですということを断定的に言うことは辛いところですが、例えば統計上明らかになっていることは、非正規の雇用者は結婚の確率は低いとか。これは統計上出ております。所得などに課題があって、非常に結婚がしづらいというのもあります。非正規雇用が増えていることだけは事実でありますので、それもひとつの要因になっている可能性もあります。それから、やはりライフスタイルの変化もあるかもしれません。個人ひとりで生活することに不自由がなくなっている。どちらかというと、家族で社会生活を営んでいたほうが、非常に合理性が高い時代があったと思います。太古の昔を思い浮かべていただければわかると思いますが、例えば動物との戦いもあったし、そういうことも含めると、一人で戦うよりは家族で戦った方がいいと。大勢でコミュニティを作った方が強いとか。そういうライフスタイルが基本的に歴史的には、ずっと作られてきたと私は思っています。一方、最近の様々な生活革命というべき、コンビニエンスを始めとする様々な便利な仕掛けというのは、個人的に一人で生活することに不自由を感じていないで済んでしまうという、こういったところにも要因があるのではないかと言われております。例えば、極めて小さな島、島しょというのでしょうか、島しょの村なんかでは、当然コンビニエンスストアはありません。団結して仕事をしないと仕事になりません。漁にしても、漁にかかるような様々な加工技術にしても。そうすると一人ひとりが自由に勝手にというわけにはいきませんので、自ずから家族が形成されていく可能性が高くて、そうしたところでの家族の形成率が高いような傾向があることも事実ですので、こういうことを分析することは可能であると思いますので、できるだけ行政的にできるのは、出会いの機会を増やしたり、雇用の機会を増やす、しかも非正規から正規雇用にとか、こういったところは行政の役割なのかなと思っております。県とすれば、やっぱり経営団体、労働団体などと協働しながら、非正規雇用を減らし、正規雇用を増やす。市町村とも協力しながら、各種団体との関係の中でも出会いの場をたくさん作っていくとか、そんなことをひとつひとつこなしながら、やっていくというかたちになるのかなと思います。
読売
五輪の費用負担の関係ですけれども、知事昨日九都県市の会議の後に黒岩知事と森田知事と首相官邸に行かれまして総理と面会されたかと思います。費用負担の現状についての御説明をされたのだと思いますが、上田知事から総理に対してどのようなことをおっしゃって、総理からどのような回答があったのかについてお願いします。
知事
どちらかというと総理は予定に入っていなくて、菅官房長官に黒岩知事が「九都県市での小池知事とのやりとりについての報告をするということで同行をしませんか」というお話でしたので、私と森田知事、千葉県知事が同行して、事のやりとりについて菅官房長官にお話をいたしました。費用負担の課題などについて、極めて克明に報告しましたので、菅官房長官も初めて詳細についてよく分かったということを言われました。大枠は知っていたけれども、細かいところまで掌握してなかったところだったけどよく分かったと。特に黒岩知事の神奈川県知事としての立場の中では、セーリング、ヨットの競技を受けておりますが、あれはプレ大会を1年前に、プレプレ大会を2年前にやるということですので、来年の9月の初めにそのプレプレ大会をやらなければならないと。どうもヨットに関しては、潮の流れだとかを事前に出場するチーム、選手の皆様達は、事前に読んだり経験した上で本番に臨むということであるらしく、したがってもう来年の9月には大会が行われるということですので、もう時間がないと。具体的には1,000隻、1,000のヨットが係留されてそれを移さなければいけないと。一つ一つ当たってそれを移動させなければならないと。それから、8つの漁業組合があって、漁業補償も含めた様々な取組をしなければならないと。もう時間的にも非常に困難な状況になっていると。それがゆえに早くということを申されているわけでありますが、その辺の細かい事情については、当然官房長官も御存知なかったわけで、そういったことがありました。埼玉県にしても、実は朝霞の射撃場などについてもオーバーレイ、つまりセキュリティ上の最小限度の壁、トランプさんの壁ではないわけですけれども、最小限度の壁を造る。そういう作業があります。これは組織委員会としての設計を注文、入札をさせるわけですけれども、その後は実施設計があったり工事が始まるわけですが、そこまで来ると当然「支払いはどこですか」という話が出てくるわけですね。当然これは仮設以前の話ですので、ずっと残るものではありませんから、ルールに基づいていけば当然組織委員会が払うものだと。それは決まっているわけではないのですけれども、もう時間もないから組織委員会も5月末、もしくは6月の初めにも注文しなくてはいけないんですね。そこまで我々も来ているんです、時間が。神奈川県のヨットだけではないんです。我々の方も、もうギリギリのところまで来ているんですね、いろんな意味で。そういう意味で早く、ルールとしてもう決まっているんです。組織委員会が基本的には仮設については負担をする、恒設的なものについては地元が負担する、そして組織委員会が負担できない場合には、はみ出した部分に関しては東京都が負担する。東京都でも負担できない場合には国が負担するという、こういうルールが基本的にはオリンピックの立候補ファイルの中にも、きちっと明確に打ち出されていて、そういう安心感の中で国際オリンピック委員会は東京都をオリンピック会場として認めているわけでありますから、そういう裏付けなしに当然JOCは認めたりするわけではありませんので、そういう裏付けの下でなっていることを、ある時期から何か「仮設についても地元負担あるのではなかろうか」なんていう話が出回っていますので、それはルール違反ですねということを私達は申し上げてきたところでありますし、こういう問題が早く解決するには、もうずばり、小池都知事が「ルール通り、原則通りやります」と言えば済むことだということを申し上げてきたところです。総理の方は、たまたま三県知事が来ているということを官房長官室の方からメモを入れていただいたみたいで、そういうことであれば総理の方からもお目にかかりたいと逆に申し入れがありまして、その上で時間的に少し待っていただければお目にかかりたいということだったので、官房長官の応接のところでお待ちしまして、同時にその頃、待っている間に丸川五輪担当大臣なども部屋に来られたりして、若干の情報交換したりして、そのまま総理の応接間の方に案内をいただいて、黒岩知事からもまた同じような、非常に切迫した事情を御説明され、私の方からもルールがこうしてあるんですと、このルールの通りやらなければ話は進みませんということを申し上げて、なおかつ我々の方も神奈川県ほど切迫はしていませんが、もうかなり時期に来ていますというようなことを申し上げたところ、総理の方からは丸川担当大臣にその場で、東京都の結論を待つことなく、丸川大臣からも調整のために努力をしなさいというような御指示をなされました。以上でございます。
朝日
さっきの憲法の話に戻って恐縮ですけれども、さっきのお話の中で条文と実態がずれているというお話と、あと自衛権はあるんだというお話とあったんですけれども、どちらにウエイトを置かれた発言と理解すればいいんですか。
知事
全く条文と現実が乖離していると、ある意味では大人が子供に嘘をついていると、私はそういう認識を持っております。これを早急に是正すべきだと思っています。その是正に内容についての考え方をさきほど若干申し上げました。そんなふうな意味合いだと理解していただければと思っています。
朝日
そうだとすると、是正の方法としては自衛力を持つんだということだと思うんですけれども、その状態というのは前から日本は持っていない、憲法では認められていないという状態があったわけですから、元々異論があってもよかったのでしょうけど知事から。要するに、憲法とズレが大きくなってきているという御認識があるんだと思うんですけれども、自衛力は持つべきだ、きちんと持つべきだということを持論としてはお持ちなんだろうと思うんですけれども…
知事
はい、当然持っています。
朝日
それは、この機会にそういうことをおっしゃられるというのは、どうしてなんでしょうか。今なぜなのかというのをお聞きしたい…
知事
いや、もうずっと前からそう言っています。今申し上げた訳ではありません。もう、ずっと一貫して持っているつもりです。少なくとも政治家になっての公式の発言の中では、一貫して申し上げてきました。知事になってからも、ノーコメントなんかやっておりません。一貫して乖離していると、大人が子供に嘘をついているというようなものだから、きちっと実態に合わせるべきだと。その実態に合わせるべき理論的根拠は、個人にも国家にも自衛権はあると。そういう意味での自衛隊をきちっと位置づけるべきだと。その際、過去の苦い経験もありますし、周辺国に迷惑をかけたことも事実でありますから、侵略戦争は絶対しないとか、そういう文言なんか入れれば、なおいいのではないかと私は個人的に考えているということです。
NHK
費用負担の話をもう少し細かく伺いたいのですが、知事が総理と会った際に御自身の方からもルールがあると、その通りやらないと話が進まないと、神奈川ほどではないけど、時期はこっちも切迫していると、これは総理にお伝えになった時の、総理が指示を出される前の現状を聞いた総理の受け止めとしてどういう発言があったのかを伺いたいのと、あと丸川大臣の方に都とか組織委員会と調整しなさいという指示を総理がその場で出したこの対応について、知事としてはどのように受け止められたのか。この2点について、お聞かせください。
知事
総理がどう受け止められたかを推し量るのはなかなか困難ですが、速やかにその場で指示を出されたということだけは事実だと思っております。東京都が結論を出す前に、出すまでもなくちゃんと対応しなさいと、そういう御指示をなされたことだけは事実ですので、そのことは大変ありがたいと思いました。当然これは、東京都が開催の責任者であるのですけれども、しかし紛れもなく東京オリンピックではなくて、東京だけのオリンピックではなくて、オール日本のオリンピックでもあります。ゆえに五輪担当大臣もおられ、またそれ以前は文科大臣が担当大臣として誘致諸々に関しても側面的な支援をなされていたわけでありますし、また総理そのものも一貫して、東京都が誘致することに関して応援されていた経過がありますので、そういう意味では総理としてもきちっとものを言われたのではないかと思います。
NHK
確認ですけど、官房長官なんかは大枠は聞いていたけれども詳細は知らなかったみたいな反応だったということですけど、そういう中、現状について総理から特段認識を示されたということは、昨日の場ではすぐ指示を出されたという感じだったのでしょうか。
知事
誰も神奈川のセーリングの事情は知らないと思います。関係者でないと。極めて本当に切迫していると思います。1,000人の方がオーナーですけれども、場合によっては共同オーナーの可能性もありますので、交渉の相手が1,000人とは限らないですよね。10人で1隻もっているとか、仮にそういう人達が200人くらいプラスされる可能性があると1,200人というかたちになるかもしれませんし。追いかけるにしても、皆ヨットハーバーの近くに住んでいらっしゃるわけでも何でもないですから、これは相当困難な作業だと思っております。道路などを造るときの土地の収用で、それこそ現場の職員が努力をするのと同じような困難な部分も、私はあると思いますので、時間が経てば経つほど、例えば今頃来たってという話を所有者から言われるかもしれませんし、あるいはもうギリギリになれば、いわゆる補償額の話だって、ひょっとしたら上がってくる可能性だってありますので、やはりいろんな意味で困難を極めると思いますので、これは早く決めてもらわなければ作業ができない、黒岩知事の言葉を借りれば、交渉している時に「ところで、補償はだれが払うんですか」と聞かれた時、担当者が「一応は組織委員会が払うことになっているんですけども…」なんて曖昧なことを言っていたら、漁業補償なんかで補償される漁民の方はちょっと「ん?」という話になるでしょうし、船舶の所有者についても「ん?」という話になるかと思いますので、これはやはりかなり切迫した話だというふうに私は理解しております。ただ、神奈川県ほどではないとは思っておりますが、それでも埼玉県でも刻々と時期が迫ってきていることは事実だと思います。
埼玉
さいたま市長選についてお伺いします。告示がされまして、3人が立候補を届け出ました。今回の市長選について、知事はどのあたりに争点があるというふうに考えておられますでしょうか。
知事
なかなか辛いところですが、大型イベントについて新人のお二人方は言っているのですが、この大型イベントと本当に言えるのかどうかという、規模感としてですね。そんなふうには、なかなか言えない部分もあるのかなと思っています。つい先頃、世界盆栽大会があったわけですが、これも市が主催してやったわけではありませんし、一部混在しているような感じがします。市が全てのお金をだしているわけではなくて、共催団体からの方がお金が多かったり、そういう様々な市民力というのでしょうか、企業力というのでしょうか、そういうものも生かしながらやっておりますので、例えば埼玉でもいろんなイベントを、県としてもいろんなイベントをやっておりますが、大型イベントと本当に言えるのかどうか。確かに、県も例えばサイクルエキスポなどやっておりますが、県の出し分は1,000万とか3,000万とかの単位で、あとは協賛団体に出してもらって、絶対的なものを盛り上げているというかたちですので、したがって大型イベントと言えるかどうかということも含めて、本当は争点にすべきではないかと思っています。むしろ重要なのは、今さいたま市は人口増加でいろんな意味で盛り上がっているところでありますけれども、将来そういった人口増加の部分が高齢化社会になった時に、当然医療や福祉、埼玉県と同じですけれども、その負担が増えてくるわけですから、それをどうきちっと精査して対応していくかということなどがむしろ問われるのではなかろうかと思っています。そしてもう一つは少子化対策などで、なかなか決定打が無いのですけれども、無いなりにどの程度他の政令市と比べてうまくいっているのかいっていないのかとか、そういったものが比較されながら争点化されていけば、もっとさいたま市民の選択肢があるのかなと私は思います。すれ違っているのではないでしょうか。候補者の主張と現職の主張がすれ違っているのではないかと思います。
毎日
今のさいたま市長選の関連なんですけど、初日に現職の候補のところに行って応援のお話をされたかと思うんですけれども、改めて初日に伺ってあいさつをしたという理由と、あとそこのお話の中で招待はされてなかったけれども来たというお話があったので、それを含めてお話をしていただきたいのと、あと違う話なんですけれども、4月の末にですね秩父の県道で転落があってですね、落石防護柵の話を緊急点検というかたちで広報されたかと思うんですけれども、その結果がどのようなかたちになっているのかというのを教えていただけますか。
知事
まず、さいたま市長選挙のことですが、正式な出陣式の案内状は私の手元には来ていなかったのですが、後援会の事務所に来ておりました。ただ、いわゆる来賓用みたいなかたちではなくて、その他大勢みたいなかたちで来ていたと。たぶん、何らかのかたちで名簿に登載されていてその他大勢で来ていたと。こういうかたちです。一般的に、来て欲しい方には当然しかるべき手続きをとって御案内をするというのが普通ですが、そういうかたちではなかったと思っております。ただ、清水市長からは市長選に出ますという御挨拶はありました。私の出陣式にも御出席いただいてますので、それに対する友情支援は当然必要だと思っております。それがまず一義的にあります。2番目には、県と市は政策等について二重行政というのは明確にないのですが、二重行政的なものがないように、あるいは齟齬が無いようにと。河川の整備は私たちがやっておりますが、下水の整備はさいたま市がやっていると。河川の整備が終わったけど下水の整備が終わってませんということがないようにとか、下水の整備は終わったけどその導線が河川からきてませんと。こういうことの無いようにということで様々な政策調整会議をやっております。そういう意味で密接な関係を政令市として展開しておりましてその中で丁寧な対応を清水市長にやっていただいてて、その部分では高く評価しているところでもありますし、また県が進める、また私自身が進める様々な政策についてもいつもほぼ全面的に御支援、また賛同していただいていることからして、それに代わる中身を他の候補者が提供しているというふうには私は思えませんでしたのでそういう理由で応援をさせていただきました。
2番目の秩父の県道で落石の事故の案件でありますが、緊急整備がどのようになったかというお尋ねでありますが、4月22日の夜の9時40分頃に50センチ×20センチぐらいということですね、相当大きな石ですが、それが原因ではなかろうかというかたちで車に4人乗っていて1人が死亡3人が重軽傷というかたちで事故が起きたと。一般的には防御ネットを持っているんですが、地権者が山に入ったりする入り口だけには当然防御ネットが無いんですね。どうもそこから降りてきた可能性があるというような判断を、これはまだ事故の調査を警察が終えておりません。だから軽々に言うのはいけませんが、その可能性がある以上(図を示しながら)そちらから見えるかは分かりませんがこういうかたちで防御ネットがずっとあります。あるんですが地権者が山に入っていく道筋だけは防御ネットがございません。それをとりあえず地権者の了解を得て柵を置いている状態。このようにすべき体制をやりまして、その結果が4月24日から、事故が起きたのが22日の土曜日でしたので日曜日からというわけには中々できませんでしたので、24日の月曜日から28日の金曜までの5日間の間に路線数では22、箇所では97で応急手当てが済んだところが17、まだ地権者が捕まらないところもありますので、できるだけ今後も今とりあえず可能なところだけこういうかたちで柵を設けて石が飛び出さないように、まあ本当に石が飛び出すかどうかもこれも分からないのですが、1つあったことは他にもある可能性があるということを前提に特に緊急にやったところはやはり山間に石がよく出ているようなところを重点的に地権者のところへお目にかかって了解を得てやっているような状態です。今後引き続き地権者の了承を得ながら残りの箇所についても緊急かつの優先順位が多少ありますので、どう考えても石なんか落ちっこないななどというところは当然後になっていくわけで、その優先順位のところからそれぞれの事務所の者が地権者を追いかけながらやっていくというそういうちょっと手間のかかる作業になりますが、念のためにそうしていきたいということを考えて実際実行しております。
共同
先程話していただいていた五輪の負担の関係で、先ほど知事がおっしゃったとおり首相は丸川大臣にその場で直接東京都の案を待つことなく直ちに調整するようにと首相が言ったということですけども、丸川大臣その後、記者団に対しては東京都がどう考えるかが重要だとも述べられていまして、知事は今後丸川大臣ですとか国に対してどういう期待があるでしょうか。
知事
基本的には、元々ルールに基づいて私たちはお願いをされてどちらかというと受けている立場です。そういう時にどういう立場で受けたかというと、恒設的なものは当然埼玉県のレガシーになり埼玉県民のためになるので埼玉県の費用を使うのもやぶさかでないと。しかし仮設に関しては取っ払うものですので、当然その便益を受ける人達が現状を回復させて元に戻さなければいけないというのは、これは別に東京都だけではなくて全ての事でも同じです。例えば県の南の正面のところをお借りするイベントなんかあったりします。そうすると、ごみを散らかして帰るわけにはいかないんです。元のとおりにしなければいけない。やむを得なく植栽のある芝生に穴を掘って何かを立てなければいけない時には、当然一旦芝生が無くなるわけですので、また穴を埋めて新しい芝を入れて元に戻さなければいけないわけです。これもう基本的なルールなんですね。それが援用されているんです。このオリンピックでも。これはどこの世界でも同じことをやっているんです。にも関わらず、調査チーム、どういう権限で申されたのか分かりませんが、何か開催地においても仮設の費用を負担すべきだなどというようなアングラ情報が流れてからこの問題が出てきました。それについて小池都知事もなにやらはっきり物言いをされなくなってこられましたので、私たちはそれでは困るということで昨年の12月にはっきり言ってくださいという要請をして、3月末までにははっきり言いますと言われて待っておったのですが、はっきりされないままに今日に至っているということで、九都県市首脳会議のその他の案件で黒岩知事からお話が出て、結果的には5月末までに必ず返事をしますと、こう言われたということですので、何度も繰り返しますがオリンピック・パラリンピックに限らず世の中のルールなんです。借りた方は現状に戻すというのが。それを現状に戻す費用というのは借りた側がするのであって、使われた側がする話ではないんです。もう理屈は、はっきりしているんです。その理屈を歪めるような話がどこかから出てきたところに今回の問題が出ているわけですから、これはもう是非メディアの皆さんにも知っていただきたいです。世の中のルールなんです。当然どこかのグラウンドを借りた、傷んだ、それを整地して戻す、当たり前なんです。オリンピックでも同じことを言っているんです。その費用負担に関しても組織委員会が基本的には持つんだけども、もしはみ出すようであれば東京都が持ちますと。東京都が持たないようであれば国が持ちますというルールもちゃんと言っておられると。組織委員会が持っているお金に関してはもうはっきりしておりますので、ここまでです、集めたお金はと。組織委員会はもう申されてますので、そこからはみ出す部分に関しては何らかのかたちで東京都が負担するということになるのではないかと思っております。それ以外言いようがないんですもうね。
共同
首相が丸川大臣に調整を都を待たずにしろと、国の調整などの役割への期待という部分はありますか。
知事
はい、とりあえずは5月末ということは言わずに、小池都知事の方にみんな困ってるので早く結論を出してくださいというようなことを言っていただくのが一番いい。とりあえずはそんなところだろうし、だからと言って強制するものではないでしょうから念のためにということで多分総理も大臣の方も何らかの形でアプローチした方がいいんじゃないですかというようなこと申されたのではないかと思います。
埼玉
今日この後ラグビーのワールドカップ2019のグループ分けの抽選会がありますけれども、改めてもう大会まで2年になりますけども1つラグビー場の改修というのが大きな事業として県もあると思うんですけども大会を成功させるためにこの2年間どのような準備をしていきたいかお聞かせください。
知事
5時以降にどのようなかたちでグループ分けができるかがはっきりしますので、それはそれで楽しみでありますが、これも期限がはっきり決まってますので、その期限に合わせて整備、ハード面の整備と、それから全体として気運醸成を盛り上げるためのソフト事業と両方に分けながら、まさに外国人のおもてなしなどに関してはある意味ではオリンピックもありますので、これはせっかくいい機会をいただいておりますので、この2019年に向かって熱心に取り組めばそれがそのまま2020年のオリンピック・パラリンピックにつながっていく、そういう思いを持っております。
NHK
先程の共同さんの質問とちょっと重複するんですけど、費用負担の関係で知事はさっき総理が迅速にその場で大臣に指示をしたことを、対応をありがたいと思ったとおっしゃっていましたので、今後丸川大臣、国が間に入ることでこの話が早期決着すると思われるか今後の展開とその期待感みたいなものをお伺いできればと。
知事
小池都知事もやはり元々黒岩知事(同様、)キャスター出身で仲もよろしいし私も個人的なご縁もありますし、若干の電話連絡ぐらいも取れる関係でもあるんですが、切迫した事情ということについてはかなり切実にお訴えになられた県があります。また、埼玉県の事情についてもそう遠くない時期に同じような事態に起こっていること。それからこのオーバーレイ(後に「仮設」に訂正)の話に関してももう5月下旬から(6月)上旬にかけての話ですから、組織委員会として発注はいたしますがまあこれはやはり請ける、設計を請ける側、それから設計の後の実際に工事をやる側になってくると費用は誰が払うんでしょうかということになってきて、それもはっきりしないとなってくると設計も遅れれば工事も遅れるというかたちになってきますのでこの辺の事情も当然組織委員会から東京都に入り東京都からですね、だって組織委員会のメンバーの6割以上は東京都ですから当然東京都の方にも話が入って、かなりもう切迫してきているということだけは伝わったと思います。想像以上に、小池都知事の想像以上のものが伝わったと私は思っています。中々私もたまたま黒岩知事が菅官房長官のところに行くので一緒に付き合ってくれないかというのでお付き合いしましたけれども、彼の心情というのは本当によく分かります。これもう1日遅れれば遅れるほど困難な状態になっていくということはですね。私たちもやはり仮設まで行かない仮設の前のオーバーレイの話でもやはり最小限度の費用が掛かるわけですから、その支払いがどこなのかというのは工事を請け負う側もやはり気にすると思いますので、やはり早く原理原則をもう明言すればいいわけですから、元々原理原則があってその通りやりますと。もうそれ以外はもう私言っているんです。返事は2つしかないですよと。イエスとその通りですと2つしかないと。はいとイエスしかないんです返事は。2つしかないんです。
埼玉
教育長が空席になってましたけれども、ようやく24日に文教委員会が開かれるという案内があったんですけども、ただここ2か月空席になっててですね、教育現場の知事が考える影響というか懸念ですね。それと先日職務代理者が知事に議会の方へ早く就任を求める要請をされたと思うんですけども、何か知事からはアクションを起こされたのかどうかその確認もさせてください。
知事
当然委員長(後に「教育長」に訂正)代理(教育長職務代理者)の方からは議会の方にも口添えをお願いしますという要請がありました。文書でいただきましたのですぐその日のうちに議長に追っかけしたんですが、その日は議長が捕まりませんでしたので一日置いて議長を追っかけましてですね、文書は事務局に届けて、議長にはすぐお目にかかれないということが分かりましたので電話で要請をさせていただきました。
埼玉
今1か月ちょっとですけども特に教育現場への影響というのは知事の中ではなかったというご認識。
知事
独立した行政委員会ですので私の方からああだこうだというのは中々言い難いところですが、教育長代理が困ってますとそういうことを議長あてに文書で出されて私の方にもお口添えをお願いしますというかたちで出されたということで全てが、それが全てだというふうに思います。何も問題なければ出さないですね。
産経
韓国の大統領が新たに選ばれたことについて何か御意見があればお伺いしたいのですが。
知事
中々難しいですね。どこの新聞だったか確認をできませんが、漫画でそれぞれの候補者に俗にいう慰安婦像といわれる少女の像の方がそれぞれ3人に推薦します推薦しますといって安倍総理がまいったなというような、そういう漫画がありました。あの印象かなという感じです。どなたがなっても日本的には色々この課題があるのかなと思っています。中々現在の韓国の状況は国論が一致しなくて右に揺れ左に揺れなおかつ非常に日米韓で北朝鮮にしっかり対処しなければならない時に必ずしも歩調が合うのか合わないのかよく分からないという状況でありますので、できるだけ国際情勢の様々な厳しい情勢を日本政府としても大統領に早くお伝えして、日米韓の連携体制をとって北朝鮮の挑戦的なミサイル発射や核実験等の部分に対する圧力をしっかりかけることとか、あるいはまた拉致された人達を救出するために様々な形でのチャンネルを活かすべき努力をするべきだと思っていますので、困難でありますが頑張っていただきたいなと思います。
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