埼玉県障害者アートオンライン美術館 > 作品一覧 > 「花の絵」 吉野美代子
ここから本文です。
掲載日:2023年3月2日
「花の絵」
吉野美代子 / YOSHINO Miyoko
NPO法人CILひこうせん所属
初対面の私に、美代子さんは自身の過去の話をしてくれた。
年の離れた兄が2人いて、自分は末っ子だったということ。いつも周りには大人ばかりで、自分は人の言うことをただ聞くことしかできなかったということ。周りに流されるまま高校にも進学したが、勉強について行けず苦しい思いをしたこと。27歳の時、実家を出て上京して独立するか、結婚して嫁に行くかの選択を両親に迫られたこと。そして煩悶の末に結婚を選んだ彼女には、娘がいること。最近、孫が産まれたこと。
花を色鉛筆で描き続けて早10年、ひとつひとつ大きくはないが、力強く咲く夢想の花たちが寄り集まって一つの世界を作っている。揺れ動く心と共に生きる美代子さんにとって、花を描く行為は、自身の平穏を保証する意味もあるのかもしれない。
武蔵野美術大学油絵学科版画専攻2年 森 ゆい