埼玉県障害者アートオンライン美術館 > 作品一覧 > 「無題」 箭内裕樹
ここから本文です。
掲載日:2022年8月18日
「無題」
箭内裕樹 / YANAI Yuki
社会福祉法人みぬま福祉会 川口太陽の家所属
箭内裕樹さんの作品は、画用紙いっぱいに描かれた線描画である。
作品は、3、4種類の色のボールペンのみで描かれている。その創造性豊かな自由なタッチと感性によって、箭内さんの作品はいろいろな絵として見ることができる。
今回の作品は暖色を基調として、緑や青系統の色をポイントで使っている。
骨格となる縦と横の線を決めると、あとはひたすらに色を描き込んでいく。
縦と横の線でできた空間に丸を敷き詰めたり、顔のマークを書き込むのが箭内さんの作品の特徴の1つである。
彼は描くことが好きで、描くことが日々のサイクルの一環になっている。この作品は彼の心の変化や移り変わりをそのまま線に表しているとみえた。そのため作品を見るときも、これは「なに」に見えるとか、きっと「これ」を描いたに違いない、などと客観的に見ると急に面白みがなくなってくる。この作品の画用紙に描かれた線を通して彼の気持ちや状態、考えを感じて欲しい。
作品について多くを語らない箭内さんの作品だからこそ、たくさんのことを考えさせられる。見る人の真価が問われる作品でもある。
埼玉学園大学子ども発達学科3年 乙川 森乃介