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掲載日:2021年4月27日
「よし菊」
関口直子 / SEKIGUCHI Naoko
日高市在住
今にも傍の三味線を弾き出しそうな、着物を着た女性。
三味線の横で、腰をくねらせて座り、斜め上を見上げて微笑んでいる。
リサイクルショップで見つけた七五三の着物を使って作ったというよし菊さんの着物は、色合いや柄のバランスも見事で、華やかな印象を与えてくれる。ボリュームたっぷりの御髪には、毛糸が使われている。
毛糸を使った理由を尋ねると、「人間の髪と同じような素材にすると、呪いの人形みたいで怖いから」とのこと。髪飾りは弁当用のピック、帯はカーテンの布と和服の端切れで作られている。
関口さんは、高価な材料は使わない。
身の回りにあるもの、見過ごしてしまいそうな、ありふれた物からたくさんのイメージを生み出していく。そうして生まれた人形は、どこか高級な印象を与えてくれる。それに加えて、手作りならではの温かさや親しみやすさも感じさせてくれる。
穏やかに話す、関口さんの性格がよく表れているように感じる。
武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科2年 菊地 和佳子