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「ひまわり~母へ」 尾ヶ井保秋

掲載日:2021年8月5日

「ひまわり~母へ」尾ケ井保秋

TITLE

「ひまわり~母へ」

ARTIST

尾ヶ井保秋 / OGAI Yasuaki
社会福祉法人埼玉医療福祉会 光の家療育センター所属

Review

幼い頃から施設で生活している尾ヶ井保秋さんは手足が不自由で、言葉を自由に話せない。指導員の助けを借りながら器用に絵筆を手にかけ、キャンバスに思いや感情を打ち付けるように描く。体全体を使って描くので疲れ切ってしまうこともあるが、それよりも絵を描く楽しさが上回るようだ。その時間は不自由な保秋さん自身への大きな癒しであり、自分の気持ちを表現する有効な手段なのだろう。

画面いっぱいに力強いタッチで塗り重ねられた絵の具は圧倒的な熱量がある。二輪のひまわりは、正面を向き、左が自分で、右は9歳の時に死別した母だそうだ。二輪はぴったりと寄り添っている。繰り返される赤は、母への思い入れや保秋さんの温かくも情熱的な人柄であると共に、絵を描くことが好きだという愛を感じる。

武蔵野美術大学油絵学科版画専攻2年 石川 瑞紀