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掲載日:2023年12月21日
「untitled」
野本竜士 / NOMOTO Ryuji
社会福祉法人みぬま福祉会 はれ
はじめてこの作品を見たとき、不思議な形と多彩な線の重なり合いに目を奪われた。
野本さんはもともと絵画作品を描いていた。しかし、施設スタッフのアイディアがホットボンド作品をつくるきっかけとなった。ホットボンド作品をつくるようになってから、作品を制作する過程で手先を使うので、言語数も増えたという。
この作品は、手芸などで用いられるグルーガンを使い、ホットボンドでできている。土台や芯材は使っていない。すべてホットボンドで作り、一番高いところで約25センチもの高さを出している。この何層にも重なる色は、見る人を圧倒させる。糸のような細い線は立っている姿勢で、ダマになっているところは座った姿勢で作っている。野本さんのその日の体調などによって、ホットボンドの線が生まれている。
野本さんは、何かをヒントにしてこの作品をつくったわけではなく、「今、表したい形」を表現している。大小様々な高さや色、厚みは、野本さんだけの良い意味での“偶然の産物”である。私は、左右に大きく広がる山が鳥の羽のように思え、鳥が今から飛び立つ姿に見えた。鑑賞者の見方によって様々な見え方が生まれてくる。どのような物に見えるか、自分なりに想像しながら鑑賞してほしい。
埼玉学園大学大学院子ども教育学研究科2年 小関 隼斗