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掲載日:2022年12月15日
「ぴんくのさかなとみどりのぱぱ」
甲村哲之進 / KOMURA Tetsunoshin
社会福祉法人けやきの郷初雁の家所属
緑とピンクで描かれているこの作品は、甲村さんが日常的に描いている作品のひとつである。
これは、色も形も配置も非常に似た作品がずらりとならぶ中から選んだ1枚だ。彼は、幼い頃からこの作品と同じような絵をたくさん描いてきた。
魚が好きな彼は、ひれのついたピンクの魚を家族やそばに居る関係の深い人々、緑の生き物を自分として表現している。このシリーズでは、緑の生き物を「ぱぱ」と呼んでいるが、甲村さん自身を描いたものであるという。目を見て対話するように、肩を組むように、部屋の中で寄り添い合っている。
作品によっては、この生き物たちが、お互いに背を向けているものもあった。距離をとって目を合わせなかったり、色がすこし違っているものもあった。それでも、緑とピンクのこの作品を描き続けた。
彼は、うまく言葉にならない気持ちや自分を表すための言語として絵を描いている。そばに居る人々と過ごす日常や温かな関係が、この絵には表れている。
東京家政大学家政学部造形表現学科3年 加藤 綾