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掲載日:2024年12月5日
「南国の鳥」
神谷 一郎 / KAMIYA Ichiro
埼玉県社会福祉事業団 嵐山郷
遠く離れた南の国。木にとまる一羽の鳥は、何を見つめているのだろう。
ペンとアルコールマーカー、そして水彩絵の具で描かれた色鮮やかなこの作品は、動物好きの神谷さんが野鳥図鑑を参考に自らイメージした鳥
を描いたものである。
緑や黄、赤、青と原色で彩られた鳥は一見派手で賑やかな印象にも見えるが、柔和な表情とおっとりとした佇まいからは、穏やかで落ち着いた雰囲気や南国の暖かさ、ゆったりとした静かな時の流れを感じることができる。
鳥はペンとアルコールマーカーを用いて描かれており、胴体には緑、オレンジ、青などのカラフルな飾り羽が描かれている。この飾り羽は、創作において神谷さんが特にこだわりを持って表現した部分でもあるそうだ。
一方、作品の背景は、水彩絵の具によって色の濃淡や明暗が美しく表現され、色味の多様な変化を楽しむことができる。
また、背景と鳥が異なる画材で描かれているため、両者の質感の違いが、作品をさらに味わい深いものにしている。
賑やかさと静けさを合わせ持った鳥の姿に、神谷さんはどんな想いを託したのか。
1つ1つの色を丁寧に重ねていく神谷さんの姿を思い浮かべながら、皆さんも、作品に込められたメッセージを探してみてほしい。
東京家政大学 家政学部 造形表現学科 4年
天野 紗花