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埼玉県職員を希望する皆さんに対し、先輩職員からのメッセージです。
年月 | 所属 |
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平成30年 4月採用 | 寄居林業事務所 治山担当 |
令和 3 年 4月 | 秩父農林振興センター 森林保全・県営林担当 |
令和 6 年 4月 | 現課(所) |
森林は水源の涵養や土砂災害の防止、二酸化炭素の吸収・貯蔵、木材の供給など、多面的な機能を有しており、これらを十分に発揮するために、森林計画制度が森林法で定められています。また森林は一度伐採されると再度同様の機能を取り戻すには多大な年月を要することから、無秩序な森林伐採を防止するため、林地開発許可制度や保安林制度が定められています。
私が在籍している総務・森林企画担当では上記制度に則り、埼玉県内の森林計画の策定・見直しや、林地開発許可制度及び保安林制度の許認可を中心に業務を行っています。
具体的には、森林計画業務では、より効率よく森林の状況を把握し、計画に反映させるため、航空機や人工衛星を活用したリモートセンシング技術を用いており、日々、業者との打合せを実施しています。
また林地開発許可制度や保安林制度では、申請書の内容を法令や基準に照らして審査するほか、現地が計画どおりに施工されているか確認しています。
"林業"という言葉からは現場の仕事が多い印象を受ける方も多いかもしれませんが、県庁の仕事は基本的にデスクワークが中心となり現場仕事は少ないです。一方で国や他都道府県との会議などで出張する機会は多く、メリハリのある環境だと思います。
時刻 | スケジュール |
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8:15 8:30 9:00 10:00 12:00 13:00 14:00 16:00 17:30 |
出勤 1日のスケジュール確認、メールチェック 関係省庁の照会対応 森林計画の打合せ 昼食(県庁の食堂) 事業者の問い合わせ対応 許認可業務に係る資料作成 調整・相談に関する書類作成 退庁 |
仕事の進め方に悩んだ際には、気軽に上司に相談ができる風通しの良い環境です。自身の職場だけでなく、他事務所の職員に問い合わせをする際も親身に対応していただき、林業職全体として一体感のある関係性だと感じています。
前所属では秩父地域の林地開発許可業務を担当していました。
大規模な開発案件を審査する場合は、学識経験者などの有識者で構成される審議会を開催する必要があるのですが、その開催準備に苦労した思い出があります。審議会では職員が案件の詳細を委員に説明し、状況を理解していただいたうえで、質疑応答など議事へ進みます。その時担当していた案件は約半世紀に及ぶ期間、事業をしていましたので、過去から現在に至る経緯などを正しく整理し、説明する必要がありました。そのため資料を作成する際は、事務所の書庫の奥底に保管されている、私が生まれるより前に作成された図面等を紐解き、理解する必要がありました。時間のかかる作業ではありましたが、同時に、過去の制度の状況や変遷を知ることもでき、大変勉強になりました。
また現地視察の行程についても段取りする必要があり、配車や現場での動線、説明のタイミングなど、一つ一つの行程は単純ではありますが、全体として組んだ時に、無理な行程となっていないか、また矛盾した点はないかなど、多方面に気を配る必要があり、本番当日までずっと緊張していた記憶があります。
閉会後には肩の荷が下りた感覚と同時に達成感も湧きました。また、準備から当日にかけて支えてくださった上司や同僚には感謝しかありません。改めて職場の連帯意識を感じることのできた瞬間でした。
幼少から自然や動植物に興味があり、大学では林学科で森林動物学を専攻していたほか、ボランティアとして野生鳥獣保護活動などをしていました。そのような生い立ちの中で、例えば増えすぎたニホンジカによる下層植生の食害問題など、人間と自然のより良い共存関係について、職務を通じて模索したいと思うようになりました。
公務員には定期的に異動があるので、一つの担当で同じ内容の仕事を続けることは難しいですが、林業職の職務は森林の保全・活用を目指すものですので、どの担当の所属であっても、この課題の解決に直接的、間接的に携われていると感じています。このような職域の広さは林業職ならではのものだとも思い、満足しています。
アウトドアの趣味が多く、登山やスキー、野鳥観察等で休日を過ごすことが多いです。同じ趣味を持つ方が職場に何人もおり、一緒に遊びに出掛けることも多く、恵まれた環境だと感じています。また県庁では福利厚生として定期的に卓球やバレーボールなどのスポーツ大会が開催されます。私も昼休みにのんびり練習に参加しており、職員間の交流やリフレッシュにもつながっています。
人間の生活は森林が持つ多面的機能によって支えられており、今後もこの機能を持続させるにはどうあるべきか、考え続けることが、埼玉を、ひいては全国をより豊かにすることができると信じています。私自身もさまざまな業務を経験し、幅広い知識と経験で課題に向き合うことのできる、”多面的”な職員を目指したいです。
受験した試験:職員採用上級試験(林業)
専門試験は国家公務員試験の過去問を解き、わからない用語や制度は図書館で専門書(林業白書・森林林業実務必携等)を探し、勉強しました。
面接は苦手意識がありましたので特に重点的に準備をしました。質問を想定し、友人と模擬練習をしたほか、私は民間企業の就活もしていましたので、そこで面接の場数を踏み、試験に慣れるよう努めました。
大学などで林学を専攻された方はもちろん、森林や山に興味がある方など、どなたでも活躍できるのが林業職です。実際に現役職員の中にも林学以外の専攻出身の方がいます。少しでも興味のある方はぜひ受験してみてはいかがでしょうか。お待ちしております。