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埼玉県職員を希望する皆さんに対し、先輩職員からのメッセージです。
年月 |
所属 |
平成31年 4月採用 | 農林部 熊谷家畜保健衛生所 家畜防疫担当 |
令和 4年 4月 | 現所属 |
秩父高原牧場は、埼玉県内の酪農家のホルスタイン種乳用育成牛等をお預かりし、育成・受胎の後、分娩2か月前に農家にお返しする育成預託牧場です。そのため、主な仕事としては牛の飼養管理、人工授精や受精卵移植などの繁殖業務、また怪我や病気になってしまった牛の治療を行っています。
また牧場では黒毛和種肉用牛を県有牛として保有しています。その牛から受精卵を採取し、採取した受精卵をホルスタイン育成牛に移植する事業も行っています。ここでしか学べない専門的な知識や技術の獲得を目指しながら、日々業務を行っています。
秩父高原牧場は多くの職員が獣医師で、現在は若い人が多いです。また、獣医師だけでなく、家畜人工授精師の資格等を持ち長年牧場で働く畜産改良職員もいます。繁殖で生じた疑問点をベテランの方に相談できる点がとても心強いです。
家畜を扱っている職場なので土日は当番制で出勤になりますが、土日に出勤した際は、平日が代休になります。子育て中の職員は育児休業や子育て休暇を積極的に活用しています。体力勝負の職場なのでしっかりお休みもいただけること、ライフステージに合わせた働き方ができることはとてもありがたいです。
また例年4月下旬から10月終わりまで、牛の放牧も行っています。広い放牧地でのびのびとしているので、仕事といえど、心が癒されます。
時刻 | スケジュール |
8:15 8:30 8:40 9:30 12:00 13:00
15:00 16:30 17:15 |
出勤 朝礼、スケジュール確認 牛の発情観察、えさやり 牛舎除糞 昼食 農家への牛の繁殖状況報告 人工授精や授精卵移植で使う資材の滅菌作業等 放牧地の草刈り 牛の発情観察、えさやり 日誌作成 退庁 |
一番印象に残っていることは、令和元年に県内で発生した豚熱です。県に入庁する前から国内で豚熱が広がり始めていたことは知っていましたが、自分が入庁した年に埼玉県で5例も立て続けに確認されたことはとても衝撃的でした。殺処分や農場の消毒などの防疫措置の対応、県内の豚全頭へのワクチン接種の開始。ルーティンの仕事もこなしながら豚熱対応に当たっていたため、当時はすごく大変でした。しかし農家や家畜保健衛生所の取り巻く状況が一気に変わったタイミングに立ち会えたことは、とても貴重な経験だったと今では思います。
現職場でのうれしかったことは人工授精で初めて牛を妊娠させたことです。牧場に入った当初、人工授精は全くの初めてで、まずは直腸検査で卵巣を触る練習から始めました。最初は注入器が入らなかったり、人工授精をしても妊娠しなかったりと苦労しました。自分で授精させた牛の妊娠を確認したときはうれしかったですし、その後コンスタントに授精できるようになると自信がつきました。
地元の埼玉で、様々な家畜に関わる仕事がしたかったため、埼玉県の公務員獣医師を志望しました。仕事をしていくうちに、今まで知らなかった地元の畜産農家やブランドの畜産物を知ることができたのはすごくよかったと思います。
家畜保健衛生所にいたとき、防疫措置での作業中に「重機の免許を持っておくと便利では?」と思ったこと、次の移動先は牧場を希望していたこともあり、休みの日に免許や資格の取得に取り組んでいました。AT限定解除や大型特殊免許を取得し、フォークリフト技能講習も受講しました。次は中型免許か大型免許を取得したいと思っています。
週末は映画を見に行ったり、夏季休暇などまとまった休みが取れるときは旅行に行ったりしています。
家畜保健衛生所と牧場は仕事内容は違いますが、共通することは「農家をサポートすること」だと感じています。特に現在は飼料価格の高騰や牛の販売価格の低迷に加え、家畜伝染病の発生など多くの危機に直面しています。
しかし、農家の規模はそれぞれ違うため、困っている点や問題に対してかけられる労力も違います。各農家の目線に立ち、どのような対策が必要か、長期的に見てどのような支援が必要かなど、農家に寄り添った仕事ができればと思っています。
試験の中では、面接の配点が大きかったので、面接の対策はしっかり行いました。大学での公務員試験対策講座は模擬面接を受けられたのでたくさん活用しました。「なぜ公務員獣医師になりたいのか」「なぜ埼玉県を選んだのか」「埼玉県に入ったら何をしたいか」については自分の経験も交えて話せるようにしておくといいと思います。
論文の対策は、市販の対策問題集を買って実際に制限時間内に書く練習をしました。
公務員獣医師の業務は多岐にわたり、職場の異動もあります。その分たくさんの経験を積むことができ、多くの知識や技術を得ることができます。大学で学んできたことはもちろん、臨床を経験した方はその経験が生きる職場でもあります。新しい経験を積みたい方、今までの経験を生かしたい方、ぜひ埼玉県でお待ちしています。