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掲載日:2024年2月13日

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図書室委員会視察報告

調査日

令和5年11月2日(木曜日)

調査先 

   (1) 国立公文書館(東京都千代田区)
   (2) 東洋文庫(東京都文京区)

調査の概要

(1)国立公文書館

 (専門図書館の管理運営状況について)

【調査目的】

 国立公文書館は、歴史的文書の受入れ、保存・管理から一般の利用までを行い、公文書のデジタル化を推進している。施設を実地に視察し、文書保存の先進的な取組や高度な技術、貴重な歴史資料の公開状況を調査し、今後の県議会図書室運営の参考とする。
 特に、今回の視察では一般に公開していない「歴史公文書等のデジタル化作業現場」の特別参観を通じて、後世に残すべき図書資料の保存の考え方や方法等を学ぶ。

【調査内容】

 国の機関において業務を遂行するために作成された公文書等を歴史の証拠、あるいは後日の参考資料として保存することは、多くの国で古くから行われており、ヨーロッパ諸国では、18世紀以来、近代的な公文書館制度が発達した。
 今日では、公文書館は図書館、美術館、博物館とともに、重要な文化施設の一つとしても位置付けられている。
 国立公文書館は、国の行政機関などから移管を受けた歴史資料として重要な公文書等の適切な保存と利用を図ることを目的とした施設として昭和46年7月に設置された。その蔵書の中には、江戸幕府の記録等の公文書に類する資料も多く含まれている。これらを含む歴史資料として重要な公文書等を将来にわたり確実に保存し、広く利用に供している。近年は、インターネットを通じた利用に応えるため、所有する公文書のデジタル化を推進している。また、閲覧、展示、インターネットによる公開等、さまざまな取組を行っている。
 このほか、常設展、企画展を開催し、所蔵資料の紹介や歴史的公文書の保存・利用の意義を理解してもらうための活動にも力を入れている。
 実地視察では、閲覧室でデジタルアーカイブのデモンストレーションの後、修復室では実際に資料等の修復作業を見学し、常設展示室では、「日本国憲法」や「終戦の詔書」(いずれも複製)などの説明を受け、文書保存の高度な技術や貴重な歴史資料の公開状況を調査することができた。
 また、今回の視察では普段は一般に公開していない「歴史公文書等のデジタル化作業現場」の特別参観により、後世に残す図書資料の保存方法を学んだ。公文書のデジタル化は年間計画に基づいて行われており、年間約3万冊の図書資料をデジタル化し公開している。また、江戸幕府関係の資料48万冊のうち、約60%のデジタル化が終了したとのことだった。
 実地視察中や概要説明の際、委員から活発な質疑が行われた。その中で「デジタルアーカイブについて、一部の地方公共団体と連携を結んでいるとのことだったが、これからも連携する団体を増やせるのか」との質問に対し、「これからも連携する団体を増やしていきたい。まずは、デジタル化するための機能を持ってもらうことが大切である。求めがあれば、『デジタルアーカイブ標準設計書』などを提示し、情報提供、指導、助言を行う。また、デジタル化関連研修等に職員を講師として派遣するなどの支援を行っている」との回答があった。ほかにも、公文書の修復、災害時の公文書の取扱い方法、個人所有の古文書寄贈などについて質問がなされた。
 今回、このような施設を実地に視察したことは、今後の県議会図書室の運営を推進していく上で、大変参考となるものであった。

写真:文教委員会の集合写真

国立公文書館にて

(2)東洋文庫

 (専門図書館の管理運営状況について)

【調査目的】

 歴史的に価値のある資料を収集・整理・研究し、情報発信している専門図書館を実地に視察し、時代ごとに状況をまとめることの大切さや実際の資料活用による成果等を実地に見聞し、今後の県議会図書室運営における資料収集、活用等の参考とする。

【調査内容】

 東洋文庫は、三菱財閥第三代当主岩崎久彌氏が1924年に設立した東洋学分野で日本最古・最大の研究図書館である。対象とする地域はアジア全域であり、大英図書館、ハーバード・エンチン図書館等と並び、世界5大東洋学研究図書館の一つに数えられている。
 蔵書数は、国宝5点、重要文化財7点を含む約100万冊である。書庫は閉架式で、外部への貸出しは行っていないが、閲覧室を設け、広く一般に向けて閲覧に供している。書誌データをはじめ、貴重書の全ページ画像、絵画・地図等の画像、動画資料等、蔵書のデジタル化を推進し、順次ウェブサイト上で公開し、年間約1,000万件のアクセスがある。
 研究活動としては、6部門13研究班が20の研究テーマを設定し、東洋文庫が収集・所蔵するアジア諸地域の資料の文献的分析とこれら資料に基づく広範なアジア研究を持続的に進めている。
 これらの研究の積上げにより、各時代の状況を深くかつ多角的に浮き彫りにすることができることを学んだ。
 一般の方への普及活動としては、併設しているミュージアムにてモリソンコレクションをはじめとする蔵書を公開している。本を中心に展示するミュージアムとしては日本最大級であり、最新のデジタル技術や空間演出を駆使し、年に3回、企画展を開催している。
 学芸員からミュージアムの概要説明を受けたのち、ミュージアムと閲覧室、書庫を実地に視察した。3階から7階までとなっている書庫は、たくさんの書架が立ち並ぶ、堅牢かつ厳重な管理が施された空間であった。いずれも美術品レベルの貴重な蔵書で保存状態も素晴らしかった。
 また、ミュージアムでは、東南アジア諸国の歴史・文化や日本との関わり等について、衣類等を含む各種資料を活用し、親しみやすさに配慮した企画展示を行っていた。
 実地視察の後、新潟大学の神田豊隆教授から東洋文庫研究員としての活動の様子について説明いただいた。日本外交史、特に戦後日本の対中・対ソ外交などが専門で、東洋文庫の研究チームでは、現代中国研究班に所属し研究活動を行っているとのことだった。
 実地視察中や概要説明の際、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「財団を運営していく中で、財団収入の主なものは何か」との質問に対し、「寄付が主な収入である」との回答があった。ほかにも、戦時中の蔵書の保管方法などについて質問がなされた。
 今回、このような施設を実地に視察できたことは、今後の県議会図書室運営を推進していく上で、大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 図書室  

ファックス:048-830-4924

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