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掲載日:2023年5月23日
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平成28年10月24日(月)
(1) 埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校(入間市)
(2) 埼玉県産業技術総合センター(川口市)
(埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校の運営状況について)
埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校は、特別支援学校高等部の生徒の自立と社会参加に向けた学習環境を整備するため、平成28年4月に開校した。
「普通科」と「職業学科」を併置する県内初となる特別支援学校であることから「高等特別支援学校」とし、自立と社会参加に向けた高等部に特化した教育課程を編成している。
「普通科」は、一人一人の学びに応じた丁寧な指導を行うため、「生活」「基礎」「実践」の3つの教育課程を編成し、自立活動や日常生活の指導に重点を置き、卒業後の生活の充実を見据えた実践的な学習活動を展開している。
「職業学科」は、「生産技術科」と「流通・サービス科」を設置し、生産、販売活動や事務作業、接客業務などの学習活動を通して働く力を高め、企業就労を目指している。
そこで、埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校の運営状況について調査する。
埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校は、旧入間高等学校の旧校舎を活用して設置された。校舎の改修やプール等の新設、バリアフリーに対応するためのスクールバスデッキやエレベーター棟の新設を総工事費約26.3億円で実施した。
同校の特徴としては、高等部単独の特別支援学校として、「普通科」と「職業学科」を併置していることである。
「普通科」では、重複障害認定を受けた生徒を「生活」、卒業後に企業等への就労を考えている生徒を「実践」、それ以外の生徒を「基礎」とクラス分けを行い、生徒の状況に応じて、さらにグループ分けを柔軟に変えながら授業を実施している。
「職業学科」では、卒業後の就労のため、社会人として必要な働く意欲、態度、技術等の習得を目指し、実践的なカリキュラムを組んでいる。「職業学科」には「生産技術科」と「流通・サービス科」があり、「生産技術科」は、パンや菓子の製造技術を学ぶ「食品衛生コース」と、ミシンを使った縫製や染物、織物の技術を学ぶ「服飾デザインコース」と、農業を学ぶ「農園芸コース」に分かれている。「流通・サービス科」は、基本的な事務作業を学ぶ「流通コース」と、店舗での接客サービスを学ぶ「接客サービスコース」と、機械を使ったワックスがけなど清掃業務を学ぶ「メンテナンスコース」とに分かれている。
当日は、校内に設置した本格的なカフェで、食品衛生コースの生徒が作った菓子パンを接客サービスコースの生徒により、サービスされたコーヒーとともに試食した。このカフェは現在保健所等の許認可の手続をしており、いずれは地域住民にも開放する計画である。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「新設校ということで就職先の開拓に支障はないか、また地域により就職先が少ないなどの課題はないか」との質問に対し、「就職先の開拓は重要で、これから積極的に取り組む必要があるが、特別支援学校間で情報共有や連携をしており、それぞれの地域で努力している。生徒の希望に沿うように取り組んでいきたい」との回答があった。
概要説明や施設見学を通じて、埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校の運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。
埼玉県立入間わかくさ高等特別支援学校にて
(埼玉県産業技術総合センターの運営状況について)
埼玉県産業技術総合センターは、県内産業の技術力を強化し、その振興を図ることを目的に、平成15年に開設した。
同センターの主な業務は、技術相談、試験・分析、機器利用等である。
平成27年度の成果の一つとしては、これまで研究開発を続けてきたマグネシウム蓄電池が、世界初の実用化に目途をつける画期的な研究成果が得られたことが挙げられる。
現在主流のリチウムイオン電池と比べ、安価で安全、大容量な次世代蓄電池として期待されている。
なお、研究開発は、先端産業創造プロジェクトの一環として推進したものである。
そこで、埼玉県産業技術総合センターの運営状況について調査する。
埼玉県産業技術総合センターは、県内産業の技術力を強化し、振興・発展を図るため、「技術支援」、「研究開発交流」、「情報・交流」の三本の柱を掲げ、各種事業を実施している。
まず一つ目の柱である「技術支援」については、新製品の開発や、自社製品の性能の向上や材質の見直しなど、一企業としては、対応が難しいものを、技術相談として支援している。また、製品の故障の原因を検証したり、改良のための分析等の支援も実施している。技術支援は、職員が実施する依頼試験と、利用者にセンターの機器を貸し出す機器開放の二通りがあり、それぞれのニーズに応じて活用いただいているとのことである。
二つ目の柱である「研究開発支援」については、企業からの依頼を受けて実施する受託研究や共同で実施する共同研究を実施している。平成27年度に実用化の目途が立ち、新聞等でも話題になった「マグネシウム蓄電池」についても、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の受託研究がきっかけとなっている。
三つ目の柱である「情報・交流」については、近隣都県の公設試験研究機関との連携により、幅広い技術分野の支援を行ったり、研究成果の発表会を実施し、広く技術の普及を図るなどの取組を行っている。
なお、マグネシウム蓄電池については、受託研究からスタートし、平成26年度からは先端産業創造プロジェクトに位置付け、開発を加速、実用化に目途が立った。現在は本田技研工業㈱と共同で、同社が持つ研究施設を活用し、製品化に向けた研究を続けている。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「もし、マグネシウム蓄電池が現在のリチウムイオン電池に置き換わるとすれば、大変な技術革新である。これに関連した特許を取得しているとのことなので、製品化された場合は県に莫大な特許料が入るのか」との質問に対し、「特許自体は基礎的な部分のものなので、特許料の金額は大きくはないと考える。県財政に資することも重要であるが、成果を本県産業の発展に資するような形で役立てていきたい」との回答があった。
概要説明や施設見学を通じて、埼玉県産業技術総合センターの運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。
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