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掲載日:2023年5月23日
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平成27年10月23日(金)
(1) 埼玉県立小児医療センター(さいたま市)
(2) 埼玉県大久保浄水場(さいたま市)
(埼玉県立小児医療センターの運営状況について)
埼玉県立小児医療センターは、県内唯一の小児総合医療施設として未熟児・新生児に対する高度医療をはじめ、一般医療機関では対応困難な小児の疾患の診療を行う三次医療を担っている。
また、小児の全人的な成長のため、子供の成長と発達にとって必要な保健及び発達支援との一体的な運営を行うとともに教育との連携を図っている。
平成28年度に新病院への移転を予定していることから、日常業務と並行して、円滑な新病院への移行準備とより一層の医療の充実に向けて、人材の確保及び育成に取り組んでいる。人材育成に当たっては、教育プログラムを実施したり、先進的な施設等への視察や研修会への参加を推進している。
そこで、埼玉県立小児医療センターの運営状況について決算審査の参考とするため、調査する。
埼玉県立小児医療センターは、埼玉医科大学、防衛医大、獨協医科大学総合病院と県内の小児医療を地域ごとに分担しており、さいたま市を含む中央地域を担っている。新病院移転後は、公共交通機関の利便性も向上するため、現在より広域の来院が見込まれる。
同センターの患者数は、昭和58年に開院した当時の本県の年少人口が約145万人から、平成26年には約95万1,000人に減少し、出生数も約7万2,000人から約5万6,000人に減少している中で、横ばいで推移しているという。
同センターの平成26年度における入院患者数は82,113人で前年度比では微減、外来患者数は129,670人で前年度比で微増である。収益については、入院、外来ともに増加している。病床利用率は約75%で、目標である80%に迫る数字となっている。また、支出では人件費が増加しているが、新病院移転をスムーズに進めるため、看護師等をあらかじめ増員し、人材育成に取り組んでいるためであるという。病院経営については、小児医療における第3次医療機関という、本県の小児医療の最後の砦としての重要性を踏まえつつ、収益確保もしっかりと図っていくとのことであった。
現在、新病院への移転の準備を進めているが、移転の大きなメリットの一つとしては、さいたま赤十字病院と連携した総合周産期母子医療センターを設置することができるという点が挙げられる。これまでは、新生児で重篤な問題を抱えている場合、当センターに産科がないため、出生後すぐに同センターへ搬送しなくてはならなかったが、周産期の母子に対応する機能があることにより、迅速な対応が可能となる。また、周産期以前や母親に由来する疾病に対応するためには、一般病院との連携が重要であることから、さいたま赤十字病院と隣接することのメリットは大きいとのことであった。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「新病院移転に当たり、特に課題となっていることはあるか」との質問に対し、「病院内や医療関係者との調整は順調に進んでいるが、新病院の最寄駅であるさいたま新都心駅のエレベータの増設について、JR東日本との調整は難航している」との回答があった。
概要説明や施設見学を通じて、埼玉県立小児医療センターの運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。
(埼玉県大久保浄水場の運営状況について)
埼玉県大久保浄水場は、急激な人口増加による水需要への対応と地盤沈下の防止を図るため、昭和43年に給水を開始し、現在、県南中央地域及び県西地域15市1町の約384万人に水道用水を供給する国内最大級の基幹浄水場である。また、産業基盤の整備と地盤沈下の防止を図るため、現在、県南地域の88事業所に工業用水を供給している。
平成26年度に新規事業として、停電時に必要な量を送水することができる非常用発電設備の設置工事を発注し、災害時対応の一層の強化を図るとともに、カビ臭物質連続測定装置を導入し、水質管理の強化に取り組んでいる。
そこで、埼玉県大久保浄水場の運営状況について決算審査の参考とするため、調査する。
埼玉県大久保浄水場では、水道用水供給事業として、県南中央地域及び県西地域の15市1町に水道用水を供給しており、1日の平均送水量は、822,517㎥で、県が供給している水道用水の約47%を占めている。工業用水道事業は、さいたま市ほか3市の88事業所に供給しており、契約水量は1日当たり51,508㎥で、1日の平均配水量は、33,639㎥である。水源は、利根川水系の下久保ダム、八ッ場ダム、埼玉合口二期、荒川水系の浦山ダム、滝沢ダム、荒川調節池、有間ダム、合角ダムを利用している。
同浄水場では、安全で良質な水道水を安定して供給するため、様々な取組を行っている。
災害時においても飲み水を安定供給するため、平成23年度から震度6強の地震に対応するため、耐震化工事を順次進めている。また、災害時の備蓄は190万人に1週間分の飲み水を供給できる量を確保しているという。
大規模停電に対応するため、場内と狭山市にある上赤坂中継ポンプ所に出力3,600kWの非常用電源装置の設置を進めている。これにより、停電が発生した場合でも、平常時の約70%の能力で運用できるという。
水質管理の強化の取組としては、近年荒川水系でカビ臭物質の濃度が高まっていることから、カビ臭連続測定装置を導入した。これによって、適切なタイミングで活性炭等の注入が可能となり、カビ臭を抑制することが可能となった。今後は、河川の水質事故の原因として油分流出が多いことから、これに迅速に対応するため、油分連続測定装置の導入も予定しているという。
経費節減の取組としては、使用する電力の大半を占めるポンプ稼働のための電気使用量を抑制するため、省エネ型ポンプに順次切り替えを進めているなど効率的な運営にも努めている。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「東日本大震災の影響で浄水発生土から放射性物質が検出され問題になったが、現在の状況はどうか」との質問に対し、「現在も放射性物質は検出されるが、基準を大きく下回っており問題はない。浄水発生土は全量セメントの材料としてリサイクルされている」との回答があった。
概要説明や施設見学を通じて、埼玉県大久保浄水場の運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。
大久保浄水場にて
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