決算特別委員会視察報告
調査日
令和6年10月17日(木曜日)
調査先
(1)岩槻高齢者講習センター(さいたま市)
(2)大久保浄水場(さいたま市)
調査の概要
(1)岩槻高齢者講習センター
■本県の課題
- 高齢ドライバーが増加する中、運転免許更新の際の利便性向上が課題となっている。
■視察先の概要と特色
- 70歳以上のドライバーは運転免許更新時に「高齢者講習」の受講が必要で、75歳以上のドライバーは加えて「認知機能検査」も受ける必要がある。高齢のドライバーが増加したことから更新件数も増え、講習や検査の予約が取りづらくなり、更新に時間がかかる状況であった。それを解消するために高齢者専用の施設として令和6年5月27日に同センターを開設した。
- 警察が免許更新のために高齢者専用の施設を設けるのは全国初である。
- 同センターでは1日に最大300人が講習と認知機能検査を受けられるため、スムーズに更新することが可能になっている。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 平成29年時点で、県内の70歳以上の高齢ドライバーが約510、000人であった中、年間約140、000人の高齢者講習を行っていたが、当時の受講待ち日数は平均約111日と、全国平均の約69日と比較して長い状態であった。
- 県警察では、公安委員会による高齢者講習の直接実施、予約一元化システムの導入、タブレット式認知機能検査の導入等の対策を講じ、これら対策の一環として令和6年5月に岩槻高齢者講習センターが開所した。令和6年4月時点では待ち日数は28.3日と平成29年と比較して大幅に短縮されているが、今後も高齢ドライバーが増加する見込みであることから、同センターの運用により待ち日数の長期化の抑制が期待できる。
- 同センターでは、高齢者講習、認知機能検査、運転技能検査、安全運転相談を実施している。高齢者講習は1日に120人、認知機能検査は1日180人、運転技能検査は1日36人の受入枠がある。
- また、同センターには「交通安全体験学習施設」、口腔ケア相談などができる「お口の元気アップステーション」、身体の運動機能や筋肉量の測定や健康に役立つ講習を実施している「いきいきデザイン館」、食堂等が併設されており、これらは年齢に関わらず利用できる。
■質疑応答
Q:認知機能検査について、実施方法と合否の判定はどのように行っているのか。
A:36点以上という合否の基準が全国的に統一の基準として設けられており、タブレット端末を用いて検査を実施している。
Q:高齢者講習について、高齢になるにつれて運動神経等が衰えるのは仕方のないこととも思うが、数時間程度の講習でどのような効果があるのか。
A:実際にコースを運転していただき、視力検査等も行って、若い頃と同じようには運転できないということを指導する趣旨で行っている。
Q:センター開所後に何か課題はあるか。
A:最寄りのバス停から徒歩15分と少々遠いことや、さいたま市の乗合タクシーの本数が少ないことが課題として挙げられる。これらについては、バス会社への要望やさいたま市との調整を行い、改善を図っている。
(2)大久保浄水場
【調査目的】
■本県の課題
- 有機物やかび臭を除去した安全な水の安定した供給が課題となっている。
■視察先の概要と特色
- 多発する水質異常や急激な水質変化等に対応するため、原水水質に応じた浄水処理を行うとともに、水質基準に適合した安全な水をより安定して供給することを目的に、高度浄水処理施設の整備を進めている。
- 警県営水道の水源河川では、油や化学物質等が流出する水質異常が年間100件程度発生している。また、近年の気候変動の影響により、ゲリラ豪雨等の極端な気象現象に起因する急激な水質変化が発生している。
- 県営浄水場では、このような水質悪化に対して随時粉末活性炭を注入するなど、浄水処理を強化することで対応している。また、県営水道の責務として、水質基準に適合した安全な水をより安定的に供給するため、県営浄水場への高度浄水処理施設の整備を進めている。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 昭和43年4月に給水を開始した大久保浄水場は、現在、県内15市1町に水道用水を、県内4市の89事業所に工業用水をそれぞれ給水している。1日の最大給水量は水道用水については130万立方メートルで、国内最大級の浄水場となっている。
- 通常の水道用水の浄水処理のフローとしては、荒川から取り入れた水を着水井に送り、急速攪拌池・フロック形成池を経由して沈でん池で水のにごりを沈めて取り除き、にごりが取れた水を急速ろ過池で更にきれいにし、浄水池に貯めておく。その後、浄水池から各供給市町に水を送っていく。
- 高度浄水処理とは、通常の浄水処理に加え、有機物質等をオゾンで分解し、分解された物質を活性炭の吸着作用と微生物の働きにより取り除く処理方法である。高度浄水処理を行うことにより、トリハロメタンやかび臭の低減、カルキ臭の抑制の効果があるとともに、化学物質の流入などの水質異常発生時の対応能力が強化できる。
- 大久保浄水場においては、高度浄水処理施設整備事業の事業期間は令和2年度から令和10年度であり、総事業費は約856億円である。調査日時点では、基礎杭工事、本体工事、場内配管工事を実施していた。今後、機械設備及び電気設備の工事が予定されている。

岩槻高齢者講習センターにて