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掲載日:2024年2月13日
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令和5年10月17日(火曜日)
(1) 埼玉県こども動物自然公園(東松山市)
(2) 荒川水循環センター(戸田市)
(埼玉県こども動物自然公園の運営状況について)
埼玉県こども動物自然公園は、次代を担う子供たちが動物や比企丘陵の自然と触れ合えるよう、「こどもが動物と親しむ」、「こどもが自然の中で情操と科学心を養う」、「こどもがリラックスして遊べる」の基本理念の基に、昭和55年に開園した。
令和4年3月にキリンテラスが完成し、同年7月にコウノトリ舎をリニューアルした。キリンテラスはキリンのガラス張りの室内展示室であり、国内初の設備である。これまで、雨の日や寒い日はキリンが建物内に入ってしまい入園者が観察できなかったが、年間を通して観察可能になった。コウノトリ舎は水田などの湿地帯をイメージして設備を一新し、本来生息している環境に近い環境で鳥を観察できるようになった。
設備一新が、どの程度同公園の運営に寄与したのかを中心に、同公園の運営状況について視察し、決算特別委員会における審査の参考とする。
開園以降、同園は主に展示する動物に工夫を重ねることで入園者数の増加を図っている。オーストラリアのクイーンズランド州と埼玉県が、姉妹州県を結んだ友好のシンボルとして、昭和61年に同園にコアラが来園して話題となり、同年度の年間入園者数は983,362人となった。
しかしその後は徐々に減少し、平成8年度から平成22年度の間の年間入園者数は500,000人前後と推移した。平成23年にペンギンヒルズのオープンと併せてナイトズーなどのイベントを充実させると、平成30年度までの年間入園者数は700,000人前後に増加し、一時回復の兆しを見せたが、新型コロナウイルス感染症の流行により一定期間の臨時休園を余儀なくされ、令和2年度は約450,000人まで落ち込んだ。
しかし、令和3年にクオッカを導入したことや、コアラ・キリンの赤ちゃんが産まれたことなどから、平成30年度と比較した来客者数減少率は、令和2年度は△35%(全国平均△48%)、令和3年度は△19%(全国平均△40%)と、全国と比較すると影響は少なく済んでいる。
令和4年3月に完成したキリンテラスは、寒い日や悪天候時も来園者がキリンを観察できる展示室であると同時に、飼育員が安全にキリンの世話ができるよう設計された設備となっており、他県や海外からも視察の申込みがあるとのことであった。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「様々な動物がいるが、動物の福祉という観点からどのような取組を行っているか」との質問に対し、「なかよしコーナーでは、全ての動物舎を日当たりの良くなる南向きに改修し、更に1頭当たりのスペースを広く取るなど動物の生活環境に配慮している。ほかの展示コーナーでも同様に動物の生活スペースの広さを考慮した設計としている」との回答があった。ほかにも、入園料の設定等について質問がなされた。
概要説明及び施設見学を通じて、埼玉こども動物自然公園の運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。
(荒川水循環センターの運営状況について)
荒川水循環センターでは、令和5年8月上旬に廃熱発電機能付き新型焼却炉が完成した。同焼却炉は8月下旬から試運転を開始しており、11月上旬から本格的に稼働を開始する予定である。
同焼却炉は、県の「ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050」で設定された再生可能エネルギーの活用に貢献する廃熱発電設備を備えた焼却炉であり、下水処理施設としては国内で2例目の先進的な設備である。(1例目は東京都の南多摩水再生センター)
先進的な設備である同焼却炉を中心に荒川水循環センターの運営状況について視察し、決算特別委員会における審査の参考とする。
荒川左岸南部流域下水道は、さいたま市、川口市、上尾市、蕨市、戸田市の5市を対象とする流域下水道である。同センターは昭和47年に供用を開始し、令和4年で供用開始50年を迎えた。県内で最も歴史のある流域下水道であるとともに、流域下水道の終末処理場としては日本一の処理量を誇る施設である。
同センターにおける下水処理工程は、水処理施設の工程と汚泥処理施設の工程に大別される。まず、「沈砂池」にて、汚水から大きなゴミをスクリーンで除去し、重い土砂類を沈め、「最初沈殿池」で細かい汚泥を沈めて除去する。次に、水処理の中心的な役割を果たす施設である「反応タンク」において、空気を送り、活性汚泥(微生物)の働きにより汚れを分解する。さらに、「最終沈殿池」で、活性汚泥と上澄み水とに分離し、活性汚泥を反応タンクに返送する。
最後に、汚泥処理施設に送られた上澄み水を、「消毒施設」において次亜塩素酸ソーダにより消毒し、放流口から荒川へ放流する。放流水の令和4年度の平均BOD(生物化学的酸素要求量)は1リットルあたり3.3ミリグラムであり、環境基準の5.0ミリグラムよりも優れた放流水質が確保されている。
一方、「最終沈殿池」から汚泥処理施設へ送られた一部の活性汚泥は、汚泥脱水機で脱水され、その後汚泥焼却炉で約850度の高温で焼却され処理されている。このときに発生する廃熱を発電に利用したものが、令和5年8月に完成した新型の焼却炉である新2号焼却炉である。焼却時の排ガス・排水を利用し1時間当たり約270キロワットを発電することができ、既存設備と比較してCO2排出量を約57%削減できる。廃熱発電を採用した焼却炉としては県内で初めての設備であり、全国でも2例目である。令和7年度には新河岸川水循環センター、元荒川水循環センターでも同型の焼却炉が供用開始予定であり、現在建設工事を行っているとのことであった。
荒川水循環センターにて
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「令和4年度は純利益が赤字となっているとの説明があったが、今年度や来年度以降の見通しはどうか」との質問に対し、「下水処理は非常に多くの電気を使うため、電気料金の値上げにより、当センターに限らず全国的に、令和5年度以降も困難な状況の見通しである」との回答があった。ほかにも、新型の焼却炉により節約できる電気料金や削減される温室効果ガスの内訳等について質問がなされた。
概要説明及び施設見学を通じて、同センターの運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。
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