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掲載日:2024年7月1日

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決算特別委員会視察報告

期日

 令和元年10月29日(火曜日)

調査先 

   (1) 埼玉県立小児医療センター(さいたま市)
   (2) SFAフットボールセンター(加須市)

調査の概要

(1)埼玉県立小児医療センター

   (埼玉県立小児医療センターの運営状況について)

【調査目的】

   埼玉県立小児医療センターは、県内唯一の小児専門病院として、新生児に対する高度医療をはじめ、一般医療機関では対応困難な小児の疾患の診療を行う三次医療を担っている。平成28年12月27日に移転した新病院においては、新生児集中治療室を増床するとともに、小児集中治療室などを新たに設置し、重篤な小児疾患を持つ子供たちに、先進・高度な医療を提供している。
   また、隣接するさいたま赤十字病院と緊密に連携し、母体・胎児・新生児のあらゆる疾患に対応できる総合周産期母子医療センターや、同病院の高度救命救急センターと連携した365日24時間体制の小児救命救急センターを新設している。
   なお、同センターへの平成30年度の一般会計繰入金は約56億8,000万円であり、年々増大している。県立病院における不採算医療や高度医療の充実と能率的な経営の両立が県政の課題となっている。
   そこで、同センターの運営状況について調査する。

【調査内容】

   埼玉県立小児医療センターの理念は、「子どもたちの未来は私たちの未来」である。同センターの特徴は大きく3つある。1つ目は、高度専門医療の提供である。一般病床316床のうち、112床が高度医療を行う病床となっている。総合周産期母子医療センターは、新生児集中治療室(NICU)30床、新生児治療回復室(GCU)48床を有し、外科系の診療科がそろっていることが強みである。インターネットを介した胎児診断ネットワーク体制も確立している。小児救命救急センターは、小児集中治療室(PICU)14床、小児高度治療室(HCU)20床を有し、救急指定を取得している。患者は外傷を中心とした外科系疾患が中心になっている。また、同センターは全国に15施設ある小児がん拠点病院の1つであり、白血病等のがん治療を行っている。さらに、小児感染症については、前室を設けるとともに陰圧にした感染対応個室18床を有し、第二種感染症に対応している。
   特徴の2つ目は、最新医療への対応である。傷も小さく低侵襲である内視鏡治療は適応疾患も拡大して件数が著しく増加しており、内視鏡手術専用の手術室で対応している。放射線透過装置を設置したハイブリッド手術室では、通常の定型的手術とカテーテル治療を統合して行うことが可能になっている。また、さいたま赤十字病院と連携し、災害拠点病院になっている。
   特徴の3つ目は、快適な療養環境の提供である。ゆとりある個室病床80床を有するとともに、多床室も4床までとして広く明るい部屋にしている。また、病院内に家族滞在施設としてマクドナルドハウスを7部屋設置しているほか、患者参加型の院内アートの作成や屋上庭園の設置を行っている。
   診療実績については、延べ外来・入院患者数、病床利用率、医業収益額、患者1人当たり単価等が移転前より増加しており、その結果として平成30年度は病院事業収益が約185億円、病院事業費用が約191億円と収支も改善してきているとのことであった。
   概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「医師や看護師の人数は充実してきているが、患者数の増加に対応できる体制になっているのか」との質問に対し、「医師はほぼ定数を満たしているが、全国的に不足している小児脳神経外科医等の確保には苦労している。看護師は定数を満たしているが多忙である」との回答があった。ほかにも、児童虐待症例における対応などについて質問がなされた。
   概要説明や施設見学を通じて、埼玉県立小児医療センターの運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。

(2)SFAフットボールセンター

   (SFAフットボールセンターの運営状況について)

【調査目的】

   SFAフットボールセンターは、未利用施設であった旧騎西高校を活用した施設である。騎西高校は、平成20年3月に閉校した後、東日本大震災で被災した福島県双葉町住民の避難所として約3年間活用された経緯がある。
   県は、同高校を震災復興レガシーとして地域振興に生かし、スポーツ活動の拠点とするため、未利用施設活用事業として同高校の土地・建物の老朽改修等を実施した上で、公益財団法人埼玉県サッカー協会に貸付けを行った。貸付けを受けた同協会は、人工芝サッカーグラウンド等の整備を行い、平成31年3月から運用を開始した。
   この事業により、未利用施設の活用が図られるとともに、協会加盟団体だけではなく、広く一般に対して安価に提供されるスポーツの場が拡充されると見込まれている。なお、同センターの整備に係る平成30年度の決算額は、県整備分が約2億7,177万円、同協会整備分が約3億5,046万円となっている。
   そこで、同センターの運営状況について調査する。

【調査内容】

   旧騎西高校を活用した避難所は平成26年3月に閉鎖された。その後の利活用について、平成27年1月に加須市から、スポーツ活動の拠点としての整備及び活用を求める要望書及び意見書が提出され、県は市と意見交換を行いながら検討を進めた。一方、公益財団法人埼玉県サッカー協会は、トレーニング施設として借用していたグラウンドが売却されることに伴い、代替地として県の未利用地を借用し、グラウンド整備を行えるか県に打診した。この結果、スポーツ活動の拠点としてふさわしいとされ、同協会のトレーニング施設として整備を進めることになった。なお、公益目的であることから、駐車場を除いた土地及び建物については無償の貸与契約となっている。
   整備に当たり、県は、土地及び建物の所有者として、不要工作物の撤去や駐車スペースの確保、施設の老朽改修などの基本的な整備を実施した。同協会は、フットボールセンターとしての事業の実施や機能付加に必要となる人工芝の敷設、防球ネットの新設、照明灯の新設などの施設整備や器具、備品等の購入を行った。
   同協会が行う事業内容は、指導者養成としてコーチやキッズリーダー養成講習会の開催、審判養成として審判員新規(更新)講習会や研修会、インストラクター更新講習会の開催、普及・育成・強化事業としてフェスティバルやトレセン・GK講習会等の開催、連盟の大会等への施設貸出しなどである。
   貸出し料金については、グラウンドは1時間5,000円、体育館は1時間1,000円である。グラウンドの今年6月以降の稼働率は高くなっており、土日は予約でいっぱいの場合もある。来年度は、更に予約の競争率が高まると見込んでいる。
   しかしながら、現行の貸出し料金では、修繕積立金等を考慮すると経営的には厳しいのが実情である。同協会としては、登録チームになるべく安い料金でグラウンドを使用してほしいため、運営面ではいろいろ工夫していきたいとのことであった。
   また、日本サッカー協会のデータによると、サッカーの登録人口と天然・人工芝グラウンド数の比率で埼玉県は全国最下位であった。同センターの2面のグラウンド増では大勢に影響はないが、本県のサッカー振興に役立てたいとのことであった。
   概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「人工芝にした理由は何か。整備費用と張り替え費用の見込みはどうか」との質問に対し、「人工芝はメンテナンスの手間が少なく済み、雨でも使用できるほか、天然芝のように1日や1週間での使用時間や回数の制限がない。整備費用は約2億円であり、10年後に予定している張り替えには約1億5,000万円を見込んでいる」との回答があった。ほかにも、宿泊に対応する場合の課題などについて質問がなされた。
   概要説明や施設見学を通じて、SFAフットボールセンターの運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。

SFAフットボールセンターでの様子

SFAフットボールセンターにて

お問い合わせ

議会事務局 議事課 予算決算特別委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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