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掲載日:2023年5月23日
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平成30年8月20日(月曜日)~22日(水曜日)
(1) 沖縄空手会館(豊見城市)
(2) 金武町フットボールセンター(沖縄県金武町)
(3) 沖縄科学技術大学院大学(沖縄県恩納村)
(4) 沖縄県営奥武山公園(那覇市)
(武道の振興について)
沖縄空手会館は、沖縄伝統空手を独自の文化遺産として保存・継承・発展させるとともに、空手や古武術の普及を図るために平成29年3月に開館した施設である。競技コート4面、380席を配し大きなイベントにも対応できる道場やトレーニングを目的とした鍛練室のほか、資料室や空手の体験コーナー、映像シアターなど一般の方に向けたコンテンツまで幅広く揃えており、「空手発祥の地・沖縄」を国内外に発信するための役割も担っている。
また、空手が第32回オリンピック競技大会(2020/東京)の追加種目となることが決まり、沖縄を世界にアピールする拠点としての活用も期待されている。
同施設を視察することで、本県における武道の振興施策の参考とする。
沖縄県は平成29年3月4日、空手に特化した施設「沖縄空手会館」を豊見城城址公園跡敷地内に開館した。この施設は、今や世界中で1億人以上の愛好家がいるといわれる空手の発祥の地が同県であることを国内外に発信するとともに、沖縄伝統空手を独自の文化として保存・継承・発展させるための拠点として整備された。同会館では、人格形成への寄与、空手発祥の地であることの発信、県内及び国内外の各流派間の交流、指導者・後継者の育成、空手の真髄の継承、本場沖縄での修行の促進の6つの役割を担う。約3.8haの敷地には、道場施設、空手の歴史を学べる展示施設、首里城を彷彿とするシンボル施設・特別道場のほか、鍛錬室や研修室、空手関連グッズを販売するショップや沖縄そばなどを味わえるレストランが備わっている。
道場施設は、競技コート4面を配した空手のための道場で、客席数は380席あり、空手の大会やイベントはもちろん空手以外の行事にも活用できる。鍛錬室は、空手の鍛錬やトレーニングを目的とした施設で、空手の鍛錬具のレンタルも可能なほか、少人数の空手プログラムにも利用することができる。道場施設の向かいの展示施設には、空手に関するさまざまな資料が展示され、空手の歴史を学ぶことができる。県内の継承者から寄せられた貴重な資料が並び、鉄下駄などの鍛錬道具の体験コーナーや空手の歴史や型について学ぶことができる映像シアターなどもある。特別道場・守禮之館(しゅれいのやかた)は、空手の発祥地であることを顕示した、赤瓦の屋根、板張りの壁面でできた道場となっており、一般の利用とは区別し、高段者の昇段試験や空手の日の演武などで利用できる施設となっている。
また、同会館は、平成30年8月1日から同県で開催された第1回沖縄空手国際大会のメイン会場となり、50の国や地域から計3,500人もの参加者が訪れたとのことであった。
概要説明の後、同会館内を見学した。今回視察先を調査できたことは、武道の振興について、本県における取組を推進する上で、大変参考となるものであった。
沖縄空手会館にて
(サッカーの振興について)
金武町フットボールセンターは、平成23年に返還された米軍ギンバル訓練場跡地に建設された平成28年2月完成のサッカー場である。人工芝と天然芝のグラウンドが1面ずつ整備され、人工芝のグラウンドには夜間照明が設置されている。医務室や会議室を備えたクラブハウスも完備されており、浦和レッズをはじめとしたプロチームの合宿にも使用される本格的な施設となっている。
また、周辺地域には地域医療施設や児童リハビリセンターなどが完成している。大型ホテルの立地も予定されており、沖縄県北部地域における活性化やスポーツ振興の中心としても期待されている。
同センターを視察することで、本県におけるサッカーの振興に関する施策の参考とする。
金武町フットボールセンターは、日米合同委員会で全面返還が合意され平成23年7月に返還されたギンバル訓練場の跡地利用計画の一環として建設されたサッカー場である。同センターは、総事業費約17億円、沖縄北部連携促進特別事業として文部科学省から約14億円の補助金を受け、平成28年2月に完成した。人工芝と天然芝のグラウンドが1面ずつ整備されており、人工芝のグラウンドには、けがをしにくく天然芝の感覚に近いJFA公認のロングパイルピッチ人工芝が使用されている。天然芝のグラウンド側には、地上2階建てで78席の観覧席を備えたクラブハウスが隣接している。
同センターの周辺には、住民健診や医療の充実、リハビリ等による健康増進と心身の癒しを図ることを目的に、地域医療施設やヘルスケアセンター、海洋療法児童リハビリセンターなどが整備されている。同町では、同センターを中心として「田園と海と川を活かしたウェルネスの里」をコンセプトに町の活性化に取り組んでいる。
また、沖縄各地ではプロスポーツのキャンプが活発に行われているが、同町の充実した施設や環境がプロサッカーチームのキャンプ場として注目されており、浦和レッズやコンサドーレ札幌、水戸ホーリーホック等のキャンプの誘致に成功している。また、周辺に大型ホテルの立地も予定されており、同センターの更なる活用が期待されているとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質問が行われた。その中で、「人工芝と天然芝のグラウンドがそれぞれあるが、違いや用途はどうか」との質問に対し、「人工芝は天然芝に比べてメンテナンスが容易であるため、年間フルに利用できる。ユニホームが汚れることも少ないため、子供や親には好評である。一方、天然芝はプロ等本格的なサッカーチームのために用意している。特に、沖縄の天然芝は1月や2月の冬期においても枯れることが少ないため、Jリーグチームの春季キャンプのグラウンドとしても使われている」との回答があった。その後、施設内を見学した。
今回視察先を調査できたことは、サッカーの振興について、本県における取組を推進する上で、大変参考となるものであった。
金武町フットボールセンターにて
(先端的な教育研究活動について)
沖縄科学技術大学院大学は平成24年に開学した5年一貫制の博士課程を置く大学院大学であり、沖縄振興の観点から国による特別な財政支援を受けている。ノーベル賞受賞者等の科学者などが理事として学園の運営を進めており、物理学、化学、神経科学等7つの分野を基礎とする先端的な学際分野において、約60名の主任研究員(教員)を含む約500名の研究者が研究を展開している。学生は約160名で、学生及び教員の半数以上は外国人となっており、教育研究は英語で行われている。
また、200haの広大な敷地にはキャンパスビレッジと呼ばれる宿舎のほか、保育園やメディカルセンターなどの施設も完備されており、教育研究活動に集中できる環境となっている。
同大学を視察することで、本県における教育研究活動に関する取組の参考とする。
沖縄科学技術大学院大学は、国際的に卓越した科学技術に関する教育及び研究の実施により、沖縄の振興と、世界の科学技術発展に寄与することを目的に設置された。5年一貫制の博士課程を置く大学院大学であり、現在、39か国から約160名の学生が在籍している。1名の教員に対し約2名の学生という比率で、学生は世界トップクラスの教員による指導の下、博士号取得を目指している。「人類が直面している課題の解決には、従来の科学分野の枠を超えた新たなアプローチが必要である」という考えから、従来の学問間の壁を排除し、学部を設けず単一の研究科・専攻のみとなっており、分野の壁を超えた共同研究や交流が推奨されている。博士課程プログラムは、授業とラボワークのバランスがとられており、学生は、最先端機器を備えたラボで、世界トップレベルの研究者による懇切な指導の下で研究に励むことが可能となっている。また、同大学は日本でも類をみない学校法人であり、沖縄振興の観点に基づき国からの特別な財政支援を受けながらも、自主性と運営の柔軟性が確保された環境にある。学内での公用語は英語で研究員の半数以上は外国人となっている。学生には生活費や医療、住居、育児などの研究生活に必要な支援が提供されるなど研究に集中できる環境が整えられている。
さらに、同大学は沖縄の発展に貢献し地域に開かれた大学院大学を目指して、小・中・高校向け見学プログラムやサイエンスフェスタ、学外での実験教室の開催などを積極的に行っているとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質問が行われた。その中で、「現在の課題は何か」との質問に対し、「日本人学生の割合が15%ほどと低いことである。大学の存在や魅力を国内に更にPRして優秀な日本の学生を集めたい」との回答があった。その後、施設内を見学した。
今回視察先を調査できたことは、教育研究活動について、本県における取組を推進する上で、大変参考となるものであった。
(スポーツ施設を核とした地域振興について)
沖縄県営奥武山公園は、野球場「沖縄セルラースタジアム那覇」をはじめ、武道館、弓道場、プール等が設置されている総合運動公園である。
同県は公園内の陸上競技場等の約6haの土地を利用し、平成35年供用開始(平成31年着工)のサッカーJ1規格のスタジアム整備基本計画を発表した。地上6階建て2万人収容の規模とし、大型映像装置やVIPルームを備えた代表戦やラグビーにも対応できる構造とする。また、国際通り等から至近距離にある立地を生かし、スタジアム周辺に飲食・物販店等のにぎわい施設を配置することで、試合がない日でも観光客が集まる新たな交流拠点として整備する予定である。
同公園を視察することで、本県におけるスポーツ施設を核とした地域振興施策の参考とする。
沖縄県営奥武山公園は、昭和34年6月に開設された運動公園で、那覇空港から車で約5分という交通に便利な場所にある。約30haの敷地内には3万人収容可能な野球場「沖縄セルラースタジアム那覇」をはじめ、武道館、弓道場、50mプール、テニスコート、多目的広場等がある。
同県は、平成35年開業を目指すサッカーJ1規格スタジアムの整備基本計画をまとめた。6階建ての2万人収容スタジアムとし、主要施設はメインスタンドに集約するほか、観客席最前列はフィールドと極力高さを合わせた「ゼロタッチ」を目指すこととし、臨場感・一体感のある競技場とするものとしている。
天然芝維持の観点から無制限の利用ができないため、スタジアム運営に係る現時点での収支計算では赤字になる見込みであるとのことであった。そのため、サッカースタジアム周辺の賑わいづくりの検討に力を入れている。スタジアム東側の国場川沿いエリアはモノレールの駅と隣接するとともに、繁華街である国際通りからも至近距離にあり、新たな観光拠点となる可能性を有していることから、スタジアムと一体的な活用を図ることとしている。飲食・物販の屋台を配置するとともに、スタジアム外壁にはデジタルネイサージ(電子看板)を設置し水面活用や空間演出によって魅力の向上を図ることで、試合がない日でも観光客などの誘客に努めるとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質問が行われた。その中で、「賑わいづくりのための複合機能に係る事業方式について検討しているのか」との質問に対し、「スタジアム単体での黒字運営が難しいことから、民間による整備・投資回収を目指す必要がある」との回答があった。その後、建設予定地を見学した。
今回視察先を調査できたことは、スポーツ施設を核とした地域振興について、本県における取組を推進する上で、大変参考となるものであった。
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