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掲載日:2023年5月23日

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人材育成・文化・スポーツ振興特別委員会視察報告

期日

平成29年7月24日(月曜日)~26日(水曜日)

調査先 

(1)松山城(松山市)
(2)ニンジニアスタジアム(松山市)
(3)アサヒビール(株)四国工場(西条市)
(4)伯方塩業(株)大三島工場(今治市)

調査の概要

(1)松山城

(歴史的資産の保存と活用について) 

【調査目的】

松山城は、国内に12か所しか残っていない現存天守のうちの一つであるほか、21棟の建造物が国指定重要文化財となっている。平成18年には「日本100名城」、平成19年には道後温泉とともに「美しい日本の歴史的風土100選」、平成26年には「行ってよかった!日本の城ランキング2014」の第2位に選ばれている。同城を指定管理者として管理する伊予鉄道(株)は、民間発想に基づく積極的な新規施策などを実施しており、今年度においても、登城道や石垣を光の散歩道とする演出などを行う「光のおもてなしin松山城」を開催するなど、松山市の観光事業に貢献している。同城を視察することにより、本県における歴史的資産の保存と活用に係る施策の参考とする。

【調査内容】

松山城は、松山市の中心部に位置する勝山の山頂に築かれた城郭であり、賤ヶ岳の合戦の七本槍の1人として有名な加藤嘉明が築き始めた城である。門・櫓・塀を多数備え、高石垣などを巧みに配した、攻守の機能に優れた連立式天守を構えた平山城と言われている。
天守が現存する松山市には、同城と共に残された貴重な文化があり、文化施設や資料館、特産品や名物料理などにより城下町の魅力を発信している。平成28年の同市の観光客推定数は、前年比2万3,500人増の582万7,900人と推定されている。また、外国人観光客数は、前年比5万3,700人増の18万7,500人と推定され、4年連続で過去最高を更新している。
同城を指定管理する伊予鉄道(株)は、民間鉄道としては日本で二番目の歴史を持つ老舗企業であり、交通・観光・百貨店・不動産・飲食など幅広い事業を展開する中で、民間発想に基づく同城を活用した様々なイベントを行っている。その中でも平成27年度から開催している、「松山城×ひろしまドリミネーション」の特別企画である「光のおもてなしin松山城」と称したイベントは、同城の登城道や石垣をライトアップし、光の散歩道として演出するほか、広島市や関係団体の協力の下、約140万球の光で彩る一大イベント「ひろしまドリミネーション」で実際にライトアップしている厳島神社をモチーフにした「大鳥居」などの幻想的なオブジェを展示している。このイベントに合わせた夜間運行などにより、平成28年の同城ロープウェイ・リフト乗客数は前年比9万6,707人増の132万1,902人となった。また、松山市では、平成16年から平成18年にかけて、重要文化財である天守の大改修を行ったほか、指定管理者の職員による日々の巡回により、常に保存状態をチェックし歴史的資産を後世に伝えていけるよう、適切な維持・管理を行っているとのことである
今後も松山城や道後温泉をはじめとする地域の宝を磨き、新たな観光資源の開発や広域連携策などに戦略的に取り組み、更なる文化発信をしていくとのことであった。

松山城にて

概要説明の後、委員からは活発な質問が行われた。その中で、「外国人観光者向けの対策はどうしているのか」との質問に対し、「市のウェブサイトを翻訳ソフトにより作成していたが分かりにくい部分も多かったので人の手により翻訳し、分かりやすいウェブサイトを作成した。また、城内のあらゆる箇所にQRコードを設置し、アプリをダウンロードしてもらえればスマートフォンにより展示品等の説明が簡単に見られるようにした」との回答があった。また、ほかにも、建物改修の費用負担などについて活発な質問が行われた。その後、同城内を見学した。
今回視察先を調査できたことは、今後の本県における歴史的資産の保存と活用に関する取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

(2)ニンジニアスタジアム

(プロスポーツを活用した地域振興について)

【調査目的】

愛媛県では、県内各種団体や行政機関など幅広い主体の参画を得て、プロスポーツの地域密着型活動とこの活動を活用した地域活性化施策を推進している。また、平成18年2月に「愛媛県プロスポーツ地域振興協議会」を設立し、新たなファン層の掘り起こしやプロスポーツ支援の拡大につなげ、競技スポーツの振興を図っている。
ニンジニアスタジアムは、Jリーグ公式戦やサッカー日本代表戦も開催される愛媛県におけるプロスポーツ競技開催の中核的施設である。また、平成29年9月から始まる第72回国民体育大会及び第17回全国障害者スポーツ大会の開会式・閉会式の会場であり、(1)安全性の重視、(2)快適性の配慮、(3)機能性の確保、(4)効率性の追求、(5)環境への配慮、(6)「えひめ」らしさの演出を基本方針とし、施設改修を行った。
同施設を視察することにより、本県におけるスポーツ振興施策についての参考とする。

【調査内容】

愛媛県は、第6次愛媛県長期計画に定めるスポーツ振興計画において、プロスポーツを活用した地域振興に取り組んでいる。具体的には、平成18年2月に設立した「愛媛県プロスポーツ地域振興協議会」を通じて、J2リーグサッカーチームである愛媛FCや四国アイランドリーグに所属する野球チームである四国マンダリンパイレーツなどのプロスポーツチームを、県の活性化に寄与する貴重な地域資源に位置付け、市町や各種団体と連携し、チームの活動を支援するとともに、チームを活用した地域振興を図っている。
プロスポーツチームが、地域資源となるための取組としては、(1)県民と選手が交流する魅力あるイベントの開催、(2)子供たちに夢を与えるため、高度な技術の提供によるチーム力の強化、(3)スポンサーと連携した特産品のPRや販売、(4)スポーツ教室などによる、競技力の向上やスポーツに親しむ機会の提供、(5)SNSやマスコミを活用したチームのイメージアップや広報活動の強化である。
また、同県ではサポーターズチケット支援事業を行っている。これは、観戦チケットと往復バス乗車券がセットになった割引チケットの販売であり、サッカー観戦の自由席を例にすると通常の価格が3,320円のところ、1,020円割安の2,300円で購入できるものであり、周辺道路の混雑や駐車場不足の解消のほか観客数の増加によるにぎわいの創出が図れているとのことであった。
ニンジニアスタジアムは、平成29年9月から始まる第72回国民体育大会及び第17回全国障害者スポーツ大会(愛顔つなぐえひめ国体)の競技会場であると同時に、開会式、閉会式の会場でもあることから、平成23年度からバリアフリーなどに配慮した施設改修を行ってきた。さらに、今まで8レーンしかなかったトラックを9レーンに改修し、国際陸上競技連盟(IAAF)公認の国際規格「クラス2」を取得した。この国際規格を取得したことにより、トラック競技の記録が世界記録の認定対象となるほか、アジア大会規模の国際的な競技大会の開催が可能となり、東アジアで開催される国際大会や東京オリンピックを控え、海外選手団の合宿誘致にも力を入れている。また、愛顔つなぐえひめ国体の成功とともに、県総合運動公園のさらなる利用促進につなげていくとのことであった。
概要説明の後、同スタジアム内を見学した。
今回視察先を調査できたことは、スポーツ振興施策について、本県における取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

(3)アサヒビール(株)四国工場

(民間企業による地域文化の発信について)

【調査目的】

アサヒビール(株)四国工場は「アサヒスーパードライ『道後温泉別館飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)』ラベル」を愛媛県内で販売した。これは、松山市が整備を進め、平成29年9月開館予定の温泉施設「道後温泉別館飛鳥乃湯泉」のPRを目的にしたものであり、県内外から多くの観光客を迎え、地域を活性化するため、民間企業が行う新たな手法による温泉文化の発信である。同工場では、ほかにも地元の祭りである「西条まつり」や「新居浜太鼓まつり」のデザイン缶も発売するなど地域文化を発信しており、地元とのつながりを深める地域共生型の活動を行っている。
同工場を視察することにより、本県における文化発信に係る施策の参考とする。

【調査内容】

アサヒビール(株)四国工場は、四国初の本格的ビール工場として、平成10年に愛媛県西条市に誕生した。現在、約150名の従業員により、年間8万キロリットルのビールを製造しているほか、工場廃棄物再資源化100%を達成するなど「人と環境にやさしい21世紀型工場」を掲げている。また、活動理念の一つとして、文化・社会貢献を企業の役割と考え、人々の健康と豊かな社会の実現、社会から信頼され社会と感動を共有することや、社員一人一人の高い社会意識と磨かれた感性豊かな発想による自由かったつで創造的な企業風土を通し、社会発展の寄与することなどを掲げている。
同工場は、地域共生型の営業活動の一環として、瓶ビールのラベルに「道後温泉本館」や「道後温泉別館飛鳥乃湯泉」の外観イラストや文字を配した商品を発売した。これらの商品は、本館改築120周年や新たな別館の開館に合わせて発売しており、同工場は温泉文化を発信する拠点としても松山市を中心とした愛媛県の地域活性化に取り組んでいる。また同工場では過去に、地元の祭りである「西条まつり」や「新居浜太鼓まつり」、四国遍路のデザイン缶の販売による地域文化の発信や、四国を元気にするため「さとあいプロジェクト」として、地域産業の情報を発信するために四国の特産品を景品としたキャンペーンの実施をしている。
また、同工場は社員教育にも力を入れている。技能系社員は、入社後2年間は指導員と共に様々な部門で実習を受け、3年目にようやく本配属を受ける。また、年間数人ではあるが、社員をミシガン州立大学やベルリン工科大学などへ海外留学させ、麦芽発酵や機械工学などの研究を行わせ、社員のスキルアップを図っている。
概要説明の後、委員からは活発な質問が行われた。その中で、「道後温泉をラベルに用いたきっかけは何か」との質問に対し、「新たな施設の開館もあり、道後温泉の新たな幕開けをキーワードに、県内外から訪れる人々に親しまれることや話題喚起と地域の活性化を目的とした。期間限定のデザイン缶は売れ残ってしまうことが問題であり、ある程度の販売見込みがある場合のみ製造するが、最終的に本社が決定した」との回答があった。また、ほかにも、新入社員の実習制度などについて活発な質問が行われた。その後、同工場内を見学した。
今回視察先を調査できたことは、今後の本県における文化発信や人材育成に係る施策の取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

アサヒビール(株)四国工場にて

(4)伯方塩業(株)大三島工場

(技術者の育成について)

【調査目的】

「伯方の塩」で知られる伯方塩業(株)は、愛媛県松山市、今治市に本社を置く。同社は、昭和46年に「塩業近代化臨時措置法」が成立し、全廃した伝統的な製塩設備である「流下式塩田」を、平成22年に同県今治市の大三島工場で復活させた。この製法で作る塩は、にがりの成分がほどよく残り、まろやかな味になるのが特徴である。同社は、この伝統的な製塩方法の技術を継承するために人材育成などに取り組むとともに、この製塩方法の良さを製品に生かしながら、おいしい塩、体に適した塩を研究し、品質の向上に努めている。
同社を視察することにより、本県における人材育成に係る施策の参考とする。

【調査内容】

伯方塩業(株)は、愛媛県松山市と今治市に本社を置き、県内3か所に工場を有している。その中の大三島工場は、瀬戸内海の西部に位置する芸予諸島の一つである大三島に平成12年に設置された。同工場は、設置以来一般向けの工場見学を実施し、塩文化の歴史や製造工程を紹介している。見学コースの拡充や展望台の新設による効果もあり、平成26年に工場見学者の延べ人数が100万人を突破した。
平成9年に塩専売法が廃止され、海水からの直接製塩が認められたことを受け、同社は、塩田技術の承継のため、昭和46年まで行われていた流下式枝条架併用塩田による製塩の復活を決意したが、設計図などが存在しなかったため、当時の専売公社の塩田に関する文献や塩田製塩の経験者の知識を基に試行錯誤を繰り返し、平成22年にようやく大三島工場敷地内に同塩田を完成させた。さらに、多様化する顧客ニーズに対応するため、平成26年に同工場敷地内に研究開発棟を設置し、商品開発の強化を図っている。
同社は、長い製塩の歴史の中で「塩は単なる調味料ではなく、生命活動に不可欠な基本食料」であることを創業の精神に掲げている。化学薬品を使用しない伝統的な技術による製塩方法の継承、安全で信頼できる商品の開発のために必要な社員研修などを行い、現在も健康に最適な塩の製造に取り組んでいる。また、社員一人一人の成長の度合いに見合った年間の教育計画を作成し、社員の成長度合いを「見える化」しているほか、新入社員に対してはブラザー制度を取り入れて先輩社員がマンツーマンで指導し、新入社員育成プランに沿った人材育成を行っているとのことであった。
概要説明の後、工場見学を行う中で、社員の採用や勤務体制、研修制度などについて、活発な質疑応答が行われた。
今回視察先を調査できたことは、今後の本県における人材育成の推進に関する取組を推進する上で、大変参考となるものであった。

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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