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掲載日:2024年6月10日

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 人材育成・文化・スポーツ振興特別委員会視察報告

期日

令和6年2月1日(木曜日)

調査先

(1) 株式会社ワントゥーテン東京支社(東京都品川区)

(2) スポーツとジェンダー平等国際研究センター(東京都世田谷区)

調査の概要

(1) 株式会社ワントゥーテン東京支社

(AIやXR等のデジタル技術を活用した文化及びスポーツの振興について)

【調査目的】

 今日、加速する超スマート社会においては、文化及びスポーツ振興においてもデジタル技術を活用し進めていくことが求められる。
 同社は、創造力で人類の可能性をひらく近未来クリエイティブカンパニーとして、最新のデジタル技術と革新的なソリューションによって将来の都市計画や行政の在り方に大きな示唆を与え、各自治体のデジタル化への取組を後押ししている。
 同社の取組を調査し、本県における今後のAIやXR等のデジタル技術を活用した文化及びスポーツの振興施策推進の参考とする。

【調査内容】

 同社は、上記取組に加え、AIやXR等の先端技術を活用して社会課題の解決に取り組む様々なプロジェクトを展開しており、文化及びスポーツの振興のため、以下二つのプロジェクトを展開している。
 一つ目は、「JAPANESQUE PROJECT」である。日本には、古き良き文化・歴史・自然があり、地域にも、まだ知られていない叡智や趣ある文化が存在している。このプロジェクトは、このような日本の伝統が秘めたポテンシャルに、創造性と先端テクノロジーを掛け合わせ、「伝統と革新の融和」により、未来の日本文化の在り方をプロトタイプし、日本の「美意識」を世界に伝えていくものである。過去には、旧芝離宮恩賜庭園や名古屋城を最先端のテクノロジーを駆使して演出し発信したり、群馬県前橋市で日本の縁日をデジタルアートで楽しみながら学ぶ最先端スポットを展開した。
 二つ目は、「CYBER SPORTS」である。パラスポーツは本来、エキサイティングで頭脳的なスポーツであるが、観戦や実体験する機会が少ないため、「自分ごと化」しにくい現状がある。そこで、平成29年にVRやセンサーなどのデジタルテクノロジーを用いたエンターテインメントとして同プロジェクトを生み出した。具体的には、プロジェクションやセンシングによる自動測定により、審判が不要でより直感的にボッチャを楽しめる「CYBER BOCCIA」や、車いすロードレーサーを未来型にデザインした筐体のハンドリムを回すことで、VR空間を疾走する「CYBER WHEEL X」がある。平成29年以降、遠隔対戦や多言語対応機能などを追加しながら、日本中の様々な場所で世代問わず多くの方の体験を通じて、パラスポーツの振興、普及を目指している。近年は、各種イベントやアミューズメント施設などへも展開している。
 このほかにも、独自の会話システムとChatGPTを用いた「AI AGENT」を提供し、自治体の窓口対応や書店での書籍検索エンジンとして役立てている事例があるとのことだった。
 概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「これらのプロジェクトを今後どのように広めていくのか」との質問に対し、「体験会などを通じて一般の方に広く開いていくとともに、企業とコンテンツのマッチングを積極的に行い、広めていきたい」との回答があった。
 質疑後は、二つのプログラムを体験した。
 今回、視察先を調査できたことは、本県におけるAIやXR等のデジタル技術を活用した文化及びスポーツの振興を推進する上で大変参考となるものであった。

人材育成・文化・スポーツ振興特別委員会視察写真

株式会社ワントゥーテン東京支社にて

(2) スポーツとジェンダー平等国際研究センター

(スポーツを通じたジェンダー平等の推進について)

【調査目的】

 本県が持続可能な発展を遂げていくためには、女性が意欲と能力に応じて、当たり前に活躍できる社会の実現が不可欠である。また、本県はスポーツの力を活用し、社会的課題の解決に取り組む施策指標を定めている。
 同センターでは、ジェンダー平等を目指すため「スポーツ」を切り口とし、待遇の男女差やトランスジェンダー選手の出場規制など、スポーツとジェンダーをめぐる課題の研究や発信に取り組んでいる。
 同センターの取組を調査し、本県における今後のスポーツを通じたジェンダー平等の施策推進の参考とする。

【調査内容】

 これまで「男らしさ、女らしさ」などのジェンダー規範に強く規定されてきたスポーツ界では、近年、女性たちの目覚ましい活躍や多様な性の在り方を実現していく活発な動きが国際的に広がっている。一方、世界経済フォーラムが世界の男女格差の状況をまとめた2023年版「ジェンダーギャップ報告書」では、日本は125位であった。
 同センターは、そうしたスポーツ界の新しい潮流と連動する形で、国際的に研究が進展しているスポーツとジェンダー/セクシュアリティ研究の日本における研究拠点を目指し、多様なジェンダーや多様な性の平等に向けたツール及びプラットフォームとしてのスポーツの在り方を再定義していくための研究機関として、令和5年4月1日に設立された。成城大学を拠点に、他大学の研究者5人が特別客員研究員として参加している。
 同センターでは、ASEAN諸国及び東アジアの国や地域との連携による国際的な学術推進、研究成果の刊行、研究関連資料の収集と公開、各種研究会、講演会、シンポジウムの開催や研究者の育成のほか、スポーツ政策にジェンダーの視点を取り入れるためのワークショップの開催や、女性のスポーツ参加を阻む社会的要因に関する調査を行っているとのことであった。
 概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「歴史的背景や宗教上の理由、固定観念により、ジェンダー平等へのハードルが高い地域や人がいると思うがどうか」との質問に対し、「200年以上もの間、ジェンダー二元論が自然とされていた社会を短期間で変えることは難しい。少しずつでもジェンダーは多様であることを学び、時間をかけて考えていく必要がある。スポーツにおいても、男女で分けられてきたカテゴリーを見直し、多様なジェンダーが当たり前であるスポーツを作っていくべきである。また、宗教や社会規範によって、ジェンダー平等の捉え方は異なる。その地域の女性や女の子、弱い立場に置かれている人たちが望むものを丁寧に分析しながら、平等とは何なのか、どうしたらそれが達成できるのか、その方法を考えていきたい」との回答があった。
 質疑後は、成城大学の10名の学生とともに、「自身や周りの女性、女の子が、定期的に運動したり、スポーツの分野で活躍することを妨げている障壁や課題は何だと思うか」というテーマでワークショップを行った。
 今回、視察先を調査できたことは、本県におけるスポーツを通じたジェンダー平等を推進する上で大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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