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掲載日:2024年6月10日

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危機管理・大規模災害対策特別委員会視察報告

調査日

令和6年1月30日(火曜日)

調査先  

(1) 大林組技術研究所(東京都清瀬市)

(2) 有明の丘基幹的広域防災拠点施設・防災体験学習施設(そなエリア東京)(東京都江東区)

調査の概要

(1) 大林組技術研究所

(最新技術を生かした災害対策について)

【調査目的】

 道路、河川、下水道等各施設の耐震補強や県庁舎建替えなど、今後災害に強い県土づくりを効果的に進めていくためには、優れた災害対策技術を生かした政策が求められる。建設業界にとっても、災害に強い建物や各種社会インフラ等を作っていくことは課題であり、日々研究と実用化に取り組んでいる。
 当該施設を調査することにより、本県における最新技術を生かした災害対策を進めるための参考とする。

【調査内容】

 大林組技術研究所は1965年に清瀬市に設立され、これまで技術開発の中核組織として、その時々に必要とされる技術を創出・実証し、社会へ提供する役割を担ってきた。
 今回の視察では、「免震制振技術について」と「BCP支援技術について」説明を受けた。建物の構造形式は、耐震構造のほか、免震構造及び制震構造の三つに分類され、免震構造は、地震の揺れを建物へ伝わりにくくするため、建物と地盤を切り離した構造である。具体的には地盤と建築物の間に、積層ゴム系免震支承と呼ばれるゴムと鋼板を組み合わせた装置等を組入れ、建築物自体の揺れを軽減するものである。こうした技術を活用し、免震構造の木造高層ビルの建造など、画期的な建築物を建設している。免震レトロフィット施工技術により、既に建っている建築物についても、免震構造を施すことが可能であり、実際に三重県庁など官公庁や貴重な文化遺産である歴史的建造物でも導入事例がある。これまでの免震システムが揺れを3分の1から5分の1に軽減できるのに対し、大林組のスーパーアクティブ制震「ラピュタ2D」は、30分の1から50分の1にまで軽減でき、実験でも震度5の揺れでも鉛筆が倒れないといった効果を実現している。また、制震は、建物内で地震の揺れを吸収する構造であり、建物の内部にダンパーや重りなどで構成された制震装置を設けて、地震による揺れを小さくする。大林組の制震技術は都内高層ビルや熊本城などにも採用されている。さらに、近年本県議会も含め、多くの企業や自治体においてBCP策定の動きが広がっているが、大林組では自社の事業継続に加え、顧客の事業継続支援にも取り組んでいる。特に近年は、地震に限らず、風水害や火山噴火、酷暑などあらゆる災害が頻発していることから、オールハザードBCPとして様々な災害に備える傾向が強まっている。BCP支援の大枠としては、(1)事前予測・評価技術、(2)被害低減技術、(3)早期復旧技術の三つの観点から顧客に改善点等を提案し、きめ細やかなニーズに対応しているとのことであった。
 概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「免震ゴムやブレーキダンパーなどの装置は経年劣化を伴うものだと思うが、そういった装置のメンテナンスや交換はどのように施されるのか」との質問に対し、「これらの装置は製造時にあえて劣化しやすい環境下で実験を行い、建物の寿命と同程度の年数に耐えられるように作られているため、原則として交換は不要であるが、何か必要が生じればジャッキ等で交換することは可能となっている」との回答があった。
 質疑後、同研究所内の各実験棟などを視察した。オープンラボ2では、アクティブ免震床に乗って、実際の震度6の揺れ、一般的な免震システムでの揺れ、ラピュタ2Dを採用した場合の揺れの3パターンを体感し、免震制震システムの効果を実感することができた。
 今回視察先を調査できたことは、本県の災害対策を進める上で大変参考となるものであった。

(2) 有明の丘基幹的広域防災拠点施設・防災体験学習施設(そなエリア東京)

(防災学習の推進と広域防災の取組について)

【調査目的】

 本県においては、大規模災害時における広域防災体制の更なる充実及び防災学習のより一層の推進が課題となっている。有明の丘基幹的広域防災拠点施設は、首都直下地震等の大規模災害発生時、「緊急災害現地対策本部」等が置かれる首都圏広域防災の要であり、広域支援部隊等のベースキャンプ、災害医療の支援基地として機能する防災拠点施設である。平常時には、防災学習施設のある都市公園として利用されるなど、広域防災と防災学習の両面の機能を併せ持っている。大規模災害発生時には、当該拠点から本県を含む首都圏の広域防災の陣頭指揮が行われるため、同施設の概要を調査することにより、本県の広域防災体制の強化及び防災学習の推進を進める上での参考とする。

【調査内容】

 同施設は、阪神淡路大震災を契機に、国の「東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点の整備」の決定方針に基づき、平成20年6月に運営が開始された。
 首都直下地震における災害応急活動を行う拠点として、建物全体を免震装置の上に配置し、非常用自家発電装置による7日間の連続運転が可能となっており、7日分の食糧、飲用水等を備蓄している。災害時対応に備え、自衛隊との運営訓練のほか、隣接するがん研有明病院との医療面での連携も視野に入れた訓練を実施している。また、霞ヶ関に至る道路は優先的に確保されており、橋りょうの耐震化や倒壊可能性のある建物を建設しないことなど緊急時に関係者が参集できるよう配慮されている。
 また、防災体験学習施設「そなエリア東京」を備え、連日家族連れや小学校等の社会科見学等で利用されている。ここでは首都直下地震の発災から避難までの流れを実際に体感でき、被災した街並みを模した実物大のジオラマを設置するなど、臨場感あふれる体験ができる。能登半島地震でも生死を分ける境目として度々報道された「発災後72時間」をテーマに、各自で専用タブレットを持ちながら、その場に応じた行動をクイズ形式で答えていくことで、適切な行動を学習することができる仕組みとなっている。
 概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「豊洲という土地は災害に弱い地域というイメージがあり、この施設そのものは液状化対策が施されていても、周辺が液状化して道路などが使用できなくなってしまったら孤立する懸念もあると考えるが、そういった場合の想定はされているのか」との質問に対し、「前方の道路は、第一次緊急避難道路に指定されており、緊急時には真っ先に道路啓開が行われ、国が全力で通すこととなる。霞ヶ関に至るルートも最大限確保されており、道路を作る際に地盤改良や地盤沈下対策等も施されているので、全く道路が使えない状況にはならないと考えている」との回答があった。

危機管理・大規模災害対策特別委員会視察報告

有明の丘基幹的広域防災拠点施設・防災体験学習施設(そなエリア東京)にて

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