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掲載日:2024年6月10日
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令和6年1月29日(月曜日)
(1) Tokyo Innovation Base(東京都千代田区)
(2) Plug and Play Shibuya(東京都渋谷区)
(創業支援の推進について)
東京都では、令和3年11月に新たにスタートアップ戦略を策定した。その柱として国内外からスタートアップやその支援者が集い交流する一大拠点「Tokyo Innovation Base」を整備した。令和5年11月にプレオープンし、スタートアップ支援に関するイベントや支援プログラム等を開催しながら、令和6年6月のオープンに向け準備を進めている。
本県においても「(仮称)渋沢栄一起業家サロン」の創設が検討されていることから、同施設や東京都の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。
東京都は、令和3年8月に都知事の号令の下、スタートアップ支援の新たな組織を立ち上げ、11月には新たな戦略「Global Innovation with STARTUPS」を策定し、翌月には、グローバルスタートアップイベントを開催した。ユニコーン数10倍、起業数10倍、官民連携の協働プロジェクト10倍を目指し、スピード感を意識しながら施策展開を進めている。
戦略の大きな柱である「Tokyo Innovation Base」は、スタートアップに関する様々な団体が集まり、重点的な支援を提供する一大拠点を目指し立ち上げられた。しかし、構想を打ち出した当初は、競合するのではないかと外部からの反発の声が上がったため、関係する企業等とどのような施設にすべきか議論を重ねた。そこで、個別企業を支援するのではなく、プラットフォームを作り様々なプレイヤーをつなげていくことや、民間の手が出にくい学生や若者への支援に対する取組について理解、賛同を得て協力体制を築いた。このように構想段階から多様なプレイヤーの意見を聞くことで、利用者にも当事者意識を持ってもらうことを戦略の一つとして意識しているとのことであった。
また、スタートアップの大都市一極集中には東京都も異論を唱えており、地方のスタートアップのためにもオールジャパンでの取組が必要であるため、各地方にも積極的に営業をかけている。全国のスタートアップの成長のためには、東京に集まっているリソースを効果的に使うことが不可欠であり、東京のプレイヤーや支援者をつなげる取組を実施している。埼玉県とも今後連携をしていければとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「学生を多く巻き込んでいるという話であったが、学生からはどのような声が上がっているのか」との質問に対し、「学生向けのイベントを実施した際に、実際に起業を意識しながら活動している学生は多いと思うが、学生同士がつながりを持てる場が少ない。学校や学部の枠を超えてつながりを持てるこのような機会はありがたいとの声が上がった。私たちも学生にどうやって集まってもらえるかを一丁目一番地として捉えており、今後も取組を進めていきたい」との回答があった。
質疑後は、施設内や設備を視察しながら、同施設の取組について説明を受けた。
今回、視察先を調査できたことは、本県における創業支援の推進に大変参考となるものであった。
Tokyo Innovation Baseにて
(インキュベーション施設の活用について)
Plug and Play Shibuyaは、渋谷エリアでスタートアップを支援する東急不動産が、スタートアップ支援組織として有名なPlug and Play Japan社と連携して、平成29年にオープンしたシェアオフィスである。オフィススペースの提供、セミナーやマッチングイベントが日々開催されているほか、東京開業ワンストップセンターといった行政機関も入居している。
本県においても、創業初期の企業や起業家の支援のため、同施設のようなインキュベーション施設の活用や民間企業との連携が求められていることから、同施設での取組を調査する。
渋谷エリアを開発する総合デベロッパーである東急不動産は、まちづくりのコンセプトの一つである循環型スタートアップ共創システムの実現を図るべく、場づくり、出資、行政連携、グローバル化の四つの要素を掲げ、スタートアップ支援に関する取組を行っている。そして、要素の一つである「場づくり」の代表的な取組として、渋谷におけるイノベーション創出の更なる活性化を図るため、Plug and Play Japan社と協業し、アクセラレータープログラムの拠点となるインキュベーション施設「Plug and Play Shibuya」を平成29年に開設した。
同施設では、将来性のあるスタートアップと様々な企業が施設内で自由に交流できる場を提供することで、日常的にビジネスマッチングや協業が生まれる仕組みを作っているほか、Plug and PlayJapan社のプラグラムや各種セミナー、イベントが開催されている。
また、両社は、行政との連携にも力を入れており、東急不動産は、渋谷区、民間2社と「シブヤスタートアップス(株)」を立ち上げ、スタートアップ支援・育成に取り組むほか、Tokyo Innovation Baseのサポート企業に参画するなど、東京都との連携も進めている。また、Plug and Play Japan社においても、内閣府、東京都、大阪府、愛知県などと提携を結んでおり、起業ベンチャー、イノベーション促進、資金調達など様々な形で行政と連携したスタートアップ支援を行っているとのことであった。
概要説明の後、Plug and Play Shibuya内の各施設や設備を視察しながら、同施設の取組について説明を受けた。あわせて、東急不動産が開発し、令和5年11月に竣工した複合施設「Shibuya Sakura Stage」の38階にある起業支援施設「manoma(マノマ)」についても説明を受けた。同施設は、株式会社日本食品総合研究所が運営し、食を起点とした飲食機能を併設したスペースに特徴があり、広域渋谷圏を舞台に活躍するスタートアップ企業などの交流促進の場を目指している。イベント開催の機能として180インチスクリーンや音響設備を充実させるほか、併設するレストランやラウンジバーとも連携しながら、カンファレンスやパーティー、トークイベントや商品発表、展示会等の幅広いシーンでの利用が想定されており、令和6年2月の運営開始を予定しているとのことであった。
今回、視察先を調査できたことは、本県におけるインキュベーション施設の活用や民間企業との連携の推進に大変参考となるものであった。
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