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掲載日:2019年11月26日
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令和元年9月11日(水曜日)~12日(木曜日)
(1) 白浜町ITビジネスオフィス(和歌山県白浜町)
(2) ナレッジキャピタル及び大阪市役所(大阪市)
(働き方改革の推進及び企業誘致について)
和歌山県は、良好な情報通信環境や交通基盤、豊かな観光資源を生かし、全国の自治体に先駆けてワーケーション施策を推進している。ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、テレワーク等の活用により、観光地等の職場とは異なる場所で休暇を楽しみながら働くものである。
白浜町ITビジネスオフィスは、IT企業を誘致するために同県と白浜町が整備した施設で、ワーケーションの先進地として注目されている。
同県のワーケーションに係る取組を調査し、本県における働き方改革の推進や企業誘致に関する施策の参考とする。
白浜町ITビジネスオフィスは、IT企業を誘致するために和歌山県と白浜町が整備した施設で、ワーケーションの先進地として注目を集めている。南紀白浜空港から車で約5分、町の中心地まで約5分といった立地や、オフィスから海やビーチが見える景観の良さなどが企業の好評を博し、2棟あるオフィスの貸事務所はIT企業等10社で満室となっている。
ワーケーションは、ICTの活用により、観光地や地方等の職場とは異なる場所で、働きながらも地域の魅力に触れられる取組である。企業にとっては生産性の向上や地域との交流によるイノベーションの創出、働く人にとってはワークライフバランスの改善、行政にとっては関係人口の増加や企業誘致、観光振興など、様々な効果が期待されている。
ワーケーションの成功に必要な要素としては、モノ、コト、ヒトが挙げられる。モノは、ワーケーションに必要な施設や設備である。同県は人口当たりのWi-Fi密度が全国2位を誇り、特に白浜町には災害時でも途切れないWi-Fiネットワークが整備されている。コトは、地域特有の魅力である。同町では美しい海岸や温泉等が楽しめる上、近辺には世界遺産である熊野古道や高野山がある。ヒトは、ワーケーションを推進する主体である。同県は庁内にワーケーション・コンシェルジュを設置し、ワーケーション実施プランの作成を支援しているほか、実施された事例をモデルケース化し公開している。さらに、首都圏の企業や家族を対象にワーケーションの体験会を開催するなど、普及を加速させている。
ワーケーションは民間企業で広がっているほか、自治体の施策としても全国的に広がりを見せている。しかし、それぞれ散発的であり、関係者間で情報共有が図られにくい状況であった。そこで、ワーケーションの更なる拡大を目的とする「ワーケーション自治体協議会(通称:ワーケーション・アライアンス・ジャパン)」の設立に向けた活動が始まっている。和歌山県は、長野県等とともに、その中心としてワーケーションの拡大に取り組んでいくとのことであった。
概要説明の後、中小企業への導入に向けた課題などについて、委員から活発な質問が行われた。その後、施設内を見学した。
今回視察先を調査できたことは、本県における働き方改革や企業誘致に関する施策を推進する上で、大変参考となるものであった。
白浜町ITビジネスオフィスにて
(地域経済の発展及びイノベーション創出について)
グランフロント大阪の中核施設であるナレッジキャピタルは、感性と技術の融合により新たな価値の創出を目指す「知的創造・交流の場」である。様々な施設と運営機能を有し、イノベーション創出の支援を行っている。
同ビルの建つうめきた先行開発地区においては、大阪市が日本で初めてBID制度を適用し、質の高いまちづくりを推進している。
地域経済の活性化に寄与する両取組を調査し、本県における地域経済の発展やイノベーション創出に関する施策の参考とする。
ナレッジキャピタルは、うめきた先行開発地区の開発事業者12社で運営するグランフロント大阪の中核施設として、平成25年4月に開業した。目の前が明るくなるという語源を持つ「面白い」をコアバリューに掲げ、感性と技術の融合により新たな価値の創出を目指す「知的創造・交流の場」として、産業創出、文化発信、国際交流、人材育成に取り組んでいる。
同施設は、企業人、研究者、クリエイター、一般市民などの多様な人々が行き交い、それぞれの知を結び合わせてイノベーションが巻き起こるよう、様々な施設と運営機能を有している。ナレッジサロンは、分野を超えた人々が集まる会員制のサロンである。人と人をつなぐための心地良い空間とともに、各種交流イベント、コミュニケーターによるマッチングなどを通して、新しい発見や出会いを提供している。ザ・ラボは、企業が手掛ける開発品や大学の研究成果を、一般の来場者に向けて展示・発表できる場である。様々な評価や反応を取り入れることで研究開発に磨きが掛けられる。また、コミュニケーターというスタッフが常駐し、ナレッジサロンで会員同士のマッチングや交流を促したり、ザ・ラボに訪れた人々の声を集めて企業や大学へフィードバックしているとのことであった。このような知的交流を促進する取組により、イノベーションの芽を次々と生み出している。
大阪市は、うめきた先行開発地区において、日本で初めてBID制度を適用し、質の高いまちづくりを推進している。BID(Business Improvement District)制度とは、エリアマネジメントの手法である。対象エリア内の不動産所有者や事業者から徴収した負担金をエリアマネジメント団体に交付し、民間所有の空間だけでなく、歩道や公園などの公共空間も含めてエリアマネジメントを行うものである。認定されたエリアマネジメント団体が安定的に活動原資を得られるとともに、対象エリアを公民連携で一体的に管理・運営できるため、幅広い事業展開が可能となり、エリア全体の価値を向上させやすくなるという。
同市は平成26年4月、都市再生特別措置法や都市計画法、地方自治法などに規定される制度を組み合わせ、大阪市エリアマネジメント活動促進条例を施行し、同条例に基づいて大阪版BID制度を運用している。分担金の使途が公共的事業に限定されるといった課題はあるものの、大阪版BID制度の運用以降、エリア内における来場者数や売上高、公示地価などは右肩上がりを続けており、地域経済の発展に効果を発揮しているとのことであった。
概要説明の後、公共空間の活用事例などについて、委員から活発な質問が行われた。その後、施設内を見学した。
今回視察先を調査できたことは、本県における地域経済の発展やイノベーション創出に関する施策を推進する上で、大変参考となるものであった。
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