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掲載日:2024年6月10日
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令和6年2月5日(月曜日)
川崎市子ども夢パーク(神奈川県川崎市)
(子供の居場所づくりについて)
川崎市子ども夢パークは「川崎市子どもの権利に関する条例」の理念を基に、子供が自分の責任で自由に遊び、学び、作り続けていく子供の居場所、活動拠点となる施設として開設された。利用者は20年間で累計150万人を突破し、海外からの訪問も含め年間150件以上の視察を受け入れるなど、不登校対策、子供の居場所づくりの参考として注目されている施設である。
本県の公立校における不登校者数は、令和4年度の調査では、小中高全てで前年を上回っており対策は急務である。地域全体で子供を育てる社会の実現を図るため、子供の居場所を増やす取組を行っていることから、同施設を参考とする。
川崎市は、子供の権利に関する総合的な条例の制定を目指し、大人と子供がパートナーとして2年半近くかけて条例案をまとめた。平成12年の市議会において全国初となる「川崎市子どもの権利に関する条例」を全会一致で可決し、平成13年4月に施行されたものである。
この条例を基に、大人委員と公募の子ども委員から構成される運営準備会を発足し、会議や学習会、子供主体のワークショップなどを経て、同市が決めた子供についての約束を実現する場として、平成15年7月に「川崎市子ども夢パーク」が開園された。平成18年からは指定管理者制度の下、「公益財団法人 川崎市生涯学習財団」と「NPO法人 フリースペースたまりば」が設立した「川崎市子ども夢パーク共同運営事業体」により管理・運営されている。
同施設では、禁止事項をできる限り作らず、「やりたい」と思うことにチャレンジし、「自分の責任で自由に遊ぶ」ことを大切にしており、子供たち自身が毎日の活動内容を決め、行事も子供たちが発案し運営するなど、自由な発想と自主性を重んじた運営を行っている。1万平方メートルの敷地には、焚火や水遊びが可能で、スタッフと子供たちが一緒に作ったウォータースライダーが設置されるなど自由な発想で遊び、創造されるプレーパークがある。屋内施設も充実しており、楽器の使える防音スタジオ、創作スペースを有し、フリースペース内の調理場では、毎日子供たちが献立を考え、大人と一緒に昼食を調理するなど、ありのままの自分であらゆることにチャレンジできるようになっている。ほかにも、乳幼児が遊べるスペースもあり、子供のためだけでなく、大人も孤立した子育てとならないよう交流できる場を提供している。条例の制定に当たり子供たちからは「大人が幸せじゃないと、子供は幸せになれない。大人も幸せでいてほしい」という要望が出ており、子供の幸せのためには大人への支援も重要であると考えている。
また、同施設の設置準備時に、同市には1,300人の不登校児童がおり、どのように対応していくのかが課題となっていた。いじめや学校と合わないなど様々な理由で学校に通えない子供たちのためにも、学校外で子供たちが育ち、学びを保証する場が必要と考え「フリースペースえん」がパーク内に公設民営で開設された。同施設は小学生から高校生まで、年齢、状況、障害等様々な子供たちの居場所となっている。また、教育委員会や学校と連携を図り、学校以外での新たな学びの場所として、社会教育の視点に立った不登校支援を実現している。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「学校外での学習が出席とみなされることや経済支援など、川崎市は他の自治体等に比べ進んでいる面が多いが、全国に広げていくために重要なことは何か」との質問に対し、「学校等が変わろうとしても、変化を支える力がないと変われない。民意が変わっていく、地域が支えていくことが重要である。子供の命を真ん中に、生きていていい、生まれてきてよかった、楽しい、と子供たちが感じられる社会に埼玉県もしていただきたい」との回答があった。質疑後は、施設内を見学した。
今回、視察先を調査できたことは、本県における子供の居場所づくりに取り組む上で大変参考となるものであった。
川崎子ども夢パークにて
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