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掲載日:2024年6月10日
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令和6年2月9日(金曜日)
(1) 和光市広沢複合施設「わぴあ」(和光市)
(2) 八潮市役所(八潮市)
(公民連携による地域活性化の取組について)
和光市広沢複合施設「わぴあ」は、同市内初となる公民連携事業で誕生した複合施設であり、子育て世代を中心に広域的にあらゆる年代に利用されている。
本県では、人口減少・高齢化が進む中、県民生活をより一層豊かで便利にしていくため、これからの「公共」は、行政だけでなく、企業、NPO、地域団体・個人といった民間がそれぞれの立場で担い、多様なサービスの提供を推進することが重要であることから、同複合施設の公民連携による地域活性化の取組を調査し、本県の今後の施策推進の参考とする。
和光市は、既存施設の老朽化や保育ニーズの増加、公共施設の集約化に対応するため、公民連携の手法により、子ども関連施設や民間収益施設などを複合的に整備した和光市広沢複合施設「わぴあ」を令和3年12月に全面開業した。
同複合施設は、BTO方式のPFIで整備した総合児童センター・市民プール、BT方式のPFIで整備した学童クラブ・健康増進センター、敷地造成までPFIで実施した民設民営の認定こども園・児童発達支援センター、同市との定期借地の上、整備された民間収益施設の温浴施設・駐車場・診療所で構成されている。
同複合施設は、「市民・行政・民間事業者 みんなでつくる 交流拠点」を基本理念とし、地域のにぎわい創出や多世代の健康を支える場づくり、エリアマネジメントに取り組んでいる。事業立ち上げの際には、市民を巻き込んでワークショップやアンケートを実施し、市民参加のまちづくりを進めてきた。また、地元の積極的な事業参加につなげるための工夫として、事業の基本理念に賛同した地元企業などをリスト化し(コレクティブインパクト・リスト)、運営事業者がリスト掲載者へアプローチして課題解決に最適な地元企業などと積極的に連携する仕組みも構築している。さらに、PFI事業の多くは、ゼネコンなどの建設企業が主体となって進めているが、同複合施設では運営に主眼をおき、マネジメントチームを形成して、このチームが同複合施設へにぎわいを創出するとともに、周辺エリアにも波及させるエリアマネジメントを牽引している。
概要説明を受けた後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「SPCについて、地元企業の割合はどうか」との質問に対し、「地元企業はSPCの構成員とはなっていないが、コレクティブインパクト・リストの地元企業に、例えば、修繕やパンフレットの作成などを依頼している。また、同リストには市民団体も登録しており、イベントでは同リストから協力者を募るなどしている」との回答があった。
その後、詳細な説明を受けながら同複合施設を視察した。温浴施設には入浴施設のほか、レストランや休憩ラウンジ、コワーキングスペースが整備され、また総合児童センターには赤ちゃんルーム、乳児から高校生までの年代別のスペース、音楽スタジオなどが整備されており、幅広い世代を集めるための空間が巧みに配置されていた。
今回、同複合施設の取組を視察できたことは、今後、本県の公民連携による地域活性化の取組を推進していく上で、大変参考となるものであった。
和光市広沢複合施設「わぴあ」にて
(庁舎の建て替えについて)
八潮市役所では、旧庁舎において老朽化や執務スペースの狭隘化、バリアフリーへの未対応などの問題があり、耐震診断で震度6、7の地震が発生した場合に倒壊や崩壊の危険性が高いと判断されたことが契機となり、災害に強く安全安心な便利で環境にやさしい新庁舎が整備された(令和5年10月竣工)。
県庁舎で最も古い本庁舎は令和13年度には目標使用年数の築80年を迎える。再整備に当たっては、DX、利便機能、危機管理、脱炭素化など、多角的・複合的な視点から検討することが重要であることから、同市の庁舎建替えに係る取組を調査し、県庁舎再整備の参考とする。
八潮市役所では、新庁舎の整備に当たり、「『共生・協働』・『安全・安心』をまちづくりの基本とし、『住みやすさナンバー1のまち 八潮』を実現するための拠点とする。」ことを基本理念とし、その実現のため、【1.】市民の利便性が高く、共生・協働の場となる庁舎、【2.】まちづくりや災害時の拠点となる、安全・安心な庁舎、【3.】機能的で働きやすく、環境にやさしい庁舎、【4.】将来の変化に柔軟に対応できる庁舎、【5.】八潮らしさが感じられる庁舎の五つの基本方針を定めた。
新庁舎は、河川氾濫等に備えるため、水害に強い構造となっている。1階の外壁は鉄筋コンクリート造とすることで、浸水による水圧に耐えるだけでなく、例えば、流木などが流れてきた場合でも庁舎の損壊を防ぐことができる堅牢さを備えており、出入口には防水版を設置し、洪水や豪雨に備えている。
また、太陽光や風、地熱などの自然エネルギーの活用と高効率の空調機の採用、建物の高断熱化などにより、省エネルギー化を図ることで、環境に与える負荷の軽減を実現しており、一次エネルギー消費量は国が定めた省エネ基準より53%削減することで、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)では最高ランクの星五つを取得し、県内庁舎としては初の「ZEB Ready」の認証を取得している。
さらに、様々な活動につながる市民活動スペースを設け、周囲に配置する市民活動諸室との連携活用により、活発な運用が行われるスペースとし、また、今後、新庁舎の北西部に位置する市民文化会館と西側に位置する中央公園の各施設に挟まれた中央の道路を歩行者専用道路とすることで、各施設を連携させた市民活動を促進し、市民がつながり、にぎわう拠点になることを期待しているとのことであった。
概要説明を受けた後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「庁舎の建替えに当たって、市民説明会はどの程度実施したのか」との質問に対し、「少なくとも、新庁舎に係る各構想・計画・設計の段階において、市民の方々の都合がつくよう、平日の夜及び休日の昼の両方で開催するようにした」との回答があった。
その後、詳細な説明を受けながら新庁舎を視察した。1階の窓は、浸水対策のため高い位置に配置されており、開口部などの細かな部分にも配慮が感じられた。
今回、同市の庁舎建替えに係る取組を視察できたことは、県庁舎再整備に当たって、大変参考となるものであった。
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