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掲載日:2023年5月31日
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令和2年1月21日(火曜日)~22日(水曜日)
(1) AOI-PARC(アオイパーク)(沼津市)
(2) FujisawaSST(藤沢市)
(産学官連携の取組について)
AOI-PARCは、農食健、農商工、産学官金を連携させ、最先端の技術を基に新産業を育成し、新しい価値の創造と経済活性化を目的とするオープンイノベーション施設である。静岡県では、平成27年からオープンイノベーションにより、農・食・健連携を推進し、科学技術・産業振興を進めるAOIプロジェクトを開始している。平成29年には同施設を開所するとともに、研究と事業とを結び付けるための会員制組織であるAOIフォーラムを設立している。
本県では、今後見込まれる生産年齢人口減少に対応するため、産業界、大学、金融機関など多様な主体との連携が求められている。
同施設での最先端の技術を活用した新産業の育成、産学官金の連携を生かした新しい価値の創造の状況等を視察し、本県の多様な主体との連携による取組推進の参考とする。
AOI-PARCは、A(Agri)、O(Open)、I(Innovation)の頭文字をとったAOIプロジェクトの拠点として平成29年8月に開設した。農食健、農商工、産学官金を連携させ、最先端の技術を基に新産業を育成し、新しい価値の創造と経済活性化を目的とするオープンイノベーション施設として日々研究活動が行われている。
施設内には、「次世代栽培実験装置」として、「栽培キューブ」や「栽培ユニット」など最新鋭の実験装置があり、これらを活用し、光(光量・光質)、温度、湿度、CO2濃度等の環境要因を制御することで、最適な栽培環境を実践的に検討することが可能となっている。
また、同施設と同時に設立されたAOI機構が、会員制の組織「AOIフォーラム」を設置し、会員である産学官金、農食健の各主体間のビジネスマッチング(連携調整、販路開拓、事業化、資金調達支援等)など、オープンイノベーションの場を提供することで、同施設の研究成果を広く実用化できる仕組みが構築されている。
具体な取組としては、農業生産法人、ICTメーカー、食品加工メーカー、サプリメント製造メーカー、大学が連携し、ケール、パプリカ、トマトなどの機能性作物の付加価値を最大化する加工技術や新商品の共同研究開発を行っている。農作物は、温度、湿度、光の当たり方などによって栄養価が変わることが分かっていることから、農業生産法人などを中心にどのような環境下で健康や長寿に寄与する栄養価が高い農作物ができるか研究するともに、農作物を活用した健康サプリメントの開発などに取り組んでいるとのことであった。
概要説明後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「AOIプロジェクトの成果として、2件事業化され、その経済効果は約7億円であると説明があったが、費用対効果についてどのように考えているのか」との質問に対し、「同施設は8億円で整備したことに加え、研究開発費を費やしている。効果としては、事業化されている2件のほかに、研究開発を行っているものが30件ある。この30件が事業化された場合の経済効果は約60億円と見込んでいる。早期にビジネスとして立ち上げ、見込み以上の効果が出るようしっかりと支援していく。さらに、オープンイノベーションや先端技術の導入を同施設が率先して行っていくことで、同様の取組が広がっていく政策効果も見込まれる」との回答があった。質問終了後は、同施設内の研究用温室の見学を行った。
同施設を調査できたことは、今後の本県の多様な主体との連携による取組推進を行うに当たり、大変参考になるものであった。
AOI-PARC(アオイパーク)にて
(持続可能な進化を遂げていく新たな地域づくりについて)
FujisawaSST(サスティナブル・スマートタウン)は、住人一人一人の暮らし起点のまちづくりを実現するため、タウンデザイン・コミュニティデザインのガイドラインが設けられ、目標を共有した住民が交流し、より良い暮らしをつくるアイデアを出し、まちを発展させていく仕組みづくりが行われている。エネルギー、セキュリティ、モビリティ、ウェルネス、コミュニティなどの様々な角度から住民の快適性、未来の暮らしを考えた新たなサービス・技術が取り入れられている。ウェルネスとしては、サービス付高齢者向け住宅やデイサービス、クリニック、調剤薬局、保育所、学習塾などが同じ建物に入居し、健康・福祉・教育を一体で提供するとともに、あらゆる世代にとって垣根のない、つながりの空間を創出している。
本県では、人口減少・高齢化が進む中、活力ある豊かな地域社会づくりが求められている。
同街区の新たなサービス・技術を取り入れた住民主体のまちづくりを視察することで、本県における活力ある豊かな地域社会づくりの参考とする。
FujisawaSSTは、パナソニック藤沢工場跡地約19haの敷地を活用し、パナソニックをはじめとしたパートナー企業と藤沢市が進める官民が一体となり進めるまちづくりプロジェクトである。
同事業は、1,000世帯もの家族の営みが続くリアルなスマートタウンとして、技術先行のインフラ起点でなく、住人一人一人の暮らし起点のまちづくりを実現することである。100年ビジョンを掲げ、それを達成するためにタウンデザインとコミュニティデザインのガイドラインを設け、その目標を共有した住人たちが暮らし、交流し、より良い暮らしをつくるアイデアを出していく仕組みとしている。
まちづくりの仕組みとしては、最初に、エネルギー、セキュリティ、モビリティ、ウェルネスなどの様々な角度から住人の快適性、地域特性や未来の暮らしを考えてスマート・コミュニティライフを提案している。次に、それらに最適な家や施設など街全体をスマート空間として設計し、最後に、新しい暮らしを支えるスマートインフラを最適構築しているとのことであった。
ウェルネスサービスの中心となるウェルネススクエアには、サービス付高齢者住宅、特別養護老人ホームや薬局、クリニック、保育所、学童保育、学習塾と子供から高齢者まで、多世代の人々がふれあいながら健やかになる様々な健康・福祉・教育サービスを展開しているとのことであった。
概要説明後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「まちづくりのルールやコミュニティ活動に関し、不満の声があがってくることはないか」との質問に対し、「屋根の勾配や外壁の色などはガイドラインに沿ったものとしなければならないが、購入時に理解され、入居しているので不満の声はない。まちがオープンしてから5年しか経っていないため、このまちをこれから作っていきたいという意識で入居されている人が多く、住民主体のまちづくりが展開されている」との回答があった。質問終了後は、同街区の見学を行った。
同街区を調査できたことは、今後の本県の活力ある豊かな地域社会づくりを推進するに当たり、大変参考になるものであった。
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