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掲載日:2023年5月23日

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警察危機管理防災委員会視察報告

期日

平成30年2月5日(月曜日)~6日(火曜日)

調査先

(1) 原子力防災センター(牧之原市)
(2) 警視庁交通管制センター(東京都港区)

調査の概要

(1) 原子力防災センター

(原子力災害に対する備えについて)

【調査目的】

原子力防災センターは、中部電力浜岡原発で原子力災害が発生した場合の現地対策拠点として平成28年3月に完成し、同年12月から運用が開始された。原子力災害が発生した際に、国、関係市町村等と情報を共有しながら連携の取れた応急措置を行うための「オフサイトセンター」機能と、浜岡原発周辺の環境放射線の監視等を実施する「環境放射線監視センター」の機能を併せ持った施設となっている。同センターは、免震構造の3階建てで、放射線防護の観点から外壁の厚さは18cm以上、極力窓を減らした構造となっており、広範囲にわたって放射線物質が拡散しても運用できるようになっている。
また、静岡県では、万が一原子力災害が発生した場合の事前対策として広域避難計画を策定している。同計画では、同県から要請を受けた本県が同県の避難住民の一部を県内全市町村で受け入れることとなっている。
同センターを視察することで、本県の原子力災害に対する備えの参考とする。

【調査内容】

原子力防災センターは、浜岡原発から約20kmの位置にある富士山静岡空港隣接地に、オフサイトセンターと環境放射線監視センターを一体構造として平成28年3月に完成した。建物の外観は、人工再生木材を使用し樹木をモチーフとした意匠デザインが取り入れられている。放射線の侵入を防ぐために極力窓は設けられておらず、また、コンクリート外壁の厚みは18cm以上が確保されている。免震装置として、天然ゴム系積層やオイルダンパーが設置されており、想定される東海地震に対しても十分な耐震性能が確保されている。
通常時にも業務を行う環境放射線監視センター機能は、主に1階に配置されている。浜岡原発周辺地域の安全を確認する目的で設置された静岡県内唯一の放射線・放射能測定の専門機関であり、浜岡原発周辺の空間放射線量を常時監視している。原子力災害が発生した場合には、国、市町、事業者等の緊急時モニタリング要員が参集し、モニタリングカーや可搬型モニタリングポストなどにより放射性物質の影響調査を行い、得られた測定結果を避難等の防護措置実施の判断に活用することとなっている。
オフサイトセンターは、東海村JOC臨海事故を受けて平成11年に制定された「原子力災害対策特別措置法」で原子力緊急事態応急対策及び事後対策の拠点として位置付けられている施設であり、原子力防災センターの2階に配置されている。原子力緊急事態の際には、政府の原子力災害現地対策本部が設置され、国、関係自治体、原子力事業者等が一堂に会すこととなる。情報の共有や連携した対応を行うための合同対策協議会が開催される等、現地における対応拠点の役割を担うとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「原子力災害発生時の住民の安全確保についてどのような対策を取っているのか」との質問に対し、「浜岡原発周辺の11市町の住民を広域避難計画の対象としており、対象者全員について、静岡県内市町、隣接県及び東海地方に避難先を確保している。また、大規模地震との複合災害時などでそれら避難先に避難できない場合に備え、関東甲信地方や北陸地方の都県にも避難先を別途確保している」との回答があった。
今回視察先を調査できたことは、本県における原子力災害に対する備えに大変参考となるものであった。

警危_原子力防災センターにて

 原子力防災センターにて

(2) 警視庁交通管制センター

(交通管制による渋滞対策・安全対策について)

【調査目的】

警視庁交通管制センターでは、安全かつ快適な交通社会を実現するために都内の道路交通体制を統合管理している。都内や近県の主要幹線道路における交通情報は、道路に設置されたカメラや車両感知器、パトカーからの報告等により24時間リアルタイムで収集され、同センター内の高さ5m、幅25mの大型表示板に表示される。
同センターでは、都内に設置されている信号機の時間調整を遠隔操作により最適に制御するとともに、ドライバー等へUTMS(新交通管理システム)を使って交通渋滞や事故による交通規制情報を提供することで交通渋滞の緩和や事故の減少を図っている。
また、東京オリンピック・パラリンピックでは、大会関係者の移動時の安全対策や会場周辺のアクセスコントロール等の輸送対策が大会成功の要とされているが、同センターでは、国土交通省や東京都と密接に連携して対応することとなっている。
同センターを視察することで、本県における渋滞対策や安全対策の施策の参考とする。

【調査内容】

警視庁交通管制センターでは、過密化する都市を走行する車両の交通情報を収集分析し、刻々と変化する交通状況に応じた最適な信号制御を行い、同時に収集したデータを基にした交通情報をドライバーに提供している。これにより、車両の走行時間の短縮、停止回数の減少を図り、円滑な交通流を確保することで、交通事故の減少や大気汚染の低減など安全で快適な交通環境づくりに貢献している。
同センターに導入されているUTMSのキーインフラとなる装置が光ビーコンである。道路の上部などに設置されている光ビーコンは、赤外線などを利用して個々の車両の位置や道路交通に関する情報を送受信する。現在地から進行方向に関する詳細な道路交通情報を、ドライバーに対してリアルタイムで提供することに加えて、通過車両を感知して交通量の測定を行うことも可能である。また、バス等に搭載された車載機からの通信情報を道路に設置された光ビーコンで受信し、バス等の進路上にある交通信号機に対し青信号である時間を延長したり赤信号である時間を短縮する等の制御を行うことで、バス等が青信号で通過しやすくしている。このように、大量公共交通機関であるバス等の定時通行を確保することによって、道路の利用効率を向上させている。UTMSのサブシステムの一つであるFAST(現場急行支援システム)では、緊急走行しているパトカーや救急車等を光ビーコンが検知し、車両の進行方向のある交通信号機を可能な限り青信号とすることにより優先的に通行させている。緊急車両が現場に早く到着することを支援することにより速やかな救援と安全の確保が可能となっている。
東京オリンピック・パラリンピックの開催時には、一般交通に大会関係車両が加わることで交通状況は厳しくなる見通しであり、首都高の渋滞は現況の約2倍近くまで悪化することが想定されている。都市活動、大会輸送ともに影響が大きいことから、大会開催中は、選手の移動情報や道路の渋滞情報を基に、信号制御などの交通管制により交通流量等を調整し、輸送システムの定時性・信頼性を確保するとのことであった。
概要説明を受けた後、降雪時の交通管制や信号機のLED化などについて委員から活発な質問が行われた。
今回視察先を調査できたことは、本県における渋滞対策や安全対策に大変参考となるものであった。

 

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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