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ページ番号:60129

掲載日:2023年5月23日

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警察危機管理防災委員会視察報告

期日

平成27年8月24日(月)~26日(水)

調査先

 (1) 有珠山(北海道壮瞥町)
 (2) 室蘭地方気象台(室蘭市)
 (3) 北海道警察本部地域部航空隊(札幌市)
 (4) 北海道警察本部生活安全部保安課(札幌市)

調査の概要

(1)有珠山

(火山噴火への備えについて)

【調査目的】

本県に近い箱根山、浅間山で小規模な噴火が起き、突風やゲリラ豪雨などの自然災害も近年多く発生しているため、十分な対応が求められている。
幸いにも県内には活火山がないが、富士山等の近県の火山の噴火が大きくなった場合、人的・物的にも莫大な損害が予想される。防災マニュアルの見直しや防災訓練など防災対策を十分にする必要がある。
有珠山の数回の噴火の経験を踏まえ、壮瞥町役場においては、各種の防災対策を実施し、平成12年の噴火の際も、迅速な避難指示を行い、人的被害を出さなかったことから、現地を調査することにより、本県の防災の推進の参考とするものである。

【調査内容】

昭和52年の有珠山噴火の際は、火山性地震が観測されてから32時間で噴火し、事前避難ができず、人的被害が生じたため、周辺の自治体では、避難前の噴火も想定した対策が必要であると認識された。その後、平成12年の噴火の際は、噴火の前兆現象を捉えて、事前避難が完了していたため、人的被害はなかった。しかし、火山性地震が観測されてから、火山災害対策本部の設置、避難勧告、避難指示を経て、避難完了するまでに、3日間かかってしまった。
壮瞥町では、次に起こる噴火への対策として、専門家及び関係機関と積極的に連携し、防災訓練、防災研修会、防災講演会を行っている。また、災害に強い地域づくりのため、そうべつ情報館iを設置した。この施設は、平常時は消防庁舎、道の駅、エコミュージアム、火山防災教育施設として活用されているが、噴火時には、防災拠点施設となり、災害対策本部の設置、役場機能の移転が想定されている。なお、今後は、前兆地震から噴火までの時間が短い場合、噴火の規模が大きい場合、噴火が長期間続く場合について、想定しなければならないという。
この地域での特徴的な取組としては、火山と共生する地域のリーダー「火山マイスター」の制度がある。時間の経過とともに、町職員も含めて人々から、噴火の記憶が薄れていく状況の中で、火山マイスターは、地域の防災活動に対する助言・協力や登山学習会の講師を務めるなど、優れた火山ガイドとして、防災面、観光面で活躍している。また、次世代を担う防災リーダーの育成のため、学識経験者による子ども郷土史講座を開催している。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。「火山性地震が発生して、避難指示を出す際の基準はどうなっているか」との質問に対し、「噴火警報レベル3までに、避難準備と勧告を検討し、町としての判断をする」との回答があった。
今回視察先を調査できたことは、本県における火山噴火に対する施策を充実させるために大変参考となるものであった。

(2)室蘭地方気象台

(防災対策に関する気象等の情報について)

【調査目的】

室蘭地方気象台では、台風、集中豪雨、暴風、地震、津波及び噴火などの自然現象を監視するとともに、警報・注意報、火山地震に関する情報などを適宜、適切に道民や防災機関に提供し、自然災害の発生防止や被害軽減などに貢献している。
近年、地震、大雨、大雪、竜巻などにより、本県においても大きな被害が発生している。同施設を調査することで、気象情報をより効果的に防災対策に活用するための参考にする。

【調査内容】

室蘭地方気象台の所管する胆振・日高地方は、比較的温暖であり、夏は霧が発生し、冬は西寄りの風が強い気候で、管内には、有珠山、樽前山、倶多楽山の活火山がある。
管内の気象観測施設として、特別地域気象観測所が2か所、地域気象観測所が24か所設置されている。予報業務については、管内を6つに分けて行っているが、特別警報・警報・注意報は、市町村長が行う避難勧告や住民が行う自主避難の判断を支援するため、市町村ごとに発表している。また、指定河川洪水予報(室蘭開発建設部と共同発表)、土砂災害警戒情報(北海道胆振総合振興局と共同発表)、大気汚染気象予報(北海道、室蘭市、苫小牧市への通報)、漁業無線気象通報(日高無線漁業協同組合への通報)も行っている。
防災機関との連携・支援としては、火山防災会議協議会などの防災会議・協議会等への参画、地域防災計画見直し支援、避難勧告等の判断・伝達マニュアルの策定支援、北海道主催の樽前山火山噴火総合防災訓練の支援、悪天予想時の気象解説提供、防災情報伝達に関する説明会の開催、胆振日高地方防災担当者連絡会の開催、自治体広報紙への防災解説の掲載、日高振興局と共同した地域防災力向上研修会の開催、学校向けの防災講座、気象台見学会など、様々な取組を行っている。また、地震や津波情報の発表には、他省庁や北海道の観測したデータを収集して行っている。
地方自治体が、防災気象情報を効果的に活用する方法を大雨を例として挙げると、気象台から大雨注意報が発表された場合は、注意呼び掛けや警戒すべき区域の巡回をし、大雨警報が発表された場合は、警報の住民への周知、避難場所の準備・開設、必要地域に対する避難準備情報の発出、応急対応体制の確立を行うことが考えられる。さらに、雨が一層激しくなるようであれば、必要地域に対し避難勧告、避難の呼び掛け、避難指示を行う必要が出てくる。警報の発表基準をはるかに超える豪雨が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合には、大雨特別警報を発表する。この際は、非常に危険な状況であることを住民に周知し、直ちに最善を尽くして身を守るよう住民に呼び掛ける必要があるという。
概要説明の後、委員からは活発な質疑がなされた。その中で「自治体の首長に対して、直接、情報の提供や避難の判断のアドバイスをすることがあるのか」との質問に対し、「基本的には、実務者同士で情報を伝達するだけである。しかし、昨年、北海道で初めて特別警報が発表された際には、気象台長が自治体の首長に電話をかけた例がある」との説明があった。その後、現業室及び露場の視察を行った。
今回視察先を調査できたことは、本県において、防災対策に関する気象等の情報を効果的に活用するために大変参考となるものであった。

(3)北海道警察本部地域部航空隊

(ヘリコプターによる捜索活動等について)

【調査目的】

南関東地域では、マグニチュード7クラスの地震の発生が予測され、また、近年の異常気象、中高年の登山ブームなどにより、被災者・遭難者の捜索体制強化の必要性が増している。
埼玉県警では、ヘリコプター3機体制で、スカイパトロールや救護救助活動、各捜査活動等を行っているが、今後の大規模災害等に備えて、危機管理体制を更に強化していく必要がある。
北海道警察本部地域部航空隊は、東日本大震災の際、1機が仙台空港で委託整備中に津波に遭ったものの、他のヘリコプターにより救助や物資運搬を行った。平成25年5月には、津波被害に遭ったヘリコプターの後継機として、最新鋭ヘリコプターの運用を開始し、丘珠空港と帯広空港を拠点に、5機体制で、北海道全域の安全を守っている。
同隊の運営体制と緊急時の捜索活動等を調査することで、本県警察航空隊の活動の参考とする。

【調査内容】

2712警察危機管理防災委員会視察報告(1)

北海道警察本部地域部航空隊にて

北海道警察本部地域部航空隊は、昭和38年に、刑務部警務課航空係として、小型ヘリコプター1機、隊員4人で発足した。昭和47年に航空隊に昇格し、平成2年には所属に昇格した。平成20年4月には、帯広分遣隊が発足し、平成23年4月には、救急患者搬送を含めて累積救助人数2,000人(救助1,267人、患者搬送733人)を達成したが、これは全国の警察で初の実績である。
航空機の保有台数は5機であるが、これは、警視庁の14機、大阪府警の6機に次ぎ、全国で3番目である。保有機は、中型機が3機、小型機が2機で、それぞれの特徴に応じて使い分けられている。また、組織の体制は、隊長、副隊長、庶務係1人、航空係9人、整備係15人、特務係9人の36人体制(定員38人)であり、このうち、警察官は20人、一般職は16人である。
当初の拠点は札幌飛行場のみであったが、大雪山、日高山脈により地理的、気象的に分断されている道東地域の警察事象に対応するため、とかち帯広空港内に隊員9人、航空機1機を配置し、2基地により全道一円をカバーしている。帯広空港隊の設置により、稚内方面等の一部を除き、道内の大部分の地域へ1時間以内に到着し、迅速な救助を行うことができるようになった。
平成27年の上半期の運行状況は、警ら等が492回、事件対応が104回、救難救助が105回、要請支援が76回、道用務が5回で合計782回、運航時間は1,003時間であった。このうち、事件検挙・支援活動等としては、逃走殺人被疑者の発見確保、通常逮捕、家宅捜索中における屋上立て籠もり事案捜査支援等があり、救難救助としては、山岳、河川の遭難者の発見・救助、離島の救急患者の救急搬送等がある。
概要説明の後、委員からは、活発な質疑がなされた。その中で「北海道は面積が広い。他の機関と出動が重なることはあるのか」との質問に対し、「北海道では山菜取りによる遭難が多いため、5月中旬から6月下旬にかけて遭難事故が重なる。また、海水浴シーズンも遭難事故が重なる。ヘリを保有している札幌市、北海道、海上保安庁の間で連絡調整を行い、分担することで対応している」との説明があった。その後、格納庫及び駐機場の現場視察を行った。
今回視察先を調査できたことは、今後、本県において、警察航空隊の捜査活動及び救助活動をより充実させるために大変参考となるものであった。

(4)北海道警察本部生活安全部保安課

(繁華街・歓楽街における犯罪防止について)

【調査目的】

東北以北で一番の歓楽街である北海道薄野では、悪質な客引きや違法風俗店による被害が後を立たない。そこで、北海道警察本部では、平成24年からドーム型カメラ42台を使った街頭防犯カメラシステムを導入した。画像データの使用については、公安委員会規程及び警察街頭防犯カメラシステム運用要綱に基づき、厳格に運用されている。
本県においても、平成26年2月から、大宮駅東口に街頭防犯カメラ40台を設置している。道警察本部における街頭防犯カメラの運用方法や活用方法を調査し、本県における繁華街等の犯罪防止施策推進の参考とする。

【調査内容】

2712警察危機管理防災委員会視察報告(2)

北海道警察本部生活安全部保安課にて

北海道警察本部では、平成17年に歓楽街総合対策を策定し、薄野を含めた12地区を指定地区としたが、平成20年に見直しを行い、薄野地区のみの指定とした。対策の重点は、「風俗関係事犯等及び組織犯罪の取締り並びに犯罪インフラの根絶」、「地域住民、自治体、関係団体等との協働による健全で魅力あふれる街づくりの推進」に置いている。薄野地区を所管する札幌方面中央警察署では、あらゆる事案に対応するため、薄野交番を設置しており、取締専従部隊として、薄野特別捜査隊を置いている。
平成17年12月には、札幌市の通称ススキノ条例(札幌市公衆に著しく迷惑をかける風俗営業等に係る勧誘行為等の防止に関する条例)が施行され、「客引き」、「スカウト」、「卑わい看板」について、規制に違反した場合「50万円以下の罰金又は拘留もしくは科料」の罰則を科されることとなった。この条例による取締りにより、違反行為が激減したが、いまだ根絶には至っていない。
街頭防犯カメラについては、当初は犯罪抑止を目的に、地元関係団体の代表者等が組織する民間団体により、平成11年から順次薄野地区の主要交差点等に防犯カメラが設置され、平成20年6月には、計10基の防犯カメラが運用されていた。平成23年度に同地区が警察庁から街頭防犯カメラ整備パイロット事業のモデル地区に指定され、同警察本部は42基の防犯カメラを設置し、平成24年1月から厳格な運用を行っている。個人の権利を不当に侵害しないため、ハードディスクに録画された画像は厳格に管理され、原則として7日間保存の後、自動的に上書き消去される。なお、道警による街頭防犯カメラ設置に伴い、民間団体の設置した10基は全て撤去された。
薄野地区の風俗関連事犯の検挙数は、平成26年は122件で、そのうち客引き関連が74件で最も多い。今年は客引き行為の集中取締りを実施し、6月末現在で46件50人を検挙したほか、無許可営業等の風俗関連事犯を16件14人検挙している。
概要説明の後、委員からは活発な質疑がなされた。その中で「性風俗店の店舗数が非常に多いが、数を減らすための取組みは行っていないのか」との質問に対し、「新規では許可をしていない。法違反は取り締まり、行政処分をするが、店舗数を減らす目的の取組は行っていない」との回答があった。その後、薄野地区へ移動し、街頭防犯カメラの現場視察を行った。
今回視察先を調査できたことは、今後、本県における繁華街の犯罪防止のために大変参考となるものであった。

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