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掲載日:2024年6月10日

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警察危機管理防災委員会視察報告

調査日

令和6年1月16日(火曜日)~17日(水曜日)

調査先

 (1) 群馬県警察本部(群馬県前橋市)

 (2) いばらき消防指令センター(茨城県水戸市)

(1) 群馬県警察本部

(早期現場臨場への取組について)

【調査目的】

 群馬県警察本部は、事件、事故の現場までナビゲートする新たなナビゲーションシステムを全国警察で初めて開発・導入し、現場臨場における迅速な対応に努めている。本県においても、通報や安全相談の受理件数が増える中、警察官の現場臨場は、迅速な対応が求められていることから、早期現場臨場への取組の参考とする。

【調査内容】

 同県警察では、1日平均365件ほどの110番通報があり、例年100,000件以上の通報を受理している。コロナ禍で大幅に通報は減少していたが、令和5年度の通報受理件数は過去最高の132,799件であった。そのうち12.6%に当たる16,693件は、警察所管外、要望・相談、虚報、誤報など、現場臨場の必要がない、緊急性のない通報であった。なお、緊急性のない通報を減少させるために広報等の取組を継続して行っており、その結果、通報受理件数のうち緊急性のない通報の割合は過去最少となっている。
 現場臨場は、110番通報を受理した通信指令課が通信指令システムを通じ、警察署や交番、パトカー等に無線等で情報を提供し、警察官が現場に向かう仕組みとなっている。
 同県警察では、車両管理のためのカーロケーターシステム(パトカーや緊急車両の現在位置、活動状況等を地図上に表示し、把握するためのシステム)が導入されているほか、110番の内容が確認できるP3.という携帯端末を備えている。しかし、カーロケーターが導入されていない交番・駐在所配置の警察車両等があることに加え、カーロケーター及びP3.のシステム同士が連携していないことが課題であった。また、現場から、迅速に現場臨場するために事件・事故の発生場所までナビゲートする機能が必要であるなどの声が上がっていたため、カーロケーター台数の見直しや映像伝送機能の強化及びシステム連携を図ることとした。
 そこで、P3.と通信指令システム整備業者が同じであったことから、この業者と共同で、P3.のデータ端末用ナビゲーションアプリ「現場急行アプリ」を開発し、全てのP3.端末にインストールを行った。全国の警察で初めて導入されたものである。これにより、従来の通信指令課からの110番通報の内容のほか、現場までのナビゲートを個々の警察官が確認し臨場できるようになった。また、カーナビ機能を使用するため、本来は必要ない警察車両にもカーロケーターを搭載しているケースもあったが、台数の見直しにより、予算縮減が図られた。
 概要説明後、委員から活発な質問が行われた。「アプリの導入により、どのような効果があったか。また、現場ではすぐに受け入れられたのか、トラブルはなかったのか」との質問があり、「同じ通報事例はないので一概には言えないが、110番の入電から現場到着までの時間が短縮されている。駐在所など警察官が1人の場合でも、音声案内もあるため、地図を見なくて済むなど作業が軽減された。アプリ自体は取扱いに戸惑う警察職員がいたりP3.端末が小さいことによる使いづらさ、道路情報しか入っていないことによる不便さはあるが、利便性は向上している。今後も更なる利便性の向上を図っていく」との回答があった。
 本県警察に県民から寄せられる通報や安全相談などの受理件数は増加傾向にあり、早期の現場臨場は重要である。同県警察の早期現場臨場への取組は大変参考となった。

警察危機管理防災委員会視察報告

群馬県警本部にて

(2) いばらき消防指令センター

(消防の広域化について)

【調査目的】

 消防庁は、「市町村の消防の連携・協力に関する基本指針」において、「全県一区(一の都道府県全体を一つの単位とした区域)での広域化は理想的な消防本部の在り方の一つとも言える」と示しており、また、「連携・協力のうち、まずは指令センターの共同運用について検討し、その結果を都道府県の推進計画に反映させることが必要」としている。茨城県では、「いばらき消防指令センター」において、県内20消防本部33市町の災害通報の受信、出動指令等の消防指令業務の共同運用を実施しており、本県における消防の広域化の参考とする。

【調査内容】

 同県では、平成25年に法定協議会である「茨城消防救急無線・指令センター運営協議会」を34市町で設立し、平成28年6月に「いばらき消防指令センター」の運用を開始した。同センターは、県内ほぼ全域をカバーする県内20消防本部33市町の災害通報の受信、出動指令その他の消防指令業務の共同運用を実施しており、車両動態等の様々な情報が一元化・共有化されることで、より的確で迅速な消防・救急業務や関係機関等への情報提供を可能としている。
 職員は各消防本部からの派遣である。単独消防本部では署員が兼務で通信指令業務に従事する体制だが、共同運用では指令員の専従化が図られることで、システムの操作や通報者とのコミュニケーションなど指令業務に特化した研修も実施され、通信指令業務の質が向上している。ドクターヘリやドクターカーも、過去の事例等を基にした要請基準を作成したことでちゅうちょせず出動要請できるようになり、適正な利用率の増加や救命率の向上につながってくる。また、指令室の集約により、単独整備していたときに比べ指令要員が199人から48人と大幅に削減され、その分、現場要員の充実が図られたほか、デジタル無線整備費及びメンテナンス費用も縮減されている。なお、同センターのシステムについては、民間保守要員(技術者)が日勤帯は常駐して機能の保守や障害発生時の対応を行い、休日夜間においても即応体制をとるなど管理体制を強化している。全国的にも先進的な事例である。
 また、近年頻発する集中豪雨や地震といった大規模災害に備え、119番通報が急増した場合に臨機応変に指令台を増強対応することができ、共同化による受信・処理能力の向上により、県民からの緊急通報に対し万全の体制を整えている。
 消防の広域化の課題として、消防力流出に対する懸念や、給与、手当等の統一、市町村、住民の理解の促進などが挙げられる。消防指令の共同運用については、前向きな地域が増加していることから、協議会における負担金の問題等もあるが、システムの更新時期等に合わせ進めていくとのことであった。
 概要説明後、指令センターを見学した。令和3年10月1日からスマートフォンでの119番映像通報システム(Live119)の試行運用を開始しており、その動作についても見学した。これは、通報者がスマートフォンにより現場から映像を送信することで現場の状況を伝えることができるもので、事故などでパニックになっている方の通報や、声のみの通報では伝えることの難しい傷病、火災や事故の状況を視覚的に判断して、指示や対応がとれるようになった。ただし、スマートフォンで通報者の操作が必要となるため、高齢者や操作に慣れていない方には操作が煩雑であり課題となっているとのことであった。
 消防の広域化を進める本県において、同県における共同指令の取組などの視察は大変参考となるものであった。

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