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掲載日:2023年11月27日
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令和5年8月31日(木曜日)
(1)東京消防庁即応対処部隊(東京都葛飾区)
(2)千葉運転免許センター(千葉県千葉市)
(災害対応力の向上と人材育成について)
東京消防庁即応対処部隊は、近年発生する広域的な自然災害に対応するための災害に特化した部隊として令和2年に発隊した。
災害時には先遣隊として出場し、特殊な車両や資機材等を活用し、ほかの隊とも連携をとりながら災害の早期終息を図っており、発隊以来、他県を含む多数の出場実績がある。
本県でも、近年、水害等の自然災害が頻発しており、災害対応力の向上と人材の育成が課題となっていることから、課題解決の参考とする。
東京消防庁管内には、消防方面本部に震災・NBC災害(核、生物、化学物資による特殊災害)等に対応する専門的かつ高度な技能や資機材を有する消防救助機動部隊が配置されていたが、平成30年7月の豪雨災害や北海道胆振東部地震等、近年頻発する広域的な自然災害において、通常の消防隊の車両、資機材では、迅速な救助活動や災害実態の把握が困難であることが課題として出てきた。これを受け、令和2年2月に、警防本部直轄部隊として即応対処部隊を創設し、同年4月18日に運用を開始した。構想に2年、準備に1年を要している。
同隊は、災害の実態や要救助者の情報をいち早く把握しデータ化する即応情報隊と、災害現場の最前列で迅速に要救助者を救出する即応救助隊を主体として構成され、隊員は総勢43名である。それぞれ、大型車両、特殊車両、重機、小型船舶、ドローンなど様々な資格、免許を有し、1班13人の3交替24時間体制で勤務し出場に備えている。
災害に特化した部隊ということで、悪天候環境下でもいち早く被害状況を確認できる全天候型のドローンや、体温を感知し夜間でも人命検索のできる可視・赤外線カメラなどの資機材や装備を有している。また、浸水地域においても大量の放水が行える活動型の高機動救助車や、プロペラの風力により前進し水面の浮遊物に左右されることなく救助活動や情報収集を行うエアボートをはじめとした、ほかでは類を見ない充実した資機材や車両を有している。これらを活用し、通常の消防部隊では困難な被災地に出場し活動するため、日頃より様々な災害に対する訓練を行っているとのことであった。
主な出場としては、火災、救助、危機排除、緊急確認、PA連携(ポンプ車と救急車が同時に出場するもの)などがある。発隊以来2,500件以上、最多の令和4年は973件出場している。大規模な水酸化ナトリウムを扱う工場での大規模火災や林野火災で出場した際には、ドローンでの情報収集や赤外線カメラを使用した残存火源の確認などを行った。
また、東京都だけでなく、総務省や消防庁などからの依頼で様々な地域に出場しており、静岡県熱海市で発生した土砂災害においても同隊を含む東京都大隊が派遣され、警察や自衛隊などの各機関と連携し、救助や土砂の排出などを行ったとのことである。
概要説明後、保有する資機材や車両等、水害における人命救助の演技を見学した。
また、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「発隊以来、出場件数は増えているとのことだが、災害の種類等出場するものは変わってきているのか。また、何件ぐらいまで出場できるのか」との質問に対し、「災害自体に変化はないが、熱中症対策での出場も増えてきている。出場は、災害の規模や内容により出場時間が変わってくるので、何件というものはないが、当隊は経験豊富な隊員が多く、大きな災害の際には総括部隊長が出場し指揮を執ることもあり、ほかの消防隊から頼りにされている」との回答があった。
今回視察先を調査できたことは、本県における災害対応に大変参考となるものであった。
東京消防庁即応対処部隊にて
(運転免許申請等に係る利便性の向上について)
運転免許の申請等においては、手続に時間を要するなど県民の負担は大きく、効率化と利便性の向上が求められている。
千葉県警察は、令和4年2月から試行中の優良運転者オンライン更新時講習モデル事業の対象県である。また、令和5年度中には、申請自動受付機や事前予約システムの導入に向けた取組を進めるなど手続の効率化を目指している。
本県と同様に関東に位置し、人口及び免許保有者共に同程度を有しており、利便性の向上に向けた新たな機械等の導入や、国のモデル事業を実施している千葉県警察を参考とする。
千葉運転免許センターは、昭和61年に開設された。同センターのほかに、流山市内にも運転免許センターが所在する。
千葉県内における免許保有者は、県民の3人に2人の割合となっており、令和5年6月時点で4,060,181人であった。また、令和4年中は、千葉運転免許センターに約65万人、流山運転免許センターに約27万人の来庁があった。
同県は、令和2年12月に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」に基づく優良運転者講習のオンライン化に係るモデル事業の対象道府県(北海道、千葉県、京都府、山口県)となっている。運転免許更新の際には、従来は運転免許センター等で約30分の講習を受講する必要があるが、モデル事業においては、スマートフォン等で講習動画を視聴することにより受講できる。なりすまし等の不適正事案防止のため、動画の視聴中に顔画像を撮影することや、視聴の際は早送りを不可とするなどの対応がとられている。
受講者アンケートでは、顔画像の撮影がうまくできないなどのシステムエラーに関する改善点の申立てもあったが、9割以上の方から「次回も受講したい」との回答を得ている。
受講後の運転免許センターにおける更新手続では、適性検査の際に一般の更新の方と同じように並ぶのでメリットがあまり感じられないとの声が出るなど課題もあるが、優良運転者の利便性は大幅に向上している。なお、10月2日からは対象者が一般運転者講習にも拡大され、令和6年度に全国展開される予定とのことである。
ほかに、千葉県独自の取組として、免許更新予約をWeb受付で行う事前受付サービスの導入や、免許申請受付においては、機械に運転免許証を挿入しタッチパネルで受付作業を行う申請書自動受付機の導入など運転免許に係る手続の刷新を計画している。これらの導入により、人の滞留の解消、手続の簡素化につながり、30分から1時間程度の手続時間の短縮が見込まれるとのことである。また、一元的に情報管理を行う警察庁のクラウドサービスを利用した国の共通基盤システムである運転免許管理システムの運用開始に合わせて刷新を行うため、新たなシステム構築の必要がなく、時間や費用の削減につながっている。更に、時世に即した取組としてキャッシュレス決済の導入も予定されているとのことであった。
概要説明後、委員からは活発な質疑応答が行われた。その中で、「様々な取組によりDX化は加速するが、高齢者等対応できない方への対応はどう考えているか。」との質問に対し、「事前予約については別に枠を設けて対応できるようにするなど様々なフォローを行い、利用者の方の利便性が損なわれないよう、より良いサービスの提供に取り組んでいく」との回答であった。
今回視察先を調査できたことは、本県における運転免許に係る手続の利便性の促進に大変参考となるものであった。
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