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掲載日:2023年1月18日
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令和4年11月8日(火曜日)~9日(水曜日)
(1) 岡山県警察本部(岡山市)
(2) 株式会社白獅子開発研究室(岡山市)
(警察本部新庁舎の機能・運用について)
本県警察本部は合同庁舎にあり、また、複数の庁舎に分散しているためセキュリティ面や機能性等の向上が必要であり、一元化・独立庁舎化が課題となっている。
岡山県警察本部は、岡山県庁舎の合同庁舎にあり、建築から50年以上経過し、震度6弱程度の揺れに耐えられないなどの課題があっため、令和2年度に独立庁舎化した。
複数の庁舎に分散配置していた部署を、新庁舎に集約して施設を一元化し、ICカード方式を採用したゲートを設置するなどセキュリティ対策を強化した。
セキュリティの確保や、機能性・効率性の向上といった本県の課題解決への取組の参考とする
岡山県警察本部新庁舎は、平成29年10月に工事に着手し、令和2年6月に完成、同年10月に運用が開始された。平成23年5月に外部有識者からなる懇話会が設置されてから、新庁舎の完成に至るまで約10年間の年月を要したとのことであった。
完成した庁舎は、総事業費約118億円、地上13階・地下1階、延べ床面積約19,800平方メートルで、免震構造により耐震性が確保されており、72時間連続運転が可能な非常用発電機も設置されている。また、電気、通信網は2系統整備し、災害発生時でも機能は確保される。
庁舎については、岡山県本庁舎に隣接する限られた敷地面積の中で建設する必要があった。そのため、1階と2階の間に免震層を設置し、2階以上を免震構造としている。当該構造を採用したことにより、一般的な地下設置型の免震構造で必要となる、免震による揺れ幅を想定した敷地面積の確保が不要となるため、より少ない敷地面積で建設が可能となったとのことである。
セキュリティの確保については、職員、来庁者共にICカードによる入庁者証で管理している。一方で、相談窓口や、情報公開などのために、県民が自由に出入りできるスペースを設置し、県民の利便性にも配慮している。
所属、機能の集約については、警察本部38所属のうち、運転免許センターなど独立庁舎が必要である所属を除いた28所属全てを集約した。また、災害時に指揮を執る総合指揮室を中心に、分散していた通信指令課、交通管制センターを一体整備し、迅速かつ統率の取れた対応を可能としている。
勤務している職員からは、事件が発生した際、初期段階から部門横断的連携、迅速な情報共有、意思決定が可能となった、来客対応をするためのスペースが確保できたことにより、県民のプライバシー保護や利便性が向上したといった声が寄せられており、また、多くの県民も来庁され、以前より開かれた庁舎になったとのことである。
概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「庁舎集約後のメリット、デメリットは何か」との質問に対し「メリットとしては、効率性及び利便性が向上した。デメリットはないが、情報部門のシステムが増えていくなど、新たに必要となるスペースの確保が今後の課題である」との回答があった。
今回視察先を調査できたことは、本県における警察本部の一元化・独立庁舎化に大変参考となるものであった。
岡山県警察本部にて
(VRを利用した住宅火災予防に関する研究について)
本県において、デジタル技術の活用で県民や事業者等の防災力を高めるともに、災害時に適切な行動ができるよう情報発信を高度化していく必要がある。
株式会社白獅子は、岡山市消防局、岡山大学大学院教育学研究所と連携し、VRで住宅火災を体験した人間の避難時の軌跡(行動)をデータ化するシステムを開発しデータを集約している。そして、集約したデータを行動心理学的観点で分析することで、データ・エビデンスに基づく最適な避難方法について、全国初の研究を行っている。
当該研究を調査し、本県におけるデジタル技術を活用した減災の参考とする。
株式会社白獅子は、3DCG、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)の開発、及びこれらを用いたコンテンツやシステムの企画、設計を事業内容とする企業であり、「販売促進物を作ることではなく、使命と良識を持って研究、教育、文化活動を行っている人が、社会とコミュニケーションを円滑に行うためのお手伝いをする」をミッションとしている。
自治体等の防災教育向けコンテンツとしては、火災、地震、土砂災害を体験するVRを作成するなど公益性、公共性の高い事業を展開している。
また、体験による伝達をより手軽に提供できないかという視点から、VR体験に必要なデバイスの小型化やスマートフォンを活用するなどしてデバイスに頼らないVR体験の実現についての研究も行っている。
岡山市消防局、岡山大学大学院教育学研究所との三者による住宅火災予防研究に至ったのは、同消防局から寄せられた、住宅火災の死傷者数は減少しているものの、高齢者の割合が年々増加しているため、VRを活用して高齢者の死傷者を減少させられないかという相談がきっかけとのことであった。そして、必要なデータを抽出するためのコンテンツの設計、抽出したデータを分析するために同研究所を紹介したことで、三者が連携するに至ったとのことである。
研究については、65歳以上の高年齢層のVR体験時の軌跡(行動)データに加え、岡山大学の学生の協力により、同様のVRを用いた若年層のデータを用いることで、住宅火災時における、特徴的行動パターンの把握と死傷が多くなる要因を解析し、その結果を基に高齢者への避難広報、消防士の訓練などに役立てているとのことであった。また、VRによる体験は、視覚、聴覚を通じた体験を可能とし、実際の現場での冷静な判断能力が養われるとのことであった。
概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「VRにおける予測や行動パターンをどのように設定しているのか」との質問に対し「例えば、火災の場合、体験者にあらかじめここから出火するという説明をせず、家の中を歩いていると台所から煙が出ているので台所を確認したら実際に出火していた、又は、煙を確認しに行ったら台所とは別の部屋から出火していたというような、様々なパターンを設定し、ランダムに出現させることで、その場での対処方法を再現、体現できるものとしている」との回答があった。質疑応答後、防災教育向けVRの体験を行い、実際に提供されているVRコンテンツについて理解を深めた。
今回視察先を調査できたことは、本県におけるデジタル技術を活用した減災に大変参考となるものであった。
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