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掲載日:2024年6月10日
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令和6年1月25日(木曜日)
(1) 埼玉県立戸田かけはし高等特別支援学校(戸田市)
(2) 白岡市教育委員会(白岡市)
(特別支援教育の推進について)
埼玉県立戸田かけはし高等特別支援学校では、自立と社会参加に向けて、これまでの学習の継続性や積み重ねを大切にしつつ、先進的な活動を取り入れて、高等部単独校の利点を生かした教育を実践するとともに、県立高校と同一敷地内の利点を生かした交流・連携を図っている。
本県では、特別な支援を必要とする児童生徒数が増加しており、障害の有無に関わらず、誰もが多様な在り方を認め合える共生社会の実現のため、一人一人の障害の状態や発達段階に応じた教育を充実することが課題となっており、同校の特別支援教育に係る取組を調査する。
埼玉県立戸田かけはし高等特別支援学校は、令和3年4月に開校した高等部単独の知的障害特別支援学校であり、「認め合い、高め合い、励まし合いながら、豊かに生きていくための土台をつくる」を学校教育目標に、生徒の自立と社会参加を目指すとともに、交流などを通じて地域等と連携する学校を目指している。同校は、生徒本人が持つ「分かりにくさ」をよく理解し、生徒が分かりやすく学習できるよう、より良い学習環境を整えることを心掛けており、例えば、自己紹介文を作成するにしても、生徒に応じて異なる教材を用意している。
同校では、高等部単独校の利点を生かした教育を実践している。仕事に直結するスキルや仕事に向かう態度などを経験的に学ぶ作業学習が充実しており、カフェ/食品加工、オフィスサービス、縫製、紙工、水耕/園芸、陶芸、木工、メンテナンス、革工芸の計九つがある。リアルさを追求し、社会で評価されるものを生み出すことを目指しており、「作品」ではなく「製品・サービス」の提供を意識して指導しているとのことであった。
また、商工祭に参加して製品販売やダーツ体験会を実施したり、社会の日々の変化を踏まえた授業作りのため、企業からマーケティングやブランディングの助言を受けたりするなど、地域や企業と連携した教育活動も展開している。
さらには、県立高校と同一敷地内に設置されている点を生かし、体育祭や文化祭などの学校行事や日々の授業などにおける高校との交流を通じて、互いの良さを理解し合える機会を設けているとのことであった。
概要説明を受けた後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「地域との連携は、どのようなアプローチで進めてきたのか」との質問に対し、「当校から地域に働き掛けているところもあるが、戸田市とは包括連携協定を締結し、開校前から戸田市役所をはじめ、地元の自治会や商工会から協力いただいている」との回答があった。
その後、詳細な説明を受けながら校内を視察した。カフェには他校児童が来校しており、互いに交流している様子などを伺うことができた。
今回、同校の取組や施設を視察できたことは、今後、特別支援教育を推進していく上で、大変参考となるものであった。
埼玉県立戸田かけはし高等特別支援学校にて
(部活動の地域移行について)
白岡市では、中学生を対象として、休日の部活動の段階的な地域移行を進めるため、全国に先駆け、令和3年度から国のモデル事業に参加し、人材確保や運営団体の確保などの課題に総合的に取り組んでいる。
本県では、生徒にとって望ましい持続可能な部活動と学校の働き方改革の実現のため、部活動を学校単位から地域単位の取組とすることを視野に入れ、学校と地域が連携した形での環境整備を推進することが課題となっており、同市の部活動の地域移行に係る取組を調査し、本県の今後の施策推進の参考とする。
白岡市内には四つの市立中学校があるが、学校によっては、生徒数が少ないために部活動数が少なく、入りたい部活動がないために他クラブチームなどに入らなければならない場合や、一定数の部活動はあるものの、人数が少なく、練習試合をするにしても他市町との合同チームで出場しなければならない場合などがある。一方で、同市には総合型地域スポーツクラブや白岡市体育協会などがあり、子供たちが幼少期からスポーツに親しむことのできる環境が整っている。
同市では、休日の「地域クラブ活動」は、外部団体に管理・運営を委託し、民間の豊富な人脈やノウハウ、地域人材などの資源を活用することで、地域移行する部活動数を段階的に増やすとともに、複数校での合同実施にも取り組んでいる。令和5年12月以降は、2校で休日に実施している部活動の全て、残り2校で顧問が希望した部活動について地域移行している。運営団体は毎年変わっており、現在は、地域クラブ活動を継続していく上では、地域と連携して地元から指導者を発掘することが重要という観点で、地域クラブ活動の環境整備を進めているとのことであった。
また、既存の部活動を地域クラブに衣替えするだけでなく、部活動にない新たな活動として、生徒へのアンケートで「やってみたい部活動」の上位だったダンスとプログラミングについて、4校合同の地域クラブを立ち上げるなど、生徒の様々なニーズに応える活動が実現されている。ダンスの地域クラブ活動の動画を視聴した際には、上達の速さに驚かされるとともに、異なる中学校の生徒同士が楽しく交流している様子も伺え、ここでも新たな価値が生み出されていることを実感することができた。
このほか、地域クラブ活動では専門的な指導を受けることができ、その練習を平日の部活動に取り入れることで上達に向けてよいスパイラルが生まれている点や、アプリを使用して指導者・生徒・保護者・部活動顧問が活動内容を共有できる点も地域移行してよかった点であるとのことであった。
概要説明を受けた後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「地域クラブ活動を継続していく上で、受益者負担の課題についてはどのように考えているのか」との質問に対し、「例えば、休日の部活動の地域移行を全面実施した後には、複数校での合同実施により指導者を効率的に配置して経費削減に努めるなど、ヒト・モノ・カネの観点から解決すべき課題だと考えている」との回答があった。
今回、同市の取組を視察できたことは、今後、本県の部活動の地域移行を推進していく上で、大変参考となるものであった。
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