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掲載日:2023年11月28日

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文教委員会視察報告

期日

令和5年8月28日(月曜日)~29日(火曜日)

調査先

(1)茨城県立IT未来高等学校(茨城県笠間市)

(2)牛久シャトー(茨城県牛久市)

調査の概要

(1)茨城県立IT未来高等学校(茨城県笠間市)

(特色ある高校づくりについて)

【調査目的】

 茨城県立IT未来高等学校は、IT技術の進展や人財不足に対応した教育改革の一環として、既存の県立高校を改編し、公立校としては全国初のIT専科高校として、令和5年4月に開校した。デジタル社会を支えるIT人財の育成のため、県下随一のICT環境を整備している。また、定時制の仕組みを活かし、多様化する学びに対応したカリキュラムを編成している。さらには、課外活動においてもIT人財の育成に取り組んでいる。
 本県では、少子化に伴う中学校卒業者数の減少や、社会状況の変化、生徒・保護者のニーズの多様化などに対応するため、県立学校のより一層の活性化・特色化が必要であり、同校の特色ある高校づくりを調査し、本県の今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

 茨城県教育委員会では、同県の高等学校教育を取り巻く社会の変化や、生徒の能力・適性、興味・関心、進路希望等の多様化に適切に対応するため、「県立高等学校改革プラン」の基本プランを策定するとともに、AI・IoTなど科学技術の進展やIT人財の不足といった、社会の変化や地域のニーズに対応するための学科改編等を内容とする実施プランを策定している。
 茨城県立IT未来高等学校は、同プランに基づき、実践を中心に行う情報技術教育の単科校として開校したものである。2年次以降は、システムエンジニアなどを目指す「情報システムコース」とデザイナーなどを目指す「情報デザインコース」の2コースを設置し、生徒が興味・関心に合わせて選択できる仕組みとしている。
 また、ITセミナーなどでは、大学講師や民間IT企業の方々をゲストティーチャーとして依頼し、大学・企業等と連携したキャリア教育も展開している。
 教育課程においては、県内各地から通学することができるよう、昼間2部制定時制としており、3年間又は4年間での卒業を選択可能にするなど、多様化する学びに対応したカリキュラムを編成している。実際、片道2~3時間をかけて通学している生徒もいるとのことであった。
 課外活動においても、地元のデザイナーなどを講師とした情報デザイン特講によるスキルアップ、専門学校の講義によるITパスポート等の資格取得支援、eスポーツ大会への参加など、トップレベルのIT人財の育成に取り組んでいる。
 概要説明を受けた後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「卒業後の進路について、専門学校や企業とどのような連携を取っているのか」との質問に対し、「令和6年度から、日本IBMが提供する、高校と県立IT短大の学びをつないで、5年かけてIT人財を養成する取組『いばらきP-TECH』に参加する方向で準備をしており、この取組に参加する県内IT企業とも連携していきたい」との回答があった。
 その後、校内を詳細な説明を受けながら視察した。データサイエンス室、プログラミング室、マルチメディア室などの情報関連の実習室には最新のコンピュータ機器を備えるとともに、VR機器、3Dプリンターなどの機器や、最先端のソフトウェアを導入するなど、充実したICT施設・設備が整備されており、多彩なカリキュラムに対応できる環境が整っていることを実際に感じることができた。
 今回、同校の取組や施設を視察できたことは、今後、本県の特色ある高校づくりを推進していく上で、大変参考となるものであった。

文教委員会の議員らが並んでいる写真

茨城県立IT未来高等学校にて

(2)牛久シャトー(茨城県牛久市)

(文化財の保存・活用について)

【調査目的】

 牛久シャトーは、日本初の本格的ワイン醸造場であり、近代化産業遺産認定、国重要文化財指定、日本遺産認定とその歴史的価値が高く評価されている。
一時は、所有会社が飲食・物販事業から撤退、ワイン醸造も休止する状況となったが、牛久市が同施設の運営に積極的に関与することで、現在は一部レストラン、売店、ワイン醸造を再開している。また、地域と連携した取組も積極的に推進している。
 本県では、過疎化等の社会状況の変化を背景とした文化財の不継承等を防止し、文化資源をまちづくりに活かすため、地域で保存・活用に取り組む体制整備が必要であることから、同施設の保存・活用に係る取組を調査し、本県の今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

 牛久シャトー(旧:シャトーカミヤ)は、実業家である神谷傳兵衛が明治36年に開設した、日本初の本格的ワイン醸造場である。フランスに現存した醸造場をモデルに、ボルドー地方の技術を用いて、ブドウ栽培からワインの醸造・瓶詰めを一貫して行っていた。現在は、約6万平方メートルある敷地内に、当時の建物を活かした記念館やレストランを展開しており、ワインの歴史を紹介するとともに、ワインや本格フレンチをはじめとする西洋食文化に触れられる場所となっている。
 当時の建物として、旧事務室、旧醗酵室、旧貯蔵庫が現存し、明治時代中期の本格的な煉瓦造ワイン醸造場の主要部がほぼ完存している。明治中期の煉瓦造建築としての歴史的価値の高さと、当時の醸造方式を理解する上での産業技術史における価値の高さが評価され、これら3棟が「シャトーカミヤ旧醸造場施設」として、平成20年に国の重要文化財に指定されている。
 その後、東日本大震災により施設は被災し、復旧に5年を要したこともあり、来場者数は減少した。復旧後も所有企業が飲食・物販事業から撤退、ワイン醸造も休止する状況に直面したが、牛久市が所有会社と包括連携協定及び賃貸借契約を締結、現在の運営主体である第三セクターを設立するなど、同施設の運営に積極的に関与することで、令和2年には日本遺産の認定を受けるとともに、現在は一部レストラン、売店、ワイン醸造を再開するに至っている。
 近年は、県立高校によるPR動画制作・記者発表や、牛久市産ブドウの収穫量を増やすために地元少年院の茨城農芸学院の敷地内遊休地を活用して院生がブドウ栽培するなど、地域と連携した取組を積極的に推進している。
 また、令和4年度からは市内公立小・中学校において、総合学習等における学校教育の素材として積極的に活用されている。一律のメニューは作成せず、学校ごとの希望を踏まえた上でメニューを作成しており、また、最終的には郷土愛の醸成や子供たちのまちづくりへの参画につなげたいとのことであった。
 概要説明を受けた後、施設の視察を行った。その中で、東日本大震災で被災した箇所やその復旧費用の内訳などについて、委員から活発な質問が行われた。今回、視察先を調査できたことは、今後、本県の文化資源の保存・活用に係る取組を推進していく上で、大変参考となるものであった。

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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