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掲載日:2023年1月18日

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文教委員会視察報告

期日

令和4年11月10日(木曜日)

調査先

(1) 神奈川県立図書館(横浜市)
(2) 神奈川県立田奈高等学校(横浜市)

調査の概要

(1) 神奈川県立図書館

(特色ある図書館の運営について)

【調査目的】

 神奈川県立図書館の本館は、本を介して同じ興味を持つ利用者同士が出会い、交流し、共に学ぶことができる「価値を創造する図書館」として、令和4年9月1日に新たに開館した。
 同図書館は、本館、前川國男館(旧本館)、収蔵館(旧新館)の3棟で構成されており、平成29年度から全体の再整備を実施している。
 本県の県立図書館は、老朽化・狭あい化しており、新しい図書館の整備に向け、県民や時代のニーズに合った基本構想の策定が必要である。同図書館のコンセプトや取組を調査し、基本構想策定及び図書館運営の参考とする。

【調査内容】

 神奈川県では、県立の図書館として、神奈川県立図書館と神奈川県立川崎図書館の2館を設置、運営している。県立図書館では、社会・人文系、川崎図書館では、技術・工学系を中心とした専門的な図書や資料を収集し提供するなど、それぞれの特色を打ち出し、専門的図書館としての役割を果たしている。
 平成27年6月に「県立図書館の再整備に向けた検討会」を設置し、平成28年10月に、図書館の老朽化や資料の収蔵スペース不足などの課題に対応するとともに、新たな魅力を備えた図書館とするための再整備に向けて、「県立図書館の再整備に向けた基本的な考え方」を取りまとめた。その中で、基本の「専門的図書館」、「広域的図書館」としての機能に加えて、新たに、本を介して人と人が交流し学びを支援する「価値を創造する図書館」、建物の魅力を活かした、人を惹きつけ人が訪れる「魅せる図書館」としての機能を、それぞれ本館及び旧本館に付加することとした。
 なお、昭和29年に開館した旧本館は、日本のモダニズム建築を代表する建築家である前川國男氏によって設計され、令和3年8月に神奈川県指定重要文化財に指定されている。記録フィルムの上映や貴重な資料、蔵書の展示も行う「前川國男館」として整備中である。
 本館には、交流エリアのほか、静ひつな空間で読書に集中できる「静寂読書室」、県立図書館の資料を用いて研究するための「研究ブース」、「研究個室」など、多様な閲覧席を約300席設置している。また、部活動のように同じ興味を持つ仲間と共に、交流を通じて学びを深めるプログラム「Lib活(Library + 部活)」を開催している。
 概要説明を受けた後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「これまでの図書館とは異なる本図書館の魅力は何か」との質問に対し、「話し合いができる交流エリアを整備したほか、利用する方の学びが受け身で終わらないように、Lib活を実施することで、個人での探求から知識の共有、さらには社会へ活かすところまで学びを深めていただくという点が新たな魅力である」との回答があった。
 今回、同図書館の取組や施設を視察できたことは、今後、本県の図書館運営を推進していく上で、大変参考となるものであった。 

(2) 神奈川県立田奈高等学校

(教育と福祉の融合的取組について)

【調査目的】

 神奈川県立田奈高等学校は、課題を抱えた生徒たちへの支援として、居場所づくりに力を入れており、平成26年度から週1回、校内の図書館で在校生や卒業生に飲み物やお菓子を無料で提供する「ぴっかりカフェ」事業を実施している。また、今年度からは神奈川県教育委員会による「子どもたちへの生活困窮支援」として、経済的な理由等で食事を取れない生徒を支援するため、週2回、朝食提供事業を行っている。
 本県においても、不登校や児童生徒の家庭の状況など、様々な課題を抱えた子供たちの状況に応じた教育支援が必要であり、同校の居場所づくりを視察することにより、今後の施策の参考とする。

【調査内容】

 神奈川県立田奈高等学校は、昭和53年に開校した全日制普通科高校である。平成21年度に、神奈川県内に現在5校あるクリエイティブスクールに指定された。不登校や学力不振等により、小中学校時代に自身が持っている力を十分に発揮できなかった生徒など、学び直しの意欲を持つ生徒を積極的に受け入れている。
 生徒に対して、一人一人親身になった対応ができるよう、個別的に、早期に、段階的に支援する「支援教育」に軸足を置き、外部機関と連携した様々な取組を実施している。具体的には、現在の15人前後の学級編成や担任と副担任の2人担任体制をはじめ、NPO法人が運営する相談室「Drop-In(どろっぴん)」、大学生等のボランティアによる放課後の補習「田奈ゼミ」のほか、生徒が教職員以外の大人と話せる居場所を作り、生徒の悩みを聞くことで支援につなげる「ぴっかりカフェ」事業、朝食提供事業など、数多くの相談体制を整えている。
 「ぴっかりカフェ」事業は、生徒に文化的な体験をさせるとともに、生徒の孤立や中途退学、不登校を防ぐことを目的に開始した。NPO法人パノラマが運営し、年間300人ほどの大学生等のボランティアスタッフが、生徒たちとの何気ない会話や悩みを聞き、教員と情報共有して支援につなげている。
 令和4年度からは、神奈川県教育委員会が、学校での食支援を通じて心身の健康の改善を図り、学習に取り組む姿勢につなげること等を目的に、朝食提供事業を開始した。公益社団法人緑法人会への委託事業で、おにぎりや弁当などの朝食を毎回60食ほど提供している。コミュニケーションを図ることが難しかった生徒が、地域の方と挨拶を交わすことができるようになったり、授業開始間際に登校していた生徒が、早く来て朝食を食べることで、落ち着いた学校生活を過ごすことができるようになったりと、成果も上がっているとのことであった。
 概要説明及び「ぴっかりカフェ」の見学後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「学び直しの学校において、ぴっかりカフェのような居場所があることにより生徒たちの気持ちに好影響があると感じたが、どうか」との質問に対し、「教員以外の多くの大人と触れ合い、様々な会話をすることで、学校に来る大人たちに慣れ、信頼するようになっていくとともに、社会性も身に付いていく」との回答があった。
 今回、同校の取組や「ぴっかりカフェ」を視察できたことは、今後、本県における教育と福祉の融合的取組を推進していく上で、大変参考となるものであった。

視察の画像

神奈川県立田奈高等学校にて

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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