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掲載日:2025年2月21日

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文教委員会視察報告

調査日

令和6年11月21日(木曜日)~11月22日(金曜日)

調査先

(1)茨城県立勝田高等学校・勝田中等教育学校(茨城県ひたちなか市)

(2)前橋市立前橋高等学校(群馬県前橋市)

調査の概要

(1)茨城県立勝田高等学校・勝田中等教育学校

(中高一貫校の設置推進について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 高等学校は、生徒一人一人が豊かで幸せな人生を実現し、持続可能な社会の創り手となれるよう、社会の変化や地域の特性、企業等が求める人材等を踏まえた特色ある教育活動を展開することが求められている。

■視察先の概要と特色

  • 中等教育学校は、全生徒が6年間中高一貫教育を受けることになり、人間関係を新たに構築するストレスがないため、落ち着いた生活を送ることができる。
  • 教員側でも6年間継続的に生徒の成長を見守ることができるため、生徒が悩みを抱えていても教員が把握しやすく、継続的できめ細やかな生徒への関わりができる。
  • 高校入試がないため、受検勉強に追われることがなく、じっくりと興味を持ったことを研究でき、いろいろな体験にもチャレンジすることができる。高校一年次頃の早い段階で、長期の海外留学にチャレンジすることもできる。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 茨城県は県立高等学校改革プランを定め、県内を新たに12のエリア区分で分け、主に未設置の地域への中高一貫校の設置を検討・実施した。既存の3校の志願倍率が高い、遠方からの通学者がいるという現状を受け、2020年~2022年度にかけて10校を開校した。現在県立中高一貫校が13校あり、都道府県立としては全国最多である。
  • 一般的に海外留学をすると、大学入試の準備期間が短くなるが、勝田中等教育学校では高校一年次の早い時期から留学し、高校二年次の早い段階で戻ってこられるため、準備期間に余裕があり、また、先取り学習を取り入れているため、留学期間中の遅れを十分取り戻すことができる強みがある。
  • 中等教育学校の先取り教育は、単元ごとの深堀りのほか、数学では前期課程三年次の夏以降から高校の内容に取り組み、後期課程進級時には高校の数学1.の内容が半分程度終わる進度で進めている。模擬試験の結果でも学校全体の点数が伸びており、通常の高校と比べ、学力的に非常に有利なカリキュラムを組むことができている。

■質疑応答

Q:中学(前期課程)と高校(後期課程)との二つの学校を運営しているため教員が多忙という説明があったが、どのような内容か。

A:中等教育学校では、例えば高校の教員が中学(前期課程)を担当することがある。今まで担当したことがない中学生に教えることになり、授業準備等が大変になる。一方で、中学生の授業の中で、高校で学ぶことを先取りとして自然に伝えられるメリットもある。

Q:中学入試の内容は県内統一か、それとも学校ごとに違うのか。

A:13校統一であり、適性検査を同じ内容で行っている。

Q:県立中高一貫校設置に対し、市町村教委等からはどのような声が寄せられていたか。その声に対し県はどのように対応していたのか。

A:地元の優秀な生徒が中高一貫校に多く進学してしまうのではないか、などの心配の声があった。学校の規模を大きくするとそれだけ影響が大きくなるため、少ない学級数とすることで配慮をした。そのような声は設置から年数が経ち落ち着いてきた。

(2)前橋市立前橋高等学校

(キャリア教育の推進について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 児童生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通し、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を育成する取組を通じて、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していくキャリア発達を促進する必要がある。

■視察先の概要と特色

  • 地域の課題を自分事として考え、「自ら課題を発見し、解決しようとする力」を高める探究学習として、地域活性化プロジェクト「めぶく」を各学年で実施している。
  • 行政・地域・経済界などの協力を得ながら、市内で活躍する人々への取材や市内企業でのフィールドスタディ等により、市の活性化に向けた課題を考え、その解決への提案を模擬市長選挙や模擬議会、学習成果発表会での研究発表等の場で行っている。
  • 進路指導が、今までの職業逆算型の出口指導ではなく、「身近な社会の課題探究→興味ある学びの発見→進路希望の決定」という手順の進路探究型の学び指導となり、生徒は主体的に進路を考えることができる。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 探究学習は進路とあまり結びつかないのではないかと苦慮している学校が多いと見受けられるが、市立前橋高等学校では進路指導の中に探究学習を位置付け実施している。
  • 一学年はまちなかリサーチを中心市街地の商店街等で実施し、地域活性化の芽や課題を実際の現場で見つける。また、令和6年度から「ちいぷれ!」を開始。地域活性化に加え、生徒の進路を意識し、建築や都市デザインなど大学の学問とつなげてプレゼンを行うこととした。これらは二学年で実施する模擬選挙などにつながるステップである。
  • 模擬選挙は、各クラスに卒業生である大学生を市長候補として招き、市長候補を当選させるため、三つのマニュフェスト、ポスターやPR動画などを作成し、生徒の投票により当選者を決める。これは主権者教育にもつながると考えられる。実際に提案したマニュフェストのアイデアを市が採用し、駅前の商業ビルに学習室を整備した事例もある。
  • 生徒自身が地域にできることはないかと思案し、どのような学問ならば地域課題を解決できるかを考えると、自ずと自分の興味がある学びや進路を考えるきっかけとなる。

■質疑応答

Q:探究の授業はこなすだけでも大変だと思うが、自主参加の課外活動にまで参加している生徒はどのような層か。また、進路指導上の工夫でキャリア教育と合わせて行っているものはあるか。

A:探究活動を一生懸命行う生徒は学習や大学受験に熱心な傾向にある。実際に課外授業に参加していた生徒は最後まで国公立大学を志望していた。一昨年度は国公立大学現役合格が14人のみだったが、一学年から探究学習に取り組んだ最初の学年であった昨年度の合格者は32人に増加した。また、苦労する層はクラス活動の際に働かない生徒である。そのような生徒は活動をしていないので志願書等が書けない。そのような生徒を鑑みて「ちいぷれ!」を今年度から始め、生徒個人で必ずプレゼンを作り上げる機会を設けた。

前橋市立前橋高等学校の校門前で委員とスタッフの集合写真

前橋市立前橋高等学校にて

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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