ページ番号:228598
掲載日:2023年1月18日
ここから本文です。
令和4年11月17日(木曜日)~18日(金曜日)
(1) 岩手河川国道事務所一関出張所(一関市)
(2) 楽天モバイルパーク宮城(注)(仙台市)
(流域治水の取組について)
本県においては、近年記録的な大雨により河川で越水するなど水害対策が課題となっている。
令和元年東日本台風では、各地で戦後最大を超える洪水により甚大な被害が発生したことを踏まえ、北上川水系においては、広大な森林面積や地域の主産業(農業等)などの地域特性を考慮し、河川整備に併せて、森林整備、治山対策や農地等の活用などの流域治水の取組(北上川水系流域治水プロジェクト)を実施している。
この取組では、治水だけではなく、人と河川とのふれあいの場を確保するため、水辺と触れ合える環境の場を整備するなど、自然環境が有する多様な機能を活かすグリーンインフラの取組も促進している。
当該取組を調査することにより、本県における流域治水の取組の参考とする。
岩手河川国道事務所では、河川・道路・砂防事業の三つの事業を展開している。河川については北上川、道路については国道4号と国道46号、砂防事業については岩手山や秋田駒ケ岳などを所掌している。
北上川の流域(広さ)は10,150㎢で日本第4位、延長(長さ)は249kmで日本第5位で東北で一番大きい河川である。岩手県の県土面積の5割、人口の7割が北上川流域に集中しており、経済活動の基盤となっている。
近年は全国各地で毎年のように記録的な大雨による自然災害が発生しており、河川行政だけでは対策が間に合わない状況になってきている。これまで河川、下水道、砂防、海岸等の管理者が主体となり、それぞれ対策を講じてしていたが、流域全体のあらゆる関係者が協働して治水対策を実施する必要が生じている。
そこで、令和2年度に北上川水系(北上川上流)流域治水協議会を設立し、まずは国土交通省、農林水産省、林野庁、県、市町村などがそれぞれ独自に行っていた河川整備、森林や農地等を活用した治水対策などをマッピングし情報共有することから始めた。どこの市町村も技術系の職員が不足していることから周辺自治体の取組事例を紹介し、横展開を促している。
また、北上川は古くから舟運等により地域交流の軸として利用されてきた。人と河川のふれあいの場を確保するため、親水護岸整備や環境学習などグリーンインフラの取組も促進しているとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「各関係者が協力して流域治水に取り組むことはすばらしいことではあるが、関係者が増えることで責任の所在が不明確になったり、対策に対する理解が得られにくくなったりしないのか」との質問に対し、「取組の一つ一つは小さなものが多いが、堤防の管理などの大きな取組については責任の所在が明確になっている。上下流の問題などはあるが、古くから水害に悩まされてきた土地柄ということもあり、協力して治水対策に取り組んでいる」との回答があった。
質疑後は、北上川学習交流館「あいぽーと」の展示施設にある巨大な北上川周辺地図を見ながら地形的な特徴を生かした取組について説明を受けた。また、北上川の流域治水対策の一つである一関遊水地を訪れ、実施している対策の説明を受けた。
今回、視察先を調査できたことは、本県における流域治水対策に大変参考となるものであった。
(ボールパーク整備事業について)
本県では、大宮スーパー・ボールパーク構想を策定し、大宮公園の主要施設である三つの競技施設(双輪場・野球場・サッカー場)を含むエリアを整備することとしている。
楽天モバイルパーク宮城(注)は、平成16年度に宮城球場が全面改修され、プロ野球球団東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地となった。
都市公園法に基づく管理者として(株)楽天野球団と協定を締結しており、プロ野球興行、アマチュア開放、イベント等の運営、各種運営費や工事費用等は、宮城県との協議や管理報告書の提出を行いつつも、原則として同社が主体となって負担している。
スタジアムとその外周の公園を含むエリアを楽しむボールパーク構想の下、周辺一帯のテーマパーク化が進んでいる。
同社のボールパーク構想を調査することにより、本県におけるボールパーク構想の推進の参考とする。
東北楽天ゴールデンイーグルスは平成16年に50年ぶりの新球団として誕生した。
同球団は、東北唯一のプロ野球チームであり、宮城県ではなく東北を商圏と捉えている。また、監督や選手などの現場と球団職員の垣根をなくして事業に取り組んでいる。
同社の考えるボールパークとは、試合だけ観戦して3時間で帰るのではなく、人気のテーマパークのように、様々な世代が丸1日若しくは半日、時間を使いたいと思ってもらえるようなエンターテインメントを提供することである。
具体的には、3世代が楽しめるように様々な飲食店を数多く用意したり、試合に退屈した子供が遊べるように外周アトラクションやイベントを企画したりしてきた。
また、皆で楽しめるパーティーデッキのような席や、寝転んだりできる外野の芝生席など観客のニーズを踏まえて様々な席を用意したり、試合が観戦できる宿泊施設を併設している。さらに、公園も併設し、観覧車やメリーゴーラウンドを試合中でもそれ以外の時間でも楽しめる魅力を創出している。野球以外の楽しみをきっかけに野球に触れてもらい、興味を持ってもらう。これがボールパークの運営であるとのことであった。
宮城県とはフランチャイズ協定を締結し管理許可を得ている。施設改修については同社が行っているが、速やかに施設改修できる点が大きな利点となっている。
同球団の宮城県内における経済波及効果は、平成18年は97億円であったが、コロナ禍前の令和元年には過去最高の237億円と試算している。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「速やかに施設改修できる点が大きな利点であるとの説明があったが、フランチャイズ協定を締結する際に、宮城県とどのように調整したのか」との質問に対し、「老朽化していた球場をそのまま引き渡すことが前提であったため、弊社が施設改修することとなったが、営業権を得ることができた」との回答があった。質疑後は、同スタジアム内の各施設を見学した。
今回、視察先を調査できたことは、本県におけるボールパーク構想の推進に大変参考となるものであった。
楽天モバイルパーク宮城にて
(注)視察時点の名称は「楽天生命パーク宮城」であったが、宮城球場ネーミングライツ契約の更新に伴い令和5年1月1日から「楽天モバイルパーク宮城」に変更されている。この視察報告では掲載日時点の名称を使用している。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください