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掲載日:2023年5月23日

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産業労働企業委員会視察報告

期日

平成28年7月19日(火)~21日(木)

調査先

(1) 北海道大学産学・地域共同推進機構(札幌市)
(2) 千歳市臨空工業団地(北海道キッコーマン㈱)(千歳市)
(3) 中島商店会コンソーシアム(室蘭市)
(4) 北斗市役所[観光課](北斗市)

調査の概要

(1)北海道大学産学・地域共同推進機構

(産労連携と地域協働について)

【調査目的】

産学・地域協働推進機構は、平成27年4月に、これまでの産学連携、地域連携の在り方を抜本的に見直すことを目指して発足した。連携を超えた協働を図るため、大学の資産を活用した事業化や政策提言などを展開しており、成果をより早く、より効果的に国民に還元することを設立の狙いとしている。この狙いのもと、企業などが共同研究拠点を学内に設置しており、大学の研究者と資産を有効活用して進めている事業の一例としては、機構発足と同時にしゅん工された「フード&メディカルイノベーション(FMI)国際拠点」がある。同国際拠点では、新たな産業や雇用を創出するための革新的な研究開発事業を実施しているほか、地域中小企業のニーズを支援するため、道内他大学の保有するシーズとのマッチングを行うなど、事業化支援に取り組んでいる。
本県においても、産学官連携や産業創出に取り組んでいることから、同機構の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

北海道大学は、教育研究という従来からの基本的使命に加え、社会へのより直接的な貢献を「第三の使命」として位置付け、これに正面から取り組んでいる。こうした方針に基づき、平成15年10月に設置された「知的財産本部」から、産学連携機能との融合を組織的に行う「知財・産学連携本部」を経て、平成27年4月に実学へのステージアップを推進するため「産学・地域協働推進機構」を発足した。
同機構は、組織型産学協働として、これまでの産学連携を連携から協働に発展させるべく、従来、大学の研究成果や知的財産などを企業に技術移転し事業化していたものを、大学と企業のイコールパートナーシップにより、大学の研究成果や知的財産を活用し、企業側の市場動向や技術動向など得て、ゴール・ミッションを共有しながら産業創出を目指すという新たな産学連携を行っている。
組織型産学協働の一例として、機構発足と同時期にしゅん工した「フード&メディカルイノベーション(FMI)国際拠点」では、大学で培ってきた「食と健康」に関する研究成果の社会実装を目指している。
同国際拠点で行っている研究開発テーマとしては、食と医療の連動による次世代健康生活創造がある。文部科学省・科学技術振興機構が実施しているCOI(センター・オブ・イノベーション)拠点として認定された「食と健康の達人」拠点として大学が中心となり、37の機関・企業と異分野融合の研究開発テーマに取り組んでいる。同国際拠点には、企業が入居しているが、施設内には産官学一体となって社会実装を行う研究室や実験室とともに、地域の人も利用可能な、多目的ホールやディスカッションプラザ、最先端機器による実験や最新の研究成果に触れられる展示スペースなどを併設しており、産官学と市民が一体となってイノベーション創造していくよう過去に例のない、オープンな仕様となっている。
概要説明を受けた後、組織型産学協働における大学と企業との関係や、食と医療の連動による産業創出などについて委員から活発な質疑が行われ、その後、同国際拠点を見学した。
今回の視察は、本県の産学官連携や産業創出を促進していく上で、大変参考となるものであった。


北海道大学産学・地域共同推進機構にて

(2)千歳市臨空工業団地(北海道キッコーマン㈱)

(交通アクセスに優れた内陸型工業団地について)

【調査目的】

千歳市は、空の玄関口である新千歳空港を擁する道央圏の中核都市である。千歳市臨空工業団地は食品、電子、半導体などの業種において湖や丘陵から流れ込む地下水が利用可能であるなど、豊富で良質な水資源が存在している。また、道内経済拠点の札幌市に隣接しているほか、札幌市のベッドタウンとして成長する地域が近く、大消費マーケットが形成されている。さらに、交通アクセスの優位性、産業インフラの整備、良質な原料、豊富な人材など優れた立地環境を有しており、「北海道内陸型屈指の工業団地」として評価されている。
本県においても、工業団地の基盤整備事業に取り組んでいることから、整備環境に近似性のある同工業団地及び立地する企業について調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

千歳市は、約9万5,000人の人口を有し、北海道の空の玄関口である新千歳空港を擁する道央圏の中核都市である。面積は594.95㎢で、これは東京都の23区とほぼ同じ広さである。市内の上水道は、環境省の「名水百選」に選定されたナイベツ川湧水を主水源とし、上下水道を合わせた利用料金は道内都市で最も安価な水準にあるほか、支笏湖や馬追丘陵から流れ込む地下水が利用可能であるなど、豊富で良質な水資源が存在している。また、隣接する苫小牧市から天然ガスがパイプラインで供給されているほか、石狩液化天然ガス基地とパイプラインで結ばれており、環境に優しいエネルギーの確保を実現している。自然災害についても、落雷や台風の発生率が低く、電気系統に及ぼす影響が少ない地域であるほか、観測史上震度5弱以上の大きな地震がないことや、内陸部であるため、津波、塩害の心配もなく、災害リスクが低いという優位な地域特性にある。
千歳市では、昭和39年に道内初の市営の工業団地を造成して以来、10か所の工業・産業団地が整備されている。新千歳空港と高速道路に至近という好位置にある「千歳臨空工業団地」をはじめ、「千歳サイエンスパーク」、「千歳市第4工業団地」、「千歳流通業務団地」、「千歳市根志越業務団地」、「千歳美々ワールド」、「新千歳空港ロジスティクスセンター」など、様々な企業ニーズに対応できる多様な工業・産業団地の分譲を展開している。
中でも、千歳市臨空工業団地は、前述した産業インフラ及び自然災害リスクの低さなど、優れた立地条件もさることながら、苫小牧港まで30分、新千歳空港まで10分、札幌市内まで45分と抜群の交通インフラを有している。また、経済拠点の札幌市や工業・港湾都市の苫小牧市に隣接しているほか、札幌市のベッドタウンとして成長している北広島市、江別市、恵庭市があり、大消費マーケットが形成されている。
同工業団地内にある北海道キッコーマン㈱は、昭和62年に商品の出荷を開始した。北海道産の小麦を100%使用したしょうゆや、だし調味料である「めんみ」を製造している。北海道に進出するきっかけとなったのは、自社製品が多く消費されており、製品を千葉県野田市の工場から輸送費をかけて運ぶよりも現地で原料を調達し、優位な地域性を有する土地での生産が最適と判断してのことであった。同団地を選んだ理由は、原料である小麦が北海道で収穫され、しょうゆづくりに使用できること、また、大豆の輸入に関しては苫小牧港が近く輸送面で有利であること、大消費地である札幌市に近いこと、さらに、しょうゆづくりに大切な水が、支笏湖の良質な伏流水から安定して得られ、気候についても夏場が涼しく、醸造をするのに適していたことなどである。
概要説明を受けた後、工場立地のメリットや地域とのつながりなどについて委員から活発な質疑が行われた。その後、しょうゆ工場を視察した。


北海道キッコーマン㈱にて

今回、本県の状況と近似性のある工業団地及びそこに立地する企業について調査できたことは、本県の工業団地の基盤整備事業を促進していく上で、大変参考となるものであった。

(3)中島商店会コンソーシアム

(商店街の活性化について)

【調査目的】

中島商店会コンソーシアムは、室蘭市内の5つの商店街組織を取りまとめるべく、事務局機能を集約し、専従職員を配置して積極的な商店街活動を行っていくために結成されたものである。近隣の公共施設や病院等を利用する市民が多く通行するというまちの特性を生かし、地元大学の学生と連携した情報発信や医師会との連携による健康講座の開催などが好評を博し、商店街に再び人を呼び戻している。平成27年3月には中島地区5商店街が中小企業庁の「がんばる商店街30選」に選定された。
本県においても、商店街の活性化に取り組んでいることから、同商店街の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

室蘭市中島地区の商店街は、これまで個別に事業を行っていたが、個別の商店街では、人的・物的ともに制約があるため、なかじま、中島中央、シャンシャン共和国、中島西口の4商店街振興組合と中島商店会の5つの商店街組織が、中島商店会コンソーシアム(共同体)として事務局機能を集約した。専従職員を配置し、対外的な窓口を設置しているほか、5商店街が連携することで可能になった積極的な活動の指揮を執っている。
コンソーシアムが行ったアンケートでは「個別の店舗の魅力が不足している」、「商店街の特色が分かりづらい」という市民の声がある一方で、公共施設や金融機関、病院等を利用する市民が一定数いたことが明らかになった。その利用者を商店街へ誘導する取組が課題と分析し、顧客の囲い込みと商店街のファンづくりの推進をコンソーシアムの目的とした。
空き店舗を活用したコンソーシアムの事務局内には「ふれあいサロンほっとな~る」を開設。バスの待合所、休憩所、フリースペースとして開放している。また、気軽に店舗を出店できるスペースや共同で利用できるキッチンなども設置し、今では年間約13,000人が訪れる地域の拠点となっている。さらに、アンケートの回答の中で今後取り組むべきこととして、「店員のマナー・接客の向上」、「入りやすいお店づくり」などの意見があったことから、おもてなし3箇条を制定し、店主を対象とした研修や、勉強会を開催し、一店逸品運動、買い物めぐりツアーの実施で地域住民との関係を再構築した。
そのほか、地元にある室蘭工業大学の学生と事務局が考案した商店街キャラクター「ほとなる君」の関連商品も販売している。室蘭港に大型客船が入港する日には外国人向けの日本文化体験イベント等を実施しており、通訳ボランティアの配置などが口コミで広がり、多い時には1日300人の外国人が訪れるという。
コンソーシアムによる事業の継続により、大学生によるイベントの実施や椅子、テーブルの製作、医師会との連携による市民健康講座、歴史文化団体や地元出身作家とのまちめぐりツアーなど地域を巻き込みながら取組を発展させてきた。市民団体やサークルのスペース活用も増加しており、年間80以上の企画を切れ目なく実施している。これにより空き店舗が2年間で19軒減少し、歩行者通行量は、平成26年10月調査では前年比27.8%増の7,828人と大幅に改善した。
現在も、地域住民からの意見・要望を常時受け付け、定期的な通行量調査、事業ごとのアンケートによる評価・チェックを行い、若者の視点取り入れや、買い物バスの増便など、ニーズに即したきめ細やかな改善を行っており、商店街に活気を呼び戻している。
概要説明を受けた後、コンソーシアム運営に係る財源や店舗の後継者の状況などについて活発な質疑が行われた。その後商店街を視察した。
今回の視察は、本県の商店街の活性化、地域商業の強化に係る施策を実施していく上で、大変参考となるものであった。

(4)北斗市役所

(新幹線開通による観光振興について)

【調査目的】

北斗市は、北海道の水田発祥の地としても知られ、古くから農業と漁業を基幹産業として成長してきた。その後、快適で質の高い住環境整備により定住化が進み、また、工業団地の造成を契機に企業誘致を推進したことで、産業間のバランスが取れた都市として発展してきた。平成28年3月には北海道新幹線が新函館北斗駅まで開通し、当面の間、新幹線が始発・終着するターミナル駅が市内に設置されることから、新駅周辺地区を北海道における都市間移動の拠点、かつ南北海道における人や物、情報、文化などが行き交う交流拠点として、都市機能の整備、充実、観光の振興に取り組んでいる。
本県においても、観光振興に取り組んでいることから、同市の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

北斗市は、平成18年2月に、上磯町と大野町が合併し道内35番目の市として誕生した。北海道の水田発祥の地としても知られており、古くから農業と漁業の基幹産業や商工業振興などを中心に経済基盤の強化を図ってきた。これまで、観光に積極的に力を入れて取り組んでいなかったが、平成28年3月26日に、北海道新幹線が新函館北斗駅まで開通したことを機に、新駅で乗降する観光客に滞在してもらうため、魅力ある観光地づくりや、観光資源の磨き上げが不可欠であると捉え、集客に向けたプロジェクトを発足させた。観光振興プランの柱として、きひじき高原の整備活用、桜回廊構想の推進、体験型観光の推進、スポーツ合宿の誘致、トラピスト修道院周辺の整備を掲げている。
きひじき高原は新函館北斗駅から車で15分程の場所にある景勝地で、昨年5月にオープンしたパノラマ展望台からは、函館山、大沼・駒ヶ岳を一望できるほか、巨大な弧を描く北海道新幹線の高架線も見ることができる。展望台までの道路には、車で走ると道路から音楽が伝わってくる北海道で唯一のメロディロードも敷設している。
桜回廊構想は、市内の桜並木や樹齢300年の桜にライトアップを施し、見どころとして観光客を呼び込もうとするものである。来場者数は平成24年に3万人だったところ、平成27年度には9万人、平成28年度は11万5千人と大幅に増加した。平成28年度は観光バス約250台が来場した実績もあることから、観光メニューの一つとして認識されつつある。
スポーツ合宿の誘致は、メインターゲットを本州の実業団、大学、高校とし、市が管理する陸上競技場のシートをオリンピック仕様にすることや、市内の宿泊施設を合宿で使用する場合には1人1泊当たり2,000円を補助するなど積極的な取組を行っている。平成23年度は10団体1,218人の利用であったが、平成27年度は59団体4,649人と大幅な伸びを見せている。
そのほか、道外からの誘客促進のため、首都圏や北関東で、北海道新幹線開業に伴い、北斗市の観光プロモーション活動を実施している。この活動は本県の西武ドームでのバックスクリーン広告や公式キャラクターによる始球式なども含まれる。
概要説明を受けた後、活発な質問が行われた。その中で、「北海道新幹線が延伸された場合、新函館北斗駅が通過駅になることの危機感はあるか」との質問に対し、「北海道の主な観光地は道南であり、延伸によって札幌市から1時間でアクセスできるようになれば、道内からの観光客が見込めるため、1日も早く延伸してもらいたい」との回答があった。このほか、国際的スポーツ大会の合宿誘致などについて活発な質疑がなされた。その後、北斗市観光交流センターを視察した。
今回の視察は、本県の観光振興や観光客誘致を促進していく上で、大変参考となるものであった。

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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