ページ番号:69122
掲載日:2023年5月23日
ここから本文です。
平成28年2月2日(火)~3日(水)
(1) あしかがフラワーパーク(足利市)
(2) 茨城県庁[立地推進室](水戸市)
(観光事業者の取組について)
あしかがフラワーパークは、年間の入場者数が年間100万人を超え、全国にある植物園の中でトップとなっており、観光地としての存在感を高めている。
同施設では、花の季節を8つに分け、それぞれの特色を生かした庭園づくりを進めている。冬季は目玉となる花木が少なくなるため、夜に来場した人向けのサービスとしてイルミネーションを設けたところ好評だったことから、翌年に規模を5倍に拡大したところ、客から「お金を払ってでも、見る価値がある」との声が上がったことから、「照明がビジネスになる」とイルミネーションの作り込みに着手したという。イルミネーションに使う電球数は年ごとに増やし、2014年のイルミネーションアワードで1位、CNNが選んだ「世界の夢の旅行先10か所」に選ばれている。
同社の取組を調査することで、観光振興に係る施策の参考とする。
あしかがフラワーパークは、敷地面積が92,000㎡で栃木県指定の天然記念物である畳600枚分のフジ棚や樹齢145年以上の大フジ4本をはじめ、350本以上のフジを栽培している。
同パークの前身は、現在の早川慶一郎社長の父が戦後に足利市内で開いた早川農園である。バブル経済期に収益性の向上のため、平成8年に農園の目玉だった4本の大フジを切り込んで、約20km離れた現在地に運搬し、農園を移転した。これが同パークの第一の柱となっている。移転前は年間10万人弱だった入場者数を、移転後は50万人規模にするという目標を掲げたが、開設から3年間は20万人にも達せず伸び悩んだという。そこで新聞折り込みと駅でのポスター掲示といったPRに努め、折り込みや掲出地域を変えながら、二重、三重に情報発信を仕掛けていった。現在では4月から5月にかけての大フジの開花時期には50万人以上の入場者となっている。
現在、同パークでは、園内の開花状況などによって日ごとに入園料を変えることをはじめとした様々な取組を行っている。
どんなに工夫を凝らしても、冬季は目玉となる花木が少なくなる。そこで開園当初は冬季には入園料を取らず、レストランと小売りの業務に特化したという。夜間の来場者向けのサービスとして設けたイルミネーションが好評だったため、翌年は規模を5倍に拡大したところ、客から「お金を払ってでも、見る価値がある」との声が上がったことから、「照明がビジネスになる」と作り込みに着手したという。現在では「ここでしか見られない景色」を目指し、光や動物、四季などをテーマにした展示を行っている。イルミネーションに使う電球数は年ごとに増えており、2014年のイルミネーションアワードで1位、CNNが選んだ「世界の夢の旅行先10か所」に選ばれるなど、当パークの第二の柱となっている。
同パークは、大フジという「ブランド」に頼ることなく、イルミネーションをはじめとする新しい仕掛けづくりに手を抜かずに取り組んでいる。また、3年前から台湾やタイ、インドネシアなど海外への情報発信を積極的に行っており、海外からの年間入場者数は5万人と着実に増加している。さらに、第三の柱として育てようと新たにバラの展示に力を注いでおり、飽くなき挑戦が発展を支えている。
概要説明を受けた後、委員からはイルミネーションの展示期間、外国語ができる社員の雇用、社員数及び臨時雇用等について熱心な質疑が行われた。
今回の視察は、本県の観光振興を実施していく上で、大変参考となるものであった。
あしかがフラワーパークにて
(企業誘致の取組について)
茨城県は、知事直轄の組織として、企業誘致を所管する立地推進室を設置しており、平成26年に工場立地件数、面積、県外企業立地件数で平成25年に続き、2年連続で全国第1位となっている。
このような実績を挙げている理由としては、県内の工業団地数が133か所あり、首都圏へのアクセスのしやすさ、陸・海・空で交通インフラが整っていること、立地企業をサポートする優遇制度の充実などがある。また、同県では産業集積を目指すため、「立地希望企業紹介制度」というユニークな優遇制度を設けている。この制度は、県や開発公社が分譲している工業団地の購入やリースを検討している企業を紹介し、成約すれば紹介者に報奨金を提供するというものである。
同県の取組を調査することで、企業誘致に係る施策の参考とする。
経済産業省が発表した平成26年の工場立地動向調査によると、立地件数は237件、県外企業立地件数は125件と全国第1位、立地面積は690haで全国第2位であった。理由として以下の点が挙げられる。
まず、東京都心から30km~150㎞圏内という絶好のロケーションである。豊富な人材や情報、インフラなどが集まる首都圏に近いというメリットは大きい。平均地価が1㎡当たり約18,100円と神奈川県の約5分の1、埼玉県の約3分の1と非常に安いので、企業はその分広い面積の土地が確保できる。
次に、交通インフラの充実が首都圏近郊という地の利を更に強めている。都心から県を南北に走る常磐自動車道、群馬県、栃木県とつながる北関東自動車道、周辺に物流倉庫が数多く建設されている圏央道、東関東自動車道など4つの高速道路が県内に張り巡らされている。平成28年度中には、圏央道の境古河ICからつくば中央IC、平成29年度中には、東関東自動車道の茨城空港北ICから鉾田ICが開通を予定しており、成田空港や都心へのアクセスが格段に向上するほか、東北自動車道や中央自動車道などとも接続されることとなり、ますます交通の利便性は向上する。
また、茨城県には茨城港(日立港区、常陸那珂港区、大洗港区)と鹿島港と2つの港があり、東京、神奈川の京浜港に代わる物流拠点として期待されている。さらに、羽田、成田に次ぐ首都圏第3の空港の茨城空港があり、札幌、神戸、福岡のほか、中国の上海など主要都市へアクセスができる。陸・海・空の全ての交通インフラが整っている。
次に、立地企業を支援する優遇制度も充実しており、県税の課税免除や工場用水道料金を半分に軽減するものなど様々な制度を有している。これらの中には「立地希望企業紹介制度」というユニークなものがあり、県や開発公社が分譲している工業団地の購入やリースを検討している企業を紹介し、成約すると紹介者に報奨金を支払うもので、これまでに18件、3,700万円の報奨金を支払ったとのことである。
組織体制も知事直轄で立地推進室を設置し、東京事務所とは別に東京都の丸の内に立地推進東京本部を設けている。企業誘致に関係する総職員数は県開発公社の職員も含めると135名に上るという。
概要説明後、委員からは茨城空港の活用状況、幹線道路沿いの農地転用、企業誘致に伴う雇用人数、企業誘致を行う知事直轄の組織体制等について、熱心な質疑が行われた。
今回、この視察先を調査できたことは、本県における企業誘致の取組において、大変参考となるものであった。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください