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掲載日:2024年2月13日
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令和5年11月20日(月曜日)~21日(火曜日)
(1)一般社団法人横浜みなとみらい21(神奈川県横浜市)
(2)公益社団法人鎌倉市観光協会(神奈川県鎌倉市)
(企業誘致・企業支援について)
横浜みなとみらい21地区は、雇用創出や経済成長、エリア価値向上を目的に積極的に企業誘致が進められており、大手企業の本社移転や自社ビルの開発、研究・開発拠点の整備など、様々な企業が進出している。
本県においても、産業を振興し稼げる力を高めるために企業誘致等を推進していることから、同地区の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。
横浜市は、日本有数の国際貿易港があるだけでなく、首都圏各地からの良好なアクセス、緑豊かな住環境や優秀な人材の集積、首都圏という広大なマーケット等、ビジネスに必要な環境が整っている。特に横浜みなとみらい21地区は、ビジネス環境の整備や税制優遇等の企業誘致のほかにも、集積しているグローバル企業の研究開発拠点と連携したオープンイノベーション環境の構築やアイデアを実証できる場の提供等、企業支援にも取り組んでいる。
ビジネス環境の整備に関する特筆するべき点として、街づくり基本協定に基づく計画性のある街づくりを進めている点がある。例えば、オフィスビルを含む建物の低階層には人々が自由に行き来できる空間、アクティビティフロアを設けることとされているため、各建物の所有者は各々趣向を凝らした店舗やショールーム、サービス施設等を設置している。また、主要駅や主要建物等がペデストリアンデッキで接続されているため、歩行者と車両の動線が完全に分離されている。これにより、安全で回遊性の高い歩行者ネットワークが形成され、各アクティビティフロアへのアクセスを容易にしている。このように、人々が自発的に街を回遊する仕組みを作ることで活気ある街が生まれ、その活気に惹かれた企業がみなとみらい21へ進出していくという好循環が生まれている。
また、企業誘致へのインセンティブとして、横浜市の「企業立地促進条例」による大型支援策がある。例えば「固定資産取得型」は、中小企業で1億円以上、大企業では50億円以上の投下資本がある企業に対して最大50億円の助成金を交付するものであり、「固定資産取得型」を含めた同条例による誘致企業者数(認定事業者数)は累計で160件を超えているとのことであった。
概要説明を受けた後、委員からは活発な質問が行われた。その中で「民間企業同士の連携に際し、公の立場としてどのような支援を心掛けているのか」との質問に対し、「特に中小企業の場合は、大学や大企業と接点を持ちたくても持てない企業が多いため、フリーディスカッションができるような場を提供することが大事であると思っている」との回答があった。
その後、歩行者ネットワークの主要軸である「クイーン軸」や「グランモール軸」、オフィスビル内のアクティビティフロアを見学した。
今回、同地区を視察できたことは、本県における企業誘致・企業支援を推進していく上で、大変参考となるものであった。
横浜みなとみらい21にて
(観光施策の推進について)
鎌倉市は、比較的狭いエリアの中に歴史的遺産や文化的資源が点在しており、国内外から多くの観光客が訪れている。一方で、狭いエリアに多くの観光客が訪れるという物理的な課題、観光客のニーズを充足させ、満足感を高めていく必要があるという質的な課題、さらに観光客と地元市民との間で軋轢が生じないよう観光振興と市民生活との両立を図るという日常的な課題が混在している。
本県においても、観光地の持続的発展が今後の観光振興における重要な課題の一つであることから、同協会の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。
鎌倉市は、歴史的遺産や文化的資源、海や山等の自然・景観が比較的狭いエリアの中に集中している。年間を通じて国内外から多くの観光客が訪れているが、アジア、ヨーロッパ、アメリカ及びオセアニア圏から満遍なく外国人旅行客が来訪しており、国際観光都市としても知られている。
そのため鎌倉市観光協会では、観光案内所において3か国語に対応できる体制を整え外国人観光客への観光案内を行っているほか、複数言語に対応した観光マップや観光情報冊子の配布、「手ぶら観光」推進のための手荷物預かりサービス、高付加価値の着地型観光の販売など、インバウンドへの対応を進めている。
一方で、観光客の来訪は小町通り~鶴岡八幡宮のエリアや長谷地域に集中しており、特に休日の日中の混雑が顕著である。また、観光エリアと市民の生活圏が重なっているため、交通渋滞や迷惑駐車、ごみの投棄、敷地への無断侵入などが大きな問題となっている。このようなオーバーツーリズムは、例えば混雑によって計画どおりの観光を断念せざるを得ないなど、観光客の満足度低下にもつながっている。
この問題の解決に向け同協会や鎌倉市は様々な取組を行っており、例えば、観光客の自主的な混雑回避を促すため、主要観光地における混雑状況を可視化してホームページに掲載している。また、交通渋滞の緩和に向けたパーク&ライドの実施、鉄道事業者と連携したフリー切符の販売や鎌倉駅西口改札における沿線住民等優先入場の社会実験など、オーバーツーリズムの緩和に向け、観光客と域内の市民、双方を対象にした取組を実践しているとのことであった。
概要説明を受けた後、委員からは活発な質問が行われた。その中で「観光ごみはどのように回収・処分しているのか」との質問に対し、「1日2回ごみを回収していたときもあったが、莫大な費用が発生していた。ごみ箱がごみを呼ぶ状況となっていたため、ごみ箱は全て撤去した。現在はごみ持ち帰り運動の啓発や飲食物等販売店によるごみの自主回収を推進している」との回答があった。
その後、平日にも関わらず大勢の観光客でにぎわう小町通りを視察した。
今回、同市を視察できたことは、本県における観光施策を振興していく上で、大変参考となるものであった。
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