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掲載日:2023年11月27日

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産業労働企業委員会視察報告

期日

令和5年8月30日(水曜日)~31日(木曜日)

調査先

(1)石川県庁、金沢駅観光案内所(石川県金沢市)

(2)富山県総合デザインセンター(富山県高岡市)

調査の概要

(1)石川県庁、金沢駅観光案内所

観光施策の推進について

【調査目的】

 北陸新幹線・金沢-敦賀(福井県)間は、令和5年度末に開業予定である。これにより、北陸三県が1時間圏内でつながるほか、三大都市圏からの移動時間が短縮されるため、更に多くの観光客の訪問が見込まれる。石川県では、長野-金沢開業時の経験を生かしつつ敦賀延伸開業による観光誘客を推進するため、開業効果の最大化に向けた施策を官民一体となって強力に推進している。
 本県においても、北陸新幹線の停車駅として大宮駅があり、また観光資源の発掘や広報等の観光施策を進めていることから、同県の取組を調査し、本県の今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

 石川県は、九谷焼や山中漆器などの伝統工芸、能登地域や白山山系をはじめとした恵まれた自然環境、加賀料理に代表される食文化など、観光資源が豊富である。また、観光名所がコンパクトにまとまった金沢中心部のほかにも、加賀から能登まで、自然や町並み、食や工芸などの文化を感じられる魅力あふれる観光名所が点在している。
 平成27年3月には、北陸新幹線・長野-金沢間が開業したことで首都圏からの移動時間が大幅に短縮し、翌年以降、観光入込客数や県内宿泊者数が開業前と比較して大幅に増加した。そこで石川県は、金沢開業時の経験を生かしつつ敦賀延伸開業による効果を最大化するため、観光誘客に向けた具体的な施策を盛り込んだ「新幹線県内全線開業PR戦略実行プラン」を策定した。
 同プランでは、(1)受け地の魅力づくり(2)効果的な情報発信(3)誘客キャンペーンを3本柱として掲げるとともに、取り組み強化を図る視点として、文化観光の推進、新幹線新駅を核とした誘客、北陸三県の連携を掲げて、開業前後3か年計画により開業効果の最大化に取り組むこととしている。
 また、文化の担い手と観光事業者との連携による、文化観光素材の発掘から磨き上げ、販売促進に至るまでの取組に対する伴走型の一貫支援を実施するため、県と地元の銀行が共同して総額100億円の「いしかわ文化観光推進ファンド」を石川県観光連盟内に創設した。このような文化観光に特化したファンドの設置は全国初の試みであるとのことであった。
 概要説明を受けた後、委員からは活発な質問が行われた。その中で「宿泊施設のキャパシティは充分であるのか」との質問に対し、「金沢市内においては、北陸新幹線・金沢延伸の前後で多くの宿泊施設が建設され、現在も郊外に新たなリゾートホテル開設の計画がある。また、能登地域には輪島温泉郷、加賀には関西の奥座敷と呼ばれている宿泊施設があるなど、石川県全体として十分なキャパシティを保持していると考えている」との回答があった。
 その後、金沢駅構内にある観光案内所を視察した。観光案内所は、エリア別の観光情報コーナーのほか、伝統工芸等を展示するスペースを設置するなど、観光案内だけでなく石川県内の伝統文化の一端に触れることができる場所となっていた。
 今回、同県の取組や観光案内所を視察できたことは、本県における観光政策を推進していく上で、大変参考となるものであった。

(2)富山県総合デザインセンター

地域経済・地域産業の振興について

【調査目的】

 富山県は、豊富な電力、工業用水などに支えられ日本海側屈指の「ものづくり県」となっている。産業別就業人口割合では、第2次産業の比率が33.2%で全国平均の23.4%を大きく上回り、全国第1位である。
 そこで、同県は第2次産業をデザイン面からもサポートすべく、デザインによるブランド価値の構築、優位性の確保、高付加価値商品の開発等を支援している。
 本県においても、産業を振興し、企業の稼げる力を高めるための支援が必要であることから、同県の取組を調査し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

 富山県は、豊富な水資源とそこから生み出される安価な水力発電を背景に、日本海側屈指の「ものづくり県」として発展している。金属、機械、医薬品、化学、繊維、ITなど多様な産業が集積しているほか、高い技術力で世界に先駆けるトップ企業やニッチトップ企業も多く、大学との共同研究も盛んに行われている。
 しかし、首都圏と比較して工業製品分野のデザイナーが極端に少ないこと、デザイン分野に対して地元企業のアレルギーがあること、伝統工芸品が成熟していて売上げが減少していることなどの課題があった。
 この課題解決に向けて、まず同センターが取り組んだのが、デザイナーとの継続的な関係づくりである。同センターが主導してデザイン会議やデザインコンペティションを開催し、全国各地の大手企業を含むデザイナーを招待した。これにより、県とデザイナーとの間で継続的な関わりが生まれただけでなく、県内において、デザイナーの活躍の機会やデザイナー同士の情報交換の場を提供することとができた。このようにデザイナーが集まることにより、今までデザインに距離を置いてきた地元企業や伝統工芸品の分野でも、ブランド開発やデザイン領域に力を入れるようになっていった。
 近年は、デザイン相談やデザイナーの紹介だけでなく、著名なデザイナーや建築家、異分野の専門家などを招待したセミナーや研究会などを開催し、最新デザインの情報を提供している。また、商品開発のスピードアップを図るため、大型のバーチャルスタジオをはじめとした設備を非常に割安な価格で提供している。これにより、県内企業の新商品開発を支援するだけでなく、県外デザイナーや企業、関連団体の来所にもつながっている。
 概要説明を受けた後、委員からは活発な質問が行われた。その中で「県内にデザイナーが少ないとのことだったが、県内にデザイナーを集めるという考えはないのか」との質問に対し、「有能なデザイナーが集まってくる場所が富山なのだという認識を広めることが重要であり、必ずしも県内に何十人もデザイナーを集める必要はないと思っている」との回答があった。
 その後、バーチャルスタジオをはじめとした同センター内の設備を見学した。
 今回、同センターを視察できたことは、本県における地域経済・地域産業を振興していく上で、大変参考となるものであった。

産業労働企業委員会の議員らがデザインセンター前に並んだ写真

富山総合デザインセンターにて

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