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掲載日:2023年5月23日
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平成29年11月13日(月曜日)~14日(火曜日)
(1) エム・ユー・ビジネスパートナー(株)(相模原市)
(2) ライフイノベーションセンター(川崎市)
(障害者雇用の取組について)
エム・ユー・ビジネスパートナー(株)は、三菱東京UFJ銀行の特例子会社として、平成23年4月に開業した。同社の経営理念は、障害のある方それぞれが、能力・適性に応じた役割を果たすことにより、誰もが職業生活において自立し、働きがいを得ることを通じて、社会に貢献していく会社を目指すことである。平成29年10月1日現在の従業員数は186名で、そのうち159名の障害のある方が、各自の適性に応じて勤務している。同社の主な業務は、三菱東京UFJ銀行からの受託業務で、公的機関からの調査への回答、銀行取引に関する各種登録業務、同社グループ各社への郵便物の発送業務等を行っている。職場環境はバリアフリーで、広々とした執務室をはじめ、同社専用の食堂を完備しているほか、様々な仕様のトイレ、快適な空調設備等により、障害のある社員にとって働きやすく、安心で快適なオフィス環境を備えている。また、地下には社員専用の駐車場を整備しているため、雨の日でも濡れずに自動車での通勤が可能であるという。
同社における取組を調査することで、本県における障害者の雇用促進・働きやすい職場づくりに係る施策の参考とする。
エム・ユー・ビジネスパートナー(株)は、三菱東京UFJ銀行の特例子会社である。同行の特例子会社としては愛知県北名古屋市にあるエム・ユービジネスエイド(株)に続く2社目であり、JR横浜線相模原駅から近いバリアフリーで通勤できる場所に社屋が建設され、平成23年4月に開業した。社屋は地上7階、地下2階建ての専用社屋で、障害の種類や健康状態に細かく対応する設備や機能を備えている。主な特徴として、車いすに対応したドアの自動化・引き戸化、冷暖房を均一・緩やかにするためのファブリックダクト給気システムや座席単位にある床面50か所の独立した冷暖房風量調節装置、聴覚障害者に対応した点灯式緊急地震速報装置などがある。また、障害者専用トイレは10か所に設置しており、一部のトイレには車いすなどから乗り移りやすいように昇降式便座やベッドが取り付けられ、個室入り口の引き戸についても左右両タイプが設置されている。さらに、執務室からトイレの使用の有無が一目で分かる表示板も備え付けられている。その他、急病時や体調不良時に使用する休養室を広く確保しているほか、常勤看護師、非常勤臨床心理士の配置、地下1階、2階に車通勤者用の同社専用駐車場を備えるなど、設備、機能は社員から評判も非常に良いという。
同社の平成29年10月1日現在の従業員数は186名で、うち障害者は159名となっており、雇用形態は全てが正社員である。三菱東京UFJ銀行の法定雇用率は平成29年10月1日現在で2.27%となっている。同社の社員及び職場の特徴は、役職者は、全て親会社である三菱東京UFJ銀行からの出向者等であること、社員は障害の程度・種別にかかわらず、座席配置も混在して業務を遂行していることである。主な業務内容は、生活保護法や国税徴収法に基づく公的機関からの調査に対する調査・回答で、処理量は月に13万件であるという。その他の業務として、返戻された郵便のデータ登録や名寄せ登録を行っている。業務の取組姿勢として、正確・丁寧な事務処理はもちろんのこと、障害者の職場定着のために、自分のペースで事務処理ができるようお互いを尊重し理解することを重要視している。そのことは、同社が最大のテーマとして「職場定着」を挙げていることからもうかがえる。開業してから6年間で採用した障害者は延べ174名で、うち退職者は14名である。退職理由とその人数は、適正不一致が5名、処遇不満・仕事不満が4名、障害の進行・疾病が2名、その他3名となっている。同社は課題として、平成30年4月1日から2.0%から2.2%に引上げとなる法定雇用率に対応した更なる体制づくり、精神障害者の雇用拡大、社員のモチベーション維持・向上、職場環境向上を掲げ現在対応を検討しているという。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「加齢などによって身体能力や業務遂行能力の変化が予想されるが、どのように対応するのか」との質問に対し、「加齢などによって能力に変化があることは承知している。業務開始後6年間は問題として直面していないが、今後対応すべき課題として認識している。厚生労働省の有識者会議などを通じ、福祉と雇用をつなぐ政策立案を提起していく」とのことであった。質問後、同社内を視察した。
同社の取組を視察できたことは、本県における障害者の雇用促進・働きやすい職場づくりに係る施策の充実に大変参考となるものであった。
(再生医療・細胞医療の取組について)
ライフイノベーションセンターは、神奈川県と大和ハウス工業(株)及び東京センチュリー(株)が整備事業主体となり、川崎市川崎区殿町地区に建設した、再生医療・細胞医療の産業化拠点である。同県の再生医療産業化拠点構想により、同センターを中心とするグローバルな再生医療産業化拠点の形成を進め、再生医療の提供や再生医療等製品の実用化を目的としている。同地区には、多くの企業が研究機関等を立地しており、同センターと有機的に連携して最先端の研究を行っている。同センターは、地上4階建て、延べ床面積約16,000平方メートルの研究施設で、1階が細胞の培養から加工、出荷までの一貫体制ができるフロア、2階から3階が国内外の有望なシーズを結集し、革新的技術・製品の研究開発を推進するラボ・オフィス、4階がベンチャー企業を中心に経営の助言などのハンズオン支援を実施するベンチャー支援フロアなど、研究開発から事業化に至る環境をワンストップで提供している。平成29年10月現在では、26社が入居している。
同センターおける再生医療・細胞医療の取組を調査することで、本県における健康長寿に係る施策の参考とする。
神奈川県が行うヘルスケア・ニューフロンティア政策は、全国でも一、二を争う圧倒的なスピードで進行する高齢化により発生する課題解決を図ろうとするもので、課題解決の着手手法として運動習慣の奨励などによる未病の改善と、iPS細胞研究やロボット医療機器などによる最先端医療・最新技術の追求を掲げている。最先端医療・最新技術の追求におけるビジョンは、遺伝子情報など個人の特性に応じた医療や再生医療・細胞医療の実用化による医療の提供とヘルスケア関連産業の集積による革新的製品の開発や地域経済の活性化を見据えている。ライフイノベーションセンターは、そのビジョンにある再生医療・細胞医療の実用化・産業化を促進するため、国際戦略総合特区である川崎市川崎区殿町地区に、再生医療・細胞医療の産業化拠点として公民共同で整備し、平成28年4月に供用を開始した。同地区には、国立医薬品食品衛生研究所や実験動物中央研究所などのライフサイエンス関連57機関が集積しており、平成32年には、羽田空港国際線ターミナルと同地区をつなぐ約1.8kmの連絡道路の整備が予定され、更なる発展が期待できるという。同センターの敷地面積は約8,000平方メートル、建物は地上4階建て、延床面積約16,000平方メートルで、1階は天井高7mと大型設備の導入が可能となっているほか、全室が薬品での実験ができるウエットラボに対応している。同センターでは、研究開発から臨床研究、品質管理、出荷までを行えるため、国内外からの細胞の受託生産、再生医療製品の早期薬事承認制度などを活用した市場化を目指す事業者、それらを支える周辺産業事業者などの幅広いニーズに対し、同県を中心に国内外の関係機関と連携するなど効果的な支援を提供している。平成29年10月1日現在の入居事業者は26社になり、入居事業者や国、業界団体、海外機関等が参加する「かながわ再生・細胞医療産業化ネットワーク」を設立し関連機関の有機的な連携強化が図られている。
同センターの概要説明及び入居事業者である(株)遺伝子治療研究所の事業内容説明後、委員から活発な質問が行われた。その中で、同社への「同センターに入居した理由及びメリットは何か」との質問に対し、「クリーンルームで製造する場合、ほこりなどを除くために陰圧にしなければならないが、それを前提とした構造で、天井高が高いため天井裏にダクトを多く配置できること、関連産業の集積及び羽田空港が近いことなどが入居した大きな理由である。また、同センター内に関連多業種が入居しているため、保管、輸送、培養などをすぐに相談できる環境があることがメリットである」との回答があった。質問後、同センターを視察した。
同センターの取組を視察できたことは、本県における健康長寿に係る施策を充実していく上で、大変参考となるものであった。
ライフイノベーションセンターにて
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